当然ながら信号や標識の確認が必要ですし、周囲のクルマやオートバイの動き、場合によっては他の自転車の逆走にも注意です。歩行者が突然飛び出してくるかも知れませんし、道路に障害物が落ちていたることもあります。水たまりがあったり、穴があいていたりしていないかなど、路面の状態も気になることがあるでしょう。
繰り返される道路工事によって、舗装が継ぎはぎになっているような道路もあります。凹んでいたり、段差が出来ていたり、舗装が剥がれていたりすることもあります。道路の舗装の亀裂や段差、穴などは、小さなものであっても、自転車にとっては非常に危険な存在となる可能性があります。


クルマの通行に支障をきたすような亀裂や陥没などなら補修されると思いますが、自転車が通るような道路の左端の部分だと、小さな穴だったり、多少の舗装の剥がれなどがあっても、そのままということは少なくないと思います。クルマの通行には影響がないからです。
当然ながら自転車は注意して通行する必要がありますが、うっかり見落としてしまったり、避けきれなかったりということもあります。下手をすれば落車して、大怪我になります。運悪く、そこへクルマが通って、ひかれて死亡ということだって、充分に起こりえるでしょう。


しかし、自転車には危険だとしても、多少の路面の不具合はなかなか改善されません。地下埋設物の工事でもあればともかく、道路が舗装しなおされる頻度も高くないと思います。大通りで道路の痛みが激しい場合は定期的に舗装し直される場所もあるでしょうが、何十年という単位でそのままという道路も多いに違いありません。
最近言われているのは橋やトンネルなどのインフラも老朽化しているため、その更新が問題になっています。上下水道なども含めて、補修が急務となっているインフラもあります。自治体など道路管理者にしても予算があるでしょうし、優先度の点でも、路面の細かいメンテナンスまではとても期待出来ません。


こうした悩みは日本だけのことではありません。補修やインフラ更新の予算に悩む国は少なくありません。そんな中、イギリスでは舗装の問題を解決すべく研究していた、
King’s College London と、
Swansea University のチームが、新しい素材を開発しました。なんと、自らヒビ割れを修復するアスファルトです。
アスファルトが大きく剥離してしまった後での自己修復は困難ですが、多くの場合、最初は小さなひび割れです。この段階でアスファルトが自己修復してヒビを塞いでしまう素材なのです。もちろん、アスファルトは生物ではありませんから、そのままでは自己修復など出来ません。




アスファルトに植物由来の毛髪の細さよりも小さい胞子を組み込むのだそうです。この胞子にはリサイクルされた食用油が染み込んでおり、アスファルトに微細な亀裂が生じ始めると放出され、アスファルトを柔らかくして、その亀裂を埋めると言います。皮膚が傷ついても自然と治るようなイメージでしょうか。
実験室レベルでの検証ではバイオベースの胞子、マイクロカプセルが、サンプルのアスファルトの亀裂を50分で修復しました。まだ実用段階の前ですが、この素材は世界中のインフラを改善する費用を大幅に削減し、道路舗装の寿命を伸ばし、環境負荷を減らすものとなると期待されています。


この技術が実用化すれば、道路舗装が改善されることが期待されます。ちなみに、似たような素材で、
自己修復するコンクリートは、日本の企業が既に実用化しています。鉄筋コンクリートにひび割れが生じると、水が沁み込んで鉄筋を錆させ、爆裂や断裂を起こし、崩壊などが起きてしまいます。


そこでアルカリ耐性の強いバクテリアと、その栄養源となるポリ乳酸から構成される顆粒状のカプセルをつくり、コンクリートに混ぜます。バクテリアは休眠状態ですが、コンクリートにひび割れが生じて雨水や酸素が入り込み、コンクリートのpHが低下すると、バクテリアは、乳酸カルシウムを栄養として再び活性化されます。


すると、バクテリアは乳酸カルシウムを摂取しながら増殖し、炭酸カルシウムを排出します。この炭酸カルシウムがひび割れの隙間を埋め、コンクリートを修復していくというものです。これを橋やトンネルなどに使うことで、インフラの寿命を伸ばしたり、更新や補修予算の削減につながると期待されています。
ただ、道路にもコンクリート舗装はありますが、費用が高く、乾くまで時間がかかる、補修が難しい、乗り心地が悪いなどのデメリットがあり、アスファルト舗装が圧倒的に多くなっています。このため、この自己修復コンクリートが一般の道路舗装に使われることは期待できませんでした。


しかし、この自己修復アスファルトは、まさに道路舗装に使うための技術であり、普及していけば、サイクリストも、道路の細かい穴とか剥がれなどに気を使う頻度が減ることになるかも知れません。頻繁に道路舗装を更新しなくても、安定して走りやすい道路、キレイな路面が一般的になる可能性があります。
実用まで、まだ間がありそうなので、多少先走り過ぎですが、道路舗装の分野でも技術革新が進んでいます。道路がアスファルト舗装なのは、おそらく当面変わらないでしょうから、その更新やメンテナンス費用が少なくて済んだり、路面状態の向上が期待できるのは、悪い話ではなさそうです。
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