性に関する議論は、真面目にやろうとしてもさまざまな困難に直面しやすい。 「いやらしい」と生理的な反発を買うこともある。本来の主旨からはずれて「いやらしい話をしたいのかな」と誤解をされることもある。キワモノ扱いされるのも珍しくない。 さらには「あなたの立場はどうなのだ」と政治的なスタンスを問われ、うかつに答えると糾弾されるリスクもある。 日本史の研究者、高木まどか氏(東京都公文書館専門員)もこうした問題に常に向き合っている一人だ。高木氏の研究テーマの一つは、江戸時代の吉原遊廓。当然、文献資料の研究がメインとなるのだが、テーマならではの苦労があるようだ。 「あなたはこういう制度を許容、肯定するのか」 ある種の人達は、現在の価値観で過去を裁こうとする。そして時に研究者に対しても何らかの潔癖性を求めるのだ。これは対象が「戦前の日本」の場合でも見られることだろう。 こうした問いに研究者はどう向き合い

サケは一生に1度しか産卵しませんが、ニジマスにサケの細胞を移植することで、サケの卵を繰り返し産ませることに成功したと東京海洋大学の研究グループが発表しました。サケの養殖の効率化や資源の保護などに役立つと期待されています。 サケは数年間、海を回遊した後、生まれた川に戻って一生に1度の産卵を終えると死んでしまいますが、ニジマスは成熟したあとは死ぬまで毎年、産卵を続けます。 東京海洋大学の吉崎悟朗教授の研究グループはキングサーモンなどから精子や卵のもとになる「生殖幹細胞」を取り出して、ふ化したばかりのニジマスに移植しました。 実験施設の水槽で飼育を続けたところ、2年ほどでニジマスは成熟してオスはサケの精子、メスはサケの卵を持つようになり、双方を人工的に授精させるとサケになりました。 さらに、これらのニジマスはその後も毎年、サケの精子と卵をそれぞれ持つようになり、メスは卵を産み続けました。 研究グ

To no one's surprise, the Nobel Prizegoes to ClaudiaGoldin Here are 3 things from her to start your dive into her work: pic.twitter.com/JlRtaULpBx — Brian Albrecht (@BrianCAlbrecht) October 9,2023 彼女の業績で最も受賞に貢献したと思われるのは、「制度的な男女平等が達成された後にもなぜ経済的な男女不平等が続いているのか?」という論点に対して、「女性が育児のために労働から退出することによって生じる」(子無しなら男女の所得に差はない)という議論の先鞭をつけたことだろう。その論点について、公式の一般向け説明を抜粋して紹介しよう。 We can now see that the earnings ga

元東大大学院生でレースクイーンという異色の経歴を持つReina+Worldさん(レイナワールド、以下レイナ)。「16キロのダイエットに成功」「東大でゴキブリ研究していた」などの話題でたびたびネットニュースにも取り上げられている。一体彼女はどんな人なのか。話を聞くと、浮かび上がってきたのは“ブラックラボ”など大学研究現場の闇だった――。【徳重龍徳/ライター・エンタメ評論家】 【写真】レイナさんのレースクイーン姿 レイナさんが芸能活動を始めたのは千葉大学の学生だった19歳の頃。最初は地下アイドルとして活動した。 「大学に入ってから作曲を始めたんですが、ステージで表現したいと思うようになって地下アイドル活動を始めました。ソロアイドルで、やっているのは自分で作曲した曲。アニメ『マクロスF』のシェリル・ノームが好きで、お腹出して、ちょっとセクシーな感じでやっていたんですが、多くの人が好きなアイドルア

市販薬の「オーバードーズ」、過剰摂取で救急搬送された患者100人余りを調べたところ、平均年齢は25.8歳で8割近くが女性だったことが国の研究班の調査でわかりました。 多くの人は家族などと同居していて、研究班は「周囲とつながりがあっても、言いだせないような悩みや生きづらさを抱えているとみられ、周りの人は目を配ってほしい」と話しています。 この調査は埼玉医科大学病院などが参加する厚生労働省の研究班が実施したもので、去年12月までの1年8か月間に、解熱鎮痛剤などの市販薬を過剰に摂取して救急搬送された122人について調べました。 その結果、平均年齢は25.8歳で最年少は12歳だったほか、男女別では女性が79.5%、男性が20.5%でした。 職業別では最も多いのが学生で33.6%、次いでフルタイムで働く人が26.2%などとなっていて、8割以上の人が家族やパートナーと同居していました。 また、搬送され

地政学、流行ってますよね。 書店にはだいたいどこでも地政学の本が置いてありますし、Youtubeでも解説動画がたくさんUPされています。 地政学とは、「国の政策を、主として風土・環境などの地理的角度から研究する学問」(日本国語大辞典)とされます。地理学と政治学を組み合わせたもの、という説明がされることもありますね。「地理が分かれば国際情勢が分かる!」という点が地政学の魅力としてよく語られます。 しかし一方で、地政学に対する批判も、(世間的な影響はともかく学術方面では)根強くあります。 「まあそうだよね」と思う人は、この記事は特に読まなくても大丈夫です。それほど目新しいことは書いていません。 この記事は、「あれ、地政学って面白そうなのになんで批判されてるの?」と思った人を想定読者としています。 いったい、地政学のどういうところが批判されてきたのでしょうか。今回はそれを解説していきます。 注意

積極財政派の政治家は少なくありませんが、その多くは政府支出を増やすことに積極的であっても、減税にはあまり積極的ではないようです。減税も政府支出拡大もどちらも財政政策なのですが、なぜか人気があるのは公共事業等の政府支出拡大です*1。実際には、減税と政府支出ではどちらがより効果的なのでしょうか。 単純なケインズモデルの答えは、経済学部生ならよく知っているでしょう。ケインズモデルを信じるならば、同じ金額の景気対策をするのであれば、政府支出を増やす方が減税よりも効果的です。政府支出は総需要を直接的に増やすのに対して、減税の場合、減税で可処分所得が増えた人が消費を増やしてはじめて総需要が拡大します。ですから、景気対策としては減税よりも政府支出の方が有効であるというのが教科書的な答えです*2。 しかし、現実に政府支出の増加が減税よりも有効性が高いのかといえば、実は実証研究の多くはむしろ反対の結果を支持
和歌山県串本町沖などに生息する「ホンソメワケベラ」が、自らの写真を見て自分だと認識できることを、大阪公立大の幸田正典特任教授らの研究グループが発見した。研究結果は7日、米科学誌オンライン版に掲載された。 チンパンジーやゾウ、イルカなどは、鏡に映った姿を見て自分自身と認識することができる。これまで研究グループは、ホンソメワケベラも同様に鏡に映る自分を認識できることを解明していた。 今回の研究では、ホンソメワケベラが鏡に映った自分自身を認識したことを確認した上で、当該個体の写真の喉の部分に、寄生虫に似たマークを書き加えたものを見せた。すると、写真を見た8個体のうち6個体が、マークがついていた部分を砂などにこすりつけ、寄生虫をとろうとする行動をみせたという。マークのない自分の写真やマークのある別個体の写真を見せても、同様の行動はとらなかった。 さらに、どこを見て自分と判断しているかを解明するため

ensen-y @ensen_y 電気学会のニュースレターに心を傷つけられる多数の学生員 >>研究室では「デートはゼミより優先」というルールを定めている。さらに余談ではあるが、このルールを利用してくれる学生がほとんどいないことが大きな悩みである。 出典: IEEJ Industry Applications Society News Letter2022 9月号 pic.twitter.com/9dnYg5JDW22023-01-01 17:16:16 ensen-y @ensen_y 出典 熱海 武憲, 職人気質エンジニアとオンデマンド配信, 電気学会論文誌D(産業応用部門誌), 2022, 142 巻, 9 号, p. NL9_1, 公開日2022/09/01, Online ISSN 1348-8163, Print ISSN 0913-6339, doi.org/10.154

オスだけを狙って殺す細菌タンパク質を発見!オスだけを狙って殺す細菌タンパク質を発見! /Credit:Canva「ボルバキア」は昆虫の半数以上に感染していることが知られている「最も成功した寄生者」と言われています。 成功の秘訣は、性システムのハイジャックでした。 これまでの研究により、ボルバキアが感染すると宿主には①オス殺し、②オスからメスへの性転換、③メスだけでも生殖できる単為生殖能力の獲得④ボルバキアに感染した卵子しか精子が受精しなくなる細胞質不和合など、4種類の変化が起こることが知られています。 これら4種類の変化は性システムのハイジャックによって発生しており、どの場合でも感染したメスを増やす方向に働きます。 ボルバキアは細胞内部に感染するタイプの寄生者であり、通常感染の他に卵子に紛れ込むことで母から子へと遺伝子のように伝染することが可能です。 そのためボルバキアは感染した種内でメ

イギリスの名門大学・マンチェスター大学の研究者が、少年のキャラクターを描いた日本の漫画で自慰行為をした際の体験についてまとめた論文を査読付き学術誌に掲載して物議を醸し、論文が削除されました。 Removal notice: I am not alone – we are all alone: Using masturbation as an ethnographic method in research on shota subculture in Japan - Karl Andersson,2022 https://doi.org/10.1177/14687941221096600 University investigates PhD student’s paper on masturbating to comics of ‘young boys’ | UK news | The

本記事のまとめ 新型コロナウイルス治療薬ゾコーバは「緊急承認」見送りに 理由は主に以下の3つ(特に1つ目) そもそも治験で全く結果を出せていない上,後付け解析など禁じ手も 非代替性がない(3 剤目の内服薬,プロテアーゼ阻害薬としても2剤目) 安全性でも先行 2 剤に対し特に利する点がない 今後,第 3 相試験完遂後に通常の審議プロセスが行われる予定(11月以降)

2年8カ月ぶりに日本へ一時帰国し、早稲田大学での研究会に出席している最中に、安倍晋三元首相が襲撃されるという衝撃的なニュース速報が入った。その数時間後、偶然にも事件に関係する論文を筆者は発表することになった。 筆者が新しいデータ(後述)に基づいて再検証した理論は、ラリー・ザ・フラッグ効果(rally ‘round the flag effect、苦境にはせ参じる、の意味)と呼ばれるものだ。1970年にJohn Mueller氏が提唱したこの理論は、戦争やテロ攻撃などの国難時に大統領(あるいは首相)や政権党に対する支持が高まるというもので、多くの政治学者によって実証的な研究が蓄積されてきている。 では、今回の襲撃事件は選挙結果に影響を及ぼしたのであろうか。本稿では、この問いに対して、データを活用した現代政治学の知見を基に考察したい。また、事件に関連した報道に関しても、実験政治学の先行研究を基

20年ほど前に性についての倫理を主題にした論集に「セックスワーク」についての寄稿を求められた。まったく不得手な論件だったけれども、苦心して書いた。なんという本だったか忘れてしまった。たしか岩波書店から出た論集だと思うけれども、もう手元にない。 考えていることは昔と変わらない。今はもうこんなにきつい書き方はしないと思うけれど。 はじめに 最初に正直に申し上げるが、私自身は、セックスワークについて専門的に考究したこともないし、ぜひとも具申したいような個人的意見があるわけでもない。ときどき、それに関する文章を読むが、数頁(場合によっては数行)読んだだけで気持ちが沈んできて、本を閉じてしまう。困ったものではあるが、私を蝕むこの疲労感は、必ずしも個人的なものとは思われない。 私の見るところ、この問題については、どなたの言っていることにも「一理」ある。ただし、「一理しかない」。異論と折り合い、より広範
社会問題の原因を「社会」ではなく「ゲーム」に求めるのは、あまり賢くないようです。 米国のステッソン大学(Stetson University)で行われた研究では、ゲームの女性キャラをセクシーに描いたとしても、プレイヤーの幸福度や精神状態には悪影響がみられず、女性差別や女性蔑視にかんする行動を誘発することもないことが示されました。 「暴力的なゲームをすると暴力犯罪者になる」「性的なゲームをすると性犯罪者になる」という社会問題の原因をゲームの仮想体験に求める主張は、一見するとあり得そうにも思えます。 しかし人間の脳や精神は「〇〇をすると〇〇になる」が常に成立してしまうほど、単純な仕組みではないようです。 それなのになぜ、大きな社会問題が起こるたびに、ゲームを原因として上げる人々が一定数、登場するのでしょうか? 研究内容の詳細は2022年10月付で『Computers in Human Beha

世の中は見た目が良い人の方が有利である。 ならば見た目が悪い人は保護するべきではないか。 この主張を掘り下げてみた。 ブサイクを法律で守る 目次に書かれたこの章題を見た時、「さすがに無茶だろ」と思った。しかし本を読み進め、この章にたどり着いた時には「たしかに一理あるな」と変わっていた。読んでいた本は『美貌格差 ―生まれつき不平等の経済学』である。 美貌格差―生まれつき不平等の経済学 作者:ダニエル・S・ハマーメッシュ東洋経済新報社Amazon本書は、人の容姿による経済的な影響を示した本である。多くの人が直感的に「美人は得で、ブサイクは損」であると思っている。だがそれは、どの程度の差なのか、男女で容姿が収入に与える影響は異なるのか、といったことは、人によって意見が異なるだろう。本書はそれを定量的に調査した研究を示すのが良い。 そうやって容姿の経済的な影響を調べていくと、やはり容姿が優れてい

重要なお知らせ(2025/7/5)本記事の内容を踏まえ、以下に記事でより分かりやすく、丁寧に要点をまとめて書き直しました。以後はこちらの参照を強く推奨いたします。 ※この記事も以下に残します。 更新履歴2022/6/5 Twitterでのご指摘から、Bhuller et al.(2011)がKendall(2007)の「ポルノが性暴力の代替となる」(代替効果説)の内容を批判しており、代替効果説の信頼性に嫌疑があることが判明したため、それを付記。2022/6/6 Ferguson(2022)の翻訳文を一部訂正(趣旨に大きな変更なし)。2022/6/7 Kendall(2007)の信頼性に関する嫌疑を受け、本文および「まとめ」の文言を修正。uncorrelated氏が検討したブログ記事へのURLを追記。2022/6/9 また後日のuncorrelated氏のブログ記事より、Bhull

「日本人の成人男性の1300万人、約3.5人に1人が早漏で悩んでいる」との調査結果があるように、射精に至るまでの時間が本人の意思に反して過度に短くなる早漏は多くの男性にとって悩みの種です。そんな早漏を、副作用のリスクや治療コストが少ない「陰茎に30分電極を貼り付ける」という治療を行うことで、射精までの時間を約7倍にすることができたと報告されています。 Transcutaneous dorsal penile nerve stimulation for the treatment of premature ejaculation: A noveltechnique - ScienceDirect https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2214388222000054 Scientists reckon they'vegot

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