日本人の本の「読む量」は減っていない。「買う量」が減っている。『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』... 2024年4月に刊行された三宅香帆『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(『なぜはた』)は30万部以上のベストセラーになった。『なぜはた』では日本人は働きすぎで、新自由主義的な価値観(自己責任論など)を内面化しているせいで読書量が減っている、と分析して多くの人の共感を呼んだ。 しかし同書が破格の部数を叩き出し、「あそこに書かれている内容が正しい」と思われてしまうことは、出版業界の課題解決につながらない。筆者にはそうした危機感がある。 それが「本を売る」こととどうつながるかといえば、誤った現状認識の上に施策を組み立てても効果が薄いからである。 とはいえ、問題は『なぜはた』だけにあるのではない。『なぜはた』は出版業界をめぐる議論の「よくある」誤りを踏まえている部分が多いからだ。 ※なお

「イミダペプチド」って? 私は疲れている。 深く深く疲れている。 ナメていた。中年になると無理がきかないとか徹夜できないとか疲れが抜けないとか、聞いてはいたが意味がわかっていなかった。 もうね、すげえ疲れるんだ。 朝起きて、ボーッと『メシ通』のコラムを眺めていたら、夕方になっていた。6時間以上、ほぼ何もせず、フリーズ。 眠いならまだわかるが、起きているのに体も頭もまったく機能しない。恐ろしい。みんなの元気をオラにくれ。 疲れは病院に行って治るのか? 疲れは「状態」であって、病気でも怪我でもない。疲れという物質があるわけじゃないのだ。だからビタミン剤で誤魔化すのが関の山だ……と思ったら。 タカタタッタター!「イミダゾールジペプチド」という物質があるではないか! 略してイミダペプチド! 人間は疲れる。じゃあ疲れない生き物はいるのか? 何日も寝ないで、ずっとハードに動き続けることができる生き物が

ラウドネス・ウォー(音圧戦争)という言葉がある。音響機器の技術を駆使して、音がひずまない範囲で、音楽全体の聴覚上の音量を、他の楽曲より、かさ上げすることをいう。J-POPなどロック系の楽曲で主に使われる手法だ。 音圧=音の圧力が高いので、パッと聴いた瞬間、印象に残りやすく、楽曲への好感度を上げる効果が期待できる。アーティストやレーベルの中には、他の楽曲よりも音圧を上げることで、自分たちの曲を少しでも目立たそうという考え方で意識的に音圧を上げる人達がいる。これが音圧戦争の概要だ。 ただ、音圧戦争による弊害もある。音圧の高い楽曲は、総じてダイナミックレンジ(音の大きなところと小さなところの差分)が小さくなり、抑揚感の乏しい音楽になる。始終圧力の高い音の洪水に包まれ、楽曲の内容によっては、連続して聞いていると聴き疲れする事例も多い。 CDの時代は、それでも良かった。高音圧は、アーティストやプロデ

Affinity アプリが永久無料と聞いてこれで脱 Adobe できるかと思ってるあなたに、Affinity 歴約 5 年の私から伝えておきたいこと 2025 年 11 月 5 日 こなさんみんばんわ。 そんな訳で、新しい Affinity の発表から 5 日が経過しました。1 ヶ月前くらいから意味深なメッセージやらティザー動画がアップされてて、まぁ新バージョンやろなとは思ってましたが、今回も買い切りで 3 アプリ合わせて限定特価 1 万ちょいくらい、でも Canva プロユーザーだったら無料です! くらいの予想をしてたら、3 アプリが 1 つになったのに加えてまさかの誰もが永久無料1で、さすがにちょっとほえーっとはなりました。 以前から軽くて高機能なアプリとして定評もありましたし、それが無料で手に入るともなればそりゃ耳目も集めるというもの2。ただ、これは世の常でもあるんですが、こういうシ
今年のIBC 2025で大きな注目を浴びていたのは、ニコンのベールを脱いだフルサイズセンサー搭載カメラ新製品「ニコン ZR」である。会場に構えられた巨大なブースからも、映像市場に新たな歴史を刻もうとする同社の凄まじい気迫が伝わってくる。今回、その最前線に立つニコンの担当者に話を伺うことができたので、早速その内容をお届けする。 左から 映像事業部 マーケティング統括部 マーケティング部横浜純氏 映像事業部 マーケティング統括部 マーケティング部長 山岡廣樹氏 映像事業部 開発統括部第一開発部 竹内悟氏 ニコン、RED、MRMCは共同ブースで出展 ――ニコンが動画市場に本格参入されるというニュースには驚きました。今回の背景について教えていただけますか? 山岡氏: はい。ご存じの通り、SNSや動画配信サービスの普及によって、動画撮影需要は急速に拡大しています。それに伴い、高画質な撮影機材へのニ
![ニコン担当者に聞く「Z CINEMAと動画市場への挑戦」 Vol.13 [IBC2025] - PRONEWS : 動画制作のあらゆる情報が集まるトータルガイド](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2f6f2b4a68d0bbc09327e77e9b715f6096f0165977%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Fjp.pronews.com%252Fwp-content%252Fuploads%252F2025%252F09%252F250929_IBC2025_nikon_topylnexcb6.jpg&f=jpg&w=240)
斎藤の提案していることは、もう既に全部聞いたことがあるのだ。私たちは、どう見ても上手くいかないアイデアについて、何度も何度も同じ議論を繰り返さなければならないのだろうか? 「新スタートレック(Star Trek: TNG)」の中でも私のお気に入りのエピソードの1つは、不吉なシーンで幕を開ける。宇宙船エンタープライズ号が別の連合の宇宙船と衝突し、大爆発を起こして全員が死亡してしまうのだ。だが幸運なことに、両船の衝突は異常時空の境界で発生していたため、エンタープライズ号はほぼ1日前に時間を遡ることとなった。こうして、クルーたちが日々の活動を送り続け、同じ選択パターンを繰り返して大惨事に至り、それを何度も何度も繰り返し続けるという「因果ループ」が生じた。 この繰り返しは永遠に続くことになったかもしれない。だが、クルーのメンバーの一部がデジャブを覚え始めた。そして、ループが繰り返されるほどにその感

ナイン・インチ・ネイルズ(Nine Inch Nails)が音楽を担当した新作映画『トロン:アレス』(Tron: Ares)のサウンドトラックが、2025年9月19日に発売された(国内盤CDは10月1日発売)。 さらに、リード曲「As Alive As You Need Me To Be」が2026年に開催される「第68回グラミー賞」の「最優秀ロック・ソング賞」「最優秀映像作品楽曲」にノミネートされたことが明らかになり、ナイン・インチ・ネイルズとして初めて映画音楽でのノミネートを果たした。 2025年10月10日に日米で同時公開されたこの映画のサントラ、そしてナイン・インチ・ネイルズについて、鈴木喜之さんによる解説を掲載。 *11/12Update: 序文にグラミー賞ノミネート情報、文章末尾に 鈴木さんによる映画鑑賞後の文章(約1000字)を追加。 <関連記事> ・『The Downwar
毎月の人気記事を紹介する「必読!月間ベスト記事」。2025年7月に読者の支持を集めた記事をお届けします。『ガンダム・ジークアクスの舞台裏』から、以下の記事を再配信します。(記事初出時:2025年7月1日 ※記事内容は初出時のまま)ガンダムシリーズの最新作である『GQuuuuuuX』(ジークアクス)。エヴァンゲリオンシリーズのスタジオカラーが、1979年テレビ公開のシリーズ1作目である『機動戦士ガンダム』をふんだんにオマージュしたパラレルワールド設定で制作した。先行して公開された劇場版とテレビ放映は大好評を博し、大きな話題を呼ぶとともに社会現象ともなった。特集『ガンダム・ジークアクスの舞台裏』では、テレビ放映を終えたばかりの監督の鶴巻和哉氏に改めて制作意図を振り返ってもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 鈴木洋子) シン・エヴァ制作中に始まった共同企画ガンダム宇宙世紀オタクが集結して作

【要約】 近年、「洋楽離れ」という現象が日本の音楽業界で注目されていますが、これは日本に限った問題ではなく、世界的な音楽市場の変化を反映した一側面であることがわかってきました。本記事ではデータに基づき、「洋楽離れ」の実態を検証するとともに、グローバルな音楽シーンの変容を探求します。特に、英語楽曲の優位性が低下し、K-POPやラテン音楽が世界中で台頭する中、アジアやラテン圏が新たな音楽の中心地として浮上しています。これにより、音楽文化は多様化し、地域性と国際性の融合が進んでいます。さらに、グローバルヒットの新しい形として、日本語を含む音楽の世界的影響力の拡大が見られ、音楽のグローカリゼーションが加速しています。今回の記事では、Spotifyなど複数のデータから分析を行い、音楽市場の変容を視覚化し、今後の音楽文化における可能性を示唆します。 皆さんは最近「洋楽」を聴いていますか…? ここ数年、

学術的視点で迫るファンダムの生態。「共創としての『推し活』:ファンダム・コミュニティのフィールドワーク」レポート[CEDEC 2025] ライター:わさび かつては“オタク”という言葉で一括りにされ,逃避的なものとして見られがちだったファンカルチャー。 しかし現在では,推し活文化が日常に浸透するほどに,ポジティブなものとして受け入れられるようになった。そうした文化の中心には“ファンダム(熱心なファン集団)”の存在があり,彼ら彼女らは単なる消費者から,創造的な文化の担い手として認識されつつある。 「CEDEC 2025」で行われた岡部大介氏によるセッション「共創としての『推し活』:ファンダム・コミュニティのフィールドワーク」では,この現象の中心である“ファンダム”が学術的視点から解き明かされた。 コミュニティの中で人々はどのように学び,創造し,生き生きと楽しんでいるのか――。その性質と実践の
![学術的視点で迫るファンダムの生態。「共創としての『推し活』:ファンダム・コミュニティのフィールドワーク」レポート[CEDEC 2025]](/image.pl?url=https%3a%2f%2fcdn-ak-scissors.b.st-hatena.com%2fimage%2fsquare%2fa15ee9e0254fb7155b10c599de988f7062d886ac%2fheight%3d288%3bversion%3d1%3bwidth%3d512%2fhttps%253A%252F%252Fwww.4gamer.net%252Fgames%252F991%252FG999104%252F20250725037%252FSS%252F003.jpg&f=jpg&w=240)
こんにちはシムディ合同会の開発チームです。 今回はネットワークに関して特にL2とL3の話です。 参考文献(とても良書なので興味ある人は是非) ・tanenbaum先生の教科書(Networkの世界的bible) ・CでネットワークプログラミングをするHands-on本(とても読みやすかった) ・Linuxで仮想ネットワークを構築してみる本(解像度が上がった) ・TCPの最新動向を掘り下げてる本 ネットワークモデルのoverview コンピューターのネットワークはコンピュータ同士プロトコルという決まり事に沿って通信を行うことで意思疎通を図っている。このプロトコルは多数あり、類似したものを同じ階層に分けてモデル化し考えるのが一般的である。例えば、以下の図はOSIモデルと呼ばれる7層に分かれたプロトコル。 上から簡単に概略を示す。(深入りはしない。) ・アプリケーション層プログラマーが意識する

関連キーワード人工知能 | ハードディスク |SSD | 半導体ストレージ オンプレミスインフラの進化が加速する中で、SSDなどのフラッシュストレージや生成AI、そして運用自動化といったテーマは、もはや特定の専門家だけの話題ではない。あらゆる企業のIT部門が直面する“目の前の課題”になりつつある。IT担当者にとって重要なのは、技術そのものだけでなく、それをどう自社のIT環境に取り込み、業務の改善につなげるかを見極めることだ。ストレージベンダーPure Storageが開催した年次イベント「Pure//Accelerate 2025」は、オンプレミスインフラにおいて“選択と集中”のヒントを多く与えてくれるものだった。ストレージを中心として3つの重要なポイントを紹介しよう。 1.フラッシュストレージ価格の下落で、HDDの存在意義が問われている 併せて読みたいお薦め記事 フラッシュストレー

こんなツイートを見た. 論理学を勉強しようとして,論理哲学論考とかいう怪文書 (失礼) を手に取っちゃうの,ほんとうにかわいそう.— しらそら (@silasolla)2023年3月9日 『論理哲学論考』は哲学書として大事な本(2025/1/19 削除)らしい(削除終わり)だが,「論理」を勉強したい人間が最初に手を出してよい本でないことは間違いない.こういうことを防ぐためにも次のような記事の更新をたびたびしてきた. sokrates7chaos.hatenablog.com しかし,この記事は単に論理学およびその周辺領域の本を並べてコメントしているだけなので,上記の事態を防げていないような疑惑が常々あった.「論理」の「何を勉強すればよいか」がわからんから「とりあえず,有名な本を手に取ればいいだろう」という発想をし,結果上記のツイートのような事態になるわけだが,「何を勉強すればよいか」につ
渡邉 雅子の『論理的思考とは何か (岩波新書)』を読んだ.この本の著者が「論理の社会的構築物説」のようなことを主張しているという認識だったので,一応目を通しておこうと思ったのである.正直,期待していたような内容(論理の社会的構築物説の論証)では全くなかったので,感想をTwitterあたりに垂れ流して,『論理的思考とは何か』とはバイバイしようと最初は考えていた.しかし,この本に対してコメントをちゃんと残しておいた方が良いかと思う出来事があったので,この記事を書くことにした.本記事では『論理的思考とは何か (岩波新書) 』の内容を把握されていることを前提として話をする*1.なお,同内容と思われる『「論理的思考」の社会的構築: フランスの思考表現スタイルと言葉の教育』や『「論理的思考」の文化的基盤 4つの思考表現スタイル』*2については参照せずに書いていることはフェアネスのためにこの時点で宣言
1年半の長く厳しい交渉を経て、2025年6月、日本製鉄がUSスチールの買収を完了した。大統領選当初から買収に反対していたトランプ大統領が、承認した。在米ジャーナリストの岩田太郎さんは「どんでん返しの裏には、日鉄との未来を信じ、大統領に粘り強く陳情を続けた、USスチールの現場労働者の存在があった」という――。 6月に起こった、大どんでん返し 20世紀初頭に米鉄鋼業の輝かしい栄光の時代を築いたものの、今や凋落して自力では再生できなくなった名門の大手USスチール。わが国最大の鉄鋼メーカーである日本製鉄が6月に、先行きの暗い同社を買収し、完全子会社化した。 長くもめ続けたディールを承認したのは、2024年2月に米大統領候補として、「日本製鉄によるUSスチールの買収阻止」を公約に掲げた、現大統領のドナルド・トランプ氏その人である。

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