地上アナログ放送の停波予定日まで,ほぼ丸5年を残すだけになりました。地上デジタル放送への移行を推進するための各種の課題を検討するために設けられた総務省 情報通信審議会 情報通信政策部会の「地上デジタル放送推進に関する検討委員会」は,現在の重点課題として,(1)中継局ロードマップの具体化と補完措置,(2)受信機の普及と利便性の向上,(3)コンテンツの多様化,の三つを挙げています。2006年7月3日に開催された同委員会(第23回)では,(2)の課題に関連する,いわゆる「コピー・ワンス」の取り扱いに関する議論が中心でした。 2006年3月2日に開催された第21回の委員会でもコピー・ワンスの議論がなされ,そのとき筆者が感じたことを当コラムに掲載しましたところ,皆様から多くのコメントをいただきました(3月10日掲載のNEブログ)。この場を借りて御礼申し上げます。その記事では「機器メーカーと放送事業者
「AVレビュー」4月号では、「デジタル放送のコピーフリー化は可能か」「『誰がためのテレビ?』コピーワンス問題をめぐって」と題し、ユーザーに大きな負担を強いているコピーワンス問題に対しての記事を掲載すると共に読者諸氏からの意見を募集した。フリーアンサー形式にも関わらず、読者諸氏からは熱いメッセージが届いた。今回は、実際にお答え頂いた読者代表4名での座談会を実施した。 複雑な要素が絡み合うコピーワンス問題に対し、録画で、ハイビジョン映像でいろいろな考えをお持ちの読者に、自分のスタイルを活かすという前提でいろいろ語って頂いた。今回の一連の報告と言う意味もあるが、実際にこう考えている人がいると言うことを感じて頂ければと思う。また今回の企画は専門誌として何ができるかの試金石である。(AVレビュー編集部) <司会・進行 波瀬洸一> デジタル放送に掛かっているコピーワンス問題を考える 波瀬: 今回は、デ
●日本とすごく違う状況になった米国の地上波DTV 米国の地上波デジタルTV(DTV)が当面ずっとコピーフリーで行くことになった。違法コピー防止策「ブロードキャストフラグ」が、裁判所の判決により無効になったからだ。 今現在、米国の地上波DTVには何のコピー防止もかかっていない。この7月から出荷するAV機器を全部「フラグ対応」にして防止するはずだったのだが、それがとりあえず消えてしまった。むろん、コピーした番組をネットに上げれば放送局などに訴えられるだろうが、アンテナから地上波DTVを受信する場合、個人でのデジタルコピーはし放題がしばらく続くことになる。B-CASカードやコピーワンスで固められた日本の地上波DTVとは方向が180度違うものとなった。 フラグは日本のB-CASやコピーワンスよりも消費者に優しいルールに見えたのだが、それでも消費者団体などに訴えられ、負けた。フラグを設定する権利が政
いわゆる「iPod課金問題」で揺れに揺れた補償金制度だが、文化審議会著作権分科会法政問題小委員会が11月11日にまとめた報告書案には、「私的録音・録画についての抜本的な見直し」と、「補償金制度に関してもその存否やほかの措置の導入も視野に入れ」という1文が盛り込まれた。とくに「存否」の文字が入れられたことは、消費者の意向が反映された成果と見てもいいだろう。 この補償金の問題は、音楽産業の行きすぎた権利主張に対する抗体反応が、録音補償金という部分から現われたわけであるが、その一方で映像産業でも同じようなことが起こりつつある。だが反応の現われは、補償金制度ではない。「コピーワンス」という行きすぎた権利主張に対して、抗体反応が起こりつつあるのだ。 行政としては以前から「知的財産推進計画2005」というプロジェクトの中で、コンテンツ利用促進などについて動いてきたわけだが、コピーワンスの見直し論はその

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