
庭の地面のあちこちからヒヤシンスが登場。良い匂い。
しかし、春に入ってからずっと馬鹿の一つ覚えみたいに、良い匂い!良い匂い!って繰り返しているだけの気がして恥ずかしい。
言葉で香りを表現しようとしても難しいところがあるんだよな……。色彩に関しては、「赤」とか「青」とか言えば一応通じるし、青っぽい紫とか、灰がかったピンクとか、ある程度細かい表現もできるのに、香りを指し示す共通のポインタって無くないか?色は同じ光線の波形の違いだから一つのスペクトグラム上で語れるけど、香りは無数の成分の複合だから一つの物差しが採用できないって感じなのかな。
そうして思ったのは、そもそも言語化できないくせに、本当に自分はそれぞれの香りを認識できていると言えるのか?ということ。いつも簡単に「ヒヤシンスの良い匂いだー」「沈丁花の香りだー」とか言ってるが、視覚情報なしで本当に香りで把握しているのか?どうなのか?


事前に香りチェックはしないようにして、目を瞑って、ヒヤシンスと沈丁花をランダムに嗅がせてもらう。ちょうど暖かい日なので、庭でランチしながら家族で試してみた。
私は全問正解!ヨッシャー!!ガッツ・ポーズして庭を跳ね回る。ガーデナーの端くれとしての面目が立ったぜ……ってことは、うまく言語化できなくても分かっていることはあるってことだな。つまり言語による思考だけが認識の方法じゃない、暗黙知っていうものがあるということが確認されたとも言えるでしょう。
一方、娘はヒヤシンスの匂いは「あっ、知ってる、ヒヤシンス!幼稚園でよく嗅いだよ」と即答で、他2つは「うーん、違うのは分かるけど、もともと沈丁花と水仙の匂いを分かっていないかも……」と迷って失敗。夫は何度か嗅いでも、ううーん?と首を傾げる感じで、あまり差が分かっていないようだった。
でも、その結果も何となく分かる。嗅ぎ比べてみると香りのベースは共通してるところがあって、香料会社の成分表にも共通成分が見られるし、それぞれの花の特徴ってちょっとした配合の機微って気もする。同じ時期に咲く似た形の花でもあるし、香りの目的や誘引したいターゲットの虫も共通してんのかもな。
長谷川香料株式会社の成分表より:
「香りのミニ知識 植物」- ヒヤシンス:フェニルエチルアルコール、ベンジルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、シンナミルアルコール、シンナミルアセテート、ベンズアルデヒドなど
- 沈丁花:リナロール、シトロネロール、ゲラニオール、フェニルエチルアルコール、ネロリドール、ベンジルアセテート、シトロネリルアセテート、アセトフェノン、β―イオノン、ローズオキサイド、インドール、など
- 水仙:シンナミックアルデヒド、ベンジルアルコール、ベンズアルデヒド、オイゲノール、など
とか思ったら、一年前も同じようなことやってんじゃん!全く記憶になかったよ。よく香りは記憶と結びつきやすいとか何とか、いうけどなあ。
(↓この芳香の塊!猫がいるからお手洗いに飾る)
