先月末(2025年7月末)に上場を廃止したインプレスホールディングスが新たな経営陣を発表しました。 6人いた取締役は3人となり、代表取締役には同社ファウンダーである塚本慶一郎氏の子である塚本由紀氏が就任しました。 代表取締役に塚本由紀氏 塚本由紀氏は2007年に塚本慶一郎氏が病気で倒れた後に同氏の介護をしつつ塚本慶一郎氏の資産管理会社であるT&Co.の取締役に就任。2017年からインプレスホールディングスの取締役を務め、2020年には取締役副社長、2024年には取締役CCOを務めていました。 今回の上場廃止と同社グループ事業の再編成はT&Co.の提案によるものであり、塚本由紀氏の代表取締役への就任によってインプレスグループの今後についてのイニシアチブは同氏が握っていくことになるでしょう。 2人目の取締役は同社財務企画部部長や経営戦略室室長などの経歴を持つ二宮宏文氏。同氏はインプレスグループ

Amazonを見たら、新刊の予約ページはできていました。 「GarageBandとSunoAIではじめる曲作り入門」(2750円)は2025年8月29日に発売予定……。 ううう……。 さて、どうするか。出版契約も結んでいないので、いったんバラしてNoteあたりで売るか、Amazon KDPでやるか、他の出版社に持っていくか、選択肢もないわけではないのですが、締切の存在があるのとないのとでは突破力が違うんですよね。 せっかくなので、未定となった書籍の冒頭部分原稿をコピペしておきます。 「GarageBandとSunoAIではじめる曲作り入門」(仮称)音楽の作り方は決定的に変わったこれまで筆者は何度かテレビに出演したことがあります。2011年にエイベックスなどが主催する音楽コンテストで決勝に勝ち残ったのをきっかけにフジテレビの深夜番組に出たのが最初でした。このときにはiPadでGarage

私の職場では「自社の発行物を購読率を上げるにはどうしたらいいか」という会議が上のほうの人たちの間で定期的に持たれる。 業界誌なので、ただ面白く読んでもらうというよりは「読んでもらう=業界メンバーに業界の動向・基礎を学んでもらう」啓発の役割があり、私たち編集者は業界の動向・基礎についていかに分かりやすく・正確に伝えるかに尽力する。 中年以上がほとんどを占めるこの会議に私は長年付き合ってきたが、最近は「もっと軽い読み物を載せたらどうか」「活字を減らし、写真を多用しては」「分量が多すぎるのでページを減らしては」「プレゼント企画でひきつけては」という意見が年々増えていて、ああ、活字離れは年配者にも広がっているのだなと。内容そのものの吟味・精査ではなく、文字の分量の話になっている。小難しいものを小難しくないように伝えるのが編集者の力量だが、そんな技は求められていないみたいだ(ま、それができてないから

朝日出版社(旧)経営陣からM&Aについてのご報告と御礼 昨年10月、朝日出版社(および系列のブックマン社)がM&Aにまつわる困難に直面していることを、このサイト上でお知らせいたしました。 それを受け、大変多くの方々が各方面から励ましのお言葉をお寄せくださいました。小社支援のフェアを開催してくださった書店さまもありましたし、いくつかの学会さまが公式サイトに激励の辞を掲載してくださることもありました。従業員それぞれがお取引先などからあたたかい言葉を掛けていただいたことは数知れません。 そうしたことすべてに力を得ながら、粘り強く状況打開に努めてきたわれわれですが、このたび喜ばしいゴールにたどり着いたことをご報告し、みなさまに心よりの御礼を申し上げます。 すでに各メディアの報道でご存じの方もおいでかと思いますが、本年2月14日に完遂された株式譲渡契約により、朝日出版社はNOVAホールディングス株式
人気雑誌も「休刊ラッシュ」の苦境 出版社の3割超が「赤字」過去20年で最大、出版不況で低迷脱せず 倒産・廃業も増加傾向続く「出版社」の倒産・休廃業解散動向(2024年1-8月) 株式会社帝国データバンクは、「出版業界」の動向について調査・分析を行った。 <調査結果(要旨)> 人気雑誌も「休刊ラッシュ」の苦境 出版社の3割超が「赤字」 過去20年で最大、出版不況で低迷脱せず 倒産・廃業も増加傾向続く 集計期間:2024年8月31日まで 集計対象:負債1000万円以上法的整理による倒産 調査機関:株式会社帝国データバンク ※調査結果は下記ホームページにも掲載予定 https://www.tdb.co.jp/report/index.html 全国で書店の減少に歯止めがかからないなか、雑誌や書籍の出版社でも厳しい経営環境が鮮明となっている。2023年度における出版社の業績は「赤字」が36.2%を

出版流通の現場から。廃棄を目の当たりにする「出版倉庫」を営むからこそ分かる書籍廃棄の痛み | SeLn こんにちは、〈SeLn(セルン)〉広報部です。 〈SeLn〉は「出版流通を再発明する」を経営理念に掲げ、出版流通のデジタル化・オンデマンド化を進めるスタートアップ企業です。まだまだ小さな企業ですが、出版流通への大きな愛と強い気持ちをもって事業をすすめています。 出版倉庫ニューブックの2代目社長として育ったセルンCEOの豊川から見た、出版流通の栄枯盛衰、そして、これから……。 このnoteでは、どのような思いでこの事業を始めたのか、その背景にある出版業界の変遷についてお話ししますので、ぜひ最後までお付き合いください。本屋や出版社だけではない!昔の「出版流通」は大忙し!CEO・豊川の父が出版物流倉庫をはじめた1970年代頃は、出版業界がまだまだ右肩上がりの頃でした。 当時は、本に挟まれてい

「一般文芸」という不思議な言葉がある。出版業界用語の一種で、普通の辞書には載っていない言葉である。ラノベ業界においては「ラノベ以外の小説」という意味で使われることが多いが、別にラノベ発祥というわけでもない。よく本を読む人でも「そんな言葉は知らなかった」ということも多いだろう。明確に定義されているわけではないし、誰が言いはじめて、いつから使われているのかもわからない。 しかし、いまや我々はインターネットだけで明治以降のさまざまな書籍を全文検索して用例を調べることができる。そう「国立国会図書館デジタルコレクション」である。ありがたやありがたや。というわけで「一般文芸」について検索してみよう。 検索できるかぎりにおいて、おそらく最も古いのが1892年(明治25年)『哲学雑誌』内の一文である。 文學史といふ名稱は文學の歴史即ち「リテラツールグシヒテ」といふ意味なるべしと思ひしに此度の三書は文學史と
去年1年間の出版物の推定販売額は、電子コミックの売り上げが好調だったものの、紙の書籍の落ち込みが大きく、紙と電子を合わせた全体では、2年連続で前の年を下回りました。 出版業界の調査や研究を行う出版科学研究所のまとめによりますと、去年1年間の出版物の推定販売額は、紙と電子の合計で前の年より2.1%少ない1兆5963億円と、2年連続で前の年を下回りました。 このうち「電子出版」の売り上げは前の年を6.7%上回る5351億円となり、中でも「電子コミック」は、1話ごとに購入できるサービスや、出版社と協力し、ほかより先行して配信する作品を強化するなど各ストアの戦略が活発で、電子出版の売り上げ全体の9割を占めています。 一方「紙」の出版物は書籍・雑誌ともに売り上げが落ち込み、全体で前の年を6%下回る1兆612億円となりました。 書籍では村上春樹さんの6年ぶりの長編小説や、42年ぶりに続編が出た黒柳徹子

まず2023年6月19日の『週刊文春・電子版』をご覧になったであろうか。なんとライトノベル市場が半減したというのだ。私は「note」にて既に2019年にて警告を発したことがあるが「じゃーなんで次々ミリオンヒット作が出てるんだよ」という反論に負けてしまった。だがやっぱり体感的なことまで当たってしまった。 そりゃそうじゃん、中年読者を優先させて中高生のニーズを除外したらそりゃそうなるよね。 で、私は「真のラノベ市場の第一ピーク」って1997年だと思ってるんですよ。なぜかって? 膨大な若年層(厳密には23歳前後の新社会人層)が1996年末頃にラノベを卒業するかどうかの世代に当たるからです。そうです。年約200万人も出生数がいる団塊ジュニア世代の存在です。今の18歳人口年約110万人だぞ。それを考えたら真のラノベ市場は1997年頃がピークで読者のすそ野も大きく、逆に2013~2016年当時は既に一

出版取次最大手の日販(日本出版販売)が発行した『出版物販売額の実態2023』によると、22年度の出版物のインターネット経由での販売額は書店経由での販売額を超えた。紙の書籍・雑誌に限ると、書店ルートの推定販売金額は8157億円だったのに対しネット経由は2872億円と依然として書店経由が圧倒的に多いが、電子出版物が6670億円と推定される。購入ルート別ではネット経由(紙の本+電子出版物)がリアル書店を超えたことになる。書店ルートは縮小し、ネットルートが伸びる傾向は今後も変わらないだろう。 リアル書店からネット書店や電子出版物へと消費者が流れる原因のひとつに、リアル書店における在庫情報の不備が挙げられる。ネットで在庫情報を公開している書店も一部にはあるが、まだまだ少数で、各店を横断的に検索するのも難しい。1冊の本を探して何軒もの書店をハシゴした経験のある人は多いだろう。だからつい「急ぎの本はネッ
いつもhontoサービスをご利用いただきありがとうございます。 ハイブリッド型総合書店サービス「honto」ではネット書店(本の通販ストア、電子書籍ストア)とリアル書店を連携したサービスを展開しておりますが、2024年3月31日をもって「本の通販ストア」のサービスを終了することと致しました。 2012年5月のサービス開始以来、多くのお客様にご愛顧賜りましたこと、深く御礼申し上げます。 サービス終了後の2024年4月1日以降「honto」は電子書籍ストアのサービスは継続し、本の通販に関して「e-hon」との連携を開始致します。 只今honto経由でe-honにて紙の本をご購入いただくとe-honポイント4%(通常ポイント+3%)付与キャンペーンを実施中ですので是非ご利用ください。くわしくはコチラ また、2024年7月2日に丸善ジュンク堂書店ネットストアがオープン致しました。 詳しくは 丸善ジ

取次最大手の日本出版販売(日販)がコンビニ配送から撤退するというニュースが、雑誌出版社に衝撃を与えている。日販はローソン、ファミリーマート、セイコーマートへ雑誌等を配送しているが、業界紙『文化通信』によると、2025年2月までに終了するという。もっとも、代わって取次第2位のトーハンが引き継ぐとみられ、多少の空白期間ができる可能性はあるものの、一般読者への影響は少ないだろう。 ただ、日販の撤退は雑誌販売がすでに抜き差しならない状況にあることを示している。日販がコンビニから撤退するのは利益が出ないからだ。00年代初めには7%ほどあったコンビニの総売上高に占める出版物の売り上げが、最近は1%程度にまで落ち込んでいる。売り上げが減っても配送する手間は変わらない。加えて、人手不足と燃料代の高騰が続いている。しかし、日販の後を引き継ぐとみられるトーハンにしても、その事情は同じだ。 コンビニにとって、雑
「紀伊國屋書店」や「蔦屋書店」などライバルどうしの書店が手を結び、仕入れや流通を共同で行う新会社を設立することを正式に発表しました。書店の減少に歯止めが掛からない中、経営の効率化で生まれる余力を書店の魅力づくりに振り向けることが狙いです。 発表によりますと、紀伊國屋書店のほか、「蔦屋書店」などを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ、それに出版取次大手でグループで書店を運営する日本出版販売の3社は、仕入れや流通を共同で行う新会社の設立に向けて協議を始めることで合意しました。 3社が持つ販売データを共有化し、AI=人工知能を使った需要の予測に基づく発注システムを共同運営することで、本の返品率を減らし、流通の効率化を進める方針です。 さらに、顧客向けのアプリの開発など書店横断型の新たなサービスも検討します。 新会社はことし秋の設立を目指すとしています。 3社が展開する書店は、全国であわせて

目次 「出版流通は、もはや既存構造では事業が成立しない」紙代は、恐ろしい勢いで上昇した1000円台の新書が増えている相次ぐ雑誌の休刊…社員が半年に1度ぐらいのペースでやめる週刊誌の「量と質」の低下に嘆き無料メディアも勢い失う「PV広告単価、昨年の半分に」なぜ有料メディア化に失敗するのか 「出版流通は、もはや既存構造では事業が成立しない」「出版流通はもはや既存構造では事業が成立しない。市場の縮小に、トラック運転手の労働時間規制を強化する『2024年問題』が重なり、本を運ぶ費用を賄えない」(日経新聞5月24日)――こう話すのは、出版取次大手トーハンの近藤敏貴社長だ。トーハンは、2023年3月期の出版流通事業が4期連続で経常赤字になることが見込まれていて、出版各社に書籍や雑誌の運搬費の値上げを相談するという。 物流業界で、今、大きな問題となっているのが「2024年問題」だ。ブラック化しているトラ


昨年11月16日の刊行から炎上状態になっていた岩崎夏海氏・稲田豊史氏の共著『ゲームの歴史』(講談社)の販売中止、早期返品が先月4月7日に発表されている。全編を通じて多岐に渉る事実誤認があり、当初、著者が言及していた改版時の修正も困難と判断されたようだ。 ※岩崎夏海氏は既にTwitterアカウントを削除しているどれほどの間違いが含まれているかについては、1980年代からゲーム業界に携わるプログラマー・ライターの岩崎啓眞氏が自身のブログで検証を行っている。氏によれば「デタラメ・間違いが数限りなく」あり「固有名詞と発売日以外は書いてある内容は全て疑ってかかる」べき本ということになる。(なお氏は既に本書に関する10本以上にわたる批判・検証記事を書いていて、非常に資料的価値が高いものになっている。書籍化も計画されているとのこと) 通常、書店で手にするような本は「校閲者」と呼ばれる専門家が、本文で言及

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