SFマガジン2019年6月号に掲載された小野美由紀さんの「ピュア」を全篇公開します。タイトルの通り、ある純粋な性と生を描く遠い未来の物語です。 (追記)早川書房noteで全記事アクセス数1位の本作、書き下ろし4篇(!)を加えて書籍化決定! 4月16日(木)発売です。 「男を食べたい」と思ったのは、一体いつからだろう。 はぁ、と荒い息を吐きながら、目の前でヒトミちゃんが男を犯している。 ぎっこんばったん、ボートを漕ぐみたいに大きく上体を揺らし、ほおを紅潮させ、恍惚に体を震わせながら、ヒトミちゃんは跨った男に夢中で腰を打ち付ける。男は白目を剥き、手足をひくつかせ、意識があるのかどうかさえ分からない。 空から降り注ぐ青白い光がぐるり、と地面に弧を描き、彼女の裸体をくっきりとその中に浮かび上がらせる。月の光ではない。月は崩れたビルの影に隠れ、私たちのいる位置からは見えない。回遊するドローンのサーチ

人気作家・海猫沢めろん氏の新作『ニコニコ時給800円』(集英社)は、仕事や職業をめぐる5つの物語が収録された連作小説だ。綿密な取材を踏まえて紡ぎ出されたストーリーは、なかなか見えてこない現代の若者の労働観なども捉えていて読み応えがある。本書ができるまでの舞台裏や執筆を通して感じたことなどを著者の海猫沢氏に伺った。 ──『ニコニコ時給800円』は、連作短編小説の形をとって、5つの職業が描かれます。まず、ここで取り上げられた職業がピックアップされた経緯を教えてもらえます? 海猫沢めろん氏(以下、海猫沢氏)■職業ものの小説を書こうと思って、過去に読んだ小説を思い返してみたんですけど、どうもピンとくる作品がないんですよ。唯一、若い頃に読んだ純文学の小説で、岡崎祥久さんの『秒速10センチの越冬』という作品を、覚えてたんですね。なぜかというと、主人公の境遇が自分と似ていたからです。フリーターが主人公で

今年2010年の4月頃から、「まおゆう」とファンのあいだで呼ばれているWeb小説が、ネット上で話題になっています。今回は、既に書籍化に向けて動き出しているとの話もある、このネット発の物語について情報をまとめてみました。 ■ 「まおゆう」はどんな物語か? 「まおゆう」の正式名称は、『魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」』。2ちゃんねるのニュース速報(VIP)板で、昨年2009年9月から約3ヶ月にわたって連載され、実に13スレッドを消費して完成した大部の物語です。 ▽ 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」まとめサイト ▽ 魔王「この我のものとなれ、勇者よ」勇者「断る!」@ wiki - アットウィキ そんなこの大長編の内容を一言で要約すれば、「勇者と魔王が手を組んで、魔界と人間界の戦争を終結に導く」というものです。そう聞くと、「どちらか一方が相手を倒せばそれで終わりじゃ

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