日本の中絶手術は、子宮の胎児を掻き出す「掻把(そうは)」が一般的だ。だが、先進国では服薬で済ませる方法が主流になっている。フランスと日本で流産を経験した大阪大学元副学長・刑法学者の島岡まな教授は「20年前ですら、フランスではたった一粒の服薬で処置できた。日本が遅れている背景には、女性が自己決定権を持つことが許されていない現実がある」という――。(聞き手・構成=ライター堀内敦子 前編/全2回) 自分の体なのに「男性の同意」が要るなんて もう、天国と地獄の差がありました。 25年ほど前、ここ大阪に来てから流産したときの話です。出血したため婦人科に行ったら「ああ、これはもう手術ですね」と言われ、3日くらい入院することになりました。当時、結婚していたフランス人の夫がちょうどそのときはフランスに戻っていたんです。 それなのに「手術には夫の同意が要る」と病院に言われたんですね。そうした「同意」はあれか

少し前に、日本の医師がグアムで解剖学実習を行ったのをSNSに上げたことが炎上した。 投稿自体はすぐに消されて、数日後に謝罪の記事を出していたけど、謝罪の内容となかなかひどかった。炎上の内容はここではあえて詳しくは書かないけれど、この件を受けて「自分が死んだら献体することを考えていたけど、今回の件でやっぱりやめようと思う」という書き込みが散見されて、非常に悲しい。 大多数の真面目な医師、医学生の真剣な学びが、たった1件のネット上の書き込みに邪魔されるのは耐えられないので、この記事を書こうと思いたった。 ここでは、医学部の解剖学実習がどのように行われるのか、医学生がどのようにご献体に敬意を払っているのか、また払うように教えられるのかということを書いていこうと思う。 大前提として、献体というのは100%本人と遺族の意思によって行われる。だから、あなたが今回の件を受けて、あるいはその他の理由でも

〈目次〉 経緯 診断の資料 精神科医の倫理本来の診断基準 星新一の日常 投影 誇張されたエピソード 名誉の毀損 母親への複雑な思い 森鷗外も 人格否定と利益追求 岡田氏に回避性と診断された著名人 岡田氏に愛着障害と診断された著名人 岡田氏にパーソナリティ障害と診断された著名人 量産される書籍 見解の公開へ 朝日新聞出版からの「お知らせ」 最相葉月さんの見解 佐藤光展さんの動画 【参考資料】アメリカ精神医学会の定める回避性パーソナリティ障害診断基準 経緯本年6月、朝日新聞のAERAdot.に〈星新一の人生に学ぶ「生きるのが面倒くさい人」の理想の働き方〉という記事が掲載されました。 精神科医である岡田尊司氏の著作『生きるのが面倒くさい人 回避性パーソナリティ障害』(2016年 朝日新書)を宣伝する記事でした。 星新一が回避性パーソナリティ障害(回避性人格障害)であるという岡田氏の診断を前面
2018年6月9日、カリフォルニア州ロサンゼルスで行われたWBCスーパーウェルター級タイトルマッチで、オースティン・トラウト氏(白のトランクス)と対戦するジャーメル・チャーロ氏(ゴールドのトランクス)。この試合は、チャーロ氏が判定勝ちした。(PHOTOGRAPH BY JAYNE KAMIN-ONCEA, GETTY IMAGES) パンチドランカーと患者が言われることもある「慢性外傷性脳症(CTE)」は、記憶障害、認知機能の低下、行動の変化といった症状が、通常は中年期から徐々に進行する神経変性疾患だ。アメリカンフットボール、アイスホッケー、ボクシング、総合格闘技など、接触が多いコンタクトスポーツの選手のほか、軍人や家庭内暴力の被害者など、繰り返し頭部に外傷を受けた場合でも発症する。(参考記事:「爆風の衝撃 見えない傷と闘う兵士」) CTEは現在、死後の解剖によってしか確定診断できないが、
自閉症の人を治す方法はあるのか?自閉症に対する正しい医療ケアとは何か?自閉症をもつ子供を助けるためには何をすべきか?友人が自閉症の息子をメキシコのクリニックに連れて行き、自閉症を治すという漂白剤を飲ませました。 しかし、かえって重症化してしまいました。友人の息子は深く悩むことが増え、行動も後退してしまいました。 メキシコではこの種のクリニックが平然と運営されています。 このようなことを止める方法はないのでしょうか? 自閉症とは、社会的相互作用の困難さ、定型的な反復運動、言語能力の遅れなどを含む状態です。 言語の遅れがない自閉症の人もいます。 自閉症は重度の障害を持つ人から、診断が非常に微妙なほど軽度の障害を持つ人まで、スペクトラム症状であることを認識しなければなりません。 正しい診断は、専門家であっても複雑です。 自閉症の知的能力は、重度の認知障害から通常の知能をはるかに超えるものまでさ

小林化工の小林広幸代表取締役社長は4月16日、福井県あわら市の本社で会見を開き、申請書類の一部に虚偽の記載があったことなどから、12品目の製造販売承認が通り消される見通しであると発表した。これまでは製造部門での不正が報告されてきたが、新たに研究開発部門でも不正が見つかったことになる。小林社長は問題が起きた原因について、「有望なジェネリック製剤については、多くのメーカーが製造販売に向けて開発に凌ぎを削る中で、特許切れ後すぐに承認をとろうとしたことがこうした不適切な行為の背景にあった」と営利に走った結果であることを認めた。ガバナンスの欠如が指摘されるなかで、自らの進退にも改めて触れ、「解決への道筋をつけたうえで、なるべく早い段階で辞任ということを考えている」と述べた。 ◎「売り上げがないと生き残れない」-。出荷優先の意識が全社にあった 小林社長 「製薬企業としてある程度の売上高がないと生き残っ
絵画『死の勝利』(ピーテル・ブリューゲル、1562年)には、社会に壊滅的な打撃を与えた疫病と戦争がヨーロッパ人の想像力に残した強烈な印象が描き出されている。(PHOTOGRAPH BY ORONOZ/ALBUM) またたく間に世界を大きく変えてしまった新型コロナウイルス感染症。わたしたちの暮らしや社会が今後どうなるのか心配な人は多いだろう。 関連ギャラリー:黒死病からコロナまで【感染症、歴史の教訓】画像20点 だが、世界を大きく変えたパンデミックを人類が経験するのは初めてではない。その最たる例が中世の「黒死病」だ。歴史上、黒死病の大きなパンデミックは3度あった。1665年の英国ロンドンや19世紀~20世紀にかけても猛威を振るったが、史上最悪の規模となったのは1347年から1351年にかけてヨーロッパを襲った黒死病だ。なんと当時の欧州の人口の3分の1が命を落としたとされる。 中世ヨーロッパ

アメリカのバイデン新大統領は就任初日の20日、トランプ前政権が打ち出していた、WHO=世界保健機関からの脱退の撤回を命じる大統領令に署名しました。脱退の方針を撤回することで、新型コロナウイルス対策で、国際協調を重視する姿勢を明確に打ち出しました。 ホワイトハウスのサキ報道官は20日夜、日本時間の21日午前、初めての記者会見を開き、バイデン新大統領がWHOからの脱退の撤回を命じる大統領令に署名したことを明らかにしました。 WHOについて、トランプ前大統領は去年、新型コロナウイルスをめぐる対応が中国寄りだと批判し、資金の拠出をやめたうえで、ことし7月に脱退することを国連に正式に通知していました。 これに対し、バイデン新大統領は大統領選挙の期間中から脱退を撤回すると訴えていました。 脱退の方針を撤回することで、新型コロナウイルス対策で、国際協調を重視する姿勢を明確に打ち出しました。アメリカはW

主要評価項目であるCOVID-19関連肺炎患者の臨床状態の改善および主要な副次評価項目である死亡率の低下は、いずれも未達 COVACTA試験は、重症COVID-19関連肺炎の患者集団を対象にアクテムラを評価した初の二重盲検プラセボ対照無作為化国際共同第III相試験 中外製薬はロシュと協働して、抗ウイルス薬との併用での試験を含め、アクテムラの重症COVID-19関連肺炎治療に関する開発プログラムを継続 中外製薬株式会社(本社:東京、代表取締役会長CEO:小坂 達朗)は、アクテムラ®(トシリズマブ)の第III相COVACTA試験において、主要評価項目である重症COVID-19関連肺炎による成人入院患者の臨床状態の改善を達成しなかったことをお知らせいたします。また4週目時点の死亡率の差など、主要な副次評価項目も未達でしたが、退院までの期間についてはアクテムラ投与群では20日、プラセボ投与群では

大久保容疑者が経営するクリニックを家宅捜索し、押収品を運ぶ捜査員=23日午前11時25分、宮城県名取市) 全身の筋肉が動かなくなっていく神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)を発症した京都市中京区の女性に薬物を投与して殺害したとして、京都府警が、嘱託殺人の疑いで、呼吸器内科医の大久保愉一容疑者(42)=仙台市=と、医師の山本直樹容疑者(43)=東京都=を逮捕した事件で、大久保容疑者は、厚生労働省の医系技官として約7年半働いていたことが、関係者らへの取材で23日分かった。 また、医師2人のうち大久保容疑者は「高齢者は見るからにゾンビ」などとネットに仮名で投稿し、高齢者への医療は社会資源の無駄、寝たきり高齢者はどこかに棄てるべきと優生思想的な主張を繰り返し、安楽死法制化にたびたび言及していた。 大久保容疑者が記したとみられるブログ「高齢者を『枯らす』技術」やツイッターには、安楽死に賛同する投稿

新型コロナウイルスの感染拡大で、安倍総理大臣は、対策本部の会合で、感染症の専門家をメンバーとする新たな会議を設置し、医学的な知見を踏まえて対策の強化を図るとともに、各地の自治体と連携して検査や治療体制の拡充に全力を挙げる考えを示しました。 この中で、安倍総理大臣は「これまで以上に医学的な知見を踏まえた対策の検討を進めていくため、本日、この対策本部のもとに第一線で活躍する感染症の専門家の方々を構成員とする専門家会議を設置し、対策をさらに一層強化していく」と述べ、医学的な知見を踏まえて、対策の強化を図る方針を明らかにしました。 また、国内でウイルスへの感染が相次いで確認されていることを踏まえ「せきや発熱があるなど症状に不安がある場合は、まずは近くの相談センターに相談してもらいたい。感染が疑われると判断された場合は、診療体制の整った医療機関に確実につなぐ体制をしっかり構築している」と述べました。

A colored transmission electron micrograph of the H.I.V. virus, ingreen, attaching to a whiteblood cell, in orange.Credit...NIBSC/Science Source Forjust the second time since the global epidemic began, a patient appears to have been cured of infection with H.I.V., the virus that causesAIDS. The news comes nearly 12 years to the day after the first patient known to be cured, a feat that researc

2017.03.02 「発達障害は親のせい」はデマ。発達障害の診断は、これからを考えるためのステップ 児童精神科医・姜昌勲さんインタビュー 「発達障害は親の愛情不足のせいであり、近頃は親のしつけがなっていないので発達障害が増えている」という言説がある。近年、保守派の議員に浸透していると指摘される、一種の教育思想「親学」が、同様の主張を展開していることは有名だろう。しかしこうした言説は、決して特定の思想をもった人々だけに見られるようなものではない。今回お話を伺った、奈良市にある「きょうこころのクリニック」の院長で、『あなたのまわりの「コミュ障」な人たち』(ディスカヴァー携書)や『各分野の専門家が伝える 子どもを守るために知っておきたいこと』(メタモル出版、著者多数)などの著者でもある姜昌勲先生はこう話す。 姜「『あんたのしつけが悪いから、子どもが発達障害になった』と話す人は臨床現場でも頻繁に

日本でジャーナリストの堤未果氏の「沈みゆく大国アメリカ」が売れているという話を聞き、本を読ませて頂きました。エッセイとして読む分には非常に読みやすくて、ストーリーも面白かったのですが、内容に関しては事実誤認が多く、ミスリーディング(Misleading = 人を惑わす、誤らせるもの)な記載が多いと感じました。オバマケア(アメリカのオバマ大統領が2010年に導入したアメリカの医療改革制度)のことを日本の人達が誤って理解してしまわないようにという願いも込め、私のこの本を読んで感じた3つの問題点をご説明させて頂きます。 問題点①:オバマケアに関する数多くの事実誤認もしくは歪曲 一つ目は、オバマケアおよびアメリカの医療制度に関する数多くの事実誤認です。著者のリサーチが不十分であったのか、(オバマケアは悪者であるという)まず結論ありきのストーリーラインに合わせるために意図的に事実が歪曲されているのか

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