ドラマを見ている感覚で楽しむアドベンチャーゲームの「やるドラ」シリーズ。プレイステーションから始まったそのシリーズの、プレイステーション2用ソフト第2弾。シリーズ初の上・下巻に分かれた大作になっている。ゲームの進め方はDVDのアニメを見るようにストーリーを追いかけていき、要所要所で主人公の行動をプレイヤーが選択。その選択によってストーリーが分岐し、エンディングがいくつも変化するようになっている。そのため、1度終わらせても再度違った視点からストーリーを始めることができるところが本シリーズのポイント。
物語は西暦2000年の東京から始まる。主人公は高校を中退し、大検合格を目指している17歳の少年。そしてヒロインに日本刀を抱えた謎の美少女、小夜。荒廃した現代社会に生きる人々の心の闇を狙う、血(BLOOD)と翼手という存在。その影は、やがて、主人公のもとに忍びより、主人公の呪われた運命が明らかになっていく…。
アニメーション制作は『新世紀エヴァンゲリオン』劇場版を手がけたProduction IG、原案協力には『攻殻機動隊』『AVALON』の監督の押井守、キャラクターデザインには人気CGアーティストの寺田克也を起用するなど、一流のスタッフを迎えた力作だ。(樋口浩二)
『やるドラ』シリーズは未経験だったのですが、この『BLOOD』は、クオリティの高い映像をひと目見て以来、ひかれていたんですよね。やはり、物事は最初のフィーリングが大切。で、プレイしてみると、映像だけでなく、読み込み時間が皆無だったり、画面レイアウトを変更できたりと、システム面もいい感じ。肝心のストーリーは、主人公に深く関わる各4人のキャラを主軸にした4編を基本に、選択肢によりそれらが複雑に分岐&リンクする奥の深い構成で、”やるドラマ”の名に恥じない作品になってます。また、ひとつのエピソードでは判明しない謎も多く、新しいシーンを見つけるために、つい何度もプレイしたくなるのは、やはりストーリーがよく練られているからでしょう。ゲーム中は、普通の選択肢だけでなく、見えない分岐ポイントが存在し、それをBLOODサーチシステム(以下BSS)で探すというシステムのおかげで、毎回緊張感のあるプレイができるのもグー。そのかわり、難易度が高くなるというデメリットにもなったけど。とはいえ、特定のBSSポイント直後ではヒントの鈴が鳴るし、入力受付ポイントでポーズがかかるという特性を利用すれば、自力で全BSSを見つけることもそんなに難しいわけではない。要は憶えゲーなので、根気のあるなしが、このゲームを楽しめるポイントかも。
(電撃王2001年3月号)
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