2025-07-16 (Updated at: 2025-07-19) 信頼されることと信頼に値すること ―『信頼と不信の哲学入門』 キャサリン・ホーリーという哲学者による、信頼と不信についての一般書。非常におもしろかった。 信頼とは何か ホーリーによると、信頼とは依拠 (reliance) である。わたしたちが人々を信頼するとき、わたしたちはその相手に依拠している。依拠するということは、その相手のおこないをあてにして何かをおこなうということである。 しかし、信頼ではない依拠もある。カーテンや椅子、目覚まし時計をあてにするというとき、それは信頼ではなく機械的な依拠という。人間相手であっても、風除けになる群衆への依拠は信頼ではない。相手がそのことを考慮に入れてくれるだろうとは思っておらず、群衆がばらばらになって風除けにならなくなっても、それを裏切りだと思うことはない。ただ相手の存在から利益を

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