愛なんて虚飾だ
濃緑色の髪の少女が孤独憾む様に言い放つ。
"Dead Stock District"、残骸廃棄行政特区。
無造作に積み立てられた鉄くずの丘、眼下に広がる夜の廃街。
"BioCode:93"が、この街にきて三年。
友人と呼べそうな奴ができた。
"BioCode:69"
「ねぇ、BioCode:69。なんか一曲弾いてよ。」
錆びついた細い弦が、辛く切ないイントロを奏で始める。
心の乾きを叫ぶかのようなロックナンバー。
廃材の丘の上に腰をかけ、
少女は肩を震わせながらメロディーにのせた。
「愛されたかった・・・」
宵闇に、月はただ眩しく光を放っていた。
悲劇のヒロインにスポットライトを照らすかのように。
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