難民認定申請者のうち生活困窮者らに国が支給する「保護費」の受給者が昨年度、658人に急増し、委託費などを含む総事業費が前年度の約1・7倍の3億2700万円にのぼったことが15日、外務省のまとめでわかった。1人当たりの平均年額は約50万円となる。同省は、難民申請者が1万3千人超に激増したことが影響したとみている。一方で、申請者の多くは難民申請者に与えられる正規の在留資格で就労しており、「保護費より稼げる」のが現状という。 4人世帯で最大月額27万円外務省によると、保護費は1983(昭和58)年に始まった国の措置制度。難民認定の1回目の審査期間中、収入がないなど「生活困窮の度合いが高く衣食住に欠けるなど、保護が必要と認められる」人が対象で、国内の生活保護に準じるものという。生活費のほか、必要に応じて住居費を支給、医療費も原則保険適用内で実費を支給する。 生活費は生活保護の水準を参考に定められ、

「私たちの存在を、消さないで。」―。シルエットの女性がこう訴える画像がSNS(交流サイト)で拡散されている。作成したのは、トルコの少数民族クルド人と地域住民の軋轢が表面化している埼玉県川口市に住む30代の女性。「一部外国人の犯罪や迷惑行為は目に余るのに、テレビや新聞でほとんど報道されない。まるで自分たち地域住民は存在しないかのように感じた」。女性は「ヘイトスピーチだ」などと批判されることを極度に恐れつつ、勇気を振り絞ってこの画像を作成したという。 まるで私たちは存在しないかのように画像は、「ネイティブ・ライブズ・マター(地域住民の命は大切)」と書かれ、《差別やヘイトは絶対ダメ! でも犯罪や迷惑行為に苦しんでいる市民の声や市民の人権は無視ですか?》とのメッセージが添えられている。米国で黒人差別解消を訴える「ブラック・ライブズ・マター(黒人の命は大切)」運動にならったという。 川口市内では、解

埼玉県警などとの合同パトロールに参加する日本クルド文化協会のクルド人男性(右)ら=4日夕、同県川口市のJR東川口駅(岩崎叶汰撮影) 埼玉県警は4日夕、同県川口市内で入管や地域住民らとの合同パトロールを行った。クルド人団体も初めて参加したが、代表者が「SNSは噓やデマが多い」「日本人もやっている」などと話し、好意的に伝えようと集まった一部報道陣が困惑する一幕もあった。 団体は在日クルド人でつくる一般社団法人「日本クルド文化協会」(川口市)。この日は同協会からクルド人の男女5人が参加した。ワッカス・チカン代表理事(32)は報道陣の取材で、一部クルド人による車の暴走行為やトラックの過積載が交流サイト(SNS)で批判されていることについて問われ、「SNSで出ているのは噓やデマが多い」と切り出した。 「われわれも同胞がルール違反をしているのではないかと独自のパトロールを始めたが、実際は皆で集まるくら

公安調査庁の年報「国際テロリズム要覧」2023年版で、テロ組織のリストからトルコの非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」などが除外され、サイトの当該ページが一部で削除、閲覧停止となっていた問題で、公安庁は6日、同庁サイトで当該ページを削除したことを公式に認めた。 当該ページは11月24日の公開後、12月1日前後に突然、一部ページが真っ白になるなど削除、閲覧停止状態となり、困惑が広がっていた。 同庁サイトに掲載された文書は「『国際テロリズム要覧』に関するお知らせ」と題し、《『国際テロリズム要覧2023』から抜粋し、公安調査庁ウェブサイトに掲載していた「主な国際テロ組織等、世界の国際テロ組織等の概要及び最近の動向」と題するウェブページについては、政府の立場について誤解を一部招いたことから、当該ページは削除しましたので、お知らせします》と説明。 《「主な国際テロ組織等」については『国際テロリ

公安調査庁が世界のテロ組織の情勢をまとめた年報「国際テロリズム要覧」の最新版で、テロ組織のリストからトルコの非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」などが除外され、トルコ国内で反発が広がっている。他にもイスラエルとの戦闘が続くイスラム原理主義組織「ハマス」も削除されていた。トルコでは各メディアが非難し国会でも取り上げられるなど、国際問題化しつつある。 外務省は否定トルコメディアでは、さらに今月1日、中東ドバイで開かれた国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)首脳会合で岸田文雄首相と会談したトルコのエルドアン大統領が、この問題で不快感を表明したと報道した。 日本の外務省は産経新聞の取材に「エルドアン氏から抗議や申し入れはなかった」と回答した。 PKKをめぐっては、トルコ政府が埼玉県川口市の在日クルド人団体「日本クルド文化協会」と代表者らについて「テロ組織支援者」に認定、トルコ

埼玉県川口市に在留するトルコの少数民族クルド人の団体「日本クルド文化協会」と同協会の代表者らについて、トルコ政府が「テロ組織支援者」に認定、トルコ国内の資産凍結を決定したことが5日、分かった。同国の非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」への資金提供が理由。同協会は今年2月のトルコ地震の際、日本国内で募金活動を行い、約4千万円を集めたという。 トルコ政府が先月29日、公式サイトに掲載した官報によると、欧州や豪州、日本に拠点を置く62人の個人と20の組織についてPKKへ資金提供するなどしたテロ組織支援者と認定。先月27日付で同国内の資産を凍結する決定をした。 このうち日本国内で対象となったのは同協会などと、同協会事務局長で東京外国語大講師のワッカス・チョーラク氏(42)や代表理事(32)らクルド人数人。 同協会は平成27年から活動している一般社団法人で、「クルド人、日本人、その他の国民との

インタビュー㊥ギュンゲン駐日トルコ大使は産経新聞のインタビューに応じ、トルコ国内のクルド人は「選挙権もあり、人権は保障されている」と説明。日本で難民認定申請を繰り返すクルド人の「難民性」を暗に否定した。 ㊤川口のクルド人問題「容認しない」 ――大使は以前に、「クルド系はトルコであらゆる政治活動の自由を保障されている」と述べていたが、クルド人は政治難民ではないということか 「国民の大半はクルド人と縁戚関係にある。切り離せる存在ではない」 《トルコ総人口8500万人のうちクルド人は1500万人とされる》 「クルド人を含めすべての国民に人権が保障されている。国会には選挙を経たクルド系議員がおり、現在はクルド語教育や報道、文化活動も可能だ。彼らが難民認定申請を繰り返しているのは知っているが、認定はあくまで日本当局の権限だ」 「2023年5月のトルコ大統領選などで、在外投票を東京の大使館で行った際、

伊ランペドゥーサ島に到着した移民(2023年9月18日撮影)。(c)Zakaria ABDELKAFI / AFP 【10月1日 AFP】実業家のイーロン・マスク(Elon Musk)氏は9月30日、ドイツが地中海の移民を救済するNGOに資金支援していることについて、移民が殺到しているイタリアへの「侵攻」とも受け取ることができるとコメントした。 地中海における移民問題をめぐりイタリアのジョルジャ・メローニ(Giorgia Meloni)首相は最近、不法移民のイタリア流入を支援するNGOにドイツが資金を出しているのは「驚き」だとする書簡をドイツのオラフ・ショルツ(Olaf Scholz)首相に向けて送付したばかり。ドイツ側は、イタリア国内での移民支援および海上での救出に向けたプロジェクト2件に40万ユーロ(約6300万円)と80万ユーロ(約1億2700万円)を拠出したことを認めている。 マ

2019年の「特定技能」在留資格導入で、日本は実質的に「外国人の移民を受け入れる国」となった。人口減による労働力不足と少子高齢化の高まりを受け、地方の自治体では「外国人受け入れは地域社会の維持に必要」だとの認識も広がっている。筆者は、多文化共生の推進に向け、「政府が真正面から政策の転換を国民に説明すべきだ」と指摘する。 人口減見据え、問われる「社会の在り方」 総務省が公表した2023年1月1日時点の住民基本台帳に基づく人口動態調査では、日本の人口はこの1年間に80万人以上も減少した。このペースが続けば、今後10年間で大阪府とほぼ同じ人口(800万人)が消滅することになる。今回の調査では、東京都を含め、初めて全都道府県で人口が減少した。 人口減少率が全国で最も高いのは秋田県。上記の住民基本台帳をもとにまとめた秋田県の人口統計では、この1年で1.65%も減少し、94万1021人となった。県は少

今年4月在留資格を求め国会前で訴える在日クルド人の子供たち 今年6月、在留資格がない在日外国人の母国への強制送還を厳格化する法改正が成立したが、日本で生まれ、もしくは日本で長く暮らす子供はどうするのか、という問題が残った。 ところが、8月4日、政府はそんな外国籍の子供140人に「在留特別許可」を与えると突然発表したのだ。果たして政治の場で何が? その内幕を、立憲民主党のある議員の視点からひもとく――。 * * * ■「在留特別許可」とは何か 日本で育ちながら、日本で暮らす資格を持たない201人の外国籍の子供のうち、140人に在留特別許可を与える――。 先月初めに齋藤健法務大臣(当時、以下同)が発表したこの決断は賛否両論を巻き起こした。全国紙記者は興奮した口調で語る。 「大臣が自身の責任で、トルコ国籍の在日クルド人など外国人の子供140人を一度に救う判断を示しました。私は入管法改正案が出され

日本で暮らす外国籍の子どものうち、2021年5月時点で約1万人が学校に通っていない可能性があるという。外国人の子どもたちの教育を巡る実態と、平等に教育を受けられる体制づくりの必要性について、東京外国語大学准教授で同大多言語多文化共生センター長の小島祥美さんが解き明かす。 2019年9月、日本で暮らす外国籍の子どものうち、約2万人が学校に通っていない可能性があるという実態が、文部科学省が全国規模で初めて行った外国人の子供の就学状況等調査(2019年度)によって明らかになった。これは、日本で暮らす外国籍の子どもの約5人に1人(18.1%)(※1)が不就学状態に置かれている可能性を示す。この数を同じ時期の2019年に発表された国連教育科学文化機構(ユネスコ)リポートと照らし合わせると、その深刻さが顕著になる。なぜならば、世界で最も学校(初等教育)に通っていない子どもの比率が高い「サハラ以南のアフ

昨年11月の米大統領選挙によって僅差で勝利したバイデン大統領ですが、早くも「国境崩壊」という問題で大きく揺れていることをご存じでしょうか? こうした日本のマスコミがほとんど報じない重要な海外ニュースを毎回詳しく丁寧に解説しているのが、在米歴14年の起業家にして大学教授の大澤裕さん。この度、大澤さんが5月23日に創刊したメルマガ『在米14年&起業家兼大学教授・大澤裕の『なぜか日本で報道されない海外の怖い報道』ポイント解説』 では今回、米国内でリベラル寄りのマスコミさえ批判するバイデン政権の「国境崩壊」問題を取り上げ、いかに偏向報道というものが恐ろしいかについて解説するとともに、海外ニュースを見るためのポイントを伝授しています。 日本のマスコミが伝えない海外報道の読み解き方とポイントを解説する大学教授・大澤裕さん新創刊メルマガの詳細・ご登録はコチラから 日本では報じられない、アメリカ「国境崩壊

1日で77人を殺したノルウェーの大量殺人犯ブレイビクにとって、日本は理想の国家だった(写真は2017年、ノルウェーの法廷で) NTB Scanpix/Lise Aaserud via REUTERS <排外主義的な動機からノルウェーで77人を殺害したブレイビク受刑者は、多文化主義に否定的な理想国家として日本と韓国を挙げていた。日本政府はまるでその完成を急いでいるようだ> 2021年5月現在、問題点が多いとして批判が集まっている入管法「改正」案が国会で審議されている。7日の委員会採決は見送られたものの、政府与党は今国会で成立させる意志を崩していない。 「改正」案で特に問題視されているのは次の点だ。入国管理局に収容されている人々の中には難民のような、様々な事情があって国に帰ることができない人が多数含まれている。日本も加入している難民条約では、そうした人々の安全が確証されない限り、強制的に帰国さ
私は上海、北京、太原、香港といった中国語圏の町で27年間を過ごした。53年の人生のちょうど半分である。そんな私は日本でたまに、「日本で中華を食べるならどこがおすすめですか」という質問を受けることがある。私にそう尋ねる人たちが期待しているのは、「そんなに長く中国や香港にいたのだから、さぞや本場の味を出す店を知っているだろう」ということなのだろうと思う。 だから私が、「横浜中華街で600~800円台の日替わりランチを出すような店ならどこでもまず安心じゃないですか」、と答えると、みな一様に物足りなさそうな顔をする。恐らくみな、日本在住の中国人相手に発展し新たなチャイナタウンとして台頭してきた池袋や埼玉県の西川口にある店の名前が出てくるのを期待していたのだろうから、横浜中華街というなんのひねりもない答えにさぞや落胆するのだろうと申し訳なくは思う。 ただこうした彼らの落胆の裏には、池袋や西川口の「デ

スウェーデン南部マルメで、報道陣を前に語るチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(2018年9月12日撮影)。(c)Johan NILSSON / TT News Agency / AFP 【9月13日 AFP】チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ(Dalai Lama)14世(83)は12日、スウェーデン南部マルメ(Malmo)で法話を行い、「欧州は欧州人のもの」であり、難民は帰郷して母国再建に尽くすべきだという見方を示した。 スウェーデンは2015年、亡命希望者数を人口で割った比率が欧州で最高となった。法話が行われた同国第3の都市マルメにも、大勢の移民が暮らしている。 ダライ・ラマは、欧州には「現に命の危険にさらされている難民」を支援する「道義上の責任」があるとして、「受け入れ、助け、教育しなさい」と促す一方、難民らは「最終的には母国を発展させなければならない」と説いた。 さらに、

中国人の住民が半数以上を占め、かつては「チャイナ団地」と揶揄された埼玉県川口市のUR川口芝園団地。中国人住民が増え始めた当初はさまざまなトラブルも目立ったが、現在は外国人住民との「共生」に成功している。しかし、外国人住民との共生は微妙な均衡で成り立つものであり、容易なものではない。(取材・写真・文/室伏政策研究室代表、政策コンサルタント 室伏謙一) 外国人材受け入れと称し 「移民政策ではない」と否定しているが… 政府は、「骨太の方針2018」で、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材に関し、就労を目的とする新たな在留資格を創設することとし、外国人材の受入れを更に進めていくこと」とし、数十万人規模で単純労働分野での外国人労働者の受け入れを進めていくとした。 これを受けて、7月24日、政府は「外国人の受入れ環境の整備に関する業務の基本方針について」を閣議決定し、関係府省が連携して受け入

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