その夕方、最寄り駅の構内にて地元の飲食店の 出店イベントがありました。 ケーキ、和菓子、お酒、居酒屋風お惣菜… ちょっとした立ち呑みテーブルの用意まであります。 おいしそうだけど、高そうだな… 賑わい始めた屋台を横目にサッサと通り過ぎようとしたところ、 いちばん端の屋台に食...
『マンション内で、リフォームされるお宅が数軒あるんですよ。 さらに何軒かまとまると、かなりお安くなります。 来月までの期間限定なんですが、いま、ご一緒にされるお宅を募っているので、 訪問させてもらいました』 『実は、先日あるお宅の浴室工事に入ったんですが、 タイルを剥がして...
『配達完了:ご注文商品の配達が完了しました』 遅い時間に、Amazonから配達完了のメールが届きました。 (手渡しだと思って待っていたのに? ポストに入る大きさだったのかな?) 翌朝、わくわくしながら一階の集合ポストを覗いたのですが、 (ウチは集合住宅のマンションです) 荷...
『やっぱり、貰っていくわ。包んでくれる?』 息子に食べさせたいと思って焼いた 林檎のケーキです。 手をつけずに帰ろうとしたので、 持って行って食べなさい、と 勧めましたが、荷物になるからか、気が進まなさそうでした。 まぁいいか、自分が食べれば… そう思いましたが、 貰ってく...
今年も、怖れていた日がやってきた。 ある朝起きたら、目が腫れ上がっていた とてつもなくダルい 何年か前の春先、突然症状が現れて以来、 それは毎年律儀にやってくる。 この頃は空気が乾燥するから、唇がカサカサに荒れて時には血が滲む ダル過ぎて、リップひとつ塗ることすら面倒だ ...
3日ほど覗かなかっただけで、 どっさり溜まっていた。 季節の変わり目に送られてくるズシッと重い通販カタログの類、 ピザ屋、宅配寿司、塾のチラシ、スイミングスクール、 水道修理のシール、リフォームの案内、市の広報… 1階にある集合ポストの中を見ただけで うんざりした。 中身を...
随分前から、公共施設の多目的トイレに、このお知らせが貼ってありましたが、 気がついたら、いつの間にか外されていました。 … もう必要なくなったのかな? と思っていましたら、 館内にまた! ゴミ箱、加工しました (加工 自分) < お知らせ部分拡大 わたしだって、他人様のこと...
叶うことなら、不食の人になり、 人気のない廃墟の陰に居を構え 忍者のように身を潜め、 目立たず、ひっそり生きるのが 望みだというのに… 朽ち果てかけているビル 裏口 毎年イヤでもやってくる『生まれた日』 というものを当事者でも無いのに何故か 覚えている友だちが2人ほどいまし...
いつ降ってきてもおかしくないような鉛色の空でした。 その頃所属していた、サークルの友だち2人と お茶を飲んでの帰り道でした。 朝から心に引っ掛かっていたことが思わず言葉になりました。 『この近くに◯◯くんのアパートがあるよね』 (同じサークルの◯◯くんです) 『あ〜そうだっ...
徒歩1分にある小さなスーパーでは、週に3日ほど、 先着100名に6枚綴りの30円割引シールが配られます。 その日1日限りですが、 100円以上どの商品に貼って使っても構いません。 6枚のシールが使えるのは、その日限りなので、 使い切ってしまわないと損をするような気がして、 ...
わたし 『家の中を一瞬でキレイにする技を発見した!』 どうにかして消息が知りたい場合、 何でもいいから返事が来そうな話題を探します。 息子A 『なんや?』 しめた!食いついた! 『なんや?』の文字は、脳内でパッと音声に切り替わりました。 わたし 『これや』 しばらく経ってか...
青くさい高校生のガキでもあるまいに、 その人とすれ違うと心臓が高鳴る。 このマンションに入居してかれこれ25年になる。 鉛色の空から雪でも舞いそうな入居者説明会のあの日、集会室にポツンと座る、 あまりにも似過ぎるその人を見た瞬間、驚きで椅子に蹴躓きそうになった。 ところどこ...
今ではほとんど消滅しましたが、 どうでもいい妙な能力?を最大限に発揮できた時期がありました。 能力? 最寄りの図書館では、ひとり10冊まで、2週間借りることができます。 家族分4枚の利用者カードを握りしめて、週末になると通う図書館。 ズラリと並ぶ本の背をジッと見つめます。 ...
我ながら『しょうもない画像』が溜まっています。 何を思ったのか、恐る恐る インスタグラムというものを始めてみました。 リアルの友だちでは、成り行き上3人だけに知らせました。 見る人がいなくても構わない、 見る人がいない方が気楽かな、なんて思っていました。 わたしは、その友だ...
明るい日差しの下、 階段を降り、陸橋下を潜って向こう側に行こうとしました。 ん?何かあります。 看板? えっ! なんと! 一体そいつは何処にいるのか? 恐る恐る辺りを見回しましたが、何の気配もありません。 しんと静まり返っています。 不気味なほど静かです。 抜き足差し足忍び...
そろそろ布団に入ろうと思っていたところに届いた 一通のLINE。 『腹立ちすぎて退職届叩きつけたけど受理されんかったわ。』 息子Aでした。 この子は時折、心臓をギュッと掴むようなことを仕出かしてくれます。 あれは、高校に入学して間もない頃でした。 バスも通っているのですが、...
えぇっとぉ〜〜〜 砂糖を煮溶かして〜 (きび砂糖しかない、まっいいか) 色がつくまで煮溶かして (色がついたかどうかよく分からん、まっいいか) なになに?色が変わったら火を止めてバターをポン! (ガス代かかるから、色がついてなくてもバターをポン!バターもったいな〜) とろ〜...
まずいな… ちょっと頭がボッーとしてきた。 どうしよう…いちいち脱ぎ着するのは面倒だし 荷物になるのも鬱陶しい、このまま館内にいよう。 その判断が間違いでした。 面倒がらず、一枚脱いで体温調節すべきでした。 雨が上がったので、徒歩15分程の図書館を訪れた時のことです。 冷た...
文字通り、血の気が引いた。 先程から、誰か後をつけてくる気配を感じていたので、 走って逃げたかったが、幼子2人抱えていては思うように身動きが取れない。 ましてや1人はベビーカーの上だ。 人気のない高架下の商店街で、 私を追い越したその人は くるりと振り返って、射るような目で...
封を開けて、途中まではすこぶる順調です。 ある線を超えると、逆さ吊りになります。 しばらくは順調ですが、それにも限界があります。 最後はハサミを入れ、スプーンで掬ったり、竹串でほじったり 何とかして取り残しがないよう努力します。 あの話はニュースで聞いたんだろうか? それと...
『…もしかして、◯◯くん、チョコ食べたことなかった?』 下の息子が2歳の頃だったでしょうか。 その頃親しくしていた息子の友だちのお母さんに、 ほんの数時間、息子を預かってもらった時のことです。 用が済んだので、急いで引き取りに伺いましたら、 開口一番 笑っていいのか謝ったら...
その寺には日本一大きい木魚があります。 片手を触れるだけで過去の悪業が消滅するという木魚です。 ここ数年、その寺を訪れていなかったので、悪業が溜まりまくっているかもしれない、 一旦気にし始めたら居ても立っても居られなくなり、寒風吹き荒ぶ中、 電車を乗り継いで訪れました。 マ...
『…クマイデンチュウガッコウの近くに……』 いつだったか、息子との会話の中に出てきた 『クマイデンチュウガッコウ』 という聞き慣れない単語。 即座に脳内変換された漢字は、 『熊井電柱学校』 でした。 即座に脳内に浮かんだ映像は、 等間隔に電柱が立ち並ぶ広い校庭でした。 世...
暮れも押し迫ると、普段は何処にあるのか謎である 臼と杵が登場します。 これも普段は目にすることがない、大きな蒸籠で 餅米を蒸すモワモワした蒸気が漂うと、 師走に入ると徐々に始まる 慌ただしい非日常のクライマックスに 子ども心にもわくわくしたものでした。 目の前が見えないくら...
ジリジリ後退りしました。 文字通り驚愕して、目を疑いました。 初めてソレを見たのは2ヶ月ほど前のことです。 静かな住宅街の一角にあるゴミ集積所にて宙吊りになったソレは、 ゆらゆらと風に揺れていました。 たまたま通りかかった一角でした。 向こうから一組のカップルが談笑しながら...
あの日から、ふとした瞬間に脳内がわくわくします。 連番10枚購入しました。 何度裏切られても、 当選発表の日まで、完膚なきまでに打ち砕かれるその日まで、 当たることしか頭にありません。 みずほ銀行の応接室で『その日から読む本』を恭しく受け取る自分が 目に浮かぶようです。 ...
裏返したそれは、真っ白でした。 よ〜く見ると、隅の方にミミズが這ったようなヨレヨレの字で 『自分で書いてください』 とありました。 とうの昔に失くしてしまいましたが、 中学2年、隣の席の男の子から届いた年賀状です。 年々、年賀状がメンドーになります。 夏までに返そうと意気込...
『そういえば、先生が交通事故に遭って、2ヶ月くらいお休みしたことあったね〜 いっぺんに気が緩んだよね。』 それまで賑やかに思い出話を共有していた6人の和やかな顔が 一斉にスッと怪訝な色に変わりました。 ひとりが、 『先生が交通事故で休んだことなんてあった?』 そう口にすると...
『次の◯◯駅では、特急列車通過待ちのため、2分ほど停車いたします。』 このアナウンスの電車に当たると、すごくがっかりしてしまいます。 ホームに到着し、バラバラと何人かが降りたあと、 開け放ったドア、 シンと静まり返った車内で 名も知らぬ人たちとボケッ〜と待つ時間は、 ほんの...
その人は、聞こえないと思ったのでしょう。 その人が下を向いて苛立たしげにボソッと呟いた言葉はハッキリ聞き取れました。 『セルフがあるのに!』 舌打ちまで聞こえてきそうで、一瞬凍りつきました。 久しぶりに利用したコンビニには、 有人レジの隣に、以前は無かった完全セルフレジが設...
『疲れるといつもココが痛むんです。』 その人が指差す箇所に軽く手を触れた私は、ギクッとした。 何百人もの心身の不調を訴える人々を快癒に導いてきた私にとって それは初めての違和感だった。 (必ず一瞬で感じるのに、触れても見ても何も分からない。 不思議だ?ヒトの姿をしているがこ...
何故そんな予約を取ったのか、分かりませんが その日、午後2時40分〜何かの体験教室の参加予約を取ってありました。 そのことに気づいたのが当日の午後2時30分です。 額を冷たい汗が流れるのを感じました。 キャンセルの連絡をすれば済むことですが、 どうしても行きたい気持ちが強く...
近くの踏み切りで人身事故があったと聞きました。 亡くなられたそうです。 今月初旬にも事故がありました。 それほど思い詰めるってどんな心境なのか 分かりようもありませんが、 悲しみだったり、 後悔だったり、トラウマだったり この先いつまでも、大波やさざ波の形で、 関わりがあっ...
調べましたら、このような記事がありました。 なるほど、そういう事情があったのか、と思いました。 先日、待ち合わせの駅改札付近でボッーとしていたとき、 パッと目に飛び込んできた『2.死体。』の2文字 ① 生きて乗車したが、降りるときに死体となってしまった例が 相次いだのか? ...
『はい!こちら、お悩み電話相談室です。』 『もしもし……あの…』 『はい、どうされましたか。ゆっくりでいいですよ。』 『ありがとうございます。あの…どんなことでもいいですか?』 『はい、もちろんです。こちらで対応いたしかねます場合は、 他の窓口へご案内もできます。』 その時...
さっきから軽快にペラペラ喋っていた先生が、突然 『ハックション!』 くしゃみをされました。 ここは、ポッカリと口を開けて横たわるしかない歯科医院です。 何という名称なのか、じっくり見たこともありませんが、 歯石を取る機械?で口の中をガッーと処置されている時のことでした。 口...
そこは、古びた旅館の一室でした。 わたしと、もう1人の誰かが部屋の中にいます。 その誰かは頭から布団をかぶってジッとしています。 『ねぇ外に出てみようよ。』 誰だか分からないその人に声を掛けましたが、 ブルブル震えるだけで、返事がないので、1人で部屋を出ました。 一歩部屋を...
隣から、突然賑やかな笑い声がしました。 荷物を発送するため、郵便局の窓口で説明を受けていた時です。 ここを退職された元職員の方が旅行のお土産を持って、 元の職場を訪れたという格好のようでした。 元職員の方は、窓口の衝立を挟んで、局長らしき方ともう1人と 賑やかに話してみえま...
カンカンカンカン! 遠くから踏み切りの警報音が聞こえます。 いつ聞いても血が騒ぎ、わくわく高揚する音です。 どっちかな?上りかな下りかな? 陸橋下で今か今か、と待ち構えていました。 不意に人の気配を感じ、ハッと見回しましたら、 遅刻でもしたのか、こんな時間に制服姿の男の子で...
訪れた時間が遅かったので、商店街は閑散としていました。 (何処か食べるところはないか?) 煮豆、佃煮、漬物……そうきたか! 白いご飯がなくちゃな〜 こんぶ わかめ ひじき 戻すのに時間かかる 魚だけ旨い? なんか不安… 玉子巻 オムレツいいね! …シャッター 食べれん 痛い...
大抵の場合、朝は果物を口にするだけですが、 その朝は、ハムを焼いて卵を焼いて、オクラも焼いて、食パンも焼いて そこら辺にあるものを手当たり次第、 紅茶と共に頂きました。 空腹だと誘惑に負けるからです。 週末は、年に一度の地域のお祭りでした。 お目当ては、市役所東側で開催され...
静かに電車がホームに入ろうとしています。 『間もなく〜〜◯◯、◯◯駅に到着いたします〜』 窓の外をボッーと眺めていましたが、そのとき突然ハッ!と 気がつきました。 (何ということだ!鍵を持ってくるのを忘れた!) 一気に気持ちがドヨンと重たくなりました。 泣きそうになりながら...
次々と揚げ上がる『牛蒡と人参のかき揚げ』を 吸い取り紙に置く間も惜しみ、揚げる端から口にしながら、 心の中で叫んでいました。 違う! 食べたいのは、蓮根の天ぷらだ! その日、急に蓮根の天ぷらが食べたくなって、野菜売り場を物色したのですが、 隅から隅まで探しても、蓮根が置いて...
遠方から来客があったので、あちこち案内でもしようと、 恐る恐る光差す地上へ上がりました。 寂れた商店街の一角です。 シャッターの色合いがいい具合です。 春夏秋冬、シャッターが下りる店ばかり立ち並ぶ商店街の裏手に回ると、 数軒の廃屋が静かに佇んでいます。 床屋さんだったのでし...
オレは売れない漫画家である。 名前はまだない。 よって実入りも…悲しい。 いつか芽が出ると信じて精進する日々だ。 月にいちど、この店でこの定食を食らうことがオレの数少ない楽しみのひとつだ。 オレはひとり静かに孤独を背負いながら、ここのかつ丼定食を食らいたい。 その時間は誰に...
実家の合鍵は預かっています。 母がひとりで住んでいます。 息を止め、カラカラと音を立てる引き戸を開け、 全ての灯りが消え、シンと静まり返る室内に忍び込みました。 朝が早い母は、既に布団の中でした。 なるべく驚かさないよう、そっと肩に手をやり、 『お母さん…来た』 囁くように...
近所の閉院したクリニック前の地面です。 何十年も前から、こんな感じです。 小さかった息子は、ここを通るたびに 『口!口!』 興味津々でした。 ある日思いついて、他にもこのような地面がないだろうか? 塩むすびと水、タオル持参で、そこら辺をちょっと探しに行って来ました。 撮影 ...
草叢に白いボールがいっぱい落ちてる? 近寄って確かめましたら、先日から見たくて見たくて仕方がなかった『きのこ』でした。 こんなに早く願いが叶うなんて! 嬉しくて、つい何枚か撮ってしまいました。 ひょろひょろと彼岸花も咲いていました。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~...
同じ『綾鷹』に見えるけど、10円分の差は何だろう?と思いました。 その日、水分を携帯することを忘れました。 辺りにはコンビニもスーパーも無さそうです。 我慢するか、すこし戻って池の水を飲むか?迷っていたら 目の前に一台の自販機が! しかし10円分の差に躊躇い、池の水にも躊躇...
頭から布団をひっかぶり、腫れぼったい顔でぐるぐる考えました。 (何でか分からんけど、しんどくてご飯も作れない。ここにいると彼らに… 注: 対象は主に2人の息子… 彼らに、食べるものも作ってやれない。すごく悲しいツラい。 やらなきゃ!でも動けない。動かない。 自分を責める気持...
それは、交通事故で頭を強打したことと関係があるのか、全く別物なのか 分かりません。更年期障害と呼ばれる類なのかも知れません。 検査結果が全ての判断基準である病院の先生にお聞きしても分からない ことでしょう。きっと否定されることでしょう。 自分の身体のことは、長年付き合ってい...
食べられない子どもでした。 そのまま成長して、あまり食べられない大人になりました。 通っていた保育園では月に1〜2回、ご飯給食の日がありました。 炒飯です。 味付けご飯は特に苦手でした。 分量も多いので持て余し気味でした。 毎日毎朝、震えながら誰にも知られぬように、神に祈っ...
しばらくぶりに覗いたスーパーが、いつの間にか半分セルフレジになっていました。 何処に行ってもそうなんですが、いつも何となく決まった人のレジに並びます。 後ろが支えていなければ、二言三言、言葉を交わすこともできます。 半分セルフレジで品物をスキャンしてもらい、黙ったまま 慌た...
ときどき通りかかる廃屋の裏手です。 先日、ここを通り過ぎてしばらく先に進んでからハッとしました。 急ぎ引き返して1枚! 3月に通りかかった時は寂しい景色だったのに、半年経った 今では緑がもじゃもじゃ 物語の中心である?洗濯機の姿はほぼ隠れてしまっています。 (てか、洗濯機...
他の方の記事にもありましたが、わたしも息子の姿が見たくて、一目でいいから 姿が見たくて職場まで行ったことがあります。 公共性のある職場なので、一般人がウロついていても、それほど目立たないだろうと 踏んだのですが、その日、館内に入ると来客はポツンと自分だけでした。 目で探して...
弾むような賑やかさと共に玄関の扉がガラリと開きました。 買い物に出かけていた母と、3歳下の妹が帰ってきたようです。 わたしが小学校高学年くらいの頃だったでしょうか。 なぜひとりで留守番していたのか分かりませんが、 おそらく誘われただろうに、なんとなく『ヒネタ』思いが湧き上が...
そこに辿り着くまで、目的を果たすまで、決して戻らないと分かっている 安定した日常の切れっ端を ところどころに散りばめながら、 ある時は静かに潜みながら、ある時はこの世の理不尽さに 憤りで脳裏を真っ赤に染めながら復讐のために逃亡する、 そんな話です。 社会の中で普通に生きてい...
頭蓋骨骨折、硬膜下血腫の経過観察と安静のため、1ヶ月ほど入院しました。 病院にいる間は、安心感もあったのでしょう。 頭痛を覚えることはほとんどなかったのですが、 家に帰ってからは、キリキリする日常の慌ただしさもあり、 その為か今までになく頭痛を覚えることが多かったです。 そ...
『例えば、ダンナはあのとき人前で自分をバカにしたとか、自分より舅姑を 優先したとか。 そういったひとつひとつの出来事は、男からしたら些細なことに感じるかも しれないけど、 屈辱感が積もりに積もっていくのよ。… (中略) いわば永久不滅ポイントよ。』 ※もう別れてもいいですか...
『腰痛解消動画』とか 『1分で治る腰痛体操』 なんてタイトルを見るとふらふらと飽きもせず動画を開いて あれこれ真似して動かしているのですが、どうもスッキリしない気がします。 そのうち手首まで痛くなってきました。 (もういいや!めんどくせー 神はわたしを見放した!神も仏もいる...
『玄関先に配達されたお米を盗られたことがあります』 モコさんの(勝手にお名前だして申し訳ありません)記事に書かれた一文を読んで 遠い記憶が蘇りました。 自転車の後ろに2歳になるかならないかの息子をチョコンと乗せて 少し離れたスーパーで買い物をした日のことです。 近所のスーパ...
真っ白いティッシュの上に置かれたものは、クルッと丸まった 一本の細い髪の毛でした。 キュッと引っ張ったら、5センチはありそうです。 その前日から片方の目がゴロゴロしていました。 睫毛でも入ったのか?と鏡で確認しましたが、何も無さそうです。 ちょっとしたことでも気にしやすく、...
どうしても納得できなかったことが2つありました。 ひとつは、9:1という過失割合のことです。 『横断歩道は歩行者の横断のための場所ですので、横断中の歩行者がいないなど 歩行者の通行を妨げるおそれのない場合を除き、自転車に乗ったまま通行しては いけません。』 交通の方法に関す...
乱暴に椅子を蹴り上げる音にビクッとしました。 内容は聞き取れないものの、怒って抗議するような声が 聞こえました。 ここは、広いワンフロアを幾つかのブースに区切ってあります。 小さな騒ぎは、いちばん端っこのブースからです。 話は遡ります。 図書館で見つけた本の巻末にあった『全...
ここ数日、頭の中は 『痛い、痛い、痛い!』 一色でした。 そうならない為に、年に数回、決まったところで 調整して貰っているのですが、 この春先から、肝心の整体師さんに連絡が取れません。 その経緯から不信感もあるので、躊躇っていましたが、 それどころじゃない程、腰の痛みが増し...
役所の『交通事故相談センター』はハリボテだったので、 振り出しに戻りました。 さて…この先、どうしたらいいのか… 相談できる人も強力な味方もいません。 検索とやらもしたことがありません。 検索とやら、思いつきもしませんでした。 先の見通しもなく、 何も持っていない自分でした...
覚えがないくらい昔から貼ってあります。 図書館が入っている建物の1階にある、多目的トイレのゴミ箱付近に貼ってあります。 なぜ、例としていちばん最初に『ぬか床』が? 『ぬか床』…ここのゴミ箱に投げ捨てて行った人がいるのだろうか? けっこう嵩張るだろうに、どうしてわざわざここに...
近所にある寂れた商店街の一角に、ときどき『無人販売所』が開店することが あります。 潮干狩りで採りすぎたと思われるアサリ、熟し過ぎた柿、薬草?(毒草?)… その日は、ギュッと潰したらすぐグシャリと壊れそうな容器に入れられた メダカでした。 12匹1000円 やる気が無さそ...
『頭を強く打ったんでしょ?頭は全身を司るところだから、 徹底的に診てもらった方がいいです。 セカンドオピニオン知ってますか?』 何度か通った挙句、こんな回答しかもらえませんでした。 そこは、役所の中にある『交通事故相談センター』です。(無料) 聞きたいことは、セカンドオピニ...
『これが、精一杯です。これ以上は何ともなりません。 誠心誠意尽くして作ってきました。』 退院してしばらく経ったある日の昼下がりのこと、 突然訪問された、加害者側の保険担当者さんに 見せられたのは、 示談提案書でした。 幾つかの項目別に金額が書かれ、最後に合計金額が記載されて...
亡くなった父は、無名の書道家でした。 その昔は、近所の小中学生相手に書道塾を開いていました。 世渡りが下手で、欲がなく、自分が!自分が!という 自己顕示欲もなく、 ただひたすら字が好きで、 墨を磨るか、猫を構うか、酔い潰れている姿しか思い浮かびません。 特技を生かして金儲け...
助け舟を出してくれたのは、その時小学校4年、10歳だった下の息子の同級生の お母さんでした。 『冬休みの間、◯◯くん、1人になっちゃうでしょ。昼間、うちで預かるよ。』 入院して幾日も経たぬうちに冬休みに入ってしまい、 (どうしたもんかなぁ、ずっと1人で可哀想だなぁ…) ...
とてつもない吐き気に襲われて目が覚めました。 救急車の中でした。 『…吐きそう』 サッと渡された洗面器(じゃないけど)に戻したものは、 得体の知れない不気味な色の『何か』でした。 どこか打っていることは間違いない、その上での異様な吐き気。 (なるほど。たぶんダメだな) それ...
そのとき突然、時間の流れが遅くなりました。 一台の車があり得ないくらいゆっくりした速度で、わたしに向かってきます。 逃げようと思えば軽々逃げられるくらいの速度ですが、 どういう訳か、その場から動くことが出来ず、 自転車に乗ったまま呆然としていました。 視界いっぱいが、ずんず...
去年の夏は何を着ていたのだろう? 幾度繰り返しても、季節の変わり目になると、途方に暮れます。 夏用のパジャマを探し当てましたが、2度の夏を共にしたそれらは、改めて見ると 何処か草臥れています。 4本あるズボンのゴムの入れ替えをしましたが、 とてつもなく不器用だからか、2回ず...
起き抜けに、とてつもなくイヤな気がしました。 恐る恐る鏡を覗いたら 『あ!また腫れてる!』 泣きそうになりました。 何と!きょうは両方です。 どういう加減か分かりませんが、年に数回、瞼が腫れることがあります。 時間があるときだったら構いませんが、その日は初めての方とお会いす...
登り続けるうちに、どんどん狭く険しい坂道になっていきます。 気を緩めると、落ち葉に足を取られ滑り落ちそうになります。 以前、偶然に見つけた猫が居る神社をもう一度訪れたくて、 うろ覚えの山道を登って行ったのですが、 進むほどにどんどん険しくなる山道に、どうもおかしい?見覚えが...
しろさんの記事に関連して思いだしたことがあります。 お料理の先生に怒られそうですが、あまり大きな声で言えませんが、昔から 計量スプーンも計量カップも使わず、目分量で味付けしてます。 気力が溢れ、すごく元気な気持ちのときと、どんよりした気持ちのときと 味が違うような気がします...
無人駅を降りて、真っ先に目についた『店?』です。 パッと見て廃墟なのか?と思いました。 よく見ると、案内らしきボードが立てかけてあります。 不思議ですが、営業されているようでした。 ここまでぐちゃぐちゃな店構えではありませんが(失礼) 近所の商店街の入り口に、それほどキ...
年末年始もそうでしたが、 (年末年始は自分がカゼ引きだったので仕方ないのですが…) この連休も、どっちの息子も顔を見せません。 もしかして?そうなのかな?気になるけど、聞くのも変かな?と思いましたが、 息子AにLINEで聞いてみました。 『わたしのこと、キライなのか?』(そ...
いつものように、無意識にリュックのポケットを探りました。 ところが、そこには覚えのある感触がありません。 ファスナーを大きく開けて、目で確かめました。 ハンカチ、ティッシュ、ビニール袋… それらの間にある筈の、小さなポーチが見当たりません。 一気に血の気が引くのを感じました...
おれたちは、バケツに突っこまれた皮付きのサトイモみたいになって暮している。 どろどろでね、何をするにも、隣にいる人間、同じ職場の人間に、ごろごろ、突っ転が されてるよ。 曽野綾子さん『虚構の家』より 抜粋 時間を過ぎても到着しない電車を待つホームに流れてきたアナウンスは 『...
夕方、外から帰ってきたら、玄関先に大小さまざまなダンボールの箱がいっぱい! マンションの狭い通路は荷物でいっぱいです。 (これは一体…?なに?) 管理人さんだったら何か知っているかもしれない、と聞きに行きました。 一階の小部屋の窓を覗くと、わたしと目が合った 管理人さんは満...
昔からあんまり手がかからないので、ついうっかり息子Aのことを忘れていましたが、 きょう、急に思いだしました。 話したいことはいっぱいある気がするけど、何を話したらいいか分かりません。 LINEの画面を眺め 考えた挙句、とりあえず わたし『あ』 3分も立たぬうちに返事が来たの...
近所のスーパー、◯◯マートはちょっと割高なので、この頃ずっと避けていたら 先日、K田さんが ピンポ〜ン! (同じマンションの人) 『さっき◯◯マート行ったら魚屋のおばちゃんに、〝あの人〟どうしてる?って 言われたよ。心配しとるでたまには行ったりゃあ。』 〝あの人〟だけで全て...
しばらくは元気そうでしたが、新年度になり業務が増えたのか、 調子が良くなさそうなので、また様子を見に行きました。 部屋に入ったら、布団にくるまってごろごろしていました。 ゴミ袋には、コンビニの空き容器… 今週いっぱい休みを取ったようです。 よくないのは身体の具合ではなく、気...
2人掛けの席にふんぞり返るその人には、どことなく薄汚れた雰囲気が漂っていました。(人のこと言えるんか?) 白髪混じりの髪はもじゃもじゃ。 着古したジャケットに草臥れた靴。 ところどころ破れ目が入っている濃い緑色のナップザック。 隣の席は空いていましたが、何となく警戒し、握り...
実は、昔からあまりキチンと手を洗う習慣がありません。 食事の支度中 (あ!また手洗い忘れたかも?まぁいいか) 思うことしょっちゅう。支度前、無意識に水でサッと洗っている気はします。 (家族はいい迷惑、知らぬが仏?) おにぎりを握る前は、気をつけて洗っています。 手の傷には神...
その連絡が入ったのは、予約していた日の前日、夜の遅い時間でした。 『本日叔父が亡くなり、通夜、葬儀の為明日の予約を変更して頂けませんでしょうか。』 まだ起きていてよかったと思いながら、直ぐ返事しました。 『かしこまりました。予約の変更について近いうちにご連絡頂けますか。 ど...
『かゆい!痒い!カユイ!あぁ〜かゆい!』 頭の中、そればっか渦巻いています。 後先考えずに、6人+子ども1人での花見に出かけた報いなのか、いつにも増して かゆい 鼻の中も目も耳の中も唇も顔も…頭も…(それは髪を洗えば解決するか?) 最寄駅に立ててあったホワイトボードを見て(...
ゴソゴソとバッグの中から出てきたものは、虎屋さんの『桜餅ういろ』でした。 春先だけの期間限定! これぞ!ういろの中のういろ! 美しい断面! 仄かな淡い春の色3色! 桜咲く時期に、このういろが販売される事だけを楽しみに長くつらい冬をやり過ごすのです。(大袈裟やわ) 先日、ある...
息子Bが突然やって来たので、駅前の居酒屋にご飯食べに行きました。 毎日のように店の前を通りますが、入るのは初めてです。 メニューを見ると、案外お高めです。 きょうは、 『オレが払うから』 ってことでしたが、 でもやっぱり、お財布に少し多めに入れてきて良かったとちょっと安堵し...
ウォーキングAコース途中に、畑付きの一軒家があります。 いつの頃からか、その家に住むオジサン(80代と言ってた)とよく口を聞くようになりました。 先日通りかかったとき、 『おい!ちょっとこい!』(いつも偉そうです🤣) 手招きされ、訳が分からないまま細い裏道をどんどん進むオ...
ヤツがきた 今年もきた 昨日あたりから怪しかった だるい ずるずる引き摺り込まれる 地獄の底に引き摺り込まれる だるい かゆい 顔だか身体だかうずうずする うずうずは、いつくしゃみに変貌するか分からん くしゃみは怖ろしい うっかりすると腰を痛める これ以上苦しい目に遭いたく...
カジュアルな神さま - この町内の片隅から ある日突然、神さまから人を治す力を預かった方のお話しの続きです 神さまとの約束は、決して報酬を受け取ってはならない、 欲を出してはいけない、この2点です すべて妄想。フィクションです 〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜※〜〜〜...
カイダン 怪談 - この町内の片隅から 朝から冷たい雨が降りしきる灰色の日でした。 つい3日ほど前は、コートがいらないくらいポカポカ暖かい日でしたので、 冷たい雨が身に染みます。 少しホッとしたのも束の間。 春になろうかなるまいかの頃は、行ったり来たり、着たり脱いだり。 記...
「アカンくても美味しいものは心の健康には良いから、 食べすぎなきゃ食べてええんよ」 こんな世の中でも、ほんの時たま 珠玉のような瞬間、珠玉のような言葉を拾うことがあります。 あぁよかった、こんな瞬間を感じられて あぁよかった、こんな言葉を耳にできて 生きていてよかった、そう...
だいぶ慣れましたが、未だに戸惑うことがあります。 とある公共施設のエレベーターのボタン (どっちが開くほうでどっちが閉まる方だったかしらん?) 一瞬の躊躇いのあと、一抹の不安を胸にどちらかを押します。 いま、息せき切ってエレベーターに辿り着いたどなたかの目の前で、 うっかり...
青い空に映える何か知らん花 花の名前、あまり知らない チューリップとかたんぽぽとか桜とか紫陽花とかカラーとか 雪柳とか(いちばん好き) 金魚草とかとか…だったら分かる (けっこう知ってるじゃん笑 自分で言うな) なんだか知らなくても あーキレイって思えた それだけでいい そ...
ある侍女の告白 其の七 侍女 - この町内の片隅から 「痛い。痛い。痛い」 朝からひっきりなしに頭を駆け巡る言葉は「痛い」 ただ一言です。 身体のどこかが痛いということは、なんて情けなくて悲しいことでしょう。 空気が抜けて、しゅるしゅるしゅると萎んでいく風船のように頼りない...
地元のフリーペーパー1月号で企画される 「お年玉プレゼント」を毎年楽しみにしています。 何軒かの店舗と協賛で、さまざまな商品が提供されます。 ことしは、18店舗協賛 お食事券、ワイン、商品券、フルーツサンド、アカスリサロン… 嬉しいな どれにしようかな? わくわくしながら選...
ふわふわってのが食べたい 強烈な思いを抑えきれず、レンジでバナナチョコケーキなるものを 作ってみました。 材料を混ぜて、5分レンジにかけるだけです。 オートミールも混ぜてみました。 うーむ? 何というか?微妙だ…適当すぎたか? 近所に、週末だけ営業している米粉のパン屋さんが...
寂れた商店街の、端から端まで等間隔に並ぶ、街路灯の柱。 いつの頃からか、街角メッセージとして、柱に書道作品が展示してあります。 目に映っていても、上面しか捉えないため、 右から左へ消えていく光景がありますが、街角の書道作品は、まさにそれでした。 見ていても見えていなかったの...
チーズケーキ - この町内の片隅から 神宮商店街続き うっふん アタシのこと撮るの? もじもじ 名鉄電車 あら?神宮浩司さん?お久しぶりね(一応モザイク)と 神宮工事(奥の方、足場組んでた) 神宮小路
楽園 - この町内の片隅から 毛並みに沿って、頭から背を撫でる手の感触が心地良すぎて、 うっとりしてきました。 記憶の中にある感触です。 喉の奥がごろごろします。 お腹と背中がくっつくくらい空腹ですが、今日はこの温かい感触だけで 腹いっぱい胸いっぱいになりそうです。 突然、...
ある侍女の告白 其の五 織姫 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 「いつもそうだけど、あんたのぶり大根まずいわ」 いきなり、不機嫌な物言いをされて驚いた。 気持ちが弱っている時だったから、その言葉を額面通りに受け取ってしまい、 不覚にもポロリと涙...
遅い出勤の方だったのでしょう。 若い親子3人の姿を、毎日のように駅で見かけました。 がっちりとして上背があり、少々無愛想に見えるお父さん。 お父さんとお母さんに挟まれて嬉しいのか、 くるくるはしゃぎ回る2歳くらいの男の子。 男の子を嗜めたり、追いかけたり、これまたくるくる身...
「いたっ!」 洗い桶に手を入れた母が小さく悲鳴を上げました。 (しまった!) その瞬間、心臓をキュッと掴まれ、身が縮みました。 先ほど使った包丁を、他の食器と一緒に洗い桶に突っ込んだままだったのです。 洗い桶の中の包丁にうっかり触れてしまうなんて… スッと指を切ったかもしれ...
夢中で踊っていたので、全然気づかなかった。 ボーン!ボーン!ボーン… 午前零時を告げる鐘だ! ハッと我に返ったアタシは、王子の手を乱暴に振り払い、 ドレスの裾を翻して大広間の出口へと向かった。 間に合うか!間に合わなくても間に合わせねば! いきなり腕を振り払われて、驚いてポ...
20分ほど経過したところで、 「わるいけど、引き取りできるものはないですね」 「え?1枚も?」 狼狽えて問うわたしに、彼はあっさり 「はい、ありませんね」 【ノーブランド、シミ有、他社で断られたお品も買い取りいたします】 そんな謳い文句に釣られ、着なくなった洋服の査定、引き...
その朝も冷え込んでいました。 湯を沸かしながら、ふと台所の床に目をやりましたら、 3〜4センチほどの黒いものがうずくまっています。 それは黒くて楕円形で微動だにしません。 (なんだろう?虫?) 黒くて楕円形… ハッと思い当たり、あらゆる虫が怖いわたしは 一瞬で震え上がりまし...
ある侍女の告白 其の六 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 目が回るほど忙しい書き入れ時ですが、精一杯の気持ちを込めて、 たった一つ特別なケーキを焼き上げました。 この町の小さな商店街にある、名もないケーキ屋に就職した年のクリスマス のこと...
ある侍女の告白 其の四 彦星 - この町内の片隅から ある侍女の告白 - この町内の片隅から 地下鉄の駅を降りたが、出口がわからない。 案内の矢印に従って慎重に進む。 いくつもの角を曲がり、階段を上ったり下りたりして やっと目的の出口まで辿り着いた この階段を上がれば3番出...
その夕方、最寄り駅の構内にて地元の飲食店の 出店イベントがありました。 ケーキ、和菓子、お酒、居酒屋風お惣菜… ちょっとした立ち呑みテーブルの用意まであります。 おいしそうだけど、高そうだな… 賑わい始めた屋台を横目にサッサと通り過ぎようとしたところ、 いちばん端の屋台に食...
『マンション内で、リフォームされるお宅が数軒あるんですよ。 さらに何軒かまとまると、かなりお安くなります。 来月までの期間限定なんですが、いま、ご一緒にされるお宅を募っているので、 訪問させてもらいました』 『実は、先日あるお宅の浴室工事に入ったんですが、 タイルを剥がして...
『配達完了:ご注文商品の配達が完了しました』 遅い時間に、Amazonから配達完了のメールが届きました。 (手渡しだと思って待っていたのに? ポストに入る大きさだったのかな?) 翌朝、わくわくしながら一階の集合ポストを覗いたのですが、 (ウチは集合住宅のマンションです) 荷...
『やっぱり、貰っていくわ。包んでくれる?』 息子に食べさせたいと思って焼いた 林檎のケーキです。 手をつけずに帰ろうとしたので、 持って行って食べなさい、と 勧めましたが、荷物になるからか、気が進まなさそうでした。 まぁいいか、自分が食べれば… そう思いましたが、 貰ってく...
今年も、怖れていた日がやってきた。 ある朝起きたら、目が腫れ上がっていた とてつもなくダルい 何年か前の春先、突然症状が現れて以来、 それは毎年律儀にやってくる。 この頃は空気が乾燥するから、唇がカサカサに荒れて時には血が滲む ダル過ぎて、リップひとつ塗ることすら面倒だ ...
3日ほど覗かなかっただけで、 どっさり溜まっていた。 季節の変わり目に送られてくるズシッと重い通販カタログの類、 ピザ屋、宅配寿司、塾のチラシ、スイミングスクール、 水道修理のシール、リフォームの案内、市の広報… 1階にある集合ポストの中を見ただけで うんざりした。 中身を...
随分前から、公共施設の多目的トイレに、このお知らせが貼ってありましたが、 気がついたら、いつの間にか外されていました。 … もう必要なくなったのかな? と思っていましたら、 館内にまた! ゴミ箱、加工しました (加工 自分) < お知らせ部分拡大 わたしだって、他人様のこと...
叶うことなら、不食の人になり、 人気のない廃墟の陰に居を構え 忍者のように身を潜め、 目立たず、ひっそり生きるのが 望みだというのに… 朽ち果てかけているビル 裏口 毎年イヤでもやってくる『生まれた日』 というものを当事者でも無いのに何故か 覚えている友だちが2人ほどいまし...
いつ降ってきてもおかしくないような鉛色の空でした。 その頃所属していた、サークルの友だち2人と お茶を飲んでの帰り道でした。 朝から心に引っ掛かっていたことが思わず言葉になりました。 『この近くに◯◯くんのアパートがあるよね』 (同じサークルの◯◯くんです) 『あ〜そうだっ...
徒歩1分にある小さなスーパーでは、週に3日ほど、 先着100名に6枚綴りの30円割引シールが配られます。 その日1日限りですが、 100円以上どの商品に貼って使っても構いません。 6枚のシールが使えるのは、その日限りなので、 使い切ってしまわないと損をするような気がして、 ...
わたし 『家の中を一瞬でキレイにする技を発見した!』 どうにかして消息が知りたい場合、 何でもいいから返事が来そうな話題を探します。 息子A 『なんや?』 しめた!食いついた! 『なんや?』の文字は、脳内でパッと音声に切り替わりました。 わたし 『これや』 しばらく経ってか...
青くさい高校生のガキでもあるまいに、 その人とすれ違うと心臓が高鳴る。 このマンションに入居してかれこれ25年になる。 鉛色の空から雪でも舞いそうな入居者説明会のあの日、集会室にポツンと座る、 あまりにも似過ぎるその人を見た瞬間、驚きで椅子に蹴躓きそうになった。 ところどこ...
今ではほとんど消滅しましたが、 どうでもいい妙な能力?を最大限に発揮できた時期がありました。 能力? 最寄りの図書館では、ひとり10冊まで、2週間借りることができます。 家族分4枚の利用者カードを握りしめて、週末になると通う図書館。 ズラリと並ぶ本の背をジッと見つめます。 ...
我ながら『しょうもない画像』が溜まっています。 何を思ったのか、恐る恐る インスタグラムというものを始めてみました。 リアルの友だちでは、成り行き上3人だけに知らせました。 見る人がいなくても構わない、 見る人がいない方が気楽かな、なんて思っていました。 わたしは、その友だ...
明るい日差しの下、 階段を降り、陸橋下を潜って向こう側に行こうとしました。 ん?何かあります。 看板? えっ! なんと! 一体そいつは何処にいるのか? 恐る恐る辺りを見回しましたが、何の気配もありません。 しんと静まり返っています。 不気味なほど静かです。 抜き足差し足忍び...
そろそろ布団に入ろうと思っていたところに届いた 一通のLINE。 『腹立ちすぎて退職届叩きつけたけど受理されんかったわ。』 息子Aでした。 この子は時折、心臓をギュッと掴むようなことを仕出かしてくれます。 あれは、高校に入学して間もない頃でした。 バスも通っているのですが、...
えぇっとぉ〜〜〜 砂糖を煮溶かして〜 (きび砂糖しかない、まっいいか) 色がつくまで煮溶かして (色がついたかどうかよく分からん、まっいいか) なになに?色が変わったら火を止めてバターをポン! (ガス代かかるから、色がついてなくてもバターをポン!バターもったいな〜) とろ〜...
まずいな… ちょっと頭がボッーとしてきた。 どうしよう…いちいち脱ぎ着するのは面倒だし 荷物になるのも鬱陶しい、このまま館内にいよう。 その判断が間違いでした。 面倒がらず、一枚脱いで体温調節すべきでした。 雨が上がったので、徒歩15分程の図書館を訪れた時のことです。 冷た...
文字通り、血の気が引いた。 先程から、誰か後をつけてくる気配を感じていたので、 走って逃げたかったが、幼子2人抱えていては思うように身動きが取れない。 ましてや1人はベビーカーの上だ。 人気のない高架下の商店街で、 私を追い越したその人は くるりと振り返って、射るような目で...
封を開けて、途中まではすこぶる順調です。 ある線を超えると、逆さ吊りになります。 しばらくは順調ですが、それにも限界があります。 最後はハサミを入れ、スプーンで掬ったり、竹串でほじったり 何とかして取り残しがないよう努力します。 あの話はニュースで聞いたんだろうか? それと...