肥満の科学 ヒトはなぜ太るのか 作者:リチャード・J・ジョンソンNHK出版Amazonとにかく現代は太りやすい時代である。食べ物は安くてカロリーの高いものがいくらでもあり、そのうえおいしいので、ブレーキがないといくらでも食べてしまう。ラーメン、焼き肉、生クリームがたっぷり乗ったアイス。シーズンごとにスタバの新作も出て──と、気を抜くと現代の人間はぶくぶくと太ってしまう。 現在アメリカでは人口の30〜40%が肥満(BMI30以上)で、10〜12%が糖尿病だという。日本ではBMI30以上の肥満者は4.5%だが基準を少し下げてBMI25以上でみると、20歳以上で男性33.0%、女性22.3%(厚生労働省「国民健康・栄養調査報告」による)である。そのため多くの人がダイエットに励み、糖質制限から16時間断食まで数々のダイエット法が出てくるわけだが、そうそう簡単にうまくいくものでもない。 で、本書『肥

「早川書房 夏のKindle超ビッグセール」が2024年7月17日(水)まで開催中です。SFの不朽の名作から、さまざまな学問領域のエッセンスが分かりやすく学べるノンフィクションまで、名著ぞろいの早川書房の電子書籍3,000点以上がなんと50%OFF! そこで今回は、ソレドコ編集部メンバーに「おすすめの早川本」をプレゼンテーションしてもらいました。集まった作品紹介の数々を、フィクションとノンフィクションに分けてご紹介します。 記事を参考に、仕事終わりや週末に読める本を探してみてはいかがでしょう? 👇気になる作品をタップでジャンプできます 【フィクション】 『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(上・下) 『宇宙【そら】へ』(上・下) 『春にして君を離れ』 『時の娘』 『.....絶句』(上・下) 【ノンフィクション】 『スイッチ! 「変われない」を変える方法』 『欲望の見つけ方お金・恋愛・キ

言いたいこと:「少女小説をラノベに含めても無視してもボコボコに叩かれる」という難しい状況がある。 女性向けが省かれるラノベ150選いま、ライトノベルのオールタイムベストを選出する作業が進められている。 ラノベが社会に認められるためには、売り上げだけが唯一の評価軸である現状では差し障りがある。文化としての成熟には体系化と批評の存在が必須であり、その一歩としてたいへん意義のある活動と言えるだろう。 その暫定的な成果であるラノベ150選が先日公開された。 あくまで叩き台であり、作品数的にもより拡張した形を目指していくようだが、現時点でも各年代に目の行き届いた、ラノベの歴史の流れを俯瞰できる内容となっている。 ただ、この手の企画はどのような基準で選んだとしても、あれがないこれがないという不満はどこかから出てしまうものだ。ラノベ150選も例外ではない。 その中で今回特に目についたのが、「女性向け作品

昨年2023年は、2021年に次ぐ「友人の出版」の当たり年で、たくさんの友人の本を読む機会に恵まれました。中には、夫婦で同じタイミングで出版が決まった人たちも! そのほかにもたくさんの本を読んで、良かった本をなかなか絞りきれなかったので、20冊ほど紹介することにしちゃいます! 20位 喪の日記 ロラン・バルト 喪の日記 新装版 みすず書房Amazon この本は、「本の読める店 fuzukue」というブックカフェで見つけて読みました。 (この「fuzukue」もとてもユニークなシステムで素敵なお店だったんですが、これについて書くとそれだけで1記事分になってしまうので割愛) この本は、哲学者のロラン・バルトが、母親を亡くした時の心情を綴った日記。 まるで、詩集や合唱曲の歌詞を読んでいるような気持ちになった1冊。学術書の出版社として有名な、みすず書房の本といえど、日記・散文なので比較的短時間で

スレイヤーズのTogetterまとめみてたらしたくなってきたー! ということでしていきます そもそもライトノベルの歴史というものを語る時に、ライトノベルというものが「オタクカルチャーの交差点である」という事実に目を向けなければなりませんライトノベルというのはとかく、他のオタクカルチャー(漫画、アニメ、ゲーム、鉄道、ミリタリー、最近だとVtuberとか)にめちゃくちゃ影響を受けやすいジャンルです これはそもそも出自が出自で、 まず前提としてライトノベルの前身として、「時をかける少女」や「ねらわれた学園」などのSF的なジュブナイル小説があり、 「なんて素敵にジャパネスク」を書いた氷室冴子や新井素子の諸作品による現代の口語体を使った文体表現を使った少女小説があり、 D&Dが日本に来て、派生のゲーム群であるドラクエやらFFが売れたりしたおかげで、TRPGが流行、それらのリプレイ集も人気になり、

この本を読みました。 江戸の読書会 (平凡社ライブラリー0871) 作者:前田 勉 平凡社Amazon こんど新しく仲間を集めて読書会をすることになり、その課題本となったので読みました。忘れるといけないので、記録を残します。 江戸時代の学校や塾で、学問(中国の思想書を読むこと)が行われていたとき、「会読」という形式の学び方がポピュラーだったという事実があります。この事実を出発点に、会読とは実際どのようなことをしていたのか、どうしてポピュラーだったのか、どのくらいポピュラーだったのか、この学び方の社会的意味や影響はどんなものだったのか、といったことを検討する本です。 好きか嫌いかでいうと学問の話が好きな僕にとっては、本の中に描かれている江戸時代の会読の様子には胸を熱くさせられました。一冊の本を肴に、ああでもないこうでもないと言い合うのは楽しいものです。 現代の日本では、高学歴が将来の地位や

この本を読みました。 ソーシャルメディア・プリズム――SNSはなぜヒトを過激にするのか? 作者:クリス・ベイル みすず書房Amazon この本では実験から、なんとなく真実と思われていることとは反対の結果を提示します。この本で一番重要なのはこれです。 「エコーチェンバーに捕らわれた人は、そのエコーチェンバーのなかで偏った意見を過激にしていくからよくない」は正しくない。 これが示されることで、たとえば「ツイッターやフェイスブック、グーグルのアルゴリズムが、偏りを強化するからよくない」とか言えなくなるし、「陰謀論の拡散は現代の脅威だ」とかも、それは的を外しています、で片付いてしまいます。 扱っている内容に深みや広がりがある本というよりは、この一ネタをコンパクトに提示する内容の本です。多くの人がなんとなく信じちゃってることと反対のことを主張するので、いろいろ盛りだくさんにするよりはこんなふうに一

今年もなんとか年末までたどり着きましたね。毎年書いている今年面白かった本を紹介する記事です。 今年は本屋(蟹ブックス)で働き始めたということもあって、今までよりも幅広い本を手に取った一年だったように思います。あと、去年はなぜか短歌くらいしか読めなくなっていたけど、今年はエッセイとかをまた楽しく読めるようになってきました。うれしい。エッセイを書く気力もわりと戻ってきたので、2024年はまたエッセイ本を出したいなと思っています。まあ、できる範囲でやっていきたいですね。無理せず、死なないように。 マンガ 鶴崎いづみ『私のアルバイト放浪記』(観察と編集) 大山海『令和元年のえずくろしい』(リイド社) 大白小蟹『うみべのストーブ』(リイド社) 坂上暁仁『神田ごくら町職人ばなし』(リイド社) 岩波れんじ『コーポ・ア・コーポ』(ジーオーティー) 新井英樹『SPUNK - スパンク!』(KADOKAWA)
いつもhontoサービスをご利用いただきありがとうございます。 ハイブリッド型総合書店サービス「honto」ではネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)とリアル書店を連携したサービスを展開しておりますが、2024年3月31日をもって「本の通販ストア」のサービスを終了することと致しました。 2012年5月のサービス開始以来、多くのお客様にご愛顧賜りましたこと、深く御礼申し上げます。 サービス終了後の2024年4月1日以降「honto」は電子書籍ストアのサービスは継続し、本の通販に関して「e-hon」との連携を開始致します。 只今honto経由でe-honにて紙の本をご購入いただくとe-honポイント4%(通常ポイント+3%)付与キャンペーンを実施中ですので是非ご利用ください。くわしくはコチラ また、2024年7月2日に丸善ジュンク堂書店ネットストアがオープン致しました。 詳しくは 丸善ジ

WAKEMI Akira 釆睪 晃 @awakemi 京都にある大谷大学の教員。手持ちの時間と能力とを無視した好奇心に振り回されて、しばしば義務の履行を忘れる。基本的に独り言で、色んな性質のものがゴッチャです。あまり他人様にお見せできるようなものではないかも知れません。真宗大谷派恵日山長光寺の住職でもあります。 https://t.co/uc5p6MEwVA WAKEMI Akira @awakemi 今回のノーベル文学賞発表の報道で印象的だったのは、受賞者発表されても日本には書店に並べる日本語訳がないという状況だった。 ノーベル文学賞を受賞するほどの人は既にいくつもの賞を受賞していたりノミネートされていたりする。そういう人の作品が日本語に訳されていないというのだ。2023-10-06 07:30:36 WAKEMI Akira @awakemi 文学は、外国語が日本語に最も翻訳されやす

作者本人に作品を「ブックオフで買いました(中古で購入しました)」と伝えることの是非についてTwitter上の一部で話題になっているようです。 個人的な考えでは「別に相手に伝える必要がないことをわざわざ本人に伝えなくていい」ということに尽きます。 これで終わるとさすがにどうかと思うので、もう少し細かく考えていきますね。 「現行で普通に売っている作品(大前提です)を、それを普通に買うことが可能な環境にある人間が、作者には1円も収入が入らない中古で購入したということ」を本人に伝えることの是非を問われているわけですよね。「ブックオフでしか買えない環境(経済的な問題、地域的な問題)の人もいる」みたいな話は極論ですし、それにしたって、購入先をわざわざ伝える必要があるかという話にはなります。あと、中古で購入することの是非とは全然ちがう話です。中古で本やCDを買うこと自体は悪くないですし、自分もよく買いま

漫画評論家・米沢嘉博さんが「少女マンガは『愛』『自己と世界』を中心に展開してきたともいえる。それによって、少女マンガは独自のモチーフ、テーマを選びとり、スタイルを完成させていった」(『戦後少女マンガ史』 / ちくま文庫より)と言っているように、少女漫画は明治時代の少女雑誌の誕生以降、独自の発展を遂げてきた。そして近年では媒体の多様化や読者層の変化により、一層複雑な変化を続けているように思う。 カルチャーシーンの「これまで」と「これから」を考える、CINRAメディア20周年特集「Crossing??」。今回は、ここ20年の少女漫画の流れを、個人の体験とともに振り返りたいと思う。ご登場くださったのは、文筆家として活動されているひらりささん。1989年生まれで、雑誌最盛期の90年代から漫画雑誌を読みはじめたというひらりささんの少女漫画史をお伺いしながら、作品やヒロインの変化、そしてそこから見える

ケアの倫理と共感 作者:マイケル・スロート 勁草書房Amazon この本は邦訳の発売直後、2021年の年末に当時もらった図書カードで購入済だったのだが積んでいたところ、先日の日本哲学会のワークショップに向けて、『もうひとつの声で』に続いて読んだ、という次第である。……ちなみに原著は10年ほど前、大学院生時代に指導教授と一緒にゼミで読んでいる。しかし例によって内容はさっぱり覚えていなかった。また、この本の内容はなかなか難しく、ゼミで読んだときにはわたしだけでなく指導教授もピンときていないというか微妙な反応をしていた記憶がある。 ケアの倫理ついて書かれた本といっても必ずしもいわゆる「規範倫理学」とか「倫理学理論」とかについて書かれているとは限らず、代表的なところでは『もうひとつの声で』はインタビューに基づく心理学の本であり、規範に関してはかなり曖昧なことしか書かれていなかった。 また、ネル・

現代思想入門 (講談社現代新書) 作者:千葉雅也 講談社Amazon 大学生から大学院一年生の頃までのわたしはいっちょまえに「哲学」や「思想」に対する興味を抱いており、哲学書そのものにチャレンジすることはほとんどなかったが、様々な入門書は読み漁っていた。現代思想については難波江和英と内田樹による『現代思想のパフォーマンス』でなされていた紹介をもっとも印象深く覚えており、次点が内田樹の『寝ながら学べる構造主義』や竹田青嗣の『現代思想の冒険』。個別の思想家についてはちくま新書の『〜入門』やNHK出版の『シリーズ 哲学のエッセンス』を読んでいたが、とくに後者についてはあれだけ何冊も読んだのに一ミリも記憶が残っていない。そして、修士論文を書くために英語圏の倫理学や政治哲学の本をメインに読むようになってからは現代思想に対する興味はすっかり薄れて、以降ほとんど触れなくなってしまった。 千葉雅也による

遅ればせながら、昨年2022年下半期に読んで良かった本の紹介、今回も行いたいと思います。今回は、新書も小説も短歌集も学術書も全部ごちゃ混ぜのランキングです! 17位 「18歳選挙権」で社会はどう変わるか 「18歳選挙権」で社会はどう変わるか (集英社新書) 作者:林大介 集英社Amazon 著者を含んだトークイベントが数年前にあり、その時に購入し、途中まで読みかけていたままでしたが昨年、読了しました。 何気に一番印象的だったのは、冒頭に出てくる、著者の娘さんのセリフと、それに対する著者の姿勢です。選挙ポスターを見た幼い娘さんの「私は女だから、女の人がいい」と考えることを尊重する姿勢がまず、印象に残りました。 16位 言語が消滅する前に 言語が消滅する前に (幻冬舎新書) 作者:國分功一郎,千葉雅也 幻冬舎Amazon 哲学者ふたりの対談本。千葉雅也さんは、サイゼリヤのメニューの番号表記

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