国民年金基金について、よくある質問のひとつに「思った以上に種類が多くて分かりにくい」が挙げられます。特に給付の型については多少の専門知識が必要ですので余計に難しく感じるかもしれません。結論から言うと、「A型1口」がキーワードです。これを機に、国民年金基金についての理解を深めておきましょう。国民年金基金の種類や給付金額、加入方法などについて、以下で詳しくお伝えします。
まずは、国民年金基金そのものの種類についてお伝えします。
実は国民年金基金とは、全国国民年金基金と職能型国民年金基金の2種類がある制度です。
全国国民年金基金は、こちらも文字通り全国に所在地があります。職能型のように、職業による制限もありません。この点を考えても、多くの方は全国国民年金基金のほうに加入することになります。
もっとも、どちらの基金も事業内容は同じですが、間違いがないように基本的には「全国国民年金基金」に加入するのが好ましいでしょう。
職能型国民年金基金は文字通り、一定の職業に就いている方だけが対象です。所在地も東京都内にしかありません。このため、多くの方は先述の全国国民年金基金に加入します。
実は全国国民年金基金は、2019年に誕生した制度です。それまで全国にあった地域型国民年金基金と、22の職能型国民年金基金が合併して誕生しました。この結果、現存する職能型は「歯科医師」「司法書士」「弁護士」向けの、わずか3職種のみとなっています。
このため、ほとんどの人は「どちらに加入すべきか分からない」と悩む必要がなくなったと言える訳です。安心して、全国国民年金基金への加入を検討しましょう。
今度は、国民年金基金でもっとも悩ましい給付の種類をお伝えします。国民年金基金には7種類の給付の型があり、将来的な受取額や支給額なども型次第で違いが出る制度です。具体的には、以下の7種類になります。
2種類の終身年金と、5種類の確定年金ですね。なお、国民年金基金は口数制で、最初の1口目は終身年金のどちらかを選ぶ必要があります。
保証期間と確定年金は、どちらも「期間前、または期間中に亡くなったら残額が遺族に支払われる」という制度です。十分に考えて選びましょう。
とはいえ、ここまで種類があると迷われるかと思います。一番スタンダードなのは「A型1口」加入ですので参考にしてください。
終身年金と比べれば、確定年金のほうが毎月の給付金額は多くなります。しかし終身年金は亡くなるまでもらえる年金ですから、人生100年時代の今はこちらのほうがおすすめです。遺族に支払われる遺族一時金の必要性は、最近では本当に個々の事情次第といえます。
結局のところ、どの給付の型を選べばいいかは「本人の考え方やライフプラン次第」です。存分に自分の未来を見据えて、それに合わせた型を選びましょう。
今度は、国民年金基金への加入方法と注意点についてお伝えします。国民年金基金に加入したい場合は、まずは「資料請求ボタン」から資料請求するのが第一歩です。
そして同封の「加入申出書」に必要事項を記入し、返送するだけとなります。いたって簡単ですね。
ただし、国民年金基金は加入するのは任意ですが、途中で任意に脱退・解約することはできません。つまり、途中で掛金支払いを止めることはできません。
もっとも、簡単に脱退するようでは何のために加入したのか分かりませんから、けしてデメリットとも言えません。国民年金基金で多少なりとも強引に、老後対策に励みましょう。
国民年金基金は、途中で任意に脱退できないものの、口数を減らして掛金を減額することなら可能です。また国民年金基金は基本的に終身年金であり、毎月の掛金は「全額が所得控除」になります。少なくとも、けして損になる制度ではありません。
それに、何もしなければ自営業者の老後は国民年金しかないのが実情です。勇気を出して申し込み、その後はひたすら商売に励みましょう。
今度は、類似制度の個人型確定拠出年金(iDeCo)についてお伝えします。iDeCoとは、簡単に言えば「掛金を自分で運用する年金制度」です。将来的な年金額は運用結果次第であり、国民年金基金を上回る結果が出るかもしれない一方、元本割れする可能性もあります。
毎月の掛金は国民年金基金と同じく「全額所得控除」になりますし、将来的にもらえる年金に所得控除が使える点も同じです。さらにiDeCoは運用益も非課税になります。なお、2つの制度は繋がりがあり、2つ合わせて月6万8000円が掛金の上限です。
どちらを選ぶべきかの分かれ目は、やはり「自分で運用するのかどうか」といえます。そもそも運用経験がある人自体、統計では1~2割程度とされています。自分で運用したくない、運用に自信がないなら、国民年金基金に加入すると良いでしょう。
ちなみに国民年金基金の利用者、どのくらいかご存知でしょうか?実は、自営業者全体の2.5%程度なのです。ほとんどの人が利用していないのは、「将来もらえる年金額が確定する、しかも1.5%の利率で!」という事実をご存じないからです。これを機会に国民年金基金に加入し、自分の老後に備えましょう。
最後に、大切な補足情報をお伝えします。国民年金基金の加入資格は、自営業者やフリーランスなどの「第1号被保険者」のみにあります。
そして自営業者などの老後は、特に何もしなければ国民年金しかもらえず、その年金額は満額でも月6.5万円となっています。
定年がないのが自営業者ですが、実際には死ぬまで働くことはできず、生活が困窮する元自営業者を何人も目にしてきました。
だからこそおすすめしたいのが国民年金基金という制度です。あなたは、自分の老後を考えたことがあるでしょうか?売上が低迷、不安定な自営業者も多いでしょう。しかし、その事情は老後になっても変わらない可能性もありますよね。
自営業者など特定の方だけが加入できる国民年金基金、まずは最低掛金額からスタートしてみませんか?
令和元年には「老後資金として2000万円必要」などと言われましたね。これはその後取り下げられた話題ではありますが、現実問題としてひとつの目安となる金額でしょう。厚生年金がある会社員でも老後を恐れる時代です。国民年金しかない自営業者なら、尚更に恐れなければならないのではないでしょうか。
本業に励むことが大切な一方、自営業者も「別の収入源」を確保していくことが大切です。その第一歩として、せめて国民年金基金には加入することをおすすめします。
悩む方の中には、悩みたくなくて考えること、動くこと自体を止めてしまう方もいます。国民年金基金なら、特に給付種類で悩みがちかもしれません。お気持ちは分かるものの、優先すべきは「加入すること」です。加入するか、加入しないか、選択肢はわずか2つです。型は迷わず「A型1口」です。途中で口数の増減もできますから、まずは国民年金基金に加入し、未来への備えの第一歩を踏み出してみませんか?
CFP®、一級FP技能士
山本FPオフィス代表。商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年8月、山本FPオフィスを設立し、同代表就任。 現在は日本初の「婚活FP」として、婚活パーティを開催しながら婚活中の方や結婚直後の方など、主に比較的若い方のご相談を承っています。また「農業FP」としても活動をはじめ、独立10年を機に「後輩育成」にも力を入れています。
経営に関する悩みや課題を抱える事業経営者の皆さまにとって、銀行の営業担当者は心強いサポーターの一人です。そこで、らいふくのーと編集部では、事業経営者と西日本シティ銀行の営業担当者にスポットをあててインタビュー。二人の出会いや、事業の成功までの道のりなどをざっくばらんにお話しいただきます。
これから就職先を探している学生のみなさんにとって、どんな企業が自分にとって働きやすいのか、気になりますよね。そこで今回は、西日本シティ銀行が取り扱う次世代ワークスタイル応援私募債『ミライへの路*』を発行している企業のみなさんにご協力をいただき、その企業で実際に働いている若手の社員に直撃インタビュー。なぜ入社を決めたのか、実際に働いてみてどんな感じなのか、などをヒアリングしました。また、併せて、各企業の経営者にも、求める人材像や今後の展望などをお話しいただきました。取材に協力いただいた企業は、地元・福岡で働き方改革に注力している、優良企業ばかりです。ぜひ、就職希望先の候補の一つとして、働く先輩たちのリアルな声をご一読ください。
他社ブランドの商品を生産する"OEM"。受託企業は商品の製造に、委託企業は商品開発やPRに集中できるというメリットがあり、アパレルや自動車などのさまざまな業種で活用されていますが、食品業界でもOEMの商品は多く見られます。今回はそんな食品の中でもお菓子(焼き菓子)のOEM製造を手がける、「ATELIER S.e.n.s.e(アトリエ・センス)」代表の中原浩雅さんにインタビュー。福岡ではまだ希少なお菓子のOEMという業種で起業した背景には、中原さんの多彩な経験が深く関わっていました。
多様な生き方や働き方が広がりつつある現代。企業にはこれからますます、さまざまな人が働きやすい環境を整えることが求められます。社員の働きやすさを叶える企業の取り組みとは? この連載では、実際に働き方改革を積極的に取り組む企業で働く人や経営者にインタビュー。今回は熊本を基盤に不動産売買やファイナンシャルプランニング、保険の見直しなどの幅広い事業を展開する「CRAS(クラス)」を運営する「株式会社みらいコンシェルジュ」にお話を伺いました。