1.はじめに 2.統計は仮説から生まれる 3.統計は表現物である 4.データはメディアであり表現である 【今回の参考文献】 1.はじめに 統計学やデータサイエンスが持て囃されるようになって久しい。 しかし、社会問題に関する議論で統計やデータを重視する立場の人々の間では、データや統計に対するある誤解が流布しているように思う。 その誤解とは主に以下のようなものだ。 ・統計やデータは客観的な事実であり、個人の主観的な意見よりも信頼できる。 ・統計やデータを根拠にした主張は、そうでない主張より正しい(確率が高い)。 ・統計やデータを使えば、個人的な体験を根拠にした感情論や主観的な感想を述べるだけの議論を避けることができ、有意義な議論をすることができる。 おそらく、多少なりともデータリテラシーがある人であれば上に挙げた三つの思い込みは間違いだというのが分かるだろう。もしくは、条件付きであれば正しいが

2年8カ月ぶりに日本へ一時帰国し、早稲田大学での研究会に出席している最中に、安倍晋三元首相が襲撃されるという衝撃的なニュース速報が入った。その数時間後、偶然にも事件に関係する論文を筆者は発表することになった。 筆者が新しいデータ(後述)に基づいて再検証した理論は、ラリー・ザ・フラッグ効果(rally ‘round the flag effect、苦境にはせ参じる、の意味)と呼ばれるものだ。1970年にJohn Mueller氏が提唱したこの理論は、戦争やテロ攻撃などの国難時に大統領(あるいは首相)や政権党に対する支持が高まるというもので、多くの政治学者によって実証的な研究が蓄積されてきている。 では、今回の襲撃事件は選挙結果に影響を及ぼしたのであろうか。本稿では、この問いに対して、データを活用した現代政治学の知見を基に考察したい。また、事件に関連した報道に関しても、実験政治学の先行研究を基

7月10日に投開票が行われる参議院選挙の1つの論点が、家計の暮らし向きの変化だ。 与党は日本全体での賃金の総額が(物価を加味した)実質でも上昇傾向にあるとして実績を強調する一方で、野党は雇用者1人あたりで見た実質賃金の低下傾向が続いていると批判している。 「日本全体の賃金総額の増加」と「1人あたり実質賃金の低下」は、実は矛盾しない。 2012年から2021年にかけて、女性や高齢者を中心として日本全体で雇用は477万人増えた。新たに働き始めた人や定年後再雇用された人の賃金水準は、労働者の平均的な賃金水準より低い。このため、これらの雇用の増加は、日本全体で見た賃金総額を増加させる一方、労働者1人あたりの賃金水準を押し下げるのだ。 それでは、世帯で見た暮らし向きはどう変化しているのだろう。大和総研では、(1)20代単身男性、(2)20代単身女性、(3)30代4人世帯、(4)40代4人世帯、(5)

はてな民がよく出す説って予想の範疇を超えてないからね。 統計データもあるにはあるけど細部まで探ってないので立証不可能だから。 とりあずよくある説を振り返ってみようか?男女で職種が違うから説現在ある調査データは業種別しかない。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2021/dl/05.pdf 一応同業種内でも男女差はあり女性が低いことは低いので単純に男女差があるとも言えるが 同業種の中でも職種(事務、現場、営業etc)が違うので、男女で職種が違うからとも言える。 結局職種まで調査してくれない限り、どれだけ罵り合っても決着つかない。 3K仕事しないせい説、ラクなところに行くせい説、役職なりたがないせい説男女で職種が違う説と似ているが、こちらは「女性がそれを自ら選んでいる」というニュアンスが含まれている説。 こ

いわゆるマルヨ無線強盗殺人放火事件。マルヨ無線川端店に元店員の尾田死刑確定者と少年が押し入り、店員2人をハンマーで殴るなどして重傷を負わせ、現金を奪って逃走。その際に石油ストーブを転倒させて放火し、店員1人を焼死させたとされる。捜査段階の自白などから有罪となる(読11.8.24夕)。動機は尾田死刑確定者が現場で働いていた時の処遇で抱いた恨みや金銭欲と認定された(朝日16.12.31朝)。尾田死刑確定者は死因の一つとされる放火を否認。一審公判審理中、約2か月間公判手続きが停止され、精神科の病院に強制入院させられた。病状回復した直後に脱走、翌日収監された(西日本68.12.24夕)。99年第6次再審請求(朝日99.1.13朝)。2016年12月時点で第7次再審請求中。2023年2月、弁護団は、福岡地検が新たに五十数点の証拠を開示したと公表。それまで地検が「存在しない」と説明していた証拠も含まれ
はじめに 1.事実やデータによって科学理論は証明できるか? 2.そもそも科学にとって事実とは何か? 3.事実・データと検証の関係 4.「それってあなたの感想ですよね」「なんかそういうデータあるんですか?」 5.本当の問題と科学的正しさについて 【参考文献】 はじめに 科学に対するよくある勘違いは、科学は事実やデータといった科学的根拠に基づき何が正しいかを証明する学問だというものだ。 実際、「お前の意見は事実やデータがない間違った意見だ」という批判や「お前の言っていることは科学的に証明されていない仮説に過ぎない」という批判はよく見られる。 このような批判の根本には科学的根拠がある=科学的に証明されているという誤解が存在する。 今回は科学と事実(あるいはデータ)の関係について整理しながら、科学に関する一般的誤解について書いていく。 1.事実やデータによって科学理論は証明できるか? 科学に対する

I remember as a child thinking that Alaska was as large as 1/2 of the continental US. Later, however, I learned that whileit is the largest state,it is actually only about 1/5 the size of the lower 48 states. My son has also remarked thatGreenland is very big. And whileit is very big,it’s nowhere near the size of the continent of Africa. Themap above shows the distortion in sizes of countrie

さまざまなデータを地理空間情報として重畳する上で有用なPythonのライブラリであるGeoPandas。前編ではGeoPandasを用いたデータの描画方法など基礎的な扱い方を紹介し、後編では衛星データと組み合わせて解析結果を可視化する方法を紹介します。Pythonで地理空間情報を行う場合、GeoPandasの使い方を覚えておくととても便利です。 例えば、都道府県別の気象データを持っていたとします。そのテーブルデータ(csv)には地理情報と言えば、都道府県の名称くらいしかありません。このような場合、これを日本地図の上に重畳して可視化することはできません。 しかし、このデータに地図上に描画できる情報を与えることさえできれば、好きなデータを地図の上に重ねることができます。このようなことをしたい場合に、GeoPandasの使い方を知っておけば助けになります。 今回は、簡単な例を通じて、GeoPa

編集 榎本敦、前田絵美子、五十嵐孝、綱島雄太、久保田昌幸、有年由貴子、富田美緒 ディレクション 清水明、久能弘嗣、安田翔平 デザイン・マークアップ 安田翔平、森田優里、伊藤岳、山田達 プログラム 森川将平、中川万莉奈

先日からMarketing Nativeさんで書評連載を始めました。書評と言っても、本を読んで感じたことや思ったことをツラツラと紀貫之しただけで、どちらかと言えば自分の気付きポイント列挙になってしまいました。 連載第一回にあえて堀栄三の『大本営参謀の情報戦記 情報なき国家の悲劇』を選んだ理由は「そろそろマーケティング界隈の"データ分析"に対する誤解を解いていきたい」と考えたからです。 「データ」と言っても、データの範囲はGAやサチコや媒体の管理画面に掲載されている定量データだけではありません。デプスインタビュー、口コミ、他にソーシャルリスニングなど様々な定性データがあります。 「分析」と言っても、統計学や機械学習、データサイエンスだけが分析ではありません。顧客の解像度が荒いから高める、答えが無い問題に自分が納得できる意思決定を下す、仮説を立てるために案を作るなども分析です。 つまり、Goo

最近の社会学バッシングにおいて「査読がないこと」に並んで使われがちな「社会学者の上野千鶴子が『自分に不利なエビデンスはもちろん隠す。それを悪いと思ったことはありません』と発言した」というエピソードについて。 ※その件についてのTogetterまとめ https://togetter.com/li/1214735Twitterで検索したところ、2018年4月2日にこのエピソードが話題になったようだ。(元ツイートは現在アカウントが凍結されているらしく、現在閲覧することができないため、元ツイートに最初に言及したと思われる閲覧可能なツイートのリンクを以下に示す) https://twitter.com/rionaoki/status/980726397747408896?s=19 まとめの中で貼られている画像は何度か引用されているらしく、高村氏のツイート以前にもこのツイートで引用されている。(h

マスメディア報道のメソドロジーマスメディア報道の論理的誤謬(ごびゅう:logical fallacy)の分析と情報リテラシーの向上をメインのアジェンダに、できる限りココロをなくして記事を書いていきたいと思っています(笑) 緊急事態宣言が都道府県ごとに解除される中、ハッキリ言ってピントがズレているのは、専門家会議が感染者の【空間分布 spatial distribution】を定量的に把握することなく、都道府県ごとの感染者数の時間変動のみを参考にブレイン・ストーミングによって緊急事態の解除の可否を検討していることです。 緊急事態の空間的な解除を見極めるにあたって、本当に重要なことは、特定地域の感染率の空間分布の挙動が時間の経過とともにどのように変化しているかという【時空間挙動 spatio-temporal behaviors】を把握することです。また、同一都道府県内においても歴然とした【不

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