定年延長の広がりや人手不足などを受け、働く高齢者の数は年々増えている。総務省の労働力調査によれば、2021年時点、労働力人口のうち60歳以上は約1470万人。労働力全体の約2割を占める形となっている。60歳を境に非正規労働者の割合も増えており、現在働く60~64歳のうち、男性は約45%、女性は約75%が非正規労働者だ。 非正規労働者が多い背景には、多くの企業で60歳としている定年後の再雇用時の雇用契約が関係している。1年間の有期雇用契約の場合が多く、正社員ではなく嘱託社員、契約社員であることが多い。 給与水準も大幅に引き下げられる。退職前の6割前後が一般的だが、給与水準がもともと高い大企業に至っては4~5割まで引き下げられるケースも少なくない。 だが、旧労働契約法20条(21年4月以降はパートタイム・有期雇用労働法8条)では、正社員と非正規社員の不合理な待遇格差を禁じている。そのため、今回

「1票の格差」が最大3.03倍だった2022年7月の参院選は違憲かどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・戸倉三郎長官)は18日、「合憲」とする統一判断を示した。「投票価値が著しい不平等状態だったとは言えない」と判断した。大法廷は「立法府には格差のさらなる是正を図り、再拡大させない取り組みが引き続き求められる」と強調。その上で「法改正の見通しが立たず具体的な検討が進展している

年頭記者会見で「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明した岸田文雄首相=2023年1月4日、三重県伊勢市【時事通信社】 「異次元の少子化対策に挑戦する」。岸田文雄首相の年頭記者会見での発言が反響を呼んでいる。1人の女性が生涯に産む子どもの数の推計を示す合計特殊出生率が、当時の過去最低「1.57」を記録した1989年を契機に、政府はさまざまな少子化対策に取り組んできたが、歯止めはかかっていない。昨年の出生数は、国立社会保障・人口問題研究所の推計より8年前倒しで80万人を切る可能性があり、想定を上回るスピードで少子化が進んでいるのが現状だ。政府の対策に足りなかったものは何だったのか。少子化問題などを研究する山田昌弘中央大教授(家族社会学)は「若い人たちの格差を埋めることが一番重要だ」と指摘する。(時事通信政治部 川上真央) 【政界Web】前回は⇒「増税で福祉無償化」永田町が注目 慶大・井手教授が

「40歳になったばかり。自分はホームレスだ」 まためぐってきたその木曜日の寒い朝、午前10時を前にして、モニカ・ディアスはテントの中で身じろぎした。不安でいっぱいだった。 前回の撤去作業から2週間、まもなく市の職員がごみ収集車や警察の車と共に来て、この野営地を空っぽにするだろう。朝はいつでもつらいが、撤去の日は最悪だ。 普段なら仕事へ行く前に体を休めているはずのモニカは、この日のこの時間、必死で隠そうとしている事実にはっきりと向き合うことを迫られる。 自分はホームレスだ。40歳になったばかりで、テント暮らしをしていて、なぜかこんな人生を送っている、と。 「準備できた?」と、モニカは夫に聞いた。CNNワシントン支局に近いユニオン駅のすぐそば、騒音が絶えることのないこの場所で、寒さに耐えようと愛犬のサッシーも一緒に身を寄せ合って眠れない夜を過ごした後だった。 「なんとか」ため息をついて、ピート

レーガン大統領(左)の時代に「格差」の種がまかれた 米国の失敗に学ぶ “分配”を阻んだ「新自由主義」 労働組合の衰退で広がる格差 岸田文雄首相は「新しい資本主義」を目指すと主張している。これは、貧富の格差拡大をもたらした「新自由主義(ネオリベラリズム)」に代わる資本主義を意味するのであろうか。(日本経済総予測2022) 米国では、ネオリベラリズムが導入された結果、弊害として貧富の格差が極大化している。同じように導入した日本でも格差拡大が深刻な社会問題となっている。弊害を克服するにはネオリベラリズムの本質を理解する必要がある。 米国の資本主義は、古典的リベラリズム、ニューディール・リベラリズム、ネオリベラリズムと変遷してきた。 古典的リベラリズムは「市場での自由競争が最適な資源配分を実現する」という考え方で、アダム・スミスら英国の経済学者たちが発展させた「古典派経済学」の資本主義原理である。

今の日本は確かに経済格差は広がっているが、まだ経済格差による「分離」は極端ではない。だから、たとえば金持ちが住む地域の住民がそうでない地区に行かないということはない。その逆もまた然りだ。しかし問題はこれからだ。日本は、今のような混成社会を維持できるのだろうか。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』) 【関連】日本の貧困層は飢えずに太る。糖尿病患者の半数以上が年収200万円未満の衝撃=鈴木傾城 ※有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』好評配信中!ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。 プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい) 作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」、主にアメリカ株式を中心に投資全般を扱ったブログ「フルイ

毎月15万円もらって毎日生きがいのない生活を送るお金に関するニュースが世の中をにぎわせています。最近話題になったふたつの騒動は、どちらも表面的には解決しましたが、深層部分では大きな問題を残したままになっています。今回はこの深層部分にまでおりたうえで、問題の解決案について考えてみたいと思います。 ひとつめの騒動は、阪急電鉄が企画した「はたらく言葉たち」の広告の中のひとつのメッセージがSNS上で炎上したというニュースです。 問題になったのは、 「毎月50万円もらって毎日生き甲斐のない生活を送るか、30万円だけど仕事に行くのが楽しみで仕方がないという生活と、どっちがいいか」 という80代の研究員の方の言葉です。 この企画は、企業ブランディングを手がけるパラドックス社が働く人たちへのヒアリングをする中で出てきた、たくさんの言葉の中のひとつです。80代の会社員(ひょっとすると元会社員かもしれませんが

税金には、貧富の差の問題を改善していくために重要な「所得再分配」の機能があります。しかし、日本の税金をめぐるさまざまな矛盾に切り込んだ書籍『税金格差』の著者であるジャーナリストの梶原一義氏は、「いま、この機能が大きく失われている」と警告します。この記事では梶原氏が、サラリーマンがぜひ知っておきたい「基礎教養」として、格差を広げ続けている「税の欠陥」について解説します。 米国よりひどい!? 日本の中間層の落ち込み 2012年末に誕生した第2次安倍晋三政権は、円安・超金融緩和・株高などを骨子とする経済政策「アベノミクス」を展開し、特に大企業や富裕層はその恩恵をこうむってきた。上場企業は輸出産業を中心におおむね好業績が続き、財務省の法人企業統計によると、企業の内部留保(利益剰余金)は、12年度に304.5兆円だったのが16年度に406.2兆円と、4年間に102兆円増えている。 また日経平均株価は

先進国のなかで日本と米国の貧困率は突出して高い。米首都ワシントンD.C.で、雪に覆われたままベンチに座り込むホームレスの男性(2013年3月25日撮影、資料写真)。(c)AFP/KarenBLEIER〔AFPBB News〕 政府が、これまでほとんど手つかずだった子供の貧困対策に乗り出そうとしている。2014年8月、「子供の貧困対策に関する大綱」を閣議決定し、今年度から必要な予算措置を実施しているほか、今年4月2日には首相官邸において「子供の未来応援国民運動」の発起人集会を開催。各界が協力して子どもの貧困対策に向けた国民運動を展開することを確認した。 一連の施策はあくまで社会政策的な側面が強く、経済政策という位置付けにはなっていない。そのせいか、国民の関心も今のところ低いままだ。しかし、日本の貧困はかなり深刻な状況となっており、このままの状態が続けば、個人消費の弱体化を通じて、経済成長の

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