※【前編】はこちら ※クソ長くなります FUCK①振り返りと補足~ほんとうの支援の現実を教えてやるよ~物語は新人支援員・堂島洋子(宮沢りえ)の視点で進む。かつて有名小説家だった洋子には3歳で亡くなった息子がおり、息子にも障害があったことがほのめかされる。夫(オダギリジョー)は売れないアニメーション作家で、ふたりとも息子の死を克服できないでいる。洋子は森の奥にある障害者施設で働きはじめるが、そこで障害者支援の「現実」を知りショックを受ける。特に「きーちゃん」と呼ばれる寝たきりの入所者は意思疎通が困難で、洋子は「人間とは」という問に苦しむことになる。そこで出会った男性職員の「さとくん」(磯村勇斗)は、最初は入所者に親身に接していたが、同僚のハラスメントや虐待行為、上司の無理解から追い詰められ、やがて優生思想を口にするようになる。そんななか、洋子は妊娠が発覚。高齢出産に伴うリスク回避のため出生前

映画『バービー』が前提としているブランドの基本情報についてELLEで紹介したのだが、この作品がユニークなのは、アブラハムの宗教をベースにしているところだ。それを知らずとも楽しめはするのだが、この10年「国際的な観客にとってのわかりやすさ」が重視されてきたハリウッドIP映画として異色な宗教的大作となっている。 「宗教儀式のような映画館」 まずこの映画、すでに興行収入10億ドルを突破していて、特に北米でものすごくヒットしている。『ダークナイト』を超えてワーナー・ブラザース最高の国内成績で、観客の二割が少なくともコロナ以降映画館に来ていなかった層とされる。 特異なのは、文化左派っぽい見てくれをしてるのに保守派での好評も目立つこと。ポリコレ叩き文化戦争工場ことFOX Newsすら肯定的言説を流すに至っている。さらに、映画館に行った人々からは「嗚咽してる人がたくさんいて宗教儀式みたいだった」という報

『ブレードランナー』デッカードは人間か、レプリカントか ─ ハリソン・フォードが新証言「私はずっと知っていた」 (c)Warner Bros Entertainment Inc. All rights reserved. 『ブレードランナー』(1982)の主人公リック・デッカードは人間か、それともレプリカントか?演じたハリソン・フォードが、新たに自身の見解を語っている。 リドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔『ブレードランナー』で、デッカードはレプリカントだったのかという議論は、永遠のミステリーとして観客に解釈が委ねられている。映画ではレプリカントと呼ばれる人造人間と、その本来の目的から逸脱して人間社会に紛れ込んだ個体を追う人間の警察捜査官「ブレードランナー」を描いており、哲学的なSF物語となっている。フォードが演じたデッカードは人間の捜査官として登場するが、劇中では彼がレプリカント

「頭空っぽにして楽しめる映画は、頭空っぽでは作れない」という有名なことわざがある。いや実際にはないが、多くのクリエイターが同意する真理だろう。観る側は頭を空っぽにしようが熟考しようが好きに観てOKなのだが、作る側が「頭空っぽ」で雑に適当に作ってしまえば、まず間違いなく観客は「えっ今の展開おかしくね?」とか「今時こういう表現はないわー」とか「とにかく話がつまらない」とかいちいち気を散らされてしまい「頭空っぽ」では楽しめなくなることだろう。「頭空っぽで楽しめる」とか「こういうのでいいんだよこういうので」と観客が思えるような「ちょうどイイ!」塩梅の作品を作るのは、実は極めて高度な技術なのだ。その真実を改めて思い知らせてくれる、「こういうのでいいんだよLV100」みたいなエンタメ大作が劇場に降臨した。『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトローたちの誇り』である。 『ダンジョンズ&ドラゴンズ アウトロー

よくきたな。おれは逆噴射聡一郎だ。おれは毎日すごい量のテキストを書いているがだれにも読ませるつもりはない。しかし今回、真のオリジナルR・P・Gコンテンツである『ダンジョンズ&ドラゴンズ』の映画がダンジョン&ドラゴンではなく「S」のついた真の男本来の姿で日本公開されることを知ったおれは、日本独自の腰抜けプロモの数々を真の男本来のWILLセーヴィングで切り抜け、無事にTOHOアンダーダークにたどり着いたとゆう寸法だ。 逆噴射聡一郎先生プロフィール:社会派コラムニスト。昔からダイハードテイルズ・マガジンに時々寄稿してくださいます。 おれは震え上がるまず最初に、おれは映画館に行くまで、今回の映画『ダンジョンズ&ドラゴンズ』に対して、何ひとつ期待していなかったと正直に言っておこう。どうせ今回も、以前のSなしD&D映画に毛の生えたような安っぽい腰抜けライドショーのような仕上がりで、それを観た日本配給会

3月31日、『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』が公開された。 この世の「ロールプレイングゲーム」と名の付く物全ての始祖にあたるゲームを原作とした本作は、ゲームの映画化である事や日本での異世界モノであるかのような宣伝といった不安要素を吹き飛ばし、実際に見た人からは高評価の連続が相次いだ。 そこでこの機に乗じ、日本公式からはあまり紹介されていない原作との繋がりを中心に紹介したいと思います。本編の内容にガッツリ触れているため、映画を見た後のパンフレット代わりとしてお楽しみいただければ幸いです。 なお、D&Dの基本的な遊び方については下の公式の動画をご覧ください。 動画への補足として、映画で例えるなら、エドガン達一行がプレイヤーが操作するキャラクター、ソフィーナやフォージのようなキャラクターがダンジョンマスターが操作するNPC(ノンプレイヤー・キャラクター)にあたります。 加えて、

我々の世代は、なんと幸せな世代なのだろうと思う。 少年・青年時代にワクワクした、スターウォーズやガンダムは、我々が立派なオッサンになった今なお続編やリメイクが作られ、ゴジラ、ウルトラマン、仮面ライダー、うる星やつらなども続々とリメイクされる。 そして、その戦列に『トップガン』が加わった。 1986年公開の『トップガン』は、カワサキGPZ900R Ninja、G-1などのミリタリージャケット、レイバンなどの流行を作り出したといってもいいぐらい、様々なトレンドの源流となった。我々の世代には好きな映画にこのトップガンを挙げる人はとても多い。 トム・クルーズをトップスターにした作品であり、ヴァル・キルマー、メグ・ライアン、アンソニー・エドワーズ、ティム・ロビンスなどの出世作ともいる。 その『トップガン』の続編が作られる。しかも、主演は36年を経てなおトム・クルーズが務めるいうのだから、ビックリだ。

メフィラス役で大人気の山本耕史 公開から17日間で興行収入27億円を突破した映画『シン・ウルトラマン』(全国公開中)で大きな話題を呼んでいるのが、山本耕史演じる外星人メフィラスの存在感だ。「すごく大きな反響がありました」と驚きを見せる山本が、公開後の周囲の反応や、難解な役へのアプローチ方法、さらには出演ラッシュの現状について語った。 【画像】メフィラス役で大人気の山本耕史「プロテイン、私の好きな言葉です」 ■大絶賛のメフィラス役、山本なりのアプローチ方法とは 見た目は人間、中身は外星人のメフィラス - (C) 2021「シン・ウルトラマン」製作委員会 (C) 円谷プロ 山本が演じたメフィラスは、外見は人間で日本語も堪能だが、中身は外星人というキャラクター。本編に登場すると、作品のテイストを変える存在として、物語に大きなインパクトを与えた。劇場公開後、メフィラスは大きな話題となり、「山本さん

機動警察パトレイバー2 the Movie どうも、管理人のタイプ・あ~るです。 さて先日より、押井守監督の『機動警察パトレイバー2 the Movie』に関する記事をずっと書き続けてきましたが、いよいよ今日で最終回です(長くなってしまってすいませんw)。前回の記事を読んでない方はこちらをどうぞ↓ type-r.hatenablog.com 前回は、「ついに柘植のグループが行動を開始し、東京が大混乱に陥る」という辺りまで書いたので、本日はその後の出来事について解説してみますよ(なお、言うまでもなくネタバレしているため未見の方はご注意ください)。 ●鳥を引き連れて飛ぶ飛行船 機動警察パトレイバー2 the Movie 東京上空をゆっくりと浮遊している黄色い飛行船は、強力な妨害電波を発信している影響で周囲に大量のカラスが集まってるんですが、これは作画監督の黄瀬和哉さんが「カラスはお前が責任をも

『機動戦士ガンダム』40周年記念作品として制作されたシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。本作は『機動戦士ガンダム』の生みの親、富野由悠季さんが1989~1990年に執筆した小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』全3巻(上・中・下)を映像化した作品だ。本作の主人公はガンダムシリーズで活躍してきたかつての英雄ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノア。彼はマフティー・ナビーユ・エリンと名乗り、反地球連邦政府運動に身を投じている。なぜ彼はマフティーを名乗るようになったのか。そのドラマが緻密に描かれている。本作の映画化を果たしたのは村瀬修功監督。美意識に裏打ちされた緻密な作画で知られるアニメーター/キャラクターデザイナーでもあり、監督としては『虐殺器官』などで実写的なアプローチをすることで高い評価を集めているクリエイターだ。映画『閃光のハサウェイ』においても、いわゆる映画的なダイ

『機動戦士ガンダム』40周年記念作品として制作されたシリーズ最新作『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』。本作は『機動戦士ガンダム』の生みの親、富野由悠季さんが1989~1990年に執筆した小説『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』全3巻(上・中・下)を映像化した作品だ。本作の主人公はガンダムシリーズで活躍してきたかつての英雄ブライト・ノアの息子ハサウェイ・ノア。彼はマフティー・ナビーユ・エリンと名乗り、反地球連邦政府運動に身を投じている。なぜ彼はマフティーを名乗るようになったのか。そのドラマが緻密に描かれている。本作の映画化を果たしたのは村瀬修功監督。美意識に裏打ちされた緻密な作画で知られるアニメーター/キャラクターデザイナーでもあり、監督としては『虐殺器官』などで実写的なアプローチをすることで高い評価を集めているクリエイターだ。映画『閃光のハサウェイ』においても、いわゆる映画的なダイ

機動警察パトレイバー2 the Movie どうも、管理人のタイプ・あ~るです。 さて先日、『機動警察パトレイバー2 the Movie』に関する記事を書いたら長くなりそうだったため途中で一旦終了、本日はその続きです(前回の記事を読んでない方はこちらをどうぞ↓)。 type-r.hatenablog.com 前回は「荒川が後藤と南雲に会いに来て”思ひ出のベイブリッジ”のビデオを観る」という辺りまでだったので、今回はその後の出来事について書いてみますよ(なお、言うまでもなくネタバレしているため未見の方はご注意ください)。 ●夜の首都高 機動警察パトレイバー2 the Movie 荒川に「どうです、ドライブでもしませんか?近場をぐるっと」と言われた後藤と南雲が、走る車の中で「ベイブリッジ爆破事件」に関する情報を聞くシーンは、非常に”押井守監督らしさ”が出ていて個人的にも好きな場面です。 大人3

イギリス・香港の国際共同製作映画『モンスーン』の日本版ビジュアルが解禁されたのをきっかけにSNS上で大きな議論が巻き起こっていた。 『モンスーン』のオリジナルのビジュアルは主人公の男と同性の恋愛相手がふたり写ったものだった。しかし日本版ビジュアルでは相手の姿をわざわざ消してひとりのカットとして見せていることが発端となった議論である。 これらのクリエイティブが何を狙ってどのような経緯で出来上がったのかわからない。そこにはたくさんの狙いや事情があったのだと思う。裏側を知らない僕がビジュアルそのものについてあーだこーだ論じるのはフェアじゃないと思うので言及するのは避ける。ただいずれにせよ、ここで議論となっているのは「ウォッシング」の問題だ。 「ウォッシング」とは本来の意味を書き換え、上辺を取り繕うことを言う。例えば、環境に意識の高い消費者に対して、自然にやさしいもの商品だと誇大に謳ったPR手法は

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