役人が権限を欲しているというのは大きな誤解だ。役人とはむしろ権限を持つことを嫌がるのであり、役人から権限を奪うことが行政改革ではなく、役人に責任を持って権限を持たせるのがポイントなのだ。 役人とは、世間やメディアのイメージとは違って、権限を振り回したり、権限を獲得することを最優先にして仕事をしていたりする、ということはない。むしろ逆に、責任を負わされるのは嫌だから、なるべく不必要な権限は保持したくないのであり、実施が面倒な法令は嫌で、自由にやってもらいたいのだ。 だから、自由にやられたらほかの住民から苦情がくるようなことは起きてほしくなく、そういう場合に、何でも禁止してしまえ、と言うことになり、実施しやすいルールを作り、それに当てはめて、自分で判断、解釈して責任を追及されないように、ルールどおり運用していますと言えるような制度を望むのだ。 ここにこそ、官僚主導の最大の弊害が生じる。個別に実

「沖縄をタックスヘイヴンに」のエントリーに、予想外の反響があった。政策にかかわるひとたちも読んでくれているようなので、これが荒唐無稽な話ではないことをもうすこし説明してみたい。 私の提案は、沖縄にジャージーやガーンジーのような自治権を与えることだ。とはいえ、ほとんどのひとはチャネル諸島なんかに行ったことがないだろう。 ジャージー島は伊豆大島くらいの大きさで、人口は約9万人、1人当たりGDPは56,000ドル。首都セント・ヘリアはこんなところだ。 セント・ヘリア(ジャージー) ガーンジー島はひとまわり小さく(八丈島くらい)、人口は約65,000人、1人あたりGDPは約4万ドル。首都セント・ピーター・ポートはこんな感じだ(港のすぐ裏手が丘陵になっていて、平地はほとんどない)。 セント・ピーター・ポート(ガーンジー) ちなみに、日本の1人当たりGDPは約39,000ドルだから、漁業と牧畜、観光以

明日、沖縄県知事選が告示される(28日投開票)。今回は民主党が候補者の擁立を断念したので、米軍普天間基地の県外移設を求める現職と、国外移設を求める前宜野湾市長の争いになるのだという。 しかしこの議論は、(いつものように)むなしさと徒労感に覆われている。米軍基地の県外移設や国外移設がほとんど不可能なことは、政治家はもちろん、基地に反対する沖縄県民にもよくわかっているはずだからだ。 1972年の返還以降、米軍基地受け入れの代償として、沖縄には巨額の援助(公共投資)が投じられてきた。しかししそれでも、沖縄は現在でも日本でもっとも貧しいままだ(平均所得は東京の半分で、失業率は全国一)。援助は一部の既得権層を潤すだけで、地域の経済発展にはなんに役にも立たなかった。 それでは、沖縄はこれからもずっと貧しいまま、基地の重圧に苦しまなければならないのだろうか。ここでは、沖縄県民の平均所得を劇的に増大させ、

シカゴ出張中だが、部屋のネットでライブ中継を聞いていた。若手の競争的研究資金は「縮減」という結論になった。 明日は、まさに科研費(若手B)の出張費での成果発表だが、心が落ち着かないのでブログに書いておこう。 行政刷新会議ワーキンググループ日程・ライブ中継サイト http://www.cao.go.jp/sasshin/oshirase/live.html ライブ中継を聞きながら、Twitterの#shiwake3 というハッシュタグでコメントを投稿しつつ、皆さんの反応も読んでいたが、だんだん悲しくなってきた。これまでの運用を見直し、しかるべきところに割り当てなおし、無駄がでないように使いやすいようにしていこうということについては、毛頭反対する気はない。当事者目線で見直すというのならば、単年度での使いづらさや、若手にとって「自分の」研究費が持てることの価値を取り上げていただきたかった。だが、
公然リフレ派(実名さらしてネットで活動するリフレ派)の主要メンバーがスペイン出張中につき、わたくし田中が代わって事後宣伝。ところで僕も近いうちロンドンいくんだけどあっちらはリフレの嵐が吹き荒れてて、庶民レベルでもヘリマネ全開だとか。ぜひ日本も見習いたいものです。 朝日新聞の昨日の記事。まず飯田さんの問題提起ー「底打ち」を楽観的に見ることで景気回復がないまま不況が長期化するリスクが大きいこと、本来なら政策的対応を備えなければいけない自民党と民主党の両方のマニフェストが、十分な成長(つまりここでは景気回復)がないまま再分配を強く志向していることへの危惧などが指摘されている。 この飯田さんの問題提起に対して各論者がどう答えたかであるが、実は一番のこの座談の売りは飯田さんのこの問題提起があるということに尽きると思う。なぜならこれだけ大規模な総需要不足の不景気が、こんなに簡単に終わるわけない、という
政府は15兆円を超える史上最大規模の追加経済対策を発表した。併せて日本銀行が国債買い入れを増額することが重要だと思うが、今回の主題は景気や株価ではない。 対策の細目を見ると、住宅取得に絡む贈与税の最大500万円軽減を筆頭に、ハイブリッド車購入の際に補助金が出るとか、省エネ対応の家電製品を買うと最大3万9000円相当のポイントが付与されるとか、特定の物を買う場合に公的なサポートを受けることができるという項目が多い。 ある程度余裕のあるおカネ持ちにメリットが集中することを脇に置くとしても、自動車を買うよりも旅行をしたいとか、薄型テレビよりも本を買いたいといった消費になぜサポートがないのか理解に苦しむ。「環境」というなら、そもそも不要な自動車が走らないのがいちばんよい。テレビの買い替えを補助するよりも図書券でも配ったほうが、国民は賢くなるだろう。自動車、家電、テレビ局に負けないくらい出版社だって
1リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く