『炎の蜃気楼』シリーズの「はじまりの物語」。舞台は現代から400年前、夜叉衆が死した御館の乱の遺恨が残る戦国時代。初めての換生を経た景虎と直江が運命の出逢いを果たし、夜叉衆が集結するまでが描かれる。
御館の乱に敗れ若くして非業の死を遂げた上杉景虎の怨霊は、自分を死に追いやった上杉景勝への怨念から越後に甦り様々な災いをもたらしていた。
越後を訪れた僧侶・勝元(色部勝長)の手で冥界へと〈調伏〉された景虎は、養父・上杉謙信の魂の呼びかけで改心。謙信から冥界上杉軍の核である行動部隊「夜叉衆」を率いる総大将の任を命じられ、〈換生者〉となり二度目の生を受けて怨霊調伏の使命を果たすこととなる。
そして景虎を再び悪の道に走らせないよう見張るための後見人に謙信が指名したのは、景虎の仇敵である景勝一派のひとり・直江信綱だった。生前で敵対関係にあった景虎と直江が謙信の命令で主従関係を結び、物語はスタートする。
死人でありながら、生者を守るために自分達と同じ怨霊を祓う立場にあるという矛盾を抱えた夜叉衆。怨霊と成り果てた者の無念に共感しながら、そして生き人の命を奪って成り代わる〈換生〉の業の深さを突き付けられながら、怪事件を解決していく。
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