ピロリ菌感染は胃がんの原因の一つである。主な原因であると言っていい。ピロリ菌が胃がんを引き起こすメカニズムもだいぶ明らかになっているが、よしんばメカニズムが不明であっても、疫学研究からピロリ菌と胃がんの因果関係は証明されている。 ただ、ピロリ菌感染が胃がんの原因だと言っても、ピロリ菌に感染していなくても胃がんになる人もいれば、ピロリ菌に感染していても胃がんにならない人もいる。報告によっても差があるが、ピロリ菌に感染していると、感染していない場合と比較してだいたい5〜10倍ぐらい胃がんになりやすい*1。ピロリ菌感染と胃がんの関係は、喫煙と肺がんの関係と同じぐらいの強さで、HPV(ヒトパピローマウイルス)と子宮頸がんの関係よりは弱い。 「胃がんの99%はピロリ菌が原因」という主張があるが、さすがに99%というのは過大評価である。仮に胃がん患者の99%がピロリ菌陽性であったとしても、その中にはピ

将来の胃がん予防のため、中学生を対象にピロリ菌の検査・除菌に乗り出す自治体が出てきた。除菌に使われる薬には副作用もあり、専門家はデメリットを含めた正確な説明が必要だと指摘する。 中3対象、費用は県負担 「早い段階でわかってよかった」 佐賀市内に住む中学3年の男子の母親(37)はこう話す。男子は、佐賀県が今年度始めたピロリ菌検査で陽性と判定された。今夏、除菌のために抗生物質など4種類の薬を朝夕2回、1週間服用し、再検査で除菌が確認された。費用は県の負担。母親は「再感染はゼロではないが、胃がんにつながる要因を若い時に消せた。自己負担だとなかなか受ける機会がなく、下の子もいるので事業をこのまま続けてほしい」と話す。母親自身も近く検査を受けようと考えているという。 佐賀県では、同意が得られた中学3年生を対象に、学校検診の検尿の残りを利用して、ピロリ菌感染を調べている。陽性と判定されると便による2次

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