320『魔の山』トーマス・マン作 関 泰祐・望月市恵訳(岩波文庫1993年第9刷(上巻)第8刷(下巻))■ ぼくは北 杜夫の作品が好きでずいぶん読んだが、その北 杜夫が敬愛していたトーマス・マンの作品ということだけで読んだ約1,300ページ(上下巻)もの大作。ハンス・カストルプは従兄を見舞いにスイス山中のサナトリウムを3週間の予定で訪れるのだが、滞在中に病気にかかり、院長の診察を受ける。すると結核だとわかり、そのまま療養生活を送る羽目に。ぼくはこの長大な教養小説を1994年の10月から11月にかけて読んだ。**(前略)日常世界から隔離され病気と死が支配するこの「魔の山」で、カストルプはそれぞれ…