液化CO2輸送実証船「えくすくぅる」を視察する斎藤健経産相(左から2人目)=22日午後、北海道苫小牧市(坂本隆浩撮影) 斉藤健経済産業相は22日、温暖化対策で二酸化炭素(CO2)を地中深く貯留する「CCS」の実証事業などが行われている北海道苫小牧市の事業所などを視察した。工場などから排出されたCO2を液体にして輸送する実証船や、貯留状況をモニタリングしている苫小牧事業所などで進捗(しんちょく)状況を確認。「苫小牧で得られた知見などを生かして2030年からの事業化にしっかり取り組む」と述べた。 CCS事業の実用化を巡っては、事業者の許可制度などを盛り込んだ事業法が5月17日の参院本会議で可決・成立。これに先立ち昨年11月には低温・低圧の状態で効率的に輸送できる世界初の液化CO2輸送実証船「えくすくぅる」(全長72メートル、全幅12・5メートル)が竣工(しゅんこう)するなど、事業化に向けた取り

二酸化炭素(CO2)を回収して地中に貯留する「CCS」に関し、電力大手や石油開発会社などが出資する日本CCS調査(東京)は23日、北海道苫小牧市での貯留事業の施設を報道陣に公開した。同事業は日本初の大規模な実証試験で、既に約30万トンを貯留した。国会ではCCSの事業環境を整備するための新法「CCS事業法」が17日に成立。脱炭素に向け、CCSの実用化への動きが進んでいる。 苫小牧では製油所で発生したCO2を分離し、回収。陸上から掘削した井戸を通じて海底下1千メートルより深い地層に注入した。2016年に注入を始め、19年までに約30万トンを閉じ込めた。その後は井戸からCO2が漏れていないかどうかなど監視を続けている。 23日はCO2を分離、回収する設備や、CO2の注入装置が公開された。日本CCS調査の担当者は「漏れは確認されておらず、CCSが安全かつ安心できるシステムであると確認した」と説明し

「46%削減」という新たな目標菅義偉政権が打ち出した温室効果ガスの新たな削減目標を受けて、経済界がさっそく動き出した。だが、そもそも「地球温暖化」という話は、どこまで本当なのか。普通の人には、検証不可能だ。ただ、それを前提に動いている世界の現実は、受け入れてもそう悪くはない。 菅首相は4月22日、オンラインで開かれた「気候変動サミット」で温室効果ガスの削減目標を「2030年度に13年度比で46%削減する」と表明した。従来目標の26%減から大幅な引き上げだ。19年度までに14%減を達成したので、あと10年で残りの32%を減らす必要がある。 なぜ、従来目標を引き上げたかと言えば、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が5〜7年ごとに公表する報告書を基に、各国がそれぞれの国内事情や技術革新などを考慮して、自主的、段階的に削減目標を引き上げていく仕組みになっているからだ。 IPCCが2013

欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、温室効果ガス排出削減目標の引き上げを提案した。域内の環境汚染基準を厳格化し、環境に配慮した景気回復を促す狙いだ。 欧州委員会のフォンデアライエン委員長は16日、欧州議会での政策演説で、2030年末までの排出削減目標を1990年比で少なくとも55%減とするよう求めた。現在の削減目標は14年に採択された40%減となっている。 委員長は、「40%から55%への目標引き上げが厳し過ぎるとの意見もあれば、不十分との意見もあることは認識している」と述べた上で、「しかし欧州委の影響評価からは、域内経済と産業界がこの目標に対応できることが明確に示された」と続けた。 排出削減目標の引き上げはEU加盟国や欧州議会から幅広い支持を集める公算が大きいが、経済力やエネルギー源が加盟国それぞれに異なる中で、最終的な目標の取りまとめには曲折が予想される。目標の法制化には

地球温暖化への対策が世界の海を行き交う船にも求められていることから、大手海運会社の日本郵船は、二酸化炭素の排出が少ないLNG=液化天然ガスで動く船の建造を加速させることになりました。 このため、日本郵船は向こう5年間で、LNGを燃料に動く船や、海上でほかの船にLNGを補給する特殊な船の建造を加速させると発表しました。 資金のうち100億円は、使いみちを環境対策に限ったグリーンボンドと呼ばれる社債を初めて発行し、温暖化対策などに関心をもつ世界の投資家から集めるとしています。 船から出る温室効果ガスをめぐっては、先週、国連の専門機関が、2050年までに排出量を半分にするとした国際的な削減目標を初めて設け、今後、世界の海運会社が対応を迫られます。 記者会見で、高橋栄一専務は「LNG燃料は環境面に優れ、今後、世界でさらに普及していく可能性がある。今後も積極的に取り入れていきたい」と述べました。

日本を訪れているOECD=経済協力開発機構のグリア事務総長が、環境省で中川環境大臣と会談し、日本政府が掲げる温室効果ガスの削減目標について、「不十分だ」として、目標の引き上げなどを提言しました。 このなかでは、温室効果ガスの排出量を2030年に2013年と比べ26%削減するという日本政府の目標について、「不十分だ」として、目標を引き上げるよう求めています。 また、温室効果ガスの排出削減につながる技術を普及させることで、国内外の温暖化対策に貢献できるとしています。 会談のあとグリア事務総長は中川大臣を「ミスターグリーン」と呼び、「温暖化対策を進めるうえでは、民間企業やほかの省庁と意見が合わないこともあると思うが、乗り越えて緑を守ってほしい」とエールを送りました。 これに対し、中川大臣は「大変心強い提言をいただいた。提言を活用し、温暖化対策の強化に全力を尽くしていく」と述べました。

ことしの環境白書がまとまり、再生可能エネルギーの導入が急速に進むなど、地球温暖化対策が世界の大きな潮流になっているとして、パリ協定に基づく対策を今後も着実に進める必要があると指摘しています。 特に、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーは、この10年で世界の導入量が2倍以上に拡大し、投資額も増加傾向にあるほか、排出する二酸化炭素に価格をつけ、企業や家庭が排出量に応じて負担するカーボンプライシングという制度の導入や導入に向けた検討が中国やヨーロッパを中心に進められているとして、パリ協定に基づく対策を今後も着実に進める必要があると指摘しています。 パリ協定をめぐっては、先週、アメリカのトランプ大統領が脱退する方針を表明しましたが、山本環境大臣は6日の記者会見で、「対策は世界的な潮流となっていて、乗り遅れてはいけないと企業も意欲的に取り組んでいる。対策と経済成長が両立するということは日本は経験

アメリカのトランプ大統領が地球温暖化対策を全面的に見直すための大統領令を出したことについて、野党・民主党や環境保護団体などから批判の声が相次いでいるほか、抗議デモも行われるなど、波紋が広がっています。 大統領令について、野党・民主党の上院トップ、シューマー院内総務は声明を発表し、「トランプ政権は、石油産業を優先し、国民の健康や地球の将来を後回しにしている」と批判しました。また、地球温暖化に警鐘を鳴らす活動を続けてきたゴア元副大統領も「誤った措置だ。世界のリーダーとしてアメリカは気候変動の解決に関わることが重要だ」と批判する声明を出しました。 一方、首都ワシントンのホワイトハウスの前では、大統領令が出された28日、およそ150人が集まり抗議デモが行われました。デモに参加した女性は「大統領令はアメリカの環境対策を後退させるものだ。環境汚染が進めば、子どもたちの健康が損なわれる。大統領は未来のこ

兵庫県赤穂市の火力発電所について、関西電力は燃料を石油から石炭に変更する計画を進めていましたが、地球温暖化対策などを理由に、計画を断念することを明らかにしました。国内でコストが比較的安い石炭火力発電所の建設計画が40基以上相次ぐ中、今回の判断が、ほかの事業者に影響を及ぼす可能性が指摘されています。 これについて、関西電力は先月31日、計画を断念し、石油での発電を続ける方針を明らかにしました。 その理由として、地球温暖化対策への対応が求められていることや、省エネが進み、電力需要が減っていることなどを挙げています。 石炭は比較的コストが安い反面、二酸化炭素の排出量が多く、計画には地元の兵庫県や環境団体などから温暖化対策への悪影響が指摘されていました。 国内では原発事故以降、各地で原発が運転を停止する中、石炭火力発電所を新たに建設する計画が相次ぎ、その数は40基以上に上っていて、今回の判断が、ほ
すべての国が協力し、地球温暖化対策に取り組むことを掲げるパリ協定の行方に影が差している。 米国のトランプ次期大統領が「温暖化はでっち上げ」と公言し、協定からの離脱を表明してきたからだ。 しかし、化石燃料の消費による二酸化炭素(CO2)の排出が温暖化を招いていることは、国際社会の共通認識だ。温暖化がもたらす異常気象や自然災害は貧困層を直撃する。それが難民や紛争を生み、テロの温床ともなる。温暖化に「国境の壁」はなく、米国も影響を免れない。 各国と手を携えて対策に取り組むことが米の国益にもかなう。長年の交渉を経てまとまった歴史的合意をほごにすることは認められない。トランプ氏は大統領選で、パリ協定からの離脱に加え、途上国の温暖化対策を支援する国連のプログラムへの資金拠出を停止すると訴えていた。オバマ大統領が進めた火力発電所のCO2排出規制策「クリーンパワー計画」も廃止するという。石炭産業などを保

【パリ=竹内康雄】2020年以降の地球温暖化対策「パリ協定」が4日、発効する。05年に発効した京都議定書に続く温暖化対策の国際合意で、先進国に加え、中国やインドなど途上国が温暖化ガス排出抑制に取り組む枠組みは初めてとなる。国際社会はモロッコで7日開幕する第22回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP22)で協定実行のためのルール作りの交渉に入る。協定発効には55カ国以上が批准し、世界の温暖化

パリ協定が11月上旬にも発効する見通しとなる中、日本は締結の時期が見通せない状況にあり、国際交渉の場での発言力が低下するのではないかと懸念する声も出ています。 国連事務局のまとめによりますと、日本の温室効果ガスの排出量は世界第5位で主要な排出国に位置づけられ、ことし5月にはG7の議長国としてパリ協定の早期発効を目指すとした首脳宣言を取りまとめる立場にありました。 このため、環境NGOや専門家からは日本国内での締結の手続きがほかの国に比べて遅れることで、協定の詳しいルール作りを行う作業部会など国際交渉の場での日本の発言力の低下を懸念する声が出ています。 地球温暖化対策の国際交渉に詳しい環境NGO「WWFジャパン」の小西雅子さんは「世界各地で異常気象が増え、危機感が高まる中でなんとかしないといけないと生まれたのがパリ協定だった。細かいルールはこれから作ることになるが、日本は技術大国なので、温暖
G7=主要7か国の環境相会合が富山市で開かれるなか、ドイツでは、環境NGOが、温室効果ガスの排出量が多い石炭の使用を減らすべきだとして、炭鉱を占拠するなど、温暖化対策の強化を求めてデモ活動を行っています。 こうしたなか、ドイツ東部のウェルツォウでは13日、環境NGOのメンバーおよそ2000人が、週末のため操業を一時停止することになっていた露天掘りの炭鉱に入り込み、占拠しました。 このNGOは、先進国が率先して温室効果ガスの排出量が多い石炭や石油など化石燃料の使用を減らすべきだと主張していて、メンバーたちは炭鉱で「石炭を掘るな!」などと書かれた横断幕を掲げて、現在も炭鉱の占拠を続けているということです。 さらにほかのメンバーたちが別の場所にある石炭火力発電所の敷地に抗議のため入り込もうとしたところ、警察や電力会社の警備員と衝突し、およそ120人が拘束されたということです。ドイツでは、202
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