色男はヒトラーを裏切った えー、これがヒトラーを足蹴にした英雄色男の墓だって！ ピーターはおもむろに続ける。 「それは第二次世界大戦のときさ。ここには製油所があるだろう。ドイツはChristian Ｃirnermanという工作員をおくったんだよ。彼は白人で青い目をしていた。その子孫がいっぱいいるんだよ」 どういうことか？ 「ここには石油精製基地があるだろう。Uボートで送り込まれて、精油所を破壊する計画を立てるはずだった。アメリカ軍の燃料補給を断つためにね。でもその白人はもう戦争はいやだ、っていってこの逃亡奴隷の村BocaSamilに逃げ込んだのさ。美女がいっぱいいる、ヒトラーなんてくそくらえだ…

石油は黒人労働者を必要としたー歴史秘話２ 逃亡奴隷はアフリカの故郷と同じ家を作った ピーターはこの島の人種構成について説明を続ける。 ―ここの黒人は二種類だよ。アフリカから連れて来られた黒人、そして石油精製施設建設のために労働者として回りのカリブ海の島々から来た黒人。前からこの島の人種は、インディオ、ムラ―ト（白人とインディオの混血）、白人、中国人なんだよ。中国人もキュラソーの古い家に属するんだ。でも人種別では黒人が多い。子供をたくさん作るだけじゃなくて、石油精製施設の労働力として増えた。たとえば、ぼくの母親は白人とインディオの混血、父親は黒人なんだよ ―でも、PDVSA（ベネズエラ石油公社）…

英雄ー歴史秘話１ 奴隷解放の英雄は楔を断ち切ったのか？ Tulaの記念碑は海辺にあった。車が入れない小道なので、私はピーターを車内に残して独りで歩いた。海岸に出ると、巨大なクルーズ船が見えた。背後はマンゴルーブ林である。 まもなく行くと、鎖でつながれている黒人の像が３つと出会った。そのうちのひとりが鎖を断ち切るための金槌を振り上げ、一方の手で持った楔にそれを打ち降ろそうとしていた。 解放への闘い公園と名付けられ、２０００年９月にユネスコにより、平和のシンボルとして宣言されている。飛行機が上空を轟音を上げて通り過ぎる。私と奴隷3人に強い陽射しが打ち付けてくる。 しばしの間、私は南米大陸で出会った…

バレンティンと怒鳴り合う バレンティンの家は思いのほか質素で、むしろいい印象を受けた 家には「Wellcome home」と書かれた手製のステッカーとココのポスターが張られている。小さな平屋の家でむしろ私はいい印象を持った。バレンティンを含め南米の成功した野球選手は、フロリダに豪邸を建てて住んでいる。 車が立ち去ったので、そのあとに空いた敷地に車を進めると、バレンティンは驚いたように突然訪れた私たちのほうを見た。招かれざる客なのだろう。彼はその思いを隠さなかった。あきらかに「ほおっておいてくれ。もうたくさんなんだ」とその顔はいっていた。 月曜日にキュラソーに着いて以来、パレード、インタビュー、…

Cirilo Chirino Ballparkでバレンティンに衝撃を与える ヤクルト最高！ 恐怖の８番打者ミューレンとそろい踏み バレンティンが子供の頃にプレイしていたというパレードの終点のCirilo Chirino Ballparkに着いたのは、夜の8時半頃だった。沿道、車の大混雑でタクシーがなかなか進まなかった。 観客席にはすでに人がぎっしりだ。食事をしていない私は、腹ペコだった。まずは売店で、チーズの入った円筒型の揚げ物を買い、ジュースを飲んだ。球場内では、関係者がステージを用意している。私はバックネット裏の入り口からグランドに入ることにした。日本のジャーナリストだというと、問題なく入…

英雄ココバレンティンの凱旋 日本にありがとう 飛行機は30分ほどの遅れで昼過ぎにキュラソーの Hato 国際空港に到着した。入国審査を終え、空港の係官に聞くと、まもなくバレンティンがハリウッドからアンドレスジョーンズ（キュラソー出身のMLBで最も活躍した選手。楽天優勝の立役者）の自家用機で空港に到着し、記者会見の後に通用門を通って外に出るという。私は空港の狭い待合室で、売店をひやかしながらしばらく待ったが、なかなかバレンティンは出てこないので、しびれを切らして荷物をひきずってひとまず空港の外へ出た。 外の敷地では、キュラソーのココファン、マスコミ、チアガ―ルの集団が、今か今かとバレンティンの到…

文春砲とココバレンティン そしてキュラソー歴史秘話 男女の仲は藪の中 今回、文春砲・渡辺渚ｖｓフジテレビ・中居正広の騒動を見聞きしていて、１０年前のココ・バレンティンに対する文春砲（妻への暴行疑い）のことを思い出した。あのときの文春の記事は一方的で内容はややお粗末で、私の原稿の雑誌への掲載が遅れるなど間接的な被害を被った。 今回の騒動に関しては、中居氏がよほどひどいことをしたのだろうと想像されるので、加害者と被害者という構図は変わらないだろう。フジテレビの超時代遅れな内実（＝もっとも業種を超えてこのような企業が日本には多くある）が浮き彫りになったし、その意味で示談があろうがなかろうが、やられた…