ここで見学時間もあと30分を切ってしまったので、ちょっと目をひいた航空用バイオ燃料の研究施設に入ってみました。
ここでは机の上にA重油から軍用のジェット燃料であるJP-10 までが透明な容器に入れられていて「ご自由に開けてさわってみてください」と書かれています。当たり前ですが、危ないので引火性や揮発性が高いガソリンはありません。非常に興味をそそるところですが、重油とか触ると手が真っ黒になるので臭いをかぐくらいにしておきました。
肝心のバイオ燃料は「廃食油から作ったバイオ軽油」と、「牛脂から作ったバイオジェット燃料」が展示されていました。バイオ軽油の方はほんのりと古い天ぷら油のような臭いがします。バイオジェット燃料の方は、牛の香りが・・・しませんね。こちらはちょっと比べたくらいではその違いが分かりませんでした。
ここで閉門時間まで10分を切ってしまったので、そのまま帰路につきました。
あと人が多かったのは、やはり月探査のところでしょうか。
アクリル板で囲まれたエリアに、月面探査機が展示してありますが、ここに敷き詰められている砂に大きな秘密があったのでした。説明を聞いて驚いたのは月の砂は地上の砂と性質が違うこと。ドリルで穴を開けると穴は崩れずにそのままの形を保ちます。これは湿っているわけではなく、砂同士がしっかりとかみ合っているからとのこと。アポロ計画でつけた足跡が今もそのままで残っているというのは、大気がないことがの他にこの性質も大きく関係しているとのこと。
実際に月面用の機器を開発するにはこの砂の性質を十分に理解した上で開発する必要があります。とはいえ実験用に本物の月の砂はそんなに使えないので、じゃあどうするかというとアポロが持って帰ってきた砂の分析結果を元に、全く同じ組成になるようにした砂を売っている業者があるんだとか。もちろんアポロが採取したのは月の一部分なので、それ場所以外だと砂の性質が違う可能性はありますとのこと。
スーパーコンピュータ棟にあったのは、JAXA が誇るJSS2。普通はコンピューター室は防犯や空調効率の関係で窓がないことが多いですが、ここでは見学需要もそこそこあることを想定しているのか、壁がガラス張りになっている場所がありました。CPU の冷却が水冷ですから、空間冷房の効率にはさほど影響しないのかもしれません。
CPU は富士通のSPARC64 XI(11)fxでした。これはかなり最近リリースされた最新の CPU*1 なので、僕自身も実物を見るのは初めてです。ちなみに事業仕分けで話題になった理研の京速コンピュータに採用されていた CPUSPARC64 VIII(8)fx*2 の後継にあたります。
この調布航空宇宙センターには大小各種の風洞設備が*1があって、日々様々なな実験や研究が行われています。
今日僕が見学出来たものだけでも「遷音速フラッタ風洞」、「2m×2m遷音速風洞」、「750kWアーク加熱風洞」、「0.5m/1.27m極超音速風洞」、「6.5m×5.5m低速風洞」の5つにもなります。航空機やロケットのようなものを対象にしているので、例えば最後のやつは低速と名前がついていますが、秒速70m(時速250km)と一般的な台風などよりもずっと強い風が出る装置になっているとのこと。
大きな風洞の中を覗いたりできるのはもちろん楽しいのですが、それに付随する各種の測定技術が興味深いんですよね。一般的なサーモグラフィなんかは子供に大人気でした、その他にも感圧塗料による圧力の可視化や、シュリーレン装置の実演なども興味深く見ることができました。各所にある金属製の風洞実験用模型も男心をくすぐると思います。
第2会場からシャトルバスに乗って調布航空宇宙センター(第1会場)へ。第2会場は静かな感じでしたが、第1会場は子供が多くてびっくり。
ちなみに一般公開日でなくても、この調布航空宇宙センターには展示室*1があって、この部分はいつでも見学出来るようになっています。
今週は科学技術週間ということで、先週の放医研に引き続き、今日はJAXA 調布航空宇宙センター一般公開*1にやってきました。会場間のシャトルバスがかなり混雑しているようだったので、まずは調布飛行場の脇にある飛行場分室(第2会場)から見学をスタートします。
ここは飛行場の脇にあるので、宇宙というよりは航空機関連の研究が多いようです。例えばヘリと航空機の中間のような航空機のテスト用模型があったり、ソニックブームの音が小さくなるような超音速旅客機の形状の研究が行われていたりしました。
カーボン複合材の研究も行われているようです。実際に触ってみることができるのですが、叩いてみると金属のような音がします。カーボンの板があるのですが、これが金属以上に固くて曲がらないのでびっくりしました。カーボンはそれほど自由に成形できないものだと思っていたのですが、それはもう過去のものになりつつあるようで「MRJ くらいの大きさならば複合材だけで作れますよ」とのこと。
炭素繊維はアクリル繊維を加熱すると得られるようですが、その加熱方法が難しいようです。ちなみ展示されている炭素繊維は質がかなり高いもので、これを引きちぎるには 600kg くらいの力が必要らしいです。「これ手で引っ張っても切れないですよね?」と聞いたら「手に食い込んでしまって、先に手の方が引きちぎれますね。」とマジレスされてしまいました。
宇宙関連のものとしては、惑星探査用のヒートシールドや、サンプル採取用の装置などの開発が展示されていました。