ノーベル平和賞授賞式で演説する日本被団協の田中熙巳代表委員=オスロで2024年12月10日午後1時35分、猪飼健史撮影 被爆者の立場から核兵器廃絶を国内外に訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)へのノーベル平和賞授賞式が10日、ノルウェーのオスロ市庁舎で開かれた。日本被団協を代表して田中熙巳(てるみ)代表委員(92)が受賞演説し、「核抑止論ではなく、核兵器は一発たりとも持ってはいけない」と呼びかけた。ウクライナや中東での戦争を巡る国際情勢に触れ、「『核のタブー』が壊されようとしていることに限りない口惜しさと憤りを覚える」と警鐘を鳴らした。 授賞式は10日午後1時(日本時間10日午後9時)に開会。演説で田中さんは、戦争を開始した国の責任で被害者に償う「国家補償運動」と「原水爆禁止運動」を被団協の活動の2本柱として紹介し、「『核のタブー』形成に大きな役割を果たした」と強調した。

ノーベル平和賞の受賞者の国際NGO ICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンのメンバーや、活動をともにしてきた被爆者 サーロー節子さんが授賞式を翌日に控え、ノルウェーの首都オスロで記者会見し、サーローさんは「緊張が高まる中でも核兵器を絶対に使ってはいけない」と訴えました。 会見でフィン事務局長は「核兵器の廃絶だけが脅威をなくす唯一の方法だ。各国のリーダーに無差別な破壊をもたらす違法な兵器に頼らず、条約に署名するよう呼びかけていきたい」と述べ、今後も活動を強める決意を示しました。 一方、13歳のときに被爆し、親族8人を亡くしたサーロー節子さんは「核兵器が使われると、極めて多くの人々が亡くなる。絶対に使ってはいけない」と述べ、北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐり、緊張が高まる中でも国際社会が問題を外交で解決するよう訴えました。サーローさんはまた、核兵器禁止条約に対し唯一の被爆国の日本が反対していること

ことしのノーベル平和賞に選ばれた「ICAN」=「核兵器廃絶国際キャンペーン」のメンバーが、ニューヨークの国連本部で記者会見し、日本政府が核兵器の開発や保有などを禁止する核兵器禁止条約に参加しないのは、70年にわたって核廃絶を訴えてきた被爆者に対する裏切りだとして、改めて参加を求めました。 この中で、ICANでアジア太平洋地区を統括するティム・ライト氏は日本政府の対応について「70年にわたって核兵器の危険性を人類に警告し、核廃絶を訴えてきた被爆者に対する裏切りだ」と述べ、改めて条約への参加を求めました。 また、ベアトリス・フィン事務局長はノーベル平和賞の受賞について「トランプ大統領が核兵器を放棄するとは思わないが、壊滅的な被害をもたらす核兵器に反対する運動への後押しになる。核への脅威が高まる中で極めてタイムリーだ」と述べ、条約への理解を広め、各国政府を動かす活動をさらに進める考えを示しました

ノーベル平和賞の受賞が決まったICAN=「核兵器廃絶国際キャンペーン」のベアトリス・フィン事務局長は「核兵器禁止条約の採択に向けた活動は被爆者の視点に基づいて行われたもので、重要な役割を果たしてきた」と述べて、広島と長崎の被爆者の活動をたたえました。 この中で、ベアトリス・フィン事務局長は、広島と長崎の被爆者について、「彼らは1945年から、たゆまない努力を続け、自身の体験を語ることで、核兵器の問題について人々の認識を呼び起こした。条約の採択に向けた活動は、被爆者の視点に基づいて行われたもので、彼らが条約の交渉において重要な役割を果たしてきた」と述べて、たたえました。 一方、アメリカのトランプ大統領が、「核兵器なき世界」を訴えたオバマ前政権の政策の全面的な見直しを進めていることなどについて、「アメリカではトランプ大統領に核の使用を決定する権利があるが、彼は専門家の意見を聞こうとしない。トラ

日本政府は、核兵器禁止条約採択に貢献した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のノーベル平和賞受賞の報を複雑な思いで受け止めている。核廃絶へ向けた意義を認める一方、核・ミサイルの脅威を高める北朝鮮に触れ「遠く離れた国と、現実の脅威と向き合っている我々とでは立場が違う」ととまどいを見せる外務省幹部も。首相官邸と同省は受賞決定を受けてのコメントを出さなかった。 核禁条約をめぐって、日本政府は「核兵器廃絶という目的は同じだが、アプローチが異なる」と不参加の立場をとってきた。同条約には核保有国が参加しておらず、非核保有国との間で溝を生じさせる原因になっているとの理由からだ。 安倍晋三首相は8月9日、原爆が投下された長崎市内で被爆者団体と面会後、記者団に核禁条約に参加しないことを問われ、「核兵器国と非核兵器国の隔たりを深め、核兵器のない世界の実現をかえって遠ざける結果となってはならない」と強調した。

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