国は乳幼児健診などを通じて発達障害の早期発見を進めていますが、大人になってから発達障害の特性があると気づく人が少なくありません。きっかけとして目立つのが大学生活です。 生まれつきの脳機能の障害であるにもかかわらず、なぜ大学入学後に気づくのでしょうか。発達障害のある学生らを支援する精神科医の山科満・中央大教授に話を聞きました。 <同時公開の関連記事> 「発達障害じゃない」と母が診断を拒否 悩む大学生を救ったのは ――大学入学後に発達障害と診断される人は、どのくらいいるのでしょうか。 ◆中央大では、発達障害でサポートを受けている学生のうち、大体4分の3が大学に入ってから診断されています。ただし、診断されていても私たちが把握していないケースがあるはずです。正確な全体像は分かりません。 ――なぜ大学生になって分かる人が相当数いるのですか。 ◆高校までは勉強ができると放っておかれやすいんですよ。「ち

診察室で、母親は言い放った。 「この子は発達障害ではありません。確定診断はやめてください」 困ったような顔をした医師は、診断書にある「自閉症スペクトラム障害」の横に「疑い」と書き加えた。 当時24歳だった麻衣さん(35)=仮名=は、母親の隣でうつむいていた。2015年、佐賀大生として7年目を迎えた春のことだった。 4年でほとんどの単位を取り、卒論も提出したが、一部の苦手科目をクリアできずに留年を重ねていた。 うまくいかない背景に、発達障害があるかもしれない。すがる思いで受診したが、母親の抵抗で、診断はあいまいになった。ありのままの自分を否定されたように感じた。 <同時公開の関連記事> 「誰もが心当たり」で理解されぬ発達障害 大学入学で気づくきっかけ 母親に繰り返し責められ発達障害を初めて意識したのは、大学2年の時。教育心理学の授業で、代表的な特性を知った。 ミスが多い、しゃべりすぎる、気

「合理的配慮は一切できない」。東北大法科大学院(仙台市)に在籍していた元学生が発達障害を理由に合理的配慮を大学側に求めたところ、担当の教授は冷たく突き放した。「弱者の権利を守るべき法を教える教育機関がなぜ……」。自主退学し、弁護士の夢を諦めた元学生の悔しさはいまだに拭い切れていない。 「弁護士は中学時代からの夢」 元学生は和久井幸一さん(31)。退学後の現在、東京都内でウェブマーケティングの会社を経営している。 「弁護士になることはもう考えていません」。今は会社の運営で精いっぱいだ。いずれは障害者雇用の支援事業も手掛けたいと考えている。 弁護士になることは中学時代からの夢だった。非行に走り、弁護士の温かいサポートを受けた経験があったからだ。「人生のやり直しの機会を与えられる素晴らしい職業だと思った」 都内の私立大で学んでいた2016年、勉強の中身が頭に入らないような症状があり、注意欠陥多動

発達障害や精神障害など障害がある大学生が10年前に比べて4倍に増えている。中には「人に会うのがつらくて、授業に参加できない」や「大学に行けない」といった苦痛を抱え、大学に相談するケースもある。1日に改正障害者差別解消法が施行され、私立大学を含む全ての大学に対して障害のある学生らへの合理的配慮が義務付けられた。大学間の取り組みには温度差もあり、学生の学びの環境が確保されるか課題もある。相談は多岐に 「聴覚過敏がある場合は、環境音を軽減するために周りの音を遮るヘッドホンを着けて授業を受ける」 「授業を聞きながら板書を写すのが苦手な学生は、聞くことに徹するために、写真撮影を認めてもらう」 「複数の課題を同時に管理することが難しい学生は教授に連絡し、課題に取り組めるよう提出期限の延長を検討してもらう」 「体調不良で欠席する場合、その都度教授に連絡し、怠惰でないことを理解してもらう」 約1万500

独裁、私物化、雇用破壊、ハラスメント、天下り……教育と研究の場であり、社会の規範となるはずの大学で、信じ難いような事件が起きている。 ここでは、大学の雇用崩壊やアカハラ・パワハラについて取材を続けてきたジャーナリスト・田中 圭太郎氏による『ルポ 大学崩壊』(ちくま新書)より一部を抜粋。准教授として働いていた山口雪子氏に対して、岡山短期大学が行った強引な退職勧奨の実態とは——。(全2回の1回目/続きを読む) 障害者差別解消法を無視 全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向け、障害を理由とする差別の解消を推進する(中略)。 これは2016年4月に施行された、障害者差別解消法の目的だ。 ところが、法の施行とほぼ同じ時期に、視覚障害があることを理由に、准教授を教職から外した大学がある。学校法人原田学園が運営する岡山短期大学だ。

関西学院大学は西宮市上ケ原キャンパスの大学図書館(以下、本学図書館)で、車いす利用者支援システム「アンサ ーユー(※)」の運用を2022年8月1日より開始します。本学図書館内で介助を求める車いす利用者は、施設内のいたるところに貼り付けられたQR コードに専用端末をかざすだけで、自分の居場所を施設スタッフに通知し、サポートをうけることができます。全国の大学図書館では、本学が初めて「アンサーユー」を導入します。本学図書館は蔵書数約150万冊。全面開架式で、学生が実際に書架で本を眺め、手に取ってページをめくりながら本に触れられることが特徴です。一方、車いす利用者には手が届かない高さに配架されている本があります。介助者と一緒に来館することができない車いす利用者は、カウンターにいるスタッフや周囲にいる学生・教職員にサポートを求める必要があり、「声をかけづらい」という心理的な負担がありました。「アン

本学所蔵の戦前の貴重な紙芝居シリーズ8作品のデイジー図書が完成となり、完成発表会を行います。 デイジー図書制作は、県内民間放送局の元アナウンサーや技術者が所属する静岡民放クラブ(静岡市)の朗読グループ5人(青木直枝さん、伊藤伸也さん、鈴木靖子さん、西野緑さん、吉田克江さん)が音声を担当されたデイジー図書が、完成しました。下記のとおり、音声を担当された静岡民放クラブの皆さんが、来場予定です。 開催日程:平成28年9月23日(金)~10月20日(木) ◎開催初日は、午前10時~11時(予定)に、完成発表会を行います。 休 館 日:土曜・日曜 ※10月10日(祝・月)は、開館します。 開催時間:午前9時~午後5時15分 開催場所:静岡福祉大学附属図書館バリアフリー文庫(静岡県焼津市本中根549-1) 問 合 せ:静岡福祉大学附属図書館 電話:054-623-7452(直通) ◎電話でのお問合せは
障害を理由にした差別を禁じる「障害者差別解消法」が施行された今春、障害を持つ男子学生が、国立大学に進学した。大学の支援を受け、医療工学の研究を志して学んでいるが、受験時に別の大学から入学に難色を示される経験をした。大学の判断はなぜ分かれたのか。 ■脳性まひで足に障害 東北地方の国立大キャンパス。1年生の男子学生(19)は両手の杖で体を支え、下半身を振り出すように歩き、講義へ向かっていた。生まれた時の脳性まひにより体幹機能の障害がある。足が不自由で、支えなしで立つことが難しい。 4月、生まれ育った和歌山県を離れ、大学の寮で一人暮らしを始めた。 「いろんな刺激を受けて成長してほしい」という両親の思いで、幼い頃から水泳や将棋に挑戦した。小学4年生の時、脳性まひで成長が遅れた両足の腱(けん)の手術のため3カ月入院。「なんでこんな足で生まれたんや」。母親に大声を出したこともあった。 小6のころ、「自

このたび、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(平成25年法律第65号)の施行に伴い、同法第9条第1項に基づき、本学の教職員が適切に対応するために必要な要領及び関連規則を制定しましたので、お知らせします。 関連URL:http://ds.adm.u-tokyo.ac.jp/ 対象者: 社会人・一般 / 在学生 / 受験生 / 留学生 / 卒業生 / 企業 関連ファイル:東京大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領 関連ファイル:東京大学における障害を理由とする差別の解消の推進に関する対応要領に係る留意事項 関連ファイル:東京大学障害者差別事案解決委員会規則
厚生労働省に不当処分への救済を要請した視覚障害のある山口雪子・岡山短大准教授=厚生労働省で2016年3月23日午後10時25分、黒田阿紗子撮影 岡山短期大(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(51)=幼児環境教育=が23日、視覚障害を理由に授業や卒業研究の担当から外され、研究室からの退去を命じられたのは不当として、短大を運営する学校法人を相手取り、地位確認と事務職への職務変更の撤回などを求める訴えを岡山地裁倉敷支部に起こした。 訴状によると、短期大側は、山口准教授がゼミの授業中に飲食していた学生に気づかなかったことや、無断で教室を出る学生を見つけられなかったことなどを理由に2月5日、来年度から授業と卒業研究の担当を外れ、学科事務に移るよう命じた。同22日には、個室だった研究室の明け渡しを求めた。 山口准教授は、網膜の異常から次第に視野が狭くなる難病「網膜色素変性症」を患う。1999年に同大に採

来年4月に施行される障害者差別解消法への対応を見据えて、全国でも先進的と言われる障がい学生支援に取り組む沖縄大学では8月10日、全教職員が参加する合同研修会で同法の考え方や具体的な対応を学んだ。 障がい学生への支援充実が大学教育全体の充実につながると位置付けた。 講師を務めたのは、障がい者のための大学である筑波技術大学・障害者高等教育研究支援センター准教授の白澤麻弓さん。各大学が生き残りをかけ独自性を打ち出し、多様な学生支援が重視されるようになる中、障がい学生支援に取り組む大学は全国的に増えているという。 白澤さんは「障がいのある人が学びやすい大学はそうでない学生にも学びやすい。対応を負担に感じるのではなく、多様な学生のニーズに応える大学改革のきっかけにしてほしい」と呼び掛けた。 同法で求められる「合理的配慮」については「障がいがあるために生じる社会的な障壁を取り除くこと」と説明。それぞれ

金沢大学附属図書館 医学図書館の1Fブックラウンジに10月7日(火)、「プラタナスカフェ」がオープンした。これは、金沢大学人間社会学域学校教育学類附属特別支援学校高等部の生徒が、作業学習の一環として販売業務を行うために設置したもの。テイクアウトのドリンクとクッキーを販売する。 金沢大学人間社会学域学校教育学類附属特別支援学校は、1949年に、知的障害のある児童・生徒を対象とした全国初の国立学校特殊学級(特別支援学級)として誕生。大学と連携した教育や研究に取り組みながら、一人一人の自立や自己実現を目指した教育を行っている。 これまで高等部では、大学生協での作業学習製品販売、同大創立150周年記念クッキーの製造など、大学と連携したさまざまな作業学習を実施してきた。 この度、同大医学図書館にオープンした「プラタナスカフェ」でも、高校生たちが作業学習の一環として販売を行う。テイクアウトの飲み物とク
ブックラウンジに併設されているカフェです。 金沢大学附属特別支援学校高等部の生徒が,作業学習の一環として,テイクアウトのドリンクとクッキーを販売します。図書館利用の合間にどうぞご利用ください。
金沢市の金沢大学付属図書館医学図書館(金沢市宝町、TEL 076-265-2141)に「プラタナス カフェ」が10月7日オープンし、関係者などを集めたオープニングセレモニーが行われた。 オープニングセレモニーの様子 同店を運営するのは、同大付属特別支援学校高等部。特別支援学校に通う高校生たちが実習として店員となり接客を担当する。実習を通して、将来を見通した就労支援の一環としたい考え。 同店は図書館内のブックラウンジに併設された。かねてカフェを設けたいと考えていた図書館側と、生徒たちが作ったクッキーを販売していた特別支援学校との間に同大生協が立ち、開店にこぎ着けたという。 提供するのは「ベーシックロースト」(100円)、「セイロンティー」(150円)、「玉露入り緑茶」(150円)などのドリンクメニューや「すずかけクッキー」(150円)、「クッキーセット」(200円)など。 オープニングセレモ

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