書店の粗利率の改善を掲げて、紀伊國屋書店(以下、紀伊國屋)、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(以下、CCC)、日本出版販売(以下、日販)の3社が、2023年に「ブックセラーズ&カンパニー」(以下、BS&Co.)を設立しました。まず、いきさつからうかがえますでしょうか。 BS&Co.代表取締役社長・宮城剛高さん(以下、宮城):BS&Co.は、紀伊國屋が筆頭株主となっており、私自身は紀伊國屋からの出向です。 BS&Co.設立の大元には、紀伊國屋書店代表取締役会長でBS&Co.の会長も務める高井昌史が、日本の書籍流通のあり方に大きな問題意識を持っていたことがあります。具体的には、「書店は粗利を改善していかないと、ビジネスが成り立たない」ということです。 ここでおさらいをしますと、現状の配本制度では書店の利益率は粗利ベースで22%、取次が7~8%で、残りが出版社という配分になっています。本は高額

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/contents/PDF/syotenplan.pdf 「書店活性化プラン」の中で公取が出版社団体、書店団体に定価とマージン改善に向けて「説明」(おそらく行政指導)すると記述があった。 これは歴史的な転換点である。 公取は長らく、本の定価を下げさせ、値引きや割引類似行為の規制を緩和して本屋に安売りさせる方にしか介入してこなかった。ところが、その逆をやると示したわけだから。これまでの流れについては『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』で書いた。 今回の方針転換(たぶん)についてもこれから記事を書きます http://www.torikyo.jp/topics/data/20250527/file.pdf 先日の日本取次協会が出版社向けに行った説明会でも、再販契約下で現状の定価設定では取次を介した出

今も続く書店の減少と一方で、それに抗する動き 次第に社会的関心が広がりつつあるとはいえ、「街の書店が消えてゆく」流れはまだ止まっていない。 ただ、このところ、新聞やテレビがこの問題を大きく報じるようになってから、それに対抗する動きも拡大しつつある。 ひとつ大事な点は、市民や自治体が支える体制を作ることで街の書店を存続させるということだ。本を入手する利便性などではネット書店にも優位性があるが、街のリアル書店は、単にそれだけではない、地域の文化的拠点としての側面も持っている。そうした機能に、住民がどれだけ自覚的になれるかは、書店再生のための大きな要素だ。 しかし、そうはいっても、街の書店が存続の危機にさらされている現実はある。続けたいとは思うが、経営的に成り立たないという書店も少なくない。 そうした状況をどうやって変えていくか。個々の書店の取り組みだけでなく、もっと大きな構造的改革が必要ではな

株式会社丸善ジュンク堂書店 株式会社トーハン このたび株式会社丸善ジュンク堂書店と株式会社トーハンは、出版流通改革の共同プロジェクトを開始致します。本プロジェクトでは読みたい本を読みたい時に確実に買える環境を構築し、読者の利便性を高めることで書店の収益改善を目指して参ります。 具体的な取り組み内容 (1) 商品供給インフラの整備2022年10月から桶川書籍流通センター(桶川SRC)の運用を開始し、読者需要に応じたタイムリーな商品供給を実現します。 元日を除く年間364日出荷体制、出版社倉庫とのEDI連携、PODを活用した製造供給体制を組み合わせ、読者のあらゆる注文に応えられる供給インフラの整備に取り組みます。 (2) 書店の粗利益率改善 トーハンと出版社が協力して進めている「マーケットイン型販売契約」について、丸善ジュンク堂書店で本格運用を開始します。本施策は読者需要に応じて書店が意思を
株式会社トーハン(本社:東京 代表取締役社長 近藤敏貴)と、大日本印刷株式会社(本社:東京 代表取締役社長:北島義斉 以下:DNP)は、生活者を起点とする出版流通改革に向けて、全面的な提携を行うことに合意し、具体的な取り組みを開始します。 【今回の提携主旨】 トーハンと DNPは、両社の強みを活かして、「読者に、読みたい本を確実に届け、読者の裾野を広げていく」ため、出版流通を持続可能なものとすることを目指し、生活者起点の出版流通改革「出版デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組むこととし、2021年4月1日に合意書を締結しました。 【出版流通の現状と課題】 日本の出版流通に関わる出版社・取次・書店等のステークホルダーは、従前から流通の継続・維持と収益改善に努め、一部に返品率削減などの改善効果も表れ始めています。一方、市場全体の売上減少傾向は続いており、さらにネット通販の拡大等によ

第73回 これからの出版社とこれからの書店 2019.02.27更新 今年に入って、書店をとりまく動きが活発だ。 なかでも次の三つを個人的に特筆したい(最後のひとつは、かなりの痛みをともなっている)。 ひとつは、青山ブックセンターの店長山下さんの「出版します」宣言。書店である青山ブックセンターが、書籍を発刊し、自社で販売すると発表した。 二つ目は、アマゾンの「買い切り直仕入れ」方針の発表。出版取次を介さず出版社から直接買い入れ、返品しないやり方進める、と打ち出した。 最後のひとつは、一月下旬に突然倒産した大阪の名店「天牛堺書店」の倒産。 ひとつは「書店発出版」、ひとつは「中抜き取引」、ひとつは「倒産」。一見、別物に思える三つだが、この三者を串刺しにする共通点が実はある。業界に深く根ざす構造的な問題がそれだ。 出版社-書店間の「不平等条約」。 近頃、はっきりとこう思うようになってきた。出版社

リトルスタッフかんのです。Twitterではご報告していましたが、本屋さん専用のサービスを新たに作りました。 「仕入れたけど残ってしまった在庫を本屋同士で融通しあうためのマーケットサービス」です。 このサービスを作った背景 僕がメインで活動しているリトルスタッフのTwitterで本に関するアイデアを求めたとき、回答の一つとして頂きました。 https://twitter.com/ryotakure/status/1075211913808642048 久禮さん以外にも同じようなアイデアを頂いたり共感を頂くことがあったため、作って試してみることにしました。サービス名は"本の融通市場"です。 (業界内でのサービスなので名前にあまりこだわりがないのですが、最終的に変えるかもしれません) 出品する側は「仕入れたものの在庫が余ってしまった」場合に、購入する側は「仕入先が少なくて困っている」場合にお

株式会社トーハン(代表取締役社長近藤敏貴、以下 当社)は、日本出版販売株式会社(代表取締役社長平林彰、以下 日販)との間で、両社における物流協業の検討を開始する基本合意書を11月7日に締結し、両社よりメンバーを選出、プロジェクトチームを発足することとなりました。なお両社は、平成30年4月19日から公正取引委員会への物流協業に関する事前相談を行い、同年10月12日に公正取引委員会から回答を受けたことから、今回の基本合意書の締結に至ったものです。 1.背景及び目的 出版物の売上は1996年をピークに低減が続いております 2017年度ではピーク時の52%程度の規模に縮小し昨今の輸送コストの上昇と相まって流通効率の悪化が顕著となり、全国津々浦々にわたる出版物流網をいかに維持するかが業界全体の喫緊の課題となっております。 今回の両社による取り組みは、かかる課題の解決を導き出すために行われるものであり
日本出版販売株式会社(代表取締役社長 平林彰、以下 当社)は、株式会社トーハン(代表取締役社長 近藤敏貴、以下 トーハン)との間で、両社における物流協業の検討を開始する基本合意書を11月7日に締結し、両社よりメンバーを選出、プロジェクトチームを発足することとなりました。なお両社は、平成30年4月19日から公正取引委員会への物流協業に関する事前相談を行い、同年10月12日に公正取引委員会から回答を受けたことから、今回の基本合意書の締結に至ったものです。 1.背景及び目的 出版物の売上は1996年をピークに低減が続いております。 2017年度ではピーク時の52%程度の規模に縮小し昨今の輸送コストの上昇と相まって流通効率の悪化が顕著となり、全国津々浦々にわたる出版物流網をいかに維持するかが業界全体の喫緊の課題となっております。 今回の両社による取り組みは、かかる課題の解決を導き出すために行われる

JR駅構内の店舗「キヨスク」などへの雑誌の卸売りについて、これまで一手に担ってきた公益財団法人「鉄道弘済会」が10月にも同事業から撤退する。販売がピーク時の10分の1となり採算が悪化したのが主因だ。出版取次大手のトーハンが業務を引き継ぐことが決まり、東北から東海地方にかけての約1000店舗から雑誌が消える事態はひとまず回避された。ただ今後も販売低迷が続けばキヨスクから雑誌が消える可能性も残り、部

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