最低賃金の引き上げ目標を巡り、中小企業への影響が指摘されるなか、経済同友会の新浪代表は、引き上げで倒産するような企業は、「守ってはいけない」と主張しました。 石破総理が掲げる、最低賃金を2020年代に1500円とする目標に対して、経済同友会はさらに早い、3年以内に1500円を要望しています。 一方、日本商工会議所は急な引き上げに対して、地方の中小企業の経営が悪化し、倒産しかねないと懸念を示しています。 経済同友会 新浪剛史代表幹事 「(最低賃金1500円を)払えない企業は駄目なんです。払えることを目標としてやっていくべき。1500円にしないということはある意味、駄目な企業を補助することになる」 新浪代表幹事は、最低賃金が払えずに倒産する中小企業は、「合従連衡すればいい」としたうえで、人手不足を背景に従業員は別の会社に移ることで、むしろ「生活レベルが上がる」と指摘しました。 雇用の受け皿があ

ERP(統合基幹業務システム)の導入に失敗した挙げ句、ビジネスが止まる――。ERPにまつわるシステム障害が相次ぎ発生している。江崎グリコは独SAPのERP「S/4HANA」を使って構築した基幹系システムの障害で、プッチンプリンなどチルド品の出荷停止に追い込まれた。ユニ・チャームもS/4HANAと物流システムの連係を巡る障害で、製品の出荷に遅延が生じた。 なぜERPの導入はうまくいかないのだろうか。イチからシステムを構築するわけではなく、形のあるパッケージソフトを導入するにもかかわらず、だ。 江崎グリコは2024年4月3日に実施した基幹系システムの切り替えでトラブルが発生し、「プッチンプリン」をはじめとする同社製品と、同社が物流・販売を請け負っていた他社チルド食品の出荷ができなくなった SAPや米Oracle(オラクル)など大企業向けのERPパッケージを中心に、導入に失敗することは今に始まっ

アメリカの民間企業が開発した無人の月着陸船が、日本時間の23日朝、月に着陸したと企業側が発表しました。民間企業が開発した着陸船が月面着陸に成功したのは今回が初めてとなります。 月面に着陸したのは、アメリカの宇宙開発企業「インテュイティブ・マシンズ」が開発した無人の月着陸船「ノバC」です。 着陸船は今月15日に打ち上げられ、およそ1週間かけて月へ向かっていました。 そして23日、着陸船は月面への降下を開始してエンジンを噴射しながら慎重に高度を下げ、企業側によりますと日本時間の午前8時23分に月面に着陸したということです。 その後、着陸船は事前の想定通り直立している状態で、データの送信を始めたことが確認できたということです。 月面着陸はこれまで、旧ソビエト、アメリカ、中国、インド、それに日本の5か国が成功していますが、民間企業として着陸に成功したのは世界で初めてとなります。 着陸船にはNASA

デジタル庁は企業が商号や住所を変える際に商業登記を書き換えるだけで税や営業許可といった各省庁が持つ登録内容を一括で変更できるようにする。年間で少なくとも500万件超の手続きが省略される見通しだ。企業にとっては事務負担が減り、より生産性が高い業務に人員を振り向けられる利点がある。各省庁がバラバラに扱う公的情報を管理するデータベースを整備する。商業登記のほか、不動産登記や住所表記などもそれぞれ一

知らず知らずのうちに、日本が統制国家に向けて歩み始めている。資本主義社会では、政府は可能な限り民間企業の活動に介入しない方が良いというのが常識だが、その命題は市場が正常に機能していることが大前提となる。経済の低迷が続き、市場機能が失われつつある日本においては、政府が介入した方が、事態が改善するという皮肉な状況となっている。 だが、政府の介入に過度に依存する状況を放置すれば、日本経済はますます機能不全を起こす可能性が高い。政府は介入によって事態の改善を図りつつ、本来、企業が持っている姿を取り戻すための諸改革を進めることが重要である。 「最低賃金制度がない国」より賃金が低い かつての日本は、低賃金・長時間労働が当たり前の社会であり、元請け会社が下請け会社対して過度な値引きを要請することも当然視されていた。こうした行為は労働基準法や独占禁止法、下請法などによって禁じられているが、企業活動を優先す

4月末、公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法等改正案が衆議院を通過し、今国会での成立が確実だ。人事ジャーナリストの溝上憲文氏は「国の狙いは、今回の改正をテコに民間企業の法定定年年齢を現在の60歳から65歳にし、いずれ公的年金支給開始も65歳から70歳に遅らせること。生涯年収は増えるが、男性の場合、年金5年分約1000万円を失う恐れがある」という――。公務員の定年65歳引き上げの後に政府が狙っている恐ろしいプラン公務員の定年を65歳に引き上げる国家公務員法等改正案が4月末に衆議院を通過し、今国会での成立が確実になった。現行の60歳定年が2023年度から61歳になり、以後3年おきに1歳ずつ延長され、2031年度から65歳となる。 一方、民間企業の法定定年年齢は60歳だ。高年齢者雇用安定法(高齢法)によって65歳までの雇用確保措置が義務づけられているが、定年が延長されることとは大きな

いかん、どうしても失笑してしまう。何の話かと言うと「経団連と経済同友会、日本商工会議所の経済3団体のトップらが首相官邸で菅義偉首相と面会し、行政のデジタル化などを含め経済改革を押し進めるよう要請した」との報道に対してだ。感想を素直に言葉にすれば「どの口が言っとんねん!」である。 いやぁ、いくら「極言暴論」であっても、経済界の重鎮たちに向かってそんな言葉を投げつけるのは、いくら何でも失礼極まりない。そもそも菅首相への要請の内容は至ってまっとうだ。報道によれば、経団連は「政府が創設を検討しているデジタル庁を巡り、他省庁に指示できる強い権限を持たせるよう求めた」という。全くもってアグリーだ。行政のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進するには、省庁を横串にする強い権限が不可欠だからだ。 ちなみに経済3団体は、菅内閣が発足した際にそれぞれ新政権への提言をまとめている。ちょっとのぞいてみると

私は講演会に呼ばれたときに、担当者の方に必ず聞くことがある。 企業の場合は「女性の役員は何人くらい、いらっしゃるんですか?」、地方自治体の場合は「これからは地方地自体が色々と頑張らなきゃいけない時代ですね」といった具合だ。 ん? 質問のトーンが違うじゃないかって? はい。そうです。後者は質問とは言い難い、が、これでいいのです。 常勤公務員の「枠の外」にある存在 「女性活用」というワードはほぼ完全に企業にも浸透しているので、大抵の場合、この質問から“その企業が直面している問題”に話は転がっていく。 一方、地方自治体では、高齢者や児童に関する相談への対応など住民に寄り添う仕事が増えているので、「いや~、実は……」という具合にさまざまな話題に広がるのだ。 そこで決まって登場するのが、「非正規公務員」問題だ。 非正規公務員とは、「常勤公務員」の枠外で任用されている「非常勤の公務員」のこと。行政のス

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なぜ日本の生産性は低いのか 今後の日本は人口減少が加速度的に進んでいくので、労働生産性を引き上げなければならないという意見に異論の余地はありません。2017年の日本の1時間当たりの労働生産性は47.5ドルと、OECD加盟36カ国では20位、先進7カ国では最下位に甘んじています。この生産性の水準はアメリカ(72.0ドル)と比べて3分の2程度しかないため、近年は専門家の間でもその手法について様々な議論がなされています。 日本の生産性が低いのは、企業全体に占める中小企業(中規模企業と小規模企業)の割合、とりわけ小規模企業の割合が最も高いからです。卸売業・小売業・飲食業などで従業員が5人以下、製造業・建設業・運輸業などで従業員が20人以下の小規模企業は、日本の企業全体の90%近くも占めているのです。先進国にしても新興国にしても一般的に、大規模の企業が中規模の企業より、中規模の企業が小規模の企業より

日本の再成長への一手を考える「目覚めるニッポン」。今回は柳井正ファーストリテイリング会長兼社長。政治的な発言を控える経営者が増えるなか、柳井氏はあえて直言をやめない。怒りともいえる危機感を示し、企業経営から政治まで大改革の必要性を説く。 >>「目覚めるニッポン」シリーズ記事一覧へ 柳井 正氏 Yanai Tadashi ファーストリテイリング会長兼社長 1971年ジャスコ(現・イオン)入社。72年、実家の小郡商事(現・ファーストリテイリング)に転じ84年から社長。2005年から現職。01年からソフトバンクグループ社外取締役。山口県出身、70歳。(写真=竹井 俊晴) 最悪ですから、日本は。 この30年間、世界は急速に成長しています。日本は世界の最先端の国から、もう中位の国になっています。ひょっとしたら、発展途上国になるんじゃないかと僕は思うんですよ。 国民の所得は伸びず、企業もまだ製造業が優

日本は「公務員の多い国」か日本経済の未来について、経済団体(経営者団体)や有名企業経営者がその予想、改革への提言を行うことは何ら珍しいことではない。様々な競争を勝ち残ってきた経済人の示す経済問題への洞察から学ぶべきことも少なくないだろう。 しかし、「経済人の経済問題への提言」がマクロの経済環境に及ぶと、その妥当性が急速に下がるという例は少なくない。過日リリースされた『日経ビジネス電子版』における柳井正(ファーストリテーリング代表取締役)氏へのインタビュー「目覚めるニッポン~柳井正氏の怒り「このままでは日本は滅びる」」においても、経営者がマクロ経済を語る際に陥りがちな誤解が典型的に表れている。 組織論や精神論が中心の日本論ではあるが、そのなかで示されるマクロ経済に関する特徴的な提言が、 「まずは国の歳出を半分にして、公務員などの人員数も半分にする。それを2年間で実行するぐらいの荒療治をしない

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『NEW POWER これからの「新しい力」を手に入れろ』著者のジェレミー・ハイマンズ氏 Photo by Kazutoshi Sumitomo ──著書『NEW POWER これからの世界の「新しい力」を手に入れろ』は米「ニューヨーク・タイムズ」や英「フィナンシャル・タイムズ」など各国メディアで絶賛されています。ここで語られている「ニューパワー」とはどのようなものなのでしょうか。 ニューパワーはメソッドであり、21世紀のインターネット全盛の時代におけるマインドセットとして提示しました。 ニューパワーは「潮流(カレント)」のように広まるもの。多数の人々によって生み出され、オープンで、対等な仲間によって運営されていくものです。 一方で、「オールドパワー」は「貨幣(カレンシー)」に似ています。限られた少数の人々が持っていて、その人たちは強大な権力を蓄え、行使できます。閉鎖的であることも特徴です

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