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国民年金基金と厚生年金の違いとは?仕組みや加入方法も含めて比較&解説!

By 山本 昌義

|
公開日 2020.05.12

会社員が厚生年金に加入していることは広く知られていますが、それとは別に「国民年金基金」という制度があることはご存じでしょうか?

言葉は聞いたことがあるという人も多いですが、詳しく制度を理解している人は意外と少ないのが実情です。特に、厚生年金との違いについてはより認知度が低いかもしれませんね。

そこで今回は、国民年金基金と厚生年金の違いについてお伝えします。

国民年金基金は老齢厚生年金と同じく「終身年金」という仕組み

まずは国民年金基金の基本についてお伝えします。

結論から言えば、国民年金基金とは「自営業者だけが加入できる年金制度」です。自営業者でなくても、国民年金の第1号被保険者である方だけが加入できる制度になります。

そして、会社員なら国民年金に上乗せで将来的に老齢厚生年金を受け取れる訳ですが、この老齢厚生年金部分に相当するのが国民年金基金です。ちなみに会社員は第2号被保険者になりますから、国民年金基金に加入することはできません。あくまで自営業者のための年金制度です。

また国民年金基金は、厚生年金などと同じく基本的に「終身年金(亡くなるまで貰える年金)」です。まずは、この国民年金基金という存在と仕組みについて、しっかり知っておきましょう。

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国民年金基金の誕生は平成3年、加入は任意

実は国民年金基金は比較的新しい制度であり、誕生したのは平成3年です。また加入も任意という仕組みのため、加入している自営業者は全体の2.5%程度で、ほとんどの方が加入していない状況です。

なぜ加入していないのでしょうか?それはみなさんが国民年金基金という制度をよく知らないからです。

あなたは、自分の老後について考えたことはありますか?将来のライフプランを考えることは難しいことですが、この機会にまずは知識習得してみましょう。

会社員とは違い、自営業者の基礎年金は6.5万円

次に、国民年金基金が誕生した背景についてお伝えします。

これは、簡単に言えば「老後の年金格差」が問題視されたためです。ご存じの通り、会社員なら国民年金とともに厚生年金が貰え、平均年収で考えれば14万円程度の年金が貰えることになります。

そんな会社員とは違い、自営業者は国民年金のみです。この基礎年金は、満額でも6.5万円程度しか貰えません。もちろん自営業者には定年がありませんから、60歳を超えても不足分を働いて補えそうに思えますが、実際には問題視されるほど困窮する方も多い訳です。

会社員の14万円でも足りないと言われる時代ですが、自営業者は尚更といえます。あなたの老後はいかがでしょうか?ぜひ一度、あなた自身の老後について考えてみましょう。

もらえる受給額はケタ違い!自己防衛が必要

月で8万円違えば、年で100万円近くの違いになりますので、貰える受給額はケタ違いです。中には「その程度なら自分で稼ぐ」と考える方もいるでしょうが、いつまでも若い頃と同じように働けるものでもありません。少しは自己防衛も必要ではないでしょうか。

少なくとも国は、このように考えたからこそ誕生したのが国民年金基金です。もちろん他の備え方もありますが、ぜひ国民年金基金も選択肢の一つに入れましょう。

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国民年金基金は生命保険加入と比較して「全額所得控除」がメリット

今度は、国民年金基金のメリットについてお伝えします。国民年金基金は加入が任意であり、加入したら自分で一定の掛金を毎月支払い続けなければなりません。しかしこの掛金は、「全額が所得控除」の対象になります。極めて大きなメリットではないでしょうか。

同種の自分年金である生命保険(個人年金)への加入と比較すると、こちらは基本的に保険料の一部しか控除できません。それに、現在の生命保険の予定利率は限りなくゼロに近いですが、国民年金基金の予定利率は何とか1.5%を保っています。

もちろん国民年金基金は公的な制度ですから、民間会社よりも倒産の可能性も低いです。少なくとも個人年金と比較するなら、まずは国民年金基金を選ぶべきではないでしょうか。

自由に掛け金を変更できるのが国民年金基金の良いところ!

会社員が加入する厚生年金は、年収に応じて保険料も自動的に計算されますので、減額を望んでも通りません。しかし国民年金基金の場合、一度加入すると任意に脱退することはできないものの、その後の掛金は相応に自由に変更することが可能です。

簡単に言えば、売上が落ちて掛金の支払いに困ったら減額すれば良いことになります。逆に売上が上がって元に戻ったら掛金を増額すれば良いのですから、安心して加入しましょう。

厚生年金は保険料を企業と折半という仕組み

今度は、厚生年金のメリットについてお伝えします。厚生年金のメリットは「保険料を勤め先の企業と折半できる」という点です。自営業者にとっては、サラリーマンが羨ましい限りの仕組みですね。

また将来的な年金額についても、厚生年金のほうが多くなりがちです。それだけ多くの保険料を支払わなければならないとも言えますが、勤め先と折半なのですから、やはり単純比較はできないものの厚生年金のほうが有利といえます。

かといって、今さらサラリーマンになりたいとは思わない自営業者も多数です。ならば、せめてもの対策として自営業者は国民年金基金に加入することをおすすめします。

国民年金基金への加入方法は「資料請求&返送」

国民年金基金への加入方法は、極めて簡単です。まずは全国にある国民年金基金やその代理店に資料請求をして、同封の「加入申出書」に必要事項を記入して返送するだけとなります。厚生年金のように、自分以外の誰かが勝手に手続きしてくれる訳ではない点には、注意しましょう。

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あとは、およそ申込2ヶ月後から始まる引き落としに備えて、資金を準備して待つのみです。掛金は60歳になるまで支払い続けますから、今後はいっそうビジネスに励みましょう。

健康寿命は80歳、人生は100年時代

最後に、大切な補足情報をお伝えします。自営業者は定年がありませんから、つい「死ぬまで働く、だから老後も大丈夫」などと考えがちです。しかし一般的な健康寿命は長くても80歳、統計的には75歳程度とされており、中々それを超えて働けるものではありません。これが自営業者の定年とも言えます。

一方、現代は人生100年時代とされているため、どうしても最後の20年程度は年金や貯金に頼らざるをえない時代です。子供や孫に頼るのも厳しいことが多いといえます。目先の仕事や売上に困る自営業者も多いですが、先々への備えも大切ではないでしょうか。

ひとまず国民年金基金なら、掛金は全額を所得控除にできますから、節税しながら老後に備えることができます。この制度を使って、少しでも未来に対して備えていきましょう。

国民年金基金と厚生年金の違いまとめ

最後に、国民年金基金と厚生年金の比較表を以下にまとめます。


国民年金基金

厚生年金

加入対象者

自営業者

会社員

加入意思

任意

強制

掛金支払者

当人

当人+企業

メリット

掛金増減できる

企業と保険料折半

国民年金基金・厚生年金は基本!さらなる対策を

現代は、厚生年金がもらえる会社員でも老後対策が必須な時代です。自営業者も最低限、国民年金基金は基本として加入すべきといえます。そのうえで会社員と同じく、さらなる対策を取り、安心して老後を迎えられるよう努めていきましょう。

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山本 昌義

山本 昌義

CFP®、一級FP技能士

山本FPオフィス代表。商品先物会社、税理士事務所、生命保険会社を経て2008年8月、山本FPオフィスを設立し、同代表就任。 現在は日本初の「婚活FP」として、婚活パーティを開催しながら婚活中の方や結婚直後の方など、主に比較的若い方のご相談を承っています。また「農業FP」としても活動をはじめ、独立10年を機に「後輩育成」にも力を入れています。

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