イトマン事件
(社会)
【いとまんじけん】
伊藤萬株式会社を巡って発生した、商法上の特別背任事件。
概要
1990年5月の日本経済新聞の報道で、伊藤萬の不動産投資による借入金が1兆2000億円に及んだことが明らかになったことをきっかけに、許永中が美術品や貴金属などを投資すれば経営が安定するとの話を持ちかけた。これを受けて、伊藤萬は許永中の絡む三つの会社から、許永中の所有していた絵画・骨董品などを総額676億円で買い受けた。これらの美術品は鑑定評価書の偽造などが行われ、市価の2〜3倍以上という法外な価格であったが、河村や伊藤はこれを認識しながら買い受け、これによって伊藤萬は多額の損害を受けた。その他にも地上げ屋の経営、ゴルフ場開発へ多額の資金を投入させた。
その結果、伊藤萬本体から360億円、全体では3000億円以上の資金が、住友銀行から伊藤萬を介して暴力団関係者などに流れたとされる。
1991年7月23日、大阪地方検察庁特別捜査部は特別背任の疑いで6人の被疑者を逮捕。
2005年10月7日、最高裁の上告棄却決定により、許永中について懲役7年6月・罰金5億円、伊藤寿永光について懲役10年、河村良彦について懲役7年の刑がそれぞれ確定。
