日常生活の効率化に今や欠かせない文明の利器、全自動掃除機ルンバ。 ルンバが動きやすいように段差を無くしたり家具を少なくしたりするハックが流行っているが、どうしても限界はある。利用者の工夫程度では補えない弱点が実はある。見逃されていた欠点、言うなれば「ルンバの死角」が。 それはルンバの上面だ。ルンバが通過した床面のホコリやゴミなどはすべからく皆、そこが廊下だろうが畳だろうが関係なくすべて吸い込まれてしまうのだが、しかしルンバがどれだけ動き回ろうとも、彼女の体自体は動きのすべてについてまわり、ゆえにそこにある汚れには決して手が届かない。輝きに満ちた主人の部屋の中で、それを達成すべく献身した彼女だけが唯一、汚れにまみれている。これほど悲しいことはない。 ルンバをもう一台設置する。無論ルンバの上に置く。ルンバを掃除する専用の小型ルンバというわけだ。 しかし安易な解決策にありがちなことではあるが、こ

男と別れたばかりの女友達が酔っ払って 「なんで男はみんな浮気するんだ!死ね!」 とかくだまいているのを聞くと、 「俺はしたことないし、絶対しないよ」 と言い返したくなるけど、 なんか口説いている雰囲気になってしまいそうなので止めて、 ひたすら、愚痴を聞くに徹する。 また、いい出会いが見つからない女友達が酔っ払って 「どうして男はエロい目でしか女を見ないんだ!死ね!」 と吠えているのを聞くと、 「俺も一応男なんだけどさ」 と皮肉を言いたくもなるけど、 「そうだったな!じゃあ一発やるか!責任とれよ!」 という流れに勢いで持ってかれかねないので止めて、 ひたすら、ふーん困ったねぇなどと無難なあいづちを打つに徹する。 しばらく経ち、突然誰かと結婚が決まった女友達が酔っ払う前に 「増田くん、あたし結婚するんだからね。もう二人で飲めなくなるよ」 と、少しなじる口調で言っているのを聞いても いまさら自分

私の通勤電車には、小学校の横を通る場所があって、窓から体育館横のプールが見える。 今年も梅雨入り前あたりから、そこで水泳の授業がはじまった。 私はいつも、吊革にぶらさがりながら、それを凝視するでもなく凝視している。 そうしてつぶさに観察していると、小学生女子の身体が、えもいわれぬ不思議な魅力をもつように思えてくる。 プールサイドに立つ小学生の姿を遠く眺めると、ゆるやかな曲線を描くシルエットが、しなやかに波打つように見える。 その線の微妙さは、小学生の、さらにある時期にしかもちえないものだ。 中高生のように、皮膚の下の柔らかい肉が、重力にしたがって変形して身体を形作っているのではない。 しかし、骨格のうえに皮がはり付いただけの、石のような身体とは全く違う。 紺色の水着の下には、薄い層をなした脂肪が、机に落ちた一滴のミルクのような繊細さで漲っている。 それは触れば手に溶け出してくるが、しかし形

1リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く