仁井田航平が通う進学塾には、全国でもトップクラスの成績を誇る1人の少年がいた。それが、岩切俊。裕福な家庭に育ち、IQも高く、自らを天才と自称する俊。その傲慢な態度に塾のクラスメイトたちは俊を敬遠していたが、航平だけはちがった。俊を認め、その実績を尊敬すらしていたのだ。

しかし、目立つことを避けるように生活してきた航平にとって、イヤでも人の注目を集める俊は近づきたくないタイプの人間。興味を持ちつつも、決して近づこうとは思ってもいなかった。だが、航平が俊の成績表を拾ったことで状況は一変してしまう……。そして航平は、この塾で1人の少女と出会う。
忘れることのできない、航平にとって大切なもう1つの出会い――。航平にとっての初恋。他人と関わらないように生きてきた航平が抱く、初めての恋の行方は――。