ギリシア神話の勉強の続きを書く。“変身”がテーマだ。古代神話で、人間が動物・植物・星などへと姿を変える物語は、人が「自己の限界」を越えて、自然や神々との同一化を体験する象徴とみなせる。変身は罰でもあり、救済でもあった。オウィディウスの『変身物語』では、愛・傲慢・悲嘆といった感情が自然の姿に変わり凝固する。これは、「私」という境界がゆらぎ、世界霊との交感が起こる瞬間といえる。現代の「変身願望」は、根底では古代と似た衝動である、境界を越えて“より大きな生命”とつながりたいという願いを秘めているような気がする。アイデンティティの変容、性の流動、アバター的自己、SNSでの人格演出などだ。現代では、人間…