これこれ、こんな感じ! 昔、ネットニュースで見たような、大切なふたりに見せたいような、スイカのイメージに近づいた(笑) スイカ栽培のデメリットは、広い作付け面積が必要なことろ。栽培プランのネックである。猫の額ほどの畑では、如何せん、こいつが...
もう、勢いが止まらない! 立体栽培プリンスメロン(2025)
「あれ、キュウリ?」 知人に質問されるほど、畑で異彩を放つのは、紛れもなくプリンスメロンなのである。直立型で支柱を組むと、去年は、ものすごい勢いで蔓を伸ばして実を付けた。記憶違いでなければ、20個くらいは採れたと思う。 さりとて、おいしくな...
今日のメンバーは、飛川ひかわさんと、麩菓子ふがしのヒロミさんと、シゲじいさんと、ハルカさん。そして、ボク。総勢五名で摘果に挑む。「黄瀬きせです。中一です。よろしくお願いします」 ボクの挨拶に「麩菓子おいしかった?」「挨拶ができるのか。偉いぞ...
後ろの席の飛川さん〝027 広瀬さんの変身と蒸着の違いとは? 〟
桃畑の二日目は、心身ともに最悪だった。全身がだるくて痛くて……もう、お家に帰りたい。「きいちゃん、おはよう!」 脚立を担いだ飛川ひかわさんが、ボクの前を駆けてゆく。昨日といい、今日といい。彼女は人類最強の生物か?「この桃をAとします……」 ...
後ろの席の飛川さん〝027 広瀬さんの変身と蒸着の違いとは? 〟
桃畑の二日目は、心身ともに最悪だった。全身がだるくて痛くて……もう、お家に帰りたい。「きいちゃん、おはよう!」 脚立を担いだ飛川ひかわさんが、ボクの前を駆けてゆく。昨日といい、今日といい。彼女は人類最強の生物か?「この桃をAとします……」 ...
本の表紙が汚れちまった……。 アガワ家の危ない食卓は、阿川佐和子の食にまつわるエッセイ集だ。250ページほどの単行本を、50日以上もかけて読んだのは、アニキに対する僕なりの想いがあった。「本を数冊送りました。小説の肥やしにしてください(笑)...
───2025年6月26日。 ジャガイモの後作で、遅くに植えたトウモロコシが、僕の胸の下ほどの高さになった。西にカボチャ、東にプリンスメロンに挟まれて、元気いっぱい伸びている。その苗の半分は、不安たっぷり老化苗。けれど、通常の苗と同じ背丈ま...
真っ赤な夕陽に照らされた、高い高いのシルエット。 広瀬さんの写真には、幼き頃の飛川月読ひかわつくよが写っていた。尾辻さんの肩の上、桃の実に袋をかける飛川さん。夕焼け空と黒い影。その幻想的なコントラストが、ボクの想像力を刺激する。「オッツー、...
キュウリ、プリンスメロン、カボチャ……ウリ科の野菜は、あたかも雨上がりの雑草の如く、ある日を境に一気に成長するらしい。日差しの強さと気温の上昇に誘われるように、日に日に小玉スイカが蔓を伸ばす。西のプリンスメロンに続けとばかりに、蔓が支柱を覆...
2025年6月19日(木) 完熟房なりを目指して、収穫に我慢に我慢を重ねたミニトマト。ところがどっこい、映える姿になる前に、赤い実が落ちていた……(汗) 残念だけれど諦めて、ミニトマトに手を伸ばす───収穫だ。 ミニトマトだとはいえ、初物で...
僕はキュウリ栽培が下手である。なんでだろう? 最初は採れても、しばらくすると失速する。うどんこ病になったり、葉っぱが虫食いで穴だらけになったり、急に枯れてしまったり……7月になるとやる気を失う。それが、うちのキュウリであった。 たくさん採れ...
後ろの席の飛川さん〝025 誰にでも、特別な木があるものだ〟
飛川ひかわさんのレクチャーが終わると、老人たちから拍手が湧いた。───オッツーがね。オッツーがさ。それは、オッツーなのだから……。 ボクには惚気のろけ話にしか聞こえない。 けれども誰もかれもが、良質な恋愛映画を見終えたような顔である。その中...
後ろの席の飛川さん〝024 素手で握ったおむすびは、魔法の調味料の味がする〟
桃畑の昼下がり。 桃の木陰に敷かれたシートの真ん中で、おにぎりを頬張る飛川ひかわさん。その隣でゆっくりと、二個目のおにぎりに手を伸ばす広瀬さん。「ふたりとも、やってんねぇ~」 ふたりの前に先生が座ると、そっとおしぼりを手渡す早川さん。その光...
───食中毒になるのは、最も愚かな行為である。 その考えになったのは、目の前で食中毒になった光景を見たからだ。さしずめそれは、恐怖以外の何ものでもなくて「恐ろしいものを見た!」って感じである。 それは忘れもしない、中学1年の梅雨明けの頃。一...
2025年6月13日(金) 13日の金曜日といえば、西洋では不吉な日だと言われている。80年代のホラー映画で、これでもかとすり込まれた恐怖だけれど、それはそれ、これはこれ。マイナス思考に引っ張られては、折角の一日が勿体ない。プラス思考で今日...
2025年6月10日(火) 今日は一日雨が降る。降りしきる雨の中、僕が畑に出向いたのは、イチゴとキュウリの収穫に加えて、どうやら肥料過多らしい、大玉トマトを観察するためだった。大玉トマトにつては、昨日の記事に書いたので、それについては割愛し...
あの日の言葉に、気づいていれば……。 いつもそう、いつだってそう。トマト、キュウリ、ナス、スイカ……どんな苗でも、最初は順調そうに育つもの。いくばかの実をならせて、ボクを喜ばせてくれるけど……ところがどっこい、すっとこどっこい。梅雨に入ると...
後ろの席の飛川さん〝023 ボクに女子の気持ちは分かりません〟
ボクに冷たい視線を浴びせる広瀬さんのとは対照的に、先生はなんてお優しい人なのだろう。桃の木の根元に置かれたクーラーボックス指さして「黄瀬きせ君も、好きなのどれか選びなよ」 ボクが、勝手に桃畑を抜け出したことに触れもせず、そう言ってくれるのだ...
後ろの席の飛川さん〝022 好きな人とふたりきりになるのは難しい〟
「ねぇ、きいちゃん」 クラスメイト飛川ひかわさんは、いつも笑顔で問いかける。飛川さんは、ボクを引きこもりの世界から、外の世界へ連れ出してくれた恩人だ。ボクは彼女に感謝の気持ちしかないのだが、今は恐怖だけしか感じない。 だって、そうだろ? ヘ...
天道てんどうさんからメールが届く。天道さんは、僕の第三の協力者だ。そのメールには「アニキが作ったスイカを送りました」と書かれてあった。その内容に僕は驚いた。二年前、アニキからのメールには「茶熊さんが作ったスイカを送りました」と書いてあった。...
6月4日の昼休み。 畑の野菜を見回っていると、なんだこれ? 僕はナスの前でたゆとうた───ナスの葉に、見たこともない黄色いテントウムシがいるのだが……。 この虫は捕殺すべきか、どうしましょう? 黄色いテントウムシは、風の噂で益虫だと耳にした...
2025年、春───通年よりも気温が低い。野菜の成長が、中山七里の〝さよならドビュッシー〟くらい読めなくて……てか、頼みの綱のYahoo!天気がハズレに外れた。朝、明日の予報が100パーセント〝雨〟だったのに、夕方になると、しれっと50%に...
───「キュウリは孫づるから採れ!」これは、近所のキュウリ農家からの教えである。 毎日のように、キュウリを収穫している僕なのに、昨日もその農家から、採りたてキュウリをいただいた。何年経っても、ひよっ子だ。調子に乗って「ハウスのスイカくれ!」...
後ろの席の飛川さん〝021 誰にでも、口に出せないわけがある〟
ふたりきりだ…… 広瀬さんと、山の中でふたりきり。もしこれが、男子生徒の耳に入れば、どんなに羨むことだろう。だが、現実はそうでもない。むしろ逆。「黄瀬きせ君。これを着て」「うん」 手渡されるままにヤッケを着る。ナイロン製の薄手の生地で、胸に...
後ろの席の飛川さん〝020 友だちを誘うなら、何をするのか伝えましょう〟
五月、最後の金曜日。 太宰で攻めるか、それとも三島か。最近、川端文学にも興味湧く。この休みを利用して、古本屋めぐりもしてみたい。休日の読書に想いを馳せる。それが、ボクの楽しみなのだから、自然に顔がにやけてしまう……。「ねぇ、きいちゃん」 後...
───2025年5月30日(土) 桃の摘果の合間で、春ジャガ(ダンシャク)の収穫を終えた。はっきりと言ってしまえば、こんなに? そう思うほどの不満足。なんつーの? 芋が小さい。実は先週、お試しで二本ほどの苗を掘ってみたけれど、芋が小さくて昨...
昨日で小説のストックが切れた。頼れるアニキは、もういない。途方に暮れるのも当然だ。「カチカチ山かよ?」ってくらいに、お尻が絶賛炎上中! ホントにね。僕はこれから、どうしましょう(汗) ひとりでブログを書くのなら、これからも書き続けるつもりな...
生理現象とは不思議なもので、時間の法則性があるようだ。三時限目の休憩時間。決まってボクはトイレに駆け込む。明光中学に入学してからというもの、これがボクの習慣になっていた。 隣のクラスの中原君も、ボクと同じサイクルで生きているようだ。毎日のよ...
後ろの席の飛川さん〝018 ウィスキーボンボンも、食べすぎに注意しましょう〟
酔っぱらった美少女の隣で、飛川ひかわさんの声が荒れていた。スマホに向かって吠えている。「ばあちゃん! 忍に奈良漬け食べさせたでしょ。どうして、そんなことするのかな。今、こっちは大変なんだから!」 飛川さんのスマホから「ごめんねぇ」の声が漏れ...
後ろの席の飛川さん〝017 おいしい奈良漬けは、食べすぎに注意しましょう〟
前の席の広瀬さんは、ミステリアスな美少女だ。ポーカーフェイスで、ほとんど言葉を発しない。 ただ、例外もある。 コソコソと早口で、飛川ひかわさんだけに耳打ちをする。そして、屈託のない笑顔を見せるのだ。このふたり、どんな会話をしているのだろうか...
後ろの席の飛川さん〝016 七つの海は、女の涙でできている〟
ボクへの誕生日プレゼントを発端に、姉ちゃんの初恋の相手が、桜木さんだと発覚した。でもそれは、ボクの想定の範囲内。うどん県は、日本で最も狭い県である。讃岐の田舎じゃ、あり得ないことでもない。むしろ、その逆。コミュニティは小さい。よくある話だ。...
後ろの席の飛川さん〝015 見かけで人を判断してはいけません〟
十三本のロウソクの火を吹き消して、誕生日の歌をみんなで歌って、ケーキを切り分けると歓談かんだんタイムが始まった。 鼻の下を伸ばした飛川ひかわさんは、尾辻おつじさんにべったりだ。「いつも主人がお世話になっています。未来の妻の月読つくよです。ほ...
5月9日早朝。 いつものように仕事へ出掛け、いつもと変わらぬ挨拶を交わし、何食わぬ顔して桃の摘果の作業を始める。空を仰げば曇天で、僕の心と同じ色。心身ともにボロボロだ。作業開始から一時間後、大粒の雨が降りだした───今日の作業は、ここまでだ...
後ろの席の飛川さん〝014 誕生会の送迎は、事前に連絡を取りましょう〟
五月七日は、ボクの誕生日である。その前日、ゴールデンウィークの最終日。 お昼のうどんを済ませたボクが、部屋で三島文学を満喫しているのは、偶然ではなく必然だった。飛川ひかわさんの邪魔はない。それを見計らったかのように、ボクのマンションのチャイ...
後ろの席の飛川さん〝013 女の子の顔に傷がついたら大変です〟
ボクの同情心などつゆ知らず、声を荒げる飛川ひかわさん。「忍、代わって!」 広瀬さんから手際よくスマホを奪うと、飛川さんはテレビ通話に切り替えた。ボクにも会話が丸聞こえだけれど、気にも留めずに話を始める。「ちょっと、桜木君でしょ? 余計なこと...
───ゴールデンウィーク前日。 放課後の体育館裏で、ボクは三人の男子生徒に囲まれていた。辺りを見渡し、ボクは監視カメラを探すのだが……ない!「ようやく会えたね、黄瀬君。監視カメラがないのが残念だ。さぁ、お兄さんたちと遊ぼうよ」 三年生を意味...
───2025年4月30日(水) 野菜の支柱を竹に切り替えました。というのも、三年使う予定だった支柱がポキポキと折れ始めたからです。百均で購入すればよいのですが、折れた支柱の処分に困るので、山から竹を切って使うことにしました。朽ちた竹を菌ち...
後ろの席の飛川さん〝011 七月に、人類が滅亡するってホントかな?〟
今ボクは、飛川家のダイニングテーブルの前に座っている。ボクの隣にゆきさんが、ボクの前には飛広コンビが座っている。アウェイでプレイするサッカー選手。その心理が、よく分かる。 飛川先生はキッチンで、アジフライを作っている。飛川家では、女子をお姫...
後ろの席の飛川さん〝010 胃袋に魚を入れるまでが釣りだから〟
広瀬さんがこよなく愛する小説家は、広瀬さんの身近な人だった。その衝撃にたゆたう暇を、飛川さんは与えない。 というよりも、さっきから殺気立っている。釣りはもっとこう、のんびりするもの……でもなさそうだ。「きいちゃん、時は来たれり!」 そう言う...
後ろの席の飛川さん〝009 海には保護者同伴で行きましょう〟
ベンツを操るおっぱいゾンビが、広い国道から狭い山道へと進路を変えた。ボクらを乗せた赤いベンツだ。 山道に入った途端、車内がシーンと静まり返った。頑なに、ゾンビを否定するボクだとて、この沈黙には並々ならぬ恐怖を感じる。 あの飛川ひかわさんが、...
───2025年4月24日(木) 前回の畑の近況報告へのアクセスが思いの外よかったので、味を占めてシリーズ化しようと思います。週に一度のペースなら、野菜の成長度合いがよく分かります。サツマイモの収穫時期(十月中旬)くらいまで、記事ネタに困る...
───2025年4月22日(火) 畑のゴミの廃棄の準備で、今日は畑に寄りました。使い終わった、不織布・ビニールシート・マルチや折れた支柱が主なゴミです。小さな畑ですから、ゴミの量は大したものではありません。ですが、数が少ないうちに処理をする...
目の前で繰り広げられる、恋愛ドラマをボクは見た。 デートの誘いを直視するなど、最初で最後の見納めだ。その興奮が冷めやらぬうちに、午後の授業が終わってしまう……。 ボクの後ろの席では、五枚の入会届をニヤニヤ見つめる飛川ひかわさん。如何にも悪代...
後ろの席の飛川ひかわさんが、食事を済ませて席を立つ。「きいちゃん……私。必ず生きて帰るから」 大げさな、死にはしない。職員室でお叱りを受けるだけだ。「飛川さん、御武運を」「うん、月読つくよがんばる!」 大きなリュックを背たろうて、飛川さんは...
───2025年4月18日(金) 畑の近況報告をば。今回は、数が多いのでブログ風で(笑)よつぼし(苺) もうちょい頑張れば、よつぼし苺が食えますなぁ(笑) 気のせいでないのなら、今年は実がたっぷりって予感がします。小さい実を間引きしたとて、...
四月も半ばを過ぎた頃。飛川ひかわさんが事件を起こした。「ねぇ、きいちゃん」 後ろの席の飛川さんは、いつも笑顔で問いかける。「ゾンビの知り合いっている?」 満面の笑みを浮かべる飛川さん。勉強のしすぎで壊れたか?「そうですね、今のところ……いま...
明光めいこう中学に入学してから早いもので、一週間が過ぎ去った。ボクは相変わらずのボッチだけれど、イジメなき世界は素晴らしい。「ねぇ、きいちゃん」 後ろの席の飛川ひかわさんは、いつも笑顔で問いかける。「きいちゃんは、小説を書かないの?」 教え...
───2025年4月10日(木) 夏野菜の準備もひと段落。さりとて、種の発芽が気になって、畑に行くと事件です! アイキャッチ画像でお気づきだろうか? 辻斬つじぎりりに襲われたかのように、ナスの葉っぱが切れてます!───このバラバラ事件の犯人...
───2025年4月8日(火) ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば……もうちょっと、風流に鳴いてくれないか? 山の麓ふもとでせわしなく、カラスとホトトの大合唱。おまけに暴風だって、春何番だよ?……営業妨害も甚だしい(汗) それに加えて玉ねぎ...
後ろの席の飛川ひかわさんは変わり者だ。その表現に問題があるのなら、先駆者せんくしゃと言い換えてもいいだろう。パイオニアだ。「きいちゃん、おはよう」 学校の下駄箱の前。甲高い声で、朝のあいさつをする飛川さん。「飛川さん、おはようございます……...
平岡修斗ひらおかしゅうと君からの助け舟で、便所飯の脅威は免れた。平岡君に吸い込まれるように、ボクは彼の席へと移動する。「まぁ、黄瀬きせ君。ここに座んなよ。にしても、すげぇ~のな。飛川月読ひかわつくよだっけ? 夢が花嫁って、ピュアの申し子って...
2025年4月6日(日) 桜吹雪を眺むれば、そろそろ頃合いの気配を感じた。やっとけ……か? いずれにせよ、今週は夏野菜の定植をしなければならず、どうせなら早く済ませたい。そんなぶらり散歩気分で、スーパー(マルナカ)とホムセン(ダイキ)で、ト...
これから学級委員長の発表だというのに、飛川ひかわさんはネームプレート磨きに精を出し、広瀬さんは時が停止したように、ぴくりとも動かない。 我が明光中学は、ひとクラス三十名の三組編成で、受験テストの順位で振り分けられる。上位の三十名は、ボクが所...
001 悪しき習わし自己紹介 あがり症のボクにとって、自己紹介とは学校の悪しき習わしだ。刹那にボクの顔面が、血の赤に染まるのが分かる……ドクドクと心臓が波打って、焼けるように顔が熱い。ボクの後ろの席から伝わる、背中の振動と相まって、生き地獄...
000 ネームプレートの都市伝説 卒業式の日。ネームプレートを交換したカップルは、将来必ず結ばれる─── 登校初日。小耳に挟んだ情報では、ネームプレートの争奪戦が、今年も盛大に繰り広げられたらしい。ふふふ……ぬるいな。実にぬるい。机上に彫ら...
僕の読書は三冊ワンセット。先ずは文豪読破が先決で、その気持ちがとても強い。というのも……文豪の作品は削られるんですよ、僕のピュアな心を(笑) なんかねぇ~……重いっつーか、しんどいつーか。文豪が生きた時代には、人生の選択肢があまりにも少なく...
「これ、昔から気になってたのぉ~。一年前だったかなぁ~、テレビで見たの。ハルヴァなんとか」 読書中、謎のタッパーがデスクに置かれた。ドスって感じの音がした。同僚ワーちゃん、久々の登場である。どうにかならんか? その、ファブルのヨウコさんみた...
小説家は物事に敏感な生き物で、些細なことにも興味を示す。新人作家、飛川三縁も例外ではない。駅で花音を待つ間、ひとりの老人に目が留まる。本を読む老人の姿が輝いて見えたのだ───〝檸檬〟か……。 誰かのお迎えだろうか? それとも旅行? 老人の表...
本を読む……中々どうして、これが辛い。今だからこそ書けるのだけれど、昨年末。相棒からの書籍が山積みだった。未読の山にため息が漏れた。この冊数……僕の寿命が尽きぬうちに読めるのか? そんな不安が脳裏を掠める。 けれど、おざなりはできない。なお...
今日は、全国的に春分の日である。 自然をたたえ生物をいつくしむ日に、夏野菜の準備をするのもおつなもの。午後から畝にすき込む鶏糞を買いに、最寄りのホムセンへ出掛けたのだが……致命的なミスを僕は犯した───ポッケに入れたはずの財布がないじゃない...
月曜日、本を読んでいると謎のめまいに襲われた。グルグルと天井が回って立ってられない……。ふと〝脳血栓〟の文字が頭に浮かぶ。それを考える年齢でもある。でも、そうでもない気もするのだが?───推しの子か? 推しの子なんだな? 心当たりがあるとす...
2025年3月14日(金)……世間では、ホワイトデーと呼ばれる日であるらしいのだが、特別なことなど何もなく、気になるのは明日からの雨。暖かいのと畑の具合が気になって、仕事終わりに畑に寄ると、ホトケノザが花満開! この世に大切なのは愛し合うこ...
谷崎潤一郎の猫の描写が〝猫あるある〟の連続で。この人、めっちゃ猫好きじゃん!
夏目漱石は、一八六七年生まれって……慶応じゃね? 江戸じゃん! 夏目漱石の生まれ年が、大政奉還と坂本龍馬の近江屋おうみや事件と同年なのも、ついさっき判明して……こしゃぁ、読書どころでは済まないわ……。『通信簿、万年国語2』 これがキャッチフ...
こんなことある? 充電できなくて壊れたはずのKindleが、しれっと復活したのだが?
2021年に購入した、Kindle paperwhiteから充電を拒否られたのは、去年の今頃のことである。何度も何度も果てしなく。Kindleへの充電を試みても、一向に「Kindleを使用する前に充電してください」のメッセージが消えやしない...
外套がいとうとは、防寒防雨のため服上に着用する衣服のこと。 シャーロックホームズや怪盗ルパン。ハリーポッターが制服の上から、冬の野外で着こなす上着。それが、僕の持つイメージである。現代の言葉に言い換えればコートであるが、昔の僕はその意味すら...
ブログに関して、今の僕はナマケモノだ。 のらりくらりと、ブラブラしている。 下書きだけは、富士山ほど書いているけど、読み返せば愚痴ばかり。何ひとつ、ネットに出せる代物じゃない。ブログつーのは、酔ったサラリーマンが愚痴を吐く居酒屋じゃねーんだ...
畑に生えた雑草の種類で、土の状態が分かるらしい……。 畑を始めた2022年。畝以外の土は固く、雑草とは無縁の状態だった。当時は、コロナ禍であり、三密が叫ばれていた。まぁ、普通に人とも会えず、外出することも少ない。軽い運動を兼ねて、せっせと畑...
2025年2月25日(火) 春じゃがいもの植え付けを実施した。じゃがいもの品種はダンシャクである。当初の予定では、月曜日のショート・ショートのシナリオに合わせるつもりだった。 けれど、雪は降るわ、寒いわ、冷えるわで、無理して風邪でもひいたら...
友人が、この世を去って二度目の冬。 今朝は、この冬一番の冷え込みだった。裏を返せば、これから温かくなるだろう───だから、春じゃがを植えようじゃないか。すでに畝の土はできている。あとは種芋を植えるだけ。 種芋を手に持って、畑にしゃがんで作業...
僕の周りの人たちの話では、この冬は、野菜の成長が悪いのだとか……。僕もそれを、自分の畑で感じていたけど、その原因が分からない。幾らこの冬が寒くても、そこまで寒いか? と訊かれたら、そうでもなくて、定期的に雨も降った。野菜がうまく育たない。そ...
インターネットのなかった時代、僕らの通信手段は電話と手紙であった。隅っこに謎の相合傘がちょこっと書かれた、駅の伝言板も含まれる。今回は手紙の話だ。忌まわしき不幸の手紙。その内容は、ネット時代のチェーンメールのようなものだが、詐欺メールのよう...
大変ご無沙汰しております。雉虎です。 執筆中の、のんちゃんのブログ王第三部。何度も変えた題名を決定して、一万文字ほどの原稿を、めでたく相棒にメールしました。毎度ではありますが、新しい世界の書き出しが難産で、ようやっと勢いに乗れそうです。小説...
今日サヨを書き終えたので、次の執筆に入る前に、取りあえず充電します。新作は、まだ一行も書いていません(汗) プロットも、イメージも。頭の中にあるのだけれど、頭の中がスカスカで、何かを見れば思考がブレて、何かを読んでも思考がブレる。それは、当...
今日もサヨリは元気です(笑)を読んでいただき、ありがとうございました。掲載の道中でいただいた、数々の温かいお言葉にも支えられて、ようやく完結することができました。読者の皆さまには、感謝の言葉しかありません。心よりお礼申し上げます。 2024...
この家で暮らし始めてから、数日が経ちました。雨のコンビニで、ボクを助けてくれた男の人は、いつもニコニコしています。そして「お父ちゃんだぞぉ〜」と言って、ボクに高い高いをしてくれます。だからボクは、この人をお父ちゃんと呼んでいます。 高い高い...
034 再会―――空耳じゃない! 愛しい声が聞こえる向こうで、痩せた猫がうずくまっている。額にくっきりMの文字。サヨリと同じキジトラだ。近づくと、猫は俺を見上げて「ア、アっ」 と、鳴いた―――刹那に二十年前の記憶が蘇る。サヨリだ! 俺は、い...
033 転生 生まれてすぐ、ボクは捨てられました。どうやって生きてこれたのかも分かりません。本能のままに仲間を真似て、虫や魚や草を食べました。人間には近づきません。たくさんの不幸を見てきたからです。幸せになった仲間もいたけれど、その数は少な...
032 産神チフユ 人間が忌み嫌う死神は、どうして千の春と書いて〝チハル〟と呼ばれているのか? 魂を現世へ誘う産神は、どうして千の冬と書いて〝チフユ〟と呼ばれているのか? 死と生とを鑑みれば、逆だと感じる名前です。けれども、現世の外側に身を...
031 蛍 もう一度、お父ちゃんと暮らしたい。決断の日、ボクは転生すると決めました。「ボク。転生して、お父ちゃんの所へ行くよ」 トビちゃんは、寂しそうにボクの頭を撫でました。「サヨリさん、無理してない? ここにいても、いいのよ」 トビちゃん...
030 決断 ヨネさんが、小さなため息をつきました。「私はね、便利屋さんが心配なの。あなたと息子が重なるの。余計なお節介なのは承知しているのよ。でも……放っておけないの。これも親心って、いうのかしら」「……いえ」「だって、便利屋さん。笑わな...
029 手紙 ヨネさんの口から出た『トビちゃん』の響きに、トビちゃんがボクをギュッと抱きしめました。ヨネさんはトビちゃんと同じくらい、お父ちゃんのブログを熟知しているようです。「私はね、毎日ブログを読んできたの。だから、それくらい理解してい...
028 告白 お父ちゃんはショックだったのでしょう。お仏壇を見つめて言葉を失くしてしまいました。ヨネさんは、優しい声で真実を語り始めました。「私、便利屋さんに謝らなければいけないの。私……息子が死んでから。便利屋さんのブログを読んでいたのよ...
027 四十八日 ボクが死んでから四十八日目。転生か、天国か、それともここに残るのか?……ボクは明日、それを決断しなければなりません。 十蔵さんの一件で、チョコは転生するって決めたけど。もしも、お父ちゃんに好きな人ができたなら、ボクだってト...
026 求愛 ボクがここへ来てから四十日目の夕暮れ。湖の水面からお父ちゃんを眺めていると、ちょんちょんと、チョコがボクの背中をつつきます。「どうしたの?」「サヨリ兄さん、折り入っての相談があるっす」 チョコらしくもない深刻な目の色に、ボクた...
025 ウエディング ボクがここへ来てから三十五日目の午後。それは幸せに満ちた午後でした。「サヨリ兄さん。サチさんちへ行きましょう!」「うん、そうしよう」 ボクとチョコは、サチさんの所へ遊びに行きました。サチさんのお話が楽しくて。これまでも...
024 読書家 トビちゃんの木には、トビちゃんの胸の高さに、小さな扉がひとつあります。その扉は、天国の図書館と繋がっていて、好きな時に、好きな本を貸してくれる扉です。 ボクはお父ちゃんから聞いて知っています。トビちゃんが読書家だってことを。...
023 青き絶望 ボクがここへ来てから二十二日目の夜。 タロウが守る木の方角で、青色の蛍火が見えました。青い蛍火は、待つ人に忘れ去られたことを意味します。「サヨリ兄さん。タロウちゃん、大丈夫っすか?」 チョコはとても不安げです。でも、猫と同...
022 ハーレム トビちゃん、チョコ。そして、ボク。 十蔵が天国へ召されてから、三人での暮らしが始まりました。チョコは元気そうな素振りだけれど、ちょっとした瞬間に、とても寂しげな目をします。だからできるだけ、ボクはチョコと一緒に過ごします。...
「八時やて言うたけど、十時半な」───なんですと? バディのヤツ。急にお客さんから言われて、声高らかに「分かりましたっ!」と答えたのだろう。お陰でこっちの予定は丸つぶれ……さて、どうしたものかね、二時間もの空き時間?───あっ! 怒りの先で...
021 天国の階段 ここへ来てから十五日目の夜。寂しい事件が起こりました。 十蔵の木の方角から、疾風の如く黒い毛玉が駆けてきます。チョコが血相を変えて、ボクらの所へやってきました。「助けてぇー、サヨリ兄さん! 十蔵ちゃんが、大変なことに!」...
020 タロウ「サヨリ兄さん。自分ちょっと、いいっすか? 放っとけないっす」 チョコは一目散に、木の根元へ駆け出しました。白い子犬の姿が見えます。ボクは帰りが気になったけれど、チョコを置いて帰れません。ボクもチョコの後を追いました。「そこの...
019 サヨ・チョコ探検隊 ここへ来てから十日目の早朝。チョコがボクのところへ遊びに来ました。「サヨリ兄さん。自分とデート、いいっすか?」「え? サヨリさんとチョコちゃんって―――短いうちに、そんなことになっていたんですか?」 トビちゃんが...
今日もサヨリは元気です(笑)ばかりでは「ブログも書けよ」という話にもなります。今日は中休みを入れて、お正月にちょっぴりご紹介した相棒からの〝マイブック〟のレビューです。 結論から申し上げれば、予想以上に使い勝手がよすぎでした(笑) マイブッ...
018 心の仮面 心ちゃんとお父ちゃんは、お腹を膨らませて店を出ました。心ちゃんは満足げ。お父ちゃんは、絶食で胃が小さくなったのでしょう。ちょっと苦しそうに見えました。でも、その表情は明るかったです。「なんか、悪いな。本来ならば、ここは僕が...
017 ココイチ お父ちゃんの好物は、サッポロ一番とココイチのカレーです。それが好きすぎて、何度もブログに書いていました。お父ちゃんがココイチのカウンターに座ると、隣に女の人が座りました。「お邪魔するよぉ~、ぐふぅ」 出たな、おっぱい星人!...
016 小説 今日、心ちゃんが訪問した目的は、ボクにだって分かります。トビちゃんからの手紙を渡すこと。お父ちゃんを元気づけること。そして最も重要なのは、お父ちゃんに食事を取らせること。本丸に見えても、そうじゃない。小説のことは二の次だってこ...
015 心ちゃん 今日はボクの初七日だそうです。ボクが死んでからというもの、お父ちゃんは、一心不乱に何かを書いていて、あまりご飯を食べてません。だからお父ちゃんは、痩せ細ってしまいました。「食べて……誰か……助けて」 不安げにトビちゃんが言...
014 ヨネさん ボクがここへ来てから、三日が過ぎました。トビちゃんと湖の水面みなもを覗くと、ヨネさんちの豪邸でお父ちゃんが庭の掃除をしています。お父ちゃんは便利屋に務めていて、ヨネさんはお父ちゃんをご贔屓ひいきにしてくれるお客さんです。 ...
今日は一息、ブログを書きます(笑) 先ずは何よりも一番に、愛猫へのお話しを読んでいただき厚くお礼申し上げます。皆様の応援で、ここまで辿り着くことができました。ありがとうございます。 お正月も終わり日常が始まって、今日の高松には雪まで降って。...
013 蛍火 ボクがここへ来て、初めての夜が訪れました。電気も街灯も何もないので、明かりはチラホラ見える焚たき火だけです。それにも増して、空に散らばる星々の輝きだけで、うっすらとトビちゃんの横顔が見えました。「ねぇ、トビちゃん。お星さまが動...
これこれ、こんな感じ! 昔、ネットニュースで見たような、大切なふたりに見せたいような、スイカのイメージに近づいた(笑) スイカ栽培のデメリットは、広い作付け面積が必要なことろ。栽培プランのネックである。猫の額ほどの畑では、如何せん、こいつが...
「あれ、キュウリ?」 知人に質問されるほど、畑で異彩を放つのは、紛れもなくプリンスメロンなのである。直立型で支柱を組むと、去年は、ものすごい勢いで蔓を伸ばして実を付けた。記憶違いでなければ、20個くらいは採れたと思う。 さりとて、おいしくな...
今日のメンバーは、飛川ひかわさんと、麩菓子ふがしのヒロミさんと、シゲじいさんと、ハルカさん。そして、ボク。総勢五名で摘果に挑む。「黄瀬きせです。中一です。よろしくお願いします」 ボクの挨拶に「麩菓子おいしかった?」「挨拶ができるのか。偉いぞ...
桃畑の二日目は、心身ともに最悪だった。全身がだるくて痛くて……もう、お家に帰りたい。「きいちゃん、おはよう!」 脚立を担いだ飛川ひかわさんが、ボクの前を駆けてゆく。昨日といい、今日といい。彼女は人類最強の生物か?「この桃をAとします……」 ...
桃畑の二日目は、心身ともに最悪だった。全身がだるくて痛くて……もう、お家に帰りたい。「きいちゃん、おはよう!」 脚立を担いだ飛川ひかわさんが、ボクの前を駆けてゆく。昨日といい、今日といい。彼女は人類最強の生物か?「この桃をAとします……」 ...
本の表紙が汚れちまった……。 アガワ家の危ない食卓は、阿川佐和子の食にまつわるエッセイ集だ。250ページほどの単行本を、50日以上もかけて読んだのは、アニキに対する僕なりの想いがあった。「本を数冊送りました。小説の肥やしにしてください(笑)...
───2025年6月26日。 ジャガイモの後作で、遅くに植えたトウモロコシが、僕の胸の下ほどの高さになった。西にカボチャ、東にプリンスメロンに挟まれて、元気いっぱい伸びている。その苗の半分は、不安たっぷり老化苗。けれど、通常の苗と同じ背丈ま...
真っ赤な夕陽に照らされた、高い高いのシルエット。 広瀬さんの写真には、幼き頃の飛川月読ひかわつくよが写っていた。尾辻さんの肩の上、桃の実に袋をかける飛川さん。夕焼け空と黒い影。その幻想的なコントラストが、ボクの想像力を刺激する。「オッツー、...
キュウリ、プリンスメロン、カボチャ……ウリ科の野菜は、あたかも雨上がりの雑草の如く、ある日を境に一気に成長するらしい。日差しの強さと気温の上昇に誘われるように、日に日に小玉スイカが蔓を伸ばす。西のプリンスメロンに続けとばかりに、蔓が支柱を覆...
2025年6月19日(木) 完熟房なりを目指して、収穫に我慢に我慢を重ねたミニトマト。ところがどっこい、映える姿になる前に、赤い実が落ちていた……(汗) 残念だけれど諦めて、ミニトマトに手を伸ばす───収穫だ。 ミニトマトだとはいえ、初物で...
僕はキュウリ栽培が下手である。なんでだろう? 最初は採れても、しばらくすると失速する。うどんこ病になったり、葉っぱが虫食いで穴だらけになったり、急に枯れてしまったり……7月になるとやる気を失う。それが、うちのキュウリであった。 たくさん採れ...
飛川ひかわさんのレクチャーが終わると、老人たちから拍手が湧いた。───オッツーがね。オッツーがさ。それは、オッツーなのだから……。 ボクには惚気のろけ話にしか聞こえない。 けれども誰もかれもが、良質な恋愛映画を見終えたような顔である。その中...
桃畑の昼下がり。 桃の木陰に敷かれたシートの真ん中で、おにぎりを頬張る飛川ひかわさん。その隣でゆっくりと、二個目のおにぎりに手を伸ばす広瀬さん。「ふたりとも、やってんねぇ~」 ふたりの前に先生が座ると、そっとおしぼりを手渡す早川さん。その光...
───食中毒になるのは、最も愚かな行為である。 その考えになったのは、目の前で食中毒になった光景を見たからだ。さしずめそれは、恐怖以外の何ものでもなくて「恐ろしいものを見た!」って感じである。 それは忘れもしない、中学1年の梅雨明けの頃。一...
2025年6月13日(金) 13日の金曜日といえば、西洋では不吉な日だと言われている。80年代のホラー映画で、これでもかとすり込まれた恐怖だけれど、それはそれ、これはこれ。マイナス思考に引っ張られては、折角の一日が勿体ない。プラス思考で今日...
2025年6月10日(火) 今日は一日雨が降る。降りしきる雨の中、僕が畑に出向いたのは、イチゴとキュウリの収穫に加えて、どうやら肥料過多らしい、大玉トマトを観察するためだった。大玉トマトにつては、昨日の記事に書いたので、それについては割愛し...
あの日の言葉に、気づいていれば……。 いつもそう、いつだってそう。トマト、キュウリ、ナス、スイカ……どんな苗でも、最初は順調そうに育つもの。いくばかの実をならせて、ボクを喜ばせてくれるけど……ところがどっこい、すっとこどっこい。梅雨に入ると...
ボクに冷たい視線を浴びせる広瀬さんのとは対照的に、先生はなんてお優しい人なのだろう。桃の木の根元に置かれたクーラーボックス指さして「黄瀬きせ君も、好きなのどれか選びなよ」 ボクが、勝手に桃畑を抜け出したことに触れもせず、そう言ってくれるのだ...
「ねぇ、きいちゃん」 クラスメイト飛川ひかわさんは、いつも笑顔で問いかける。飛川さんは、ボクを引きこもりの世界から、外の世界へ連れ出してくれた恩人だ。ボクは彼女に感謝の気持ちしかないのだが、今は恐怖だけしか感じない。 だって、そうだろ? ヘ...
天道てんどうさんからメールが届く。天道さんは、僕の第三の協力者だ。そのメールには「アニキが作ったスイカを送りました」と書かれてあった。その内容に僕は驚いた。二年前、アニキからのメールには「茶熊さんが作ったスイカを送りました」と書いてあった。...
降り続く雨の中、茶色い猫は屋根に通った。友達と会うために。しかし、家康が姿を見せることはなかった。雨雲を眺めて信長は思う。きっと晴れたら、家康も姿を現すだろうと。 翌朝。信長が窓の外を見ると、空いっぱいの青天だった。よし、晴れた。今日は家
───火曜日はレビューの日。 ほ? マジで……。 万年筆が書けなくなった。いや、いや、いや……あれだぞ。今月、買ったばっかやん。6月12日の記事に書いたばっかやん? ない、ない、ない。壊れるには早すぎだ。 もしかして、これがインク詰ま
───月曜日は畑の話。 2024年6月26日(水)。 トウモロコシ(ゴールドラッシュ)を収穫した。とはいえ、苗の成長速度がマチマチなのだ。五本だけの収穫だった。素人菜園の落とし穴(汗) 一昨年から書いているけど、僕はトウモロコシをその場
のんがグリムでバイトを始めると、客層が一気に変わった。のん目当ての客が増えたのだ。来客増加は売上げに繋がるけれど、マスターは困り顔だ。にしても、今日はお客が少ないな……そっか、のんは早上がりの日だったっけ。そんな日は、のんは一度、アパートへ
彼の顔は青ざめていた。 本日投稿予定のショート・ショート。その準備が整わない。ブログ公開時間まで、90分を切っている。なのに一行も書けていない。てか、書くことすら決めていないふうに見える。ザ・ピンチ! 絶体絶命とはこのことである。 「やる
───金曜日は小説の話。 小説を書き上げた達成感の裏側で、モヤモヤした不完全燃焼な気持ちがあった。僕はプロじゃないのだから、ここは好きにやらせてもらおうか(笑) そんな気持ちで、描ききれなかったアレコレを、スピンオフで書き始めた。てか、こ
───木曜日は雑談の日。 ショート・ショートの手直しをします。 つい先日、相棒からの予告があった。ショート・ショートの手直しに着手したのには、きっと、今がそのタイミングなのだろう。そう僕は勝手に思っている。僕は彼に従うのみで、今日もサヨ
───裏切り者……信長の心は怒りに震えていた。 屋根の上、仲睦まじく語らう猫。それは紛れもなく家康とケイテイの姿であった───それを目撃した信長は、怒りで身も心も震えていた。ジジイのくせして、お前は孫ほど若い女に手を出すのか? なぁ、家康
───火曜日はレビューの日。 桃畑(摘果&袋掛)の最終日。 日差しが強くて苺(よつぼし)がイマイチ。日焼けしたのか実が固い。とはいえ味は上々で、今日もサヨリは元気です(笑) 去年は水が切れて枯れた苺だけれど、今年はまだまだ実をならす。
───月曜日は畑の話。 今年もどうやら失敗ですか? そんな、きゅうりが本気を出した。追肥と摘芯とのダブルパンチが、やる気スイッチを押したのだろうか? 気を抜けば……きゅうりである(汗) 今は自己消費で賄まかなえるのだが、三本の苗だけなら
パワースポットと呼ばれる場所がある。 ブログ王を完成に導いた場所は、八栗寺(四国八十八箇所第八十五番札所)の境内だった。境内けいだいにある青いベンチに座ると、不思議とアイディアが浮かぶのだ。そして俺には、もうひとつのパワースポットがある─
───土曜日はショート・ショート。だけど、満月だからスイカの話。 六月の満月は、ストロベリームーンと呼ばれている。苺のお月さまの日。昨日も雨が降ったから、水やりに行く必要はない。ゆっくりとした土曜日なんて久しぶり。読書をして過ごしましょう
───金曜日は小説の話。 毎日毎日飽きもせず、ブログで何かしらの文章を書き続けている僕だけど、実はその……えっと……まぁ……読む行為が苦手である。とてもとても苦手なのだ。単行本を読み終えるまで何日もの時間を要する。小松左京先生の〝日本沈没
───木曜日は雑談の日。 二〇二四年六月十八日(火曜日)に桃の摘果と袋掛けが終わった。五月二日からのスタートだから、約一ヶ月半の道のりだった。今年は人手が少なかったのだが、去年と比較しても三日遅れでエンドです(笑) 人手不足は理解してい
いつもの屋根で家康はくつろいでいた。この一帯が家康の縄張りであり、見張りをするのに丁度いいのだ。そこのブロック塀の上、高々と尻尾を上げて歩く白い猫───ケイテイか……。家康は、ぼんやりとケイテイの姿を眺めていた。 「なぁ、家康ぅ~」 聞い
───火曜日はレビューの日。 五月七日にまいた種。小さな苺の種が発芽した……未だに自信がないのだけれど、苺の苗のカタチっぽくも見えてきた。きっとたぶん、苺だな? 前回、発芽を確認……否、確信した目は四粒中二粒だった。50パーセンなら上出来
───月曜日は畑の話。 これまで話題にしなかったけれど、畑でプリンスメロンも育てている。もちろん種から発芽させていた。プリンスメロンを話題にしなかった理由は簡単である。育てる自信がまるでなくて、今日もサヨリは元気です(笑) だって、そうで
今日は、六月第三日曜日───全国的に父の日である。 父の日だからって、我が家の夕食はいつもどおりだ。かろうじて、母の日の名残りはあるのだが、父の日はごくありふれた日曜日。けれどツクヨが我が家の一員となった今、状況が少し変わった。ツクヨには
───彼女の気持ちを知るために、僕は、目を塞ぎ、耳を塞ぎ、口を塞いだ。彼女の名は、ヘレン・ケラー……。 夏休みの読書感想文。それが、僕のトラウマだ。 小学四年の春、新学期。島の小学校に新しい教師が赴任した。若い女の先生だった。新しい先生
───金曜日は小説の話。 水曜日に投稿した〝飼い猫信長と野良猫家康(出会い)〟は、これまで温めた物語……ではなかった。締切に追い込まれた結果、偶発的に生まれたイレギュラーが彼らである。だって、そうでしょ? ポンポンといい感じのストーリーな