明治後期、商都・大阪が大いに栄えていた時代―――。
ヒロインの藤岡てんは、京都で古くから続く薬種問屋の長女に生まれました。てんは厳しい父から「人前で笑ってはいけない」と教わり育ちます。
しかし、大阪船場の米穀商の跡取り息子・北村藤吉(とうきち)との出会いがてんの人生を一変させます。藤吉は根っからの芸事好きで、「人生には笑いが必要」という考えの持ち主でした。藤吉と衝撃的な恋に落ちたてんは、親の反対を振り切って駆け落ち同然に藤吉と結婚。そして、笑って生きる喜びに心躍ったのもつかの間、芸事好きが高じて家業をおろそかにする藤吉がとうとう店を傾かせてしまいます。その時、てんは決意します。
「あんさんが好きなその笑い、商売にしてみませんか?」
その一言から、素人同然の夫婦が大阪のみならず日本中の人を笑わせるべく、二人三脚の大冒険の旅を始めます!
大阪が“笑いの都”と言われる礎が築かれたのは、まさにこの明治後期~昭和初期のこと。そのころ大阪ではたくさんの才能がひしめきあっていました。夫亡きあとも細腕一本で大阪のお笑い界をけん引した当時としては珍しい女性興行師・吉本せいさんをはじめ、当時活躍した芸人・文化人などさまざまなお笑いのパイオニアたちの人生をヒントにして、人々が過酷な時代をたくましく生き抜く姿を、笑いと涙のオリジナルエピソード満載で描きます。
more...