「保護なめんな」「生活保護悪撲滅チーム」――。ローマ字と英語で書かれたジャンパーを羽織って、生活保護受給者宅を訪問する。2007年から約10年にわたって神奈川県小田原市の職員が着用していたものだ。 2017年1月に問題が発覚し、職員の対応は「受給者を威圧する」と批判された。市は改善を宣言する。あれから1年半、小田原市の生活保護行政は大きな変化を遂げていた。 小田原市職員「取り組みを話すのは初めて」報告する小田原市職員 7月14日、東京。生活保護問題に取り組んできた弁護士らが開いたシンポジウムで、小田原市の職員2人がやや緊張した面持ちで報告を始めた。 「小田原市の取り組みを報告するのはこれが初めてです」と市企画政策課の加藤和永さんは語る。ジャンパー問題が発覚してから、市の対応は早かった。 対応を振り返っておこう。市の生活保護担当の職員らが「保護なめんな」「SHAT(※生活保護悪撲滅チームの頭

生活保護世帯の子どもが大学へ進学しようと思うと、世帯分離という仕組みで家族の生活は困窮してしまう。今回の法改正でも根本的な問題は解決されていない。しかしこの現実を、なぜか国は国民に隠し続けているのだ(写真はイメージです) 「世帯分離こそが問題だ」本質を主張し始めたメディア 2018年6月25日、厚労省は「生活保護受給世帯出身の大学生等の生活実態に関する調査・研究の結果」を公表した。実際の調査はインテージリサーチ社が約500万円で請け負った。 同日のニュースのタイトルを比べると、「生活保護世帯の大学受験、35%がアルバイトしながら受験勉強」(毎日放送/公開終了)、「生活保護世帯 厳しい現実 大学生 親の支援年5万円」(東京新聞)と、トーンも内容も大きく異なっていた。タイトルを見比べる限り、同じ結果を元にしているとは想像しにくい。 メディア各社は報道を重ね、大学進学を想定していない生活保護制

インターネットで「生活保護」と検索すると、上の方に検索されるページがあります。 「月29万円の生活保護、それでも苦しいと訴える母。。朝日新聞の記事で大騒ぎ!」というnaverまとめ記事がでてきます。この記事では、生活保護の人がいかに贅沢しているかということとともに、数々のバッシングの意見がよせられています。 私もこのニュースのことは覚えていて、朝日新聞の報道をきっかけに様々なメディアで取り上げられていたと思います。その時に怒りを感じましたが、その矛先は母親ではなく、メディアに対してのものでした。 私も、現状の生活保護に対する疑問は日々感じています。生活保護を受けることに疑問を持つこともなく、できることをしようとしない人に苛立ちを覚えることはあります。 しかしながら、このお母さんは本当に苦しんでいるのです。本当に困って、真剣に自分の窮状を訴えているのです。朝日新聞の記者の意図は違ったのかもし

生活保護法再改正案が6月末までの今国会で成立する可能性が高まった。国が事実上、生活保護を見捨てることになるとしたら、近い将来、起こり得ることは?(写真はイメージです)生活保護法再改正案成立で 福祉事務所の外注は可能か 今国会に提出されていた生活保護法再改正案をめぐる動きは、「モリ・カケ」問題、閣僚の失言や省庁幹部のスキャンダルに紛れた形となっていた。しかし2018年4月25日、自民・公明・維新のみが出席した衆議院・厚生労働委員会で可決され、6月末までの今国会で成立する可能性が高まった。6月には、生活保護基準の引き下げも厚労大臣によって決定される予定だ。生活保護法再改正案には、現在は不正受給の場合に限られている生活保護費からの天引き徴収を、役所側のミスによる不正ではない「受け取り過ぎ」にも拡大する内容が含まれている。これは、免責債権を“なし崩し”に非免責債権化することとイコールだ。この他

● 「生活保護」の転換点に? 厚生労働副大臣と受給者が初の面会 東京都心が満開のソメイヨシノに彩られ、晴天の花見日和となった2018年3月29日の午後、日比谷公園に隣接する厚労省内において、生活保護の歴史において転換点となるかもしれない出来事があった。厚生労働副大臣・高木美智代氏(公明党)が、生活保護で暮らす当事者4名と、副大臣室で面会したのである。 3月5日の参院予算委員会においての、山本太郎議員の質問に対する「生活保護基準の決定権を持つ政務三役(厚生労働大臣、厚生労働副大臣、厚生労働政務官)と当事者が面会し、声を聴く」という安倍首相の約束は、ようやく果たされた。 前回お伝えしたとおり、当事者たちは3月19日にも、安倍首相の約束が果たされるという期待のもと厚労省を訪れた。しかし、面談できたのは社会・援護局長であった。局長は、厚労官僚としては生活保護部門のトップではあるが、保護基準の決定権

「相対的剥奪指標」というデータで見ると、国民が貧困によって生活のどんなものをあきらめているかがわかる。日本の現状はかなり深刻だ(写真はイメージです) 「健康で文化的な生活」への 距離を測るもう1つの指標 2018年1月22日、通常国会が開始された。審議対象の1つである政府予算案には、厚労大臣が「最大5%引き下げる」とした生活保護基準が含まれている。5年おきに見直される生活保護基準は、2013年の見直しに引き続き、子どものいる世帯に対する引き下げ幅が特に大きい。しかし日本にとって、子どもの貧困の解消は重大な取り組み対象の1つではなかっただろうか。いずれにしても、国会で活発な議論が行われるだろう。 今回は目の前の切実すぎる問題を、「相対的剥奪指標」から俯瞰してみたい。生活の「あきらめ指標」と言い換えてもよいだろう。2017年に開催された社保審・生活保護基準部会での重点的検討課題の1つでもある。

ギャンブル依存症の方たちがギャンブルをするのは病気の症状としてしてしまうのであって、やめられないのは意思が弱いからではない。 自分ではコントロールができない病気だから、やめられない、止まらないのだ。 今回は当ブログとしては珍しく、私の記事に対する批判、疑問に対してお答えしたいと思います。 その記事とはこちら。 大分県の別府市が、今年10月の計5日間に、市職員35人が同市内の13のパチンコ店と市営別府競輪場を巡回。受給者25人を見つけて市役所に一人ずつ呼び出し、行かないように注意し、調査した5日間で再び見つけた受給者については、支給額の大半を1カ月分取りやめたという事件についての記事でした。 別府市が生活保護受給者が朝からパチンコをしないように巡回調査・受給停止。これ、違憲・違法! これについて私は 「これは、憲法が基本的人権として保障している生存権侵害として、人権侵害であり、裁判になれば必

厚生労働省は27日、生活保護受給者について、医師が問題ないと判断すれば、先発医薬品より安い後発医薬品(ジェネリック)を原則使用することを生活保護法に明記する方針を固めた。 受給者の高齢化に伴い増え続ける医療費(医療扶助)の抑制が狙い。今国会に同法改正案を提出、2018年10月の施行を目指す。 医療扶助は全額が公費負担。15年度の場合、生活保護費約3兆7000億円のうち約1兆8000億円と最も多い。厚労省は抑制に向け、受給者の後発薬の使用割合を18年度中に80%以上にする目標を設定している。 現行法は、受給者の後発薬使用を「可能な限り促す」としており、あくまで努力義務の扱い。このため、薬局などで後発薬を勧めているが、希望者には先発薬を調剤。後発薬の使用割合は16年で69.3%にとどまる。 そこで同法改正案では「原則として後発医薬品による」と、より踏み込んだ表現とし、受給者の意向にかかわらず後

昨年12月末、生活保護基準引き下げに反対する「緊急ホットライン」が開催された。300人弱に及ぶ受給者から、どんな声が寄せられたのか(写真はイメージです) 緊急ホットラインで浮かび上がる生活保護受給者の深刻なリアル 年末も押し迫った2017年12月26日、「生活保護基準引き下げに反対します(緊急ホットライン) ~私たちの声を聞いてください~」が開催された。主催は、このホットラインのために結成された「生活保護基準引き下げに反対します(緊急ホットライン)」実行委員会。 この他、貧困問題で長年の活動実績を持つ生活保護問題対策全国会議、反貧困ネットワーク埼玉、ホームレス総合相談ネットワークが共催に加わった。私も2時間ほどではあるが、ボランティアとしてホットラインの電話を受ける側に加わった。 東京、さいたま、大阪の3会場に用意された合計13回線には、午前10時から午後7時までの開催時間中に、生活保護

2017年の生活保護には、希望のムードが漂いました。 しかし予算面・制度面では、決して楽観できない動きが続きます。本記事は「希望編」https://news.yahoo.co.jp/byline/miwayoshiko/20171231-00079958/「絶望編」の前編、希望編です。 年明けとともに、「小田原市ジャンパー問題」年明け間もない2017年1月、小田原市の生活保護ケースワーカーたちが「保護なめんな」「不正受給はクズ」とプリントしたジャンパーを着用して業務に就いていたことが判明しました。プリントされた文字は小さく、ローマ字あるいは意味不明の英語だったので、幸い、実際に生活保護で暮らす人々に読まれることはなかったようです。 しかし、あまりにも威圧的な、かつ便所の落書きのような文言は、多くの反響を呼び起こしました。小田原市には「なんという人権侵害を」という抗議多数とともに、「よくや

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【お詫び】12月8日午後6時ごろ、Yahoo!ニュースアプリのプッシュ通知が多数送信される不具合がありました。お詫び申し上げます。 厚生労働省は8日、生活保護の基準額に関し、食費や光熱費などの生活費の見直し案を社会保障審議会の部会に示した。大都市部では減額となる世帯が多く、カット幅は最大13.7%に上る。また、母子家庭に対する加算(母子加算)については平均2割カットになる可能性があるとした。厚労省はカット幅の大きい世帯については減額幅の縮小や段階的な実施などの緩和措置を取ることも検討した上で2018年度から実施する。 基準額は最低限度の生活を営むのに必要な水準で、生活保護を受けていない低所得世帯と同じ生活水準になるよう算出。生活費は5年に1度見直している。 厚労省は、現在の基準額と低所得世帯の消費実態を比較し、統計処理の異なる2案を示した。 それによると、「40代夫婦と中学生、小学生」(大

「飢えて倒れるほどではないけれど、貧困状態」という子どもの暮らしって、想像できますか? 子どもの貧困問題は、極端に貧困な子どもに注目が集まりがちですが、生活保護を受けてはいないけれど、生活が苦しいという家庭も少なくありません。そういう家庭の家計簿をつけてみることで、どんな暮らしなのかを理解するワークショップを考えた人がいます。聞いてみました。(朝日新聞東京社会部記者・原田朱美) 【画像】「スマホも持っている」「見た目はむしろ気をつかう」これがリアル貧困家庭で育った若者たち こどもソーシャルワークセンター(大津市)の代表で社会福祉士の幸重忠孝さんです。 家計簿体験は、37歳の両親、中学1年の子どもの3人家族、収入は月17万円という設定で行います。もちろん家庭によっていろんな違いがありますが、「極端ではない貧困」のひとつの事例です。 参加者は、17万円から住居費や食費、教育費などを割り振ってい

大阪府守口市の女性(53)が、長男(19)の進学を理由に市が生活保護を一部カットしたのは不当として、府に審査請求している。国は保護を受けながら大学や専門学校に通学することを認めておらず、意欲があっても親の負担を考えて進学を諦める子どももいる。こうした制限が親から子への「貧困の連鎖」の原因とも言われており、国も対策に動き出している。 女性は15年前、夫と離婚。当時3歳の長男と2人暮らしを始めた。養育費はもらえず、幼子を育てながら働ける会社も見つからなかったため、生活保護を受けた。 長男は小学2年のときに発達障害と診断された。他人の言葉を聞き取るのが苦手だ。だが、絵を描くのは大好きで、小4のとき、絵画コンクールで入選。以来、将来の夢を聞かれると「絵を描きたい」と口にするようになった。 中学卒業時は支援学校への進学を教師に勧められたが、イラストを学ぶコースがある大阪市内の高等専修学校を選んだ。3

● 母と子の息詰まる日常生活保護で暮らすことは「悪」か?生活保護制度の母子世帯は「働けるのに働かずに生活保護に甘える」という見方をされやすい。世帯主である母親の多くは、生活保護で「働ける年齢(稼働年齢)」とされる20~64歳。「働かない」「働けない」のどちらなのかはともかく、実際に働いておらず、さらに生活態度や子どもの振る舞いに少しでも「ツッコミどころ」があれば、透明な非難の矢が四方八方から飛んでくる中で、日常を送ることになる。 このような背景から、生活保護母子世帯の中には、時に、世帯全員の引きこもり(子どもは不登校)が見られる。 しかし、住まいに引きこもっていれば少しは安心できるというわけでもない。地域によっては、生活保護ケースワーカーからの「働けないのか」「もう少し稼げないのか」という圧力に晒され続ける。そういう地域では、母親が働くに至れない状況、背景への理解、目配りがなされること

厚生労働省は7日、平成27年度の生活保護受給調査を公表した。受給世帯数(1カ月平均)は、前年度から1万7403世帯増(1・1%増)の162万9743世帯で過去最多だった一方、受給者数は2210人減(0・1%減)の216万3685人だった。減少は平成7年度以来、20年ぶり。厚労省保護課は「65歳以上の高齢者世帯の受給が増加しているが、それ以外の世帯は、雇用環境の改善などで回復している」と分析している。 世帯別(一時的な保護停止を除く)では、高齢者世帯が4万1632世帯増(5・5%増)の80万2811世帯。全体の51%を占め、初めて半数を超えた。母子世帯や傷病者・障害者世帯はそれぞれ3990世帯(3・7%減)、1万1590世帯(2・6%減)減少した。 受給開始の主な理由では、「貯金等の減少・喪失」が34・1%と最も多く、「傷病」(25・2%)「働きによる収入の減少・喪失」(21・5%)が続

些細なことをきっかけにして生活意欲を失い、自身の健康や衛生、人生に対して捨て鉢になってしまうセルフネグレクト。放置すると、ゴミ屋敷から孤独死まで向かってしまうという恐ろしい状態が今、30~40代を中心に広がっているという。週刊SPA!5/16号でも「死を招く自虐うつの正体」と題し、この自暴自棄に陥ってしまう人たちのメカニズムを紹介したが、その取材の中で出会った坂田住太さん(仮名・43歳)も、そんなセルフネグレクト状態に陥ってしまった一人だ。まずは彼の物語から振り返ってみたい。 ◆30歳すぎから友人もいなくなった 銀行員の父親のもと真面目な家庭で育ち、高校は地元の進学校を卒業。東京の大学に進み、彼女もできるなど普通の学生生活を送っていた。しかし、就職活動に失敗したあたりから人生が狂い始める。 「就職せずに職を転々としました。ペンションで住み込み従業員になってみたり、ラブホテルで働いてみ

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