
<do-ki> 水俣病患者・被害者らの発言中、環境省職員によってマイクの音が切られた出来事から2週間。ずっと考えている。自分は何に苦いものを感じたのだろう。 5月1日は、68年前に水俣病が公式確認された日。熊本県水俣市で営まれた犠牲者慰霊式に伊藤信太郎環境相も出席し、患者・被害者との懇談に臨んだ。 思い浮かんだのは、ある官僚の死である。1990年12月、当時の環境庁長官が11年ぶりに水俣病の現地視察へ向かった日、環境庁事務方ナンバー2の山内豊徳氏が東京の自宅で自殺した。 患者・被害者が行政や企業の責任を問う裁判で、東京地裁が和解を勧告。熊本県や企業は応じようとしたのに、国は拒んだ。山内氏は責任者として弁明に追われ、長官の現地入りも回避すべく奔走していた。「板挟みになったか」と報じられ、是枝裕和氏が映画監督になる前、テレビドキュメンタリーにしたことがある。


水俣病患者らでつくる団体との懇談で、水俣病患者連合の松崎重光副会長(右手前)の話を聞く伊藤信太郎環境相(左奥)=熊本県水俣市で2024年5月1日午後4時34分、吉田航太撮影 水俣病患者・被害者らと伊藤信太郎環境相との懇談時に環境省職員が被害者らの発言を制止した問題を巡り、被害者団体側に「3分間の持ち時間を守らないのがおかしい」などと批判する電話やメールが9日までに少なくとも5件あったことが10日、明らかになった。 関係者によると、電話やメールは9日にあり、「ルールを無視した被害者側が大臣に謝るべきだ…


水俣病患者らの団体と伊藤信太郎環境相が今月1日に懇談した際に、環境省職員がマイクの音を切るなどして団体側の発言を遮った問題をめぐって、熊本県の木村敬知事が10日、同席していた知事自身の対応について説…




条約の概要 水銀の産出、貿易、製品の製造、排出、保管、廃棄など、水銀のライフサイクル全体にわたって規制する国際条約です。 条文の第1条には「人の行為により排出された水銀及び水銀化合物から、人の健康や環境を守ること」を目的とすることが書かれています。略称として、「水銀条約」や「水俣条約」と呼ばれています。 条約の発効 条約の採択 2013年1月にスイス・ジュネーブで開催された政府間交渉委員会第5回会合で条約の採択が全会⼀致で決定され、同年10月に熊本市及び水俣市で条約の採択・署名のための「水銀に関する水俣条約外交会議」が開催されました。 条約の発効 2017年6月には条約発効の条件である50カ国が条約を批准したため、2017年8月16日に条約が発効しました。 条約の必要性 水銀の発生 水銀は火山や海洋からの蒸発など自然に発生するもののほか、石炭の燃焼、小規模金採掘、水銀を使用する製品などから

世界の主な水銀汚染 水銀汚染の発生源にはいくつかの種類があります。以前多かった工場廃液や有機水銀系農薬による汚染は、現在でも開発途上国を中心に発生しているものの、次第に減少しています。これに対して近年問題となっているのは、金採掘による水銀汚染、廃鉱山からの水銀汚染、そして工場跡地の残留水銀処理問題などです。 現在、こうした問題を抱える地域での水銀汚染への対応や住民の健康状態の調査と対策が急がれており、国立水俣病総合研究センターでもこれに積極的に取り組んでいます。 人類は、土地を利用するために自然を破壊してきました。自然のままにしておくよりも、手を入れて利用したほうが人間にとって「役に立つ」と考える人は少なくありません。しかし、自然は人間にとって役に立たないのでしょうか。 森は酸素を作り出し、海は気候を調節し、干潟は水を浄化しています。ある研究者は、こうした「サービス」を自然のかわりに人工的

水銀の研究 水俣病の原因がメチル水銀であると分かるまで、水銀という物質に対する研究者の関心は決して大きなものではありませんでした。「水俣病」をきっかけに、水銀の研究は大きく進歩したといっても過言ではありません。しかしながら、環境内での水銀の動きや、私たち人間の体の中でメチル水銀がどのように作用するかについては、今なお分からない点が数多く残されています。 いろいろな水銀 水銀化合物には数多くの種類があります(無機水銀・有機水銀)。その⼀例をご覧下さい。
原因究明 昭和31年(1956)5月1日の水俣病公式発見後、熊本県や奇病対策推進委員会の依頼を受けて熊本大学医学部が行った調査で、同年11月3日にはある種の重金属に汚染された魚介類を食べたことによる中毒であろうとの報告が出されました。 しかし、原因物質の特定は困難をきわめ、有機水銀、そしてその中のメチル水銀にたどりつくまでには多数の研究者の努力と長い年月が費やされました。 この間、水俣湾の魚介類が疑われながら、国や県が漁獲禁止等の措置を講じなかったこと、チッソは昭和34年(1959)には工場内の排水が原因であることを把握していながら、排水を流し続けたことによって患者は増え続けることになりました。 熊本大学医学部水俣奇病研究班の成果 研究班では、病気の原因が水俣湾の魚介類にあると見当をつけた昭和31年(1956)11月ごろから水俣湾の魚介類をネコに食べさせる実験を始めました。翌年、武内教授と
水俣病の発生及びその概要 水俣病とは、化学工場から海や河川に排出されたメチル水銀化合物を、魚、エビ、カニ、貝などの魚介類が直接エラや消化管から吸収して、あるいは食物連鎖を通じて体内に高濃度に蓄積し、これを日常的にたくさん食べた住民の間に発生した中毒性の神経疾患です。 熊本県水俣湾周辺を中心とする八代海沿岸で発生し、始めは原因の分からない神経疾患として扱われていました。その後新潟県阿賀野川流域においても発生が確認されました。 水俣湾周辺の水俣病については、昭和31年(1956)5月、初めて患者の発生が報告され、その年の末には、52人の患者が確認されました。この疾患は昭和32年(1957)以降「水俣病」と呼ばれるようになりました。 阿賀野川流域の水俣病については、昭和40年(1965)5月に患者発生が報告され、その年の7月には26人の患者とそのうち5名の死亡が確認されました。水俣病患者の認定は
南米ブラジルの政府系研究機関は、熱帯雨林アマゾンの奥地で暮らす先住民ヤノマミ族の人々の多くから高濃度の水銀が検出されたとの調査結果を明らかにした。背景には金の違法採掘の横行があると指摘し、健康被害が出ているとして改めて警鐘を鳴らした。 ヤノマミ族の人口は2万7000人超で、ブラジル最大の先住民族といわれる。調査は北部ロライマ州の保護区にある九つの村を対象に2022年10月、保健省傘下の研究機関オズワルドクルス財団などが実施し、集計した結果を今月3日に公表した。 調査では、子どもや高齢者を含む約300人から毛髪を採取し、水銀濃度を測定した。その結果、84%から世界保健機関(WHO)の安全基準を超える水銀が検出され、10・8%からはさらに高濃度の水銀が検出された。アマゾンに暮らす人々の主要なたんぱく源である魚のサンプルも水銀に汚染されていた。

新潟県が2021年度に実施した阿賀野川の魚に含まれる水銀の調査で、新潟水俣病の原因をつくった旧昭和電工(現レゾナック・ホールディングス)鹿瀬工場の排水口付近で捕まえたウグイ10匹のうち、3匹から国の暫定規制値をわずかに超えるメチル水銀などが検出されていたことが取材で判明した。県は、県版の環境白書に概要のみ記載し、詳細を公表していなかった。厚生労働省は、暫定規制値を超えた魚を食べても、少しなら健康を害する危険性はないとしている。【中津川甫】


原告の請求が棄却され、沈鬱な表情を浮かべる原告団=熊本市中央区で2024年3月22日午前11時11分、金澤稔撮影 日本の公害病の原点とされる水俣病の被害救済が、終わっていないことを示した司法判断である。 熊本、鹿児島両県などの住民ら144人が国と県、原因企業のチッソに損害賠償を求めた訴訟で、地元の熊本地裁が判決を出した。 不法行為から20年で損害賠償請求権が消滅する「除斥期間」を理由に訴え自体は退けたが、原告のうち25人を水俣病と認めた。 2009年に施行された水俣病被害者救済特別措置法(特措法)に基づく救済措置の対象者は、原則として不知火海沿岸9市町に1年以上居住した人に限られた。 25人のうち20人はこの対象区域外に住んでいた。国は、特措法で「最終解決を図る」としていたが、救済から取り残された患者がいることになる。 争点の一つとなったのが「除斥期間」を巡る判断だ。国はチッソが排水を止め



東京都福生市、武蔵村山市、羽村市、立川市、昭島市、瑞穂町にまたがる米軍横田基地(中央)=2023年4月、朝日新聞社ヘリから


東京でおいしい水を求めて飲食店主らが集うエリアがある。都内の自治体で唯一、水道を深層地下水のみでまかなう昭島市だ。ミネラルウォーターと変わらぬ水道水というが、その味とは。 中出悠太郎さん(37)は当…

全県的に広がる沖縄のPFAS汚染、世界に後れを取る日本の対策 市民が自ら実施した血液中のPFAS濃度調査でわかったこと 桜井国俊 沖縄大学名誉教授、沖縄環境ネットワーク世話人 沖縄は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書で敵基地攻撃の拠点として位置づけられ、対中戦争の最前線に立たされる可能性が急速に高まってきた。 筆者も呼びかけ人の一人となって2022年1月に「ノーモア沖縄戦、命どぅ宝の会」を立ち上げたが、沖縄戦の再来はもはや杞憂(きゆう)ではない。そうした中ではあるが、日々飲む水の安全も忘れるわけにはいかない。本稿では、米軍基地や自衛隊基地で使用される泡消火剤が原因となっている飲み水の有機フッ素化合物(PFAS)汚染についての沖縄の市民の取り組みを紹介する。 PFAS汚染の発覚は7年前 沖縄でPFAS汚染問題が認識されるようになったのは7年前の2016年1月

公害「PFOA」 PFOA汚染「世界最悪レベル」の大阪府、太田知事の後援会長はダイキン井上会長だった(9)2022年01月28日23時45分 中川七海 世界最悪レベルのPFOA汚染が河川で広がっていることが、2004年に判明した大阪府。調査を実施した京都大教授の小泉昭夫のチームは、ダイキン工業淀川製作所が汚染源であることを突き止めた。チーム小泉は「工場の労働者と住民の調査が必要」と警鐘を鳴らしたが、府の腰は重い。 当時の府知事・太田房江の後援会組織の会長を務めていたのは、ダイキン会長の井上礼之だった。 現在は参議院議員(自民党)の太田房江氏=参議院ウェブサイトより ダイキン盆踊り大会に現れた太田知事 2007年8月、大阪・摂津の淀川製作所に浴衣姿の井上が現れた。会長になって5年、ダイキントップの井上は、約2500人の摂津市民らが集ったイベントに顔をほころばせた。 摂津市民を招いての盆踊り

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