日本にルーツを持つアジャイルが、なぜ日本企業では機能しない(しにくい)のか、という長年の疑問に対して、渡辺雅子さんの「論理的思考とは何か」という書籍がヒントになるな、と思ったで紹介します。 「アメリカにおける経済領域の論理的思考を前提としたアジャイル」を「日本の社会領域の論理的思考を前提とした企業に適用する」には、アジャイルの外側に「チームと組織が価値観とすり合わせる時間」を作る必要があると思うのです。 論理的思考とは何か (岩波新書) 作者:渡邉 雅子岩波書店Amazon 論理的思考とは何か本書の主張は「一般的に『論理的思考』を言われているものは、世界共通ではなく、その国の文化に大きく影響を受けている」というものです。特に初等教育における作文教育や歴史教育が影響しているそうです。この論拠や実例については書籍をぜひ読んでいただければと思います。 で、国と論理的思考の違いをまとめたのが以下

「アジャイルサムライ」の著者が語る、技術志向の企業が世界をどう見ているのか? そしてソフトウェアテスト自動化を進化させる方法について(前編)。JaSST'22 Tokyo基調講演 Jonathan Rasmusson(ジョナサン・ラスムッソン)氏はアジャイル開発における著名人の一人であり、さまざまな先進的ソフトウェア企業において開発やテストに携わってきました。 日本ではアジャイル開発の入門書として話題となった書籍「アジャイルサムライ」(オーム社,2011)や「初めての自動テスト」(オライリー,2021)、「ユニコーン企業のひみつ」(オライリー,2017)の著者としても有名です。 そのラスムッソン氏が2022年3月10日と11日の2日間、ソフトウェアのテストに関わる国内最大のイベント「ソフトウェアテストシンポジウム2022 東京」(JaSST'22 Tokyo)の基調講演に登壇しました。

※この記事は、Speee Advent Calendar24日目の記事です。 昨日の記事はこちらtech.speee.jp こんにちは、DX事業本部エンジニアのさとーる(@satotoru2000)です。 先日、学生たちにアジャイル開発によるプロダクト開発の立ち上げを体験してもらうインターンを開催しました。インターンというコンパクトな形で行うことでかえってエッセンスを抽出することが出来たと感じているので、当日にアドリブで色々喋ったことを改めて言語化して整理しようと思います。 Speeeのプロダクト開発ではインセプションデッキやユーザーストーリーなど、アジャイル開発でよく使われれるツールを駆使しながら進めていくのですが、こういったツールは漫然と利用しても意味がなく、事業の成功と紐付けて考える必要があります。形式としてアジャイルの方法論を取り入れても、目的を理解し、勘所をしっかり抑えていなけ
アジャイル開発の外部委託が「偽装請負」だと疑われないためにすべきこと、厚労省が公表した疑義応答集を読み解く(前編)。Agile Japan 2021アジャイル開発において開発担当者を外部のベンダに依頼した場合、必然的に発注側の企業とベンダ側の開発者が1つのチームとなり密なコミュニケーションを行います。 すると、発注側の企業がベンダの開発者の業務遂行に対して具体的な指示を行う、いわゆる「偽装請負」とみなされる可能性があるのではないか? という疑義が以前から呈されていました。 この疑義に対して、どのように対処すれば偽装請負と見なされないか、その指針が今年9月に厚生労働省から「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(37号告示)関係疑義応答集」として公表されています。 オンラインで11月8日に開催されたイベント「Agile Japan 2021 Day 0」では、この疑義応

Agile Studio プロデューサーの木下です。2020年の3月に公開した『リモートアジャイル開発のノウハウ集(第1版)』に続き、このたび第2版を公開しました。こちらからダウンロードいただけます。...

ヤフー株式会社は、2023年10月1日にLINEヤフー株式会社になりました。LINEヤフー株式会社の新しいブログはこちらです。LINEヤフーTechBlog こんにちは! アジャイルコーチの荒瀬です。 ヤフー、および関連会社のアジャイル開発支援や研修を担当しています。 今回はヤフーのスクラム実践者の学習方法についてお話しします。 イベントや研修の中で、スクラムの勉強方法をいろいろな方から質問されることが多かったので、記事にするとより多くの人の役に立つのではないかと思い執筆することにしました。 また、せっかく書くのであれば、ヤフーの中にいるさまざまなスクラム実践者の話も交えると、経験年数別に、より参考になりそうな書籍、セミナーや研修を紹介できるのではないかと考え、ヤフーのスクラム経験者にも協力いただいています。スクラムを始めた頃の自身のことを考えながら、こういう記事があるといいのにと思

社内でLTしたネタ。去年からサポートしているチーム作りのお話。 1週間スプリント 最初は短いサイクルで試行錯誤したいから1週間スプリントでやることにした。 スプリントの終了と開始 金曜日にスプリントレビューとレトロスペクティブとプランニング。 プランニングは2部制にして 第1部では次のスプリントでやりたいことの認識合わせを全員で 第2部では細かいタスクの話をエンジニア中心で やってる。 ストーリーポイントと理想時間を併用してみてる これはだいぶあとの方の話。 最初の頃はチケットのサイズを見積もるのにストーリーポイントだけを使ってたんだけど、半年くらいした頃にストーリーポイントに加えて理想時間の見積もりも併用することにした。 最初の頃に理想時間を導入しちゃうと、頭では分かってても「時間」に引っ張られてしまうので、ポイントだけで始めることにした。で、半年くらいしたころには新しいやり方にも慣れて

(注)ヘンリックの許可を得てざっくり意訳しました。原文は『Scaling Agile @ Spotify with Tribes, Squads, Chapters &Guilds』です。訳に対するヘルプも歓迎します。Thanks Henrik, this article is great for me. プロダクト開発をしている組織において、多角的なチーム構成を実現するのはいつもチャレンジな作業だ! 今まで見てきた中で印象に残っている例がひとつある。それはSpotifyだ。Spotifyは3つの都市にまたがって30以上のチームにスケールしているが、アジャイルなマインドセットをキープし続けている。 Spotifyは音楽産業を一変させている魅惑的な企業だ。創業してから6年しか経っていないのに、1500万ものアクティブユーザーを抱え、400万以上の決済が行われている。また、そのプロダクトは「

先日ふとSNSを眺めていると、「アジャイル」と「ウォータフォール」はあうあわないがあるので、使い分けるのが吉的な意見を見てなんだかもやっとした気分になった。 正直アメリカに来てから「ウォータフォール」を見たことが無い。確かに日本にいたときは使われていた。最近はさすがに「アジャイル」がだんだん主流になっていく流れも見える気がするが、アジャイルが「主流」という感じすらしっくりこない。なんでだろう?アメリカでもアジャイルは「主流」ではない。 日本にいたときの個人的な開発方法論のイメージ 日本に居たときは、実際にウォータフォールが沢山あった。ただし、自分はソフトウェア開発には「ウォータフォール」が効率が良いとは一切感じられなかったので、そのことを書いたら結構炎上した。simplearchitect.hatenablog.com 日本に居る時のイメージは、自分的にはこんなイメージだった。ウォータ

銀の弾とアジャイルについてのメモ (Agile is a Silver Bullet) 2018年10月9日 要点 1986年にソフトウェアエンジニアリングについて書かれたフレデリック・P・ブルックス氏(以下、Brooks)『人月の神話』「銀の弾はない」はすごい(久しぶりに読み返した)。まじリスペクト。本質的な困難と、その攻略を通じて、アジャイル開発を理解するとスッキリする(個人的な見解です)。 はじめにアジャイル開発は、ソフトウェアエンジニアリングにおいて迅速かつ適応的にソフトウェア開発を行う軽量な開発手法群の総称である。アジャイル開発の「なぜなのか(WHY)」や「どのような問題を解こうとしているのか」を、自分なりに整理したかった。その時、Brooks『人月の神話』を改めて読んで、びっくりした。これは、すごいと。 2018年10月9日に書いたメモがある。まだまだ整理や考える余地はあ

デブサミ2020の1日目、「質とスピード」というセッションが人気を集めた。2019年10月に開催されたEngineering Organization Festival 2019で評価の高かったセッションをアップデートして再演したものだ。登壇したのは、テスト駆動開発者として有名な、タワーズ・クエストの和田卓人氏。ライオンのアスキーアートといっしょに紹介されることが多いという。プロジェクトマネジメントにはQCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)という概念があり、トレードオフの関係になると言われている。確かに開発の現場でも、「いまは大事な時期だから、品質を犠牲にしてスピードを優先しよう」といった判断が行われることは少なくない。しかし、和田氏は、ソフトウェア開発の文脈において、逆の効果をもたらすことを、多くの資料を引用して再構築してみせた。 タワーズ・クエスト株式

昨年の10月頃から締め切りのある大きなプロジェクトに参加し、部分的にではありますがプロジェクトマネジメントを担当しました。この記事では、その業務を通して得た見積もりに関する知見をまとめます。教科書的な知識は「アジャイルな見積もりと計画づくり」に依りますので、詳しくはそちらをご参照ください。 見積もりの基礎知識 見積もりは、提供したい機能をどれくらいの期間で実装できるかを予想し、計画について議論をするために行います。見積もりを行うことによって、全くアタリがつかない状態から、「プロジェクトのフェーズがこの辺りなので、平均で N 週間、最悪で 2N 週間くらいかかる可能性があります」などと答えられるようになります。さらに、プロジェクトのフェーズが進んで不確実性が減少すれば「平均で M 週間、最悪で M+1 週間くらいかかります」と答えを正確にできるかもしれません。まさにこれが「アジャイルな計画づ
IPA から アジャイル開発版「情報システム・モデル取引・契約書」が公開された。 【プレス発表】DX推進に向け、アジャイル開発版の「情報システム・モデル取引・契約書」を公開 https://www.ipa.go.jp/about/press/20200331.html 【成果物公開ページ】 https://www.ipa.go.jp/ikc/reports/20200331_1.html 私はこの1年間、IPA の「社会実装推進委員会 モデル取引・契約書見直し検討部会DX対応モデル契約見直し検討WG」の委員としてこのモデル契約書の策定に関わってきた。 モデル契約策定にあたって、私が特に実現できてよかったと思うことを書いていきたい。 準委任契約を前提とすることができた2012年にIPAから出された「非ウォーターフォール型開発に適したモデル契約書」(当時、IPAではアジャイルと言わずに非ウ

海外カンファレンス行ったときに参加者と全然話せなくて英語喋れたらなと思ったけど、そもそも日本語でもあまり話せなかった(;ω;)中村です。 突然ですが、アジャイルなチームになるためのアイデア集「101 ideas for agile teams」を知っていますか?本記事では、2ヶ月間1日1つずつ「101 ideas for agile teams」から、チームワークに活かせると感じたアイデアを日本語でまとめた結果、僕が学んだことをご紹介します。 101 ideas for agile teamsとは 2016年からMediumに投稿されている記事に『101 ideas for agile teams – a collection of ideas on how to improve team work in an agile team –』という英語の連載があります。ざっくり訳すと、アジャ

みなさんこんにちは。@ryuzeeです。 スプリントを始めるには、スプリントプランニングを実施します。 プロダクトオーナーはあらかじめプロダクトバックログの並び順を最新にしておき、プロダクトオーナーはどれを実現したいのかを提示するとともに、開発チームは実際にどれくらい実現できそうなのかを考えた上で、対象となるプロダクトバックログアイテムを選択します。その上で、選択したプロダクトバックログアイテムを実現する方法を開発チームは検討し、作業計画をたてます。 このときに考慮が必要になるのが、スプリントのキャパシティです。 キャパシティとは何かスプリント期間が1週間の場合で考えてみましょう。 1週間スプリントの場合、休日を抜くと5日間になります。その間毎日8時間働くとするとスプリント期間中の総時間数は40時間になります。 しかし、この40時間に人数をかけ合わせたものがキャパシティになるわけではもちろ
アジャイル開発チーム向けのコーチングや、技術顧問、Scrum Alliance認定スクラムマスター研修などのトレーニングを提供しています。お気軽にご相談ください(初回相談無料) みなさんこんにちは。@ryuzeeです。スクラムでスプリント1を開始する前にどんな準備をしておくと良いかについては、Regional Scrum Gathering Tokyo 2018で話をしたのですが、改めて文章化してみました。 なお、かなり長いので関係なさそうなところは適宜読み飛ばしてください。 1. はじめに1.1 この記事の目的スクラムでは、プロダクトバックログが用意されていて、それを元にスクラムチームでスプリントプランニングを実施し、スプリント期間中毎日デイリースクラムを行い、最後にスプリントレビューとレトロスペクティブを実施することになっています。 つまりプロダクトバックとスクラムチームが存在すると
ハンズシェアでは2週間のスプリントを切りスクラムを組んで開発をし、スプリントの終わりにふりかえりをしています。『アジャイルレトロスペクティブ』を読んでふりかえり手法を改善した取り組みを紹介します。 これまでの『ふりかえり』これまでスプリントレトロスペクティブ(ふりかえり)をKPTのフレームワークを使い改善を行ってました。 KPTとは、Keep/Problem/Tryの頭文字を取ったもの 1.Keep(良かったこと、続けたいこと)を出す 2.Problem(問題、開発の妨げになったこと)を出す 3.Try(Keepを更に良くする案、Problemを改善する案)を出す 4.Tryに投票し改善していくことを決めるKPTでのふりかえりをしている中で下記のような問題を感じていました。 ・KPTが形骸化 ・スプリントでやったことをそんなに覚えてない ・チームの問題発見・改善に対してクリティカルなものが

スクラム とは、最近、特にソフトウェア開発の分野でよく使われているバズワードです。この概念は、1995年のOOPSLAでJeff SutherlandとKen Schwaberにより提唱されました。自己組織的なチーム構成と短いスパンの持続可能な繰り返し作業に重点を置くもので、複雑なソフトウェア製品やプロジェクトを扱うためのすっきりとした軽量なフレームワークです。 シンプルで軽量な性質を強みとするスクラムですが、これを導入している企業の約半数が正しく実践できていないと思われます。では、一見すぐに使えそうな手法なのに、実践するのが非常に難しいのはなぜなのでしょうか。その理由と、これを確実に成功させるために講じるべき対策を見ていきましょう。 1. 組織の賛同が得られていない どういう タイプの企業であろうと、何かを変えようとすれば必ず直面する最大の課題であると言えるのが、これです。スクラムも例外

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