舞台は、因習が現代まで残る祝人村。
東塚(とうづか)家の男は
昔から村の災厄の身代わり(生贄)となる役目を担っていたが、
余所(よそ)者の娘を娶(めと)り、生き神として祀(まつ)ることで、
自身と東塚家に災厄が降りかからないよう、手を打ち始めていた。
「生贄がさらなる生贄を求める」行為を村人達は見て見ぬ振りをした。
――ゆえに。
東塚家の生き神がどのように祀られ、どのように祈っているのか。
東塚家以外、誰も知らない。
トラツグミがひときわ大きい啼き声を上げた――
中で出しちゃった ――お前がウンって言うように
渡世誠
年の離れた姉を慕い、姉をあっさり病死させた東塚和臣を憎む。
「俺も地元からあんま出たことなくて。地元は祝人村の隣村(となりむら)なんですが、同じくらいの田舎で」
「――けど、貴女に好きな人ができたら妬けちゃうな、俺」
「祀り方なんて知らねーよっ! ただ和臣は俺に――俺に『祈祷所に行けばわかる』って」
ヒロイン
OLとして東京で働く。ひとり暮らし。母に女手ひとつで育てられており、父親を知らない。
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