井上淳一 @gomikari 脚本家・映画監督。脚本・監督作『いきもののきろく』が3月7日よりテアトル新宿ほか全国順次公開。『青春ジャック 止められるか、俺たちを2』が「映画芸術」ベストワン。脚本作『アジアの純真』『REVOLUTION+1』『福田村事件』等。監督作『戦争と一人の女』『大地を受け継ぐ』等。著書「映画評論家への逆襲」 井上淳一 @gomikari 生まれて初めてイオンシネマで映画を観て、あまりの画面の暗さに驚く。他のシネコンとは全く別モノ。事情通に訊くと、イオンシネマは、プロジェクターの寿命をもたせるために照度を下げているか、寿命を超えたプロジェクターを使い続けているために照度が下がっているという。 2025-02-17 17:44:39 井上淳一 @gomikari しかも、スクリーンが大きい1〜3劇場(IMAX含む)は照度を下げると届かなくなるので普通で、スクリーンが小さ

この内容なら上映時間は50分前後でよかった。間違いなく山田尚子監督がこれまで作ってきた『けいおん!』から『リズと青い鳥』までに培ってきたものの総決算だし、また作家として次のステップへ進もうと表現の挑戦をしているのもわかる。映画館で観なくては体験できないシーンも多い。 しかし僕には上映時間101分がちょっと冗長に感じられた。ふと映画の途中で隣の席に座る短い髪の男を見るとウトウトとしていた。これは挑戦を生かしきれていなくて、『リズと青い鳥』でやったことからあまり前進できていないせいかもしれない。それなら挑戦したい部分を凝縮して短くまとめたほうがタイトな完成度になった(『ルックバック』が公開されたいま、80分を切るアニメート中心の中編アニメはやりやすくなりそうでもあるが)。 その挑戦とは何か。映画館で本編の前に『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』と『ふれる。』の予告編が流れたのだが、それらと『きみ

アニメ映画の多くは、「たとえ話」として機能する。「アニメをつくる行為」自体が、現実世界を構成する諸要素を分解して「誇張と省略」の作法によって再構築することだから、情報を巧みにコントロールすることで、現実の認知を再定義できるからだ。 8月30日公開のアニメ映画「きみの色」は、そういうタイプの作品である。山田尚子監督初となる完全オリジナルの長編で、挑戦的でありながら口当たりは優しい。ひとつの青春を疑似体験した感覚が、客電が点灯した後も残り続け、劇場を出たとき外界が再定義されたように瑞々しく見えるし、脳内にいつまでもテーマソング「水金地火木土天アーメン」が響きわたり、心の中に定着した体験性は清涼感とともに残っていく。 脚本は吉田玲子、音楽は牛尾憲輔と、「映画 聲の形」(16)、「リズと青い鳥」(18)、「平家物語」(21)から続くメンバーが、阿吽の呼吸で支えた点も、映画の芸術性や説得力を高めてい

対談した山田尚子監督と新海誠監督「けいおん!」「映画 聲の形」「リズと青い鳥」「平家物語」等で知られる山田尚子監督が、オリジナル劇場アニメーション映画を創り上げた。人が色で見えるトツ子と才色兼備のきみ、音楽好きのルイの3人がバンドを組む「きみの色」(8月30日公開)だ。公開に先立ち、「君の名は。」「天気の子」「すずめの戸締まり」の新海誠監督との特別対談が実現。独自の“色”を持つふたりが、創作論から監督ならではの悩みに至るまで、とことん語り合った。(取材・文/SYO、編集/大塚史貴、撮影/奥野和彦) 新海:僕が最初に山田さんの作品に触れたのは「けいおん!」でした。社会的に大ヒットした作品ですが、アニメーションそのものの新しさや面白さ、楽しさ、可愛さすべてが当時衝撃で「キャリアや世代がかけ離れているような、自分から遠い人が作っているといいな」と思っていたんです。自分と全く違う属性の人が作ってい

新海誠監督の最新作『君の名は。』(2016)、『天気の子』(2019)に続く、新海誠の監督映画『すずめの戸締まり』(以下映画『すずめ』)は、前2作に続き、災害によって切断された日常を補綴する若年の男女の物語を描いた、観客の期待の地平をいっさい裏切らないエンタメ大作である。 九州・宮崎在住の高校生・岩戸鈴芽が登校中に出会った東京の大学生・宗像草太は、代々「閉じ師」と呼ばれる職能を司る家の末裔であった。閉じ師は、全国の廃墟に存する「後ろ戸」と呼ばれる扉を、儀礼を用いて閉じるという「家業」を受け継ぐ。後ろ戸は「すべての時間が同時にある場所」にして「死者の赴く場所」である「常世」と繋がっており、開くと中から「善くないもの」が出てきてしまうという。その後ろ戸を偶然開いてしまった鈴芽は、そこに配置されていた「要石」を引き抜いてしまい、大地震を引き起こす「みみず」と呼ばれる存在をこの世に出してしまう。草

節目は2012年。この年がどういう年かといえば、細田守監督の『おおかみこどもの雨と雪』があり、庵野秀明総監督の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』があり、長峯達也監督の『ONE PIECE FILM Z』があった――と固有名詞を並べれば、おおよその想像がつくのではないだろうか。 この年、スタジオジブリ作品が不在でありながら、アニメ映画の興行収入合計が初めて400億円を超えたのである。そしてそれ以降、アニメ映画の興行収入は400億円を下回ったことがなく、多い年では600億円を超えることもある。 この背景にシネコンの定着、アニメ映画の制作本数の増加といったビジネス状況の変化があることは間違いないが、それをここで論じるのは止めておこう。 ここでまず目を向けたいのは「スタジオジブリの90年代」「活況の10年代」の間に挟まれたゼロ年代であり、この時期は10年代を担う作り手たち、10年代を牽引するシリーズ

タイプ・あ~る @hitasuraeiga 庵野監督が『シン・ゴジラ』を撮る前の段階で「こういう映画を作りたい」と東宝側にプロットを提出したら、プロデューサーの要望で濃厚な感情ドラマや恋愛要素が足された脚本が出来上がってきたらしいので、映画でもTVでも割とよくある話なんだろうなぁとは思う >RP pic.twitter.com/gjmZn98SXy 2024-02-10 12:15:22 タイプ・あ~る @hitasuraeiga プロデューサーが感動的なドラマや恋愛要素を入れたがるのは「その方が売れる(ヒットする)」と考えているからでしょうけど、大事なことは「その作品にとって本当に必要なものは何か?」だと思います(なお庵野監督の証言の出典元は「ジ・アート・オブ シン・ゴジラ」です amzn.to/3SzPXSz) 2024-02-10 18:48:52

総評130点ヤッター! 点数の基準は「上映時間+映画料金を払ったコストに対して満足であるなら100点」。多分世間では娯楽映画という評価であり、事実娯楽映画なんだけど、ゲームという文脈においてガチだった(この辺後で詳細語りますわ)で130点なのでした。 130点の理由見終わった瞬間、あれ、この映画って存外、なんか手堅くまとまってて100点くらいなのかな? 娯楽映画としてよくできているけれど、やっぱ弱点はあるよね、とは思ったのです。 主人公マリオの悩みみたいなものも、その克服も描かれてはいたんだけれど深い描きというよりはあっさりと乗り越えたし、アクションシーンの出来はどれも良かったんだけどアクション娯楽映画にありがちな失点として、アクションシーンの連続になりすぎて、ドキワク感が全体でのっぺりしちゃったところは実際にある。 あと、これはフォローしがたいけどエンドクレジット後のおまけカットみたいな
![[映画感想]ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2fb1638cdb5807a4788e4ba3c1109a984166e095fc%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Fanond.hatelabo.jp%252Fimages%252Fog-image-1500.gif&f=jpg&w=240)
NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」(土曜後7・30)が16日、放送され、番組内で映ったあるシーンにSNSが沸いた。 ディレクターが書生としてスタジオへ通うことを条件に、撮影が許された、宮崎監督やスタジオジブリの2399日の記録映像をまとめた番組。13年に一度は長編アニメからの引退を宣言したものの復帰し、今年7月に公開された「君たちはどう生きるか」の製作過程を追った。 若き日から盟友であり、超えるべき壁だったアニメーション監督の高畑勲さんが、18年に死去。高畑さんへの愛憎に似た思いと、最新作と高畑さんとの関係性などが明らかになった。迫り来る老いや、死生観について語る場面もあった。 同作の絵コンテが完成しても、机に向かい続ける宮崎監督。作画監督の本田雄氏は「退屈が死ぬほど嫌だから。次やらないって言ってるけど、やるんじゃないですかね?」と、創作意欲の火が消えない様子を表現した。 番組のラス

映画館に足繁く通っている方であれば、一度は耳にしたであろう上映イベント「午前十時の映画祭」。今年で12回の開催を数え、現在開催中の第12回では計29作もの名作映画を全国の映画館で上映している。 振り返れば2022年『シン・ウルトラマン』『仮面ライダーBLACK SUN』、そして『タローマン』など、挑戦的な特撮作品を目にすることが出来た1年だったが、その “大トリ” を飾るかのように12月16日(金)からの4週間かけて『空の大怪獣ラドン 4Kデジタルリマスター版』が「午前十時の映画祭」企画タイトルとして上映される。 オリジナル版は1956年の公開で、1954年の初代『ゴジラ』の公開から僅か2年後にして「初のカラー東宝怪獣映画」として上映。歴史的に見ても挑戦的であるが、この度劇場上映される4Kデジタルリマスター版の製作においても「上映当時の色彩の再現」を念頭としたこれまでに無い挑戦が成された。

14日に公開されたスタジオジブリの宮崎駿監督(※崎はたつさき)が手がける10年ぶりの長編映画『君たちはどう生きるか』の興収情報が18日、東宝より発表され、公開4日間で観客動員135万人、興行収入21.4億円を突破した。この数字は、東宝によると「2001年公開同監督作品『千と千尋の神隠し』(最終興収316.8億円)の初動4日間の興行収入を超える記録」と説明した。 この記事の写真はこちら(全2枚) また、2013年7月20日公開の前作『風立ちぬ』との興行収入対比では150%を超える好発進となっている。 全国441館(通常:384+Dolby Cinema:9+IMAX:48)で順次上映された同作は、公開されるまで物語のあらすじはおろか、予告映像やキャスト情報も一切発表しない異例の宣伝で注目を集めていた。 これについてスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーは、「映画の内容を事前に一切明かさない」
マリオ映画公開記念!宮本茂さんインタビュー 制作の始まりから驚きの設定まで2023.04.252024.09.28インタビュー 「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開を前に、本作のプロデューサー・宮本茂さんのインタビューが実施されました。 制作の始まりから深い制作秘話、マリオたちのアッと驚く秘密まで、どうぞお楽しみください。 ※映画の内容のネタバレはありません Profile 宮本 茂 任天堂株式会社代表取締役フェロー。マリオの生みの親として知られる。 任天堂とイルミネーションの共同制作、その密な関わり Q スーパーマリオの映画化における宮本さんの役割や、任天堂がどのように制作に関わっていたのかを教えてください 宮本:本作は共同制作ですから、任天堂側も自分たちの制作物のひとつとして、スタートから「一緒に作りましょう」という形で始まりました。 配給のユニバーサル・ピクチャーズ

なるべく毎週火曜日に映画を観て、一週間寝かしてツイキャスで喋る。 その内容をテキスト化する再利用式note、「一週遅れの映画評」。 今回は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』です。 ※※※※※※※※※※※※※ さて、これは困った。困ったぞ……とここ一週間ずーーーっと思ってるんですよ。 まぁこれは悪いことなんですけど、どうしてもこうやって毎週映画の話をするぞ! と思ってると見る前から勝手に身構えてしまうわけですよ。つまり「この作品はこんな感じだろうから、ま~大体こういう映画評になるんだろうなぁ」って。 ただその事前に想定している通りになることってあんま無いわけ。そこらへんは良くも悪くもではあるんですが、それでも「やっぱ観ずに作品を語ることなんてできないよねぇ」って毎回強く思うし、事前の決め打ち通りにいかないことで「私はちゃんと作品と向き合えてるな」って安心したりもするわけですよ。 でね

TOHOシネマズTOHOシネマズ株式会社は1日、6月1日より映画鑑賞料金を改定すると発表した。エネルギー価格の高騰や円安による仕入れコストの上昇、アルバイト人件費や各種設備投資における負担増等によって、企業努力だけではこれらの吸収は困難だと判断し、料金改定に至ったという。 【画像】こんな時代も…懐かしの映画看板ギャラリー 対象はTOHOシネマズ全国71拠点、6月1日(木)上映分から変更となる。改定内容は以下の通り。 ADVERTISEMENT 一般 1,900円→2,000円 シニア 1,200円→1,300円 レイトショー 1,400円→1,500円 ファーストデイ 1,200円→1,300円 シネマイレージデイ 1,200円→1,300円 TOHOウェンズデイ 1,200円→1,300円 なお、大学生、高校生、中学生、小学生、幼児の鑑賞料金改定はなく、障がい者割引も現行の1,000円

[インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー ライター:稲元徹也 カメラマン:増田雄介 任天堂とイルミネーションが贈る,スーパーマリオブラザーズの世界を原作としたアニメーション映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」。2023年4月5日に北米での公開がスタートし,世界の興行収入がすでに1000億円を突破(関連記事)している大ヒットムービーが,本日(4月28日)ついに日本でも公開された。 公開に先駆けて実施されたジャンパンプレミア(関連記事)の翌日(4月19日),マリオの生みの親であり本作の共同プロデューサーを務めている,任天堂代表取締役フェローの宮本 茂氏への合同メディアインタビューが実施された。本稿ではそこで語られた,映画制作の経緯や制作時のエピソード,作品への思いが語られたインタビューの模様をお届け
![[インタビュー]任天堂・宮本 茂氏が語る映画化への思い。「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」日本公開記念合同インタビュー](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2f52a9d99dc06029157ed74f35052f9ddad3e292f8%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Fwww.4gamer.net%252Fgames%252F999%252FG999905%252F20230425001%252FSS%252F002.jpg&f=jpg&w=240)
――『スーパーマリオブラザーズ』の発売から約38年経過していますが、なぜこのタイミングでの映画化になったのでしょうか? 宮本マリオがデビューしたころに、アメリカでミッキーマウスとマリオの人気調査があって、そのときにマリオのほうが人気という結果になったんですよね。それで「ミッキーマウスを抜きましたけど、どんなお気持ちですか?」ともてはやされたりしたのですが、「40~50年間、生き続けているミッキーマウスと新参者のマリオを比べることがおかしいです」という話をしたことがあって。でも、そのときにふとミッキーマウスはアニメーションといっしょに育ってきたので、マリオもデジタル技術といっしょに育っていこうかなと思ったんです。 それがすごくいいキッカケになって、「新しいハードが出たら(マリオのゲームを)1本作ろう」と。だから、これまでの歴史を振り返ってもらえるとわかると思いますが、同じハードではたくさん作

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