鋼鉄よりも硬い木材、開発されました。2025.05.17 20:00217,421 カタヤママコト 建築界に革命が起きるかも。 2018年、メリーランド大学の科学者リャンビン・フー(Liangbing Hu)氏は、普通の木材を鋼鉄よりも強い素材に変える方法を編み出しました。当初は「研究室での話」にすぎないようにも思われましたが、今、この技術が実用化へと動き出しています。 同氏は数年をかけて技術を改良し、かつては製造に一週間以上かかっていた工程を数時間まで短縮することに成功しました。商用化の準備が整うと、彼はその技術をスタートアップ企業InventWood(インベントウッド)に提供します。 同社は、今年の夏より、鋼鉄よりも硬い「スーパーウッド(Superwood)」の生産に取り組んでいくようです。 建築業界を変える「次世代の木材」Image: InventWoodInventWoodのCEO

――ゴーストギア(漁業系プラスチックごみ)問題解決の決定打に―― ネガティブエミッションテクノロジー研究センター 高原 淳 学術研究員 2025.05.15 これまで高分子分野や水産業分野で、海洋では分解しないと共通認識されていた市販のナイロン6とナイロン6,6の共重合体の釣り糸が、共重合体の比率がある範囲に入る場合には、代表的な海洋生分解性ポリマーのセルロースと同等レベルで生分解することを世界で初めて明らかにした。 現在市販されているほとんどの釣り糸は生分解性でないため、切れた場合に水鳥やウミガメなどに絡まることによる生態系への悪影響や、マイクロプラスチック化することによる海洋汚染が世界的な問題になっている。 今回の発見は、釣り糸による海洋汚染拡大の歯止めとなるのみならず、漁網などの漁業系プラスチックに展開することにより、ゴーストギア問題の包括的解決にも貢献できる。 東京大学の伊藤耕三特
終戦時、日本海軍の戦艦は「長門」を残して全ての艦が失われていましたが、その1隻である「陸奥」は戦後、海の中にいながら、意外な活躍の場を得ることになりました。 戦艦「陸奥」戦後に重用されたワケ 2024年8月15日、日本は79回目の終戦の日を迎えました。日本がアメリカやイギリスなどの連合国に対して無条件降伏をしたのは1945年のことですが、そのとき我が国には軍艦と呼べるものはほとんど残っておらず、戦艦については「長門」以外、全ての艦が沈没またはほぼ沈没扱いである大破着底の状態でした。 戦艦「陸奥」(画像:パブリックドメイン)。 このうち、日本の港や浅い海で沈んだ戦艦は引き揚げられ、解体されたのちに屑鉄として戦後復興の礎に転用されましたが、その引き揚げられた戦艦のなかでも長門型戦艦2番艦「陸奥」に関しては、他艦とは少し違う形で日本に貢献しています。 そもそも「陸奥」は、戦時中に沈んではいますが

理化学研究所などの研究チームは塩水につけると分解して原料に戻る新たなプラスチックを開発したと発表しました。環境負荷を抑えることに貢献する技術だとしています。 これは理化学研究所の相田卓三グループディレクターの研究チームがアメリカの科学雑誌「サイエンス」に論文を発表しました。 研究チームは化石燃料由来のプラスチックに代わる材料の開発に取り組み、その原料として、食品添加物や農業用途などに使われている2種類の分子の組み合わせに注目しました。 そして、これらの分子が電気的に強く結合して立体的な構造をつくる性質を利用した結果、無色透明で、ポリプロピレンなどと同じ程度の強度と耐熱性を持つ、新たなプラスチックの開発に成功したということです。 さらに、このプラスチックは塩水につけておくと、分子どうしの結合が解けて2種類の原料に戻る特徴を示したということです。 研究チームによりますと、原料は海水中の微生物の

工場で人工的に作る合成ダイヤモンドが値崩れしている。技術の普及で新規参入するメーカーが増え、供給過剰と価格競争に陥った。1カラットあたりの販売価格はこの8年で8割も下がり、採算がとれず倒産するメーカーも出始めるほどだ。「一生にひとつ」の憧れの的だったダイヤが身近になってきた。合成ダイヤは「ラボグロウンダイヤモンド」とも呼ばれ、化学成分や構造は天然ダイヤと全く同じ。見た目にも違いがなく、判別には

日産が挑む真夏の車内温度上昇を防ぐ塗料、外部表面で最大12℃の温度低下:材料技術(1/3 ページ) 日産自動車は、夏場の直射日光による車室内温度の過度な上昇を防ぐことで、エアコン使用時のエネルギー消費を減らし、燃費と電費の向上に貢献する自動車用自己放射冷却塗料の実証実験の途中経過について紹介した。 日産自動車(日産)は2024年8月6日、東京都内で記者会見を開き、夏場の直射日光による車室内温度の過度な上昇を防ぐことで、エアコン使用時のエネルギー消費を減らし、燃費と電費の向上に貢献する自動車用自己放射冷却塗料の実証実験の途中経過について紹介した。 開発の経緯と実証実験の成果 同社はこれまで、カーボンニュートラルの実現に向けて電動化をはじめ、自動車の電動化をはじめ、さまざまな取り組みを推進してきた。カーボンニュートラルの実現では、自動車の使用時におけるエネルギー消費を抑制する取り組みが必要だ。

この記事は、2024年7月19日発行の「素材/化学 メールマガジン」に掲載されたMONOistの編集担当者による編集後記の転載です。 最近は、涼しい日があったり、暑すぎる日があったりするので、体調管理しにくいですよね。体調を崩した時には市販あるいは処方された医薬品のお世話になる方もいると思います。 突然ですが、医薬品のパッケージというと読者の皆さんはどのようなものを思い浮かべますか。紙箱、瓶、PTP包装など、さまざまなパッケージが思い浮かんできたと思います。 これらのうち、錠剤やカプセルをプラスチックとアルミで挟んだシート状の包装であるPTP包装に関しては、今後、従来品とは異なる新しいタイプのものが国内で流通する機会が増えるとみています。 関連記事 PPでモノマテリアル化を実現したPTP包装、特殊な加工で防湿性を確保 双日プラネットは、ドイツのEtimex製ポリプロピレン(PP)フィルム「

ペーパーレス化によって紙の需要の減少が続くなか、昨年度の国内出荷量が初めて1000万トンを下回り、2007年度のピークからおよそ半分にまで落ち込みました。製紙業界にとどまらず、オフィス向け機器を手がける業界でも事業再編や業界再編の動きがさらに加速することが予想されます。 業界団体の日本製紙連合会によりますと、ティッシュや印刷用紙、それに新聞などに使われる洋紙の昨年度の国内出荷量は948万トンで、前の年度から9%減少しました。 今の統計で比較が可能な1988年度以降で初めて1000万トンを下回り、2007年度のピークと比べると48%の減少と、およそ半分にまで落ち込んでいます。 背景にあるのは、ペーパーレス化やデジタル化の拡大で、製紙業界では、大王製紙と北越コーポレーションが原材料の調達や生産面での技術協力などで提携する検討を進めています。 オフィス向けの複合機などを手がける業界でも、富士フイ

カーボンニュートラル、マイクロプラスチックに続く環境課題として注目を集めつつある窒素廃棄物排出の管理(窒素管理)、その解決を目指す窒素循環技術の開発を概説しています。今回は筆者がその開発に携わっている気相アンモニア吸着材と、その吸着材を活用したアンモニア資源化技術を紹介します。 大気中に放出されるNH3の課題 排ガスなどに含まれ、大気中に排出されるアンモニア(NH3)の問題については、本連載第4回でご紹介しましたが、簡単に振り返ります[参考文献1]。NH3は窒素酸化物(NOx)に続いて排出量が大きい物質です。 NOxは規制の効果もあり、年々その排出量は減少している一方、NH3は顕著な現象がみられていません。海外でも、欧州連合(EU)では2016年に国家排出削減公約指令を発行し、NH3排出量の低減を進めています[参考文献2]。 大気中に放出されるNH3は、PM2.5の主要因であるとともに、悪

環境負荷が低い新素材を開発するSpiber(スパイバー、山形県鶴岡市)は植物由来のバイオマス原料を使った繊維を大幅増産する。数十億円を投じ、2026年をめどに年間生産能力を現状の10倍の最大2000トンに引き上げる。世界では環境対応の衣料品素材を求める動きが広がる。増産投資でコストを低減し、国内外のアパレル企業への採用拡大を狙う。ここ半年間で、小松マテーレや関西ペイント、兼松などから第三者割当

アニマルウェルフェア(動物福祉)の機運が世界で高まる中、動物を殺さず生産できる人工皮革「ビーガンレザー」への注目が世界で高まっている。中でも石油由来の素材を使わず、キノコのもとになる菌糸で作られる「マッシュルームレザー」は、海外高級ブランドなど

食器洗いは嫌いな家事の代表格。できれば避けたいこと。しかし、水を流すだけで汚れをキレイに落とすことができる食器なら、話は変わってくるのではないだろうか? そんな夢のような食器を、節水製品を手掛ける「DG TAKANO」(東京都台東区東)が2023年5月に発売した。同社が立ち上げた新ブランド「meliordesign(メリオールデザイン)」の食器のことである。食器は表面改質しており、口紅のような落としにくいものも水を流しながらひとなでするだけで落とせる。除菌も水を流すだけででき、食品衛生検査指針で推奨されているATPふき取り検査(汚れの指標とした検査方法)で、一般的な合格基準とされる200RLUをクリアしている。食器洗い用の洗剤や食洗機も必要ない。大幅な時短が可能になるだけではなく、最大で98%の節水効果も期待できる。

神戸大学大学院工学研究科の田中悠暉大学院生、杉本泰准教授、藤井稔教授らの研究グループは、独自に開発した「構造色インク」を用いることにより、世界最軽量クラスの構造色塗装が可能であることを実証しました。近年、退色しない「構造色」が注目されていますが、見る角度によって色が変わる、配列など周期構造が必要である、などの理由により従来の塗料に置き換えることが困難でした。本研究では、Mie共鳴という現象で発色するナノメートルサイズの粒子をインク化し、わずか1層分だけ基材に塗ることで、角度依存性の小さいカラフルな着色が可能であることを実証しました。この成果は、従来の塗料よりはるかに少ない量で着色塗装が可能であることを示しており、例えば、数100キログラムといわれる大型航空機の塗装を、1/10以下に軽量化できる可能性があります。 この研究成果は、1月30日 (米国時間) に、国際科学誌「ACS Appli
捨てられるランナーが再びガンプラへ、目指すは究極のガンプラ to ガンプラ 2021年4月1日にスタートした「ガンプラリサイクルプロジェクト」は、ガンダムシリーズのプラモデル「ガンプラ」のランナー(プラモデルのパーツをつなぎとめる枠の部分)を全国から回収し、「マテリアルリサイクル」「サーマルリサイクル」「ケミカルリサイクル」へとつなげていくことを目指す取り組みだ。 このプロジェクトは、バンダイナムコグループのパーパス(企業の社会的意義を追求した理念)「Fun for All into the Future」で掲げる「エンターテインメントの力/つながる/未来をともに創る」といったキーワード(メッセージ)に通じる活動となっている。 ガンプラが完成したら役目が終わり、本来捨てるしかなったランナーを集めてリサイクルする――。この一連の流れを支えているのが「グループリソース」「パートナー」「ファン」

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