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無事、転職先の内定をもらい、会社との退職交渉が終われば、あとは具体的な手続きを経て退職となります。基本的には、会社から指示されたとおりに手続きをすれば良いのですが、事務的な手続き以外は具体的な指示がない場合もあります。
特に、初めて転職する場合には、どのような手続きをとればいいかわからず、不安になることもあるでしょう。ここでは、退職から転職までの流れのうち、退職時や退職後に行う手続きについてご紹介しましょう。

マイナビ会計士編集部
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まずは、公認会計士が退職までにすべきことを確認しましょう。辞める会社であっても、これまでお世話になった会社ですから、退職後にトラブルがないよう、きちんと手続きをするべきです。
ここで失敗すると最悪の場合、同じ業界内で悪い噂が立つ場合もあります。
退職の意思が固まったら、まずは会社に報告し、退職日を決定します。
退職を伝える相手は、直属の上司です。伝え方としては「個人的にご相談したいことがありますので、お時間を頂戴できますか?」などと言い、話す機会を設けてもらいましょう。コロナ禍以降、テレワークをしているケースもありますので、メールなどで依頼する方法もあります。
なお、公認会計士として退職を伝える際には、繁忙期を外すことを心掛けましょう。
伝える内容は、「辞める意思」と「辞める理由」だけです。「残業が多い」「給料が安い」といった不満を言うと、意思表示ではなく交渉になってしまい、退職を引き止められることになりかねません。
会社に退職の意思表示をして受理されたら、上司と相談して退職日を決めましょう。労働基準法では、退職届の提出後、2週間で退職することができますが、会社の就業規則などで「1ヵ月前に申告」といったルールがある場合は、できる限り従うほうが賢明です。
いずれにせよ、退職が決まった後には引き継ぎなどもありますから、自分の希望だけではなく、会社側の事情も理解して決める必要があります。退職日が決まったら、退職届を書いて提出しましょう。
なお、退職の意思表示や退職届の書き方などについては、下記の記事もご参照ください。
退職届を提出したら、業務上必要な取引先への挨拶や引き継ぎなどを行いましょう。公認会計士の場合、BIG4などに勤めていれば、クライアントとの接点がない場合もあります。しかし、中小規模の監査法人の場合は、クライアントとの接点も多いでしょうから、基本的に挨拶をすべきです。
また、挨拶の際には、次の担当者を同席させて、引き継ぎも行いましょう。このとき、次の担当者には、「クライアントはどのような性格か」「どのような監査を希望しているか」など、書類ではわからない部分の申し送りをすれば、スムーズに引き継げます。
なお、監査法人によっては、退職者とクライアントの挨拶を好まない場合もあります。実際に挨拶を行っていいかどうかは、会社の判断を仰ぎましょう。
業務的な連絡が片づいたら、あとは社内の挨拶です。タイミング的には、最終出社日に行いましょう。
これまでお世話になった上司や先輩、同期、後輩、他部署で交流のある人など、可能な限り退職の挨拶をしておきます。
なお、退職の挨拶については、下記の記事で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

続いては、実際に公認会計士が退職時に会社で行う手続きについて見ていきましょう。会社によって多少異なる部分はありますが、概ね以下のとおりです。
公認会計士が、退職時に会社へ返却する物をご紹介します。
健康保険被保険者証(保険証)
健康保険は、会社の福利厚生のひとつです。そのため、退職と同時に会社で加入している健康保険の権利がなくなりますので、保険証は返却しましょう。
会社支給の物(社員証など)
会社から支給されている社員証などの身分証明書や、ビルに入るためのID、社章、名刺など、すべて返却してください。誤解しやすいのが、名刺交換で得た名刺です。自分がもらった物だと思い込みやすいですが、あくまで会社の業務で得たものです。持って帰らずに、原則として会社に提出してください。また、会社へ通勤するための定期券も、返却を求められる場合があります。定期券の期間が余っている場合は、どうすればいいか人事担当者に相談してください。
会社で購入した物
資料の本やUSBメモリといった備品、文房具など、会社の経費で購入した物も会社の所有物です。必ず返却してください。
会社で制作したもの
会社で就業中に制作した資料なども必ず返却(または破棄)して、持ち帰らないようにしましょう。
内容によっては、会社の機密保持に関わるかもしれません。たとえプレゼン資料ひとつだとしても会社で作られた成果物ですから、決して自分のものではないのです。紙の資料だけではなく、パソコンのデータも同様です。
次に、公認会計士が退職時に会社から受け取る物を見ていきましょう。会社によっては退職時ではなく、後日郵送される場合もあります。
離職票
離職票は、雇用保険の給付手続きに必要な書類です。すでに転職が決まっている場合は必要ありません。ほとんどの場合、退職日ではなく退職後に郵送してもらいます。
雇用保険被保険者証
転職先が決まっていない場合、雇用保険被保険者証は、雇用保険の申請に使用します。転職先が決まっていて雇用保険を申請しない場合でも、転職先の会社に提出する必要があります。多くの場合、雇用保険被保険者証は会社が保管していて、退職時に返却されます。
年金手帳
厚生年金の加入者が持つ年金手帳は、転職先の会社に提出します。転職先が決まっていない場合は、国民年金に加入する必要があります。年金手帳は会社が保管しているケースがほとんどですが、個人で保管している場合もあります。
源泉徴収票
源泉徴収票は、収入や支払った税額を示す法的な書類です。転職先が決まっている場合は、転職先の会社に提出して、年末調整に使用してもらいます。転職先が決まっておらず、年内に転職しない場合は、翌年の確定申告時に使用します。

退職後に転職先が決まっている場合は、前述したように雇用保険被保険者証や年金手帳、源泉徴収票などの書類を、転職先の企業に提出すればOKです。
退職後の転職先が決まっていない場合は、下記のようにいくつか公的な手続きが必要になります。
退職後、なるべく早く行いたいのが失業保険の申請です。特に、自己都合で退職した場合は、失業保険の給付まで時間がかかりますので注意しましょう。
コロナ禍以前は公認会計士の転職市況は売り手市場でしたが、現在は採用のハードルが高くなっています。長期戦になっても構わないように、失業保険の申請はすみやかに行ってください。
会社で加入していた健康保険から、国民健康保険への切り替えを行いましょう。基本的には退職日から、14日以内に申請手続きをします。
なお、会社で加入していた健康保険に、自費で継続加入できる場合もあります。国民健康保険と比較して、保険料が安いほうを選んでもいいでしょう。
会社加入の厚生年金から、国民年金への切り替え手続きも必要です。なお、離職票やハローワークの書類を提出することで、年金の一部免除を申請することもできます。万が一、転職活動が長期戦になってもいいように、申請しておくのもいいかもしれません。
住民税の支払い手続きも必要です。退職月が6~12月の場合、退職月以降の住民税を支払う必要があります。また、退職月が1~5月の場合、退職月以降から5月までの住民税が給与から天引きされます。6月以降は、行政機関から送られる納付書に従って支払いを行ってください。

転職を考えたとき「退職してからしばらく休みを取って、それから就職活動をしよう」と考える人も多いでしょう。確かに、日夜業務に忙殺されていると、心と体のリフレッシュが必要です。しかし、あまりに離職期間が長くなると、「この人は何で長期間再就職できなかったのだろうか?」と採用担当者に思われることもあります。コロナ禍以前のように、売り手市場でない今、リスクのある行動は避けたほうが無難です。そこで、転職エージェントを活用し、バランスのとれた再就職までのプランニングをするのもおすすめです。
例えば、マイナビ会計士のキャリアアドバイザーが、転職に関するさまざまなアドバイスをさせていただきます。退職してからではなく、在職中からご相談いただくことで、より良い転職活動を支援させていただくことが可能です。
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