山が崩壊したことで大津波が発生1639年(寛永16年)、江戸幕府はポルトガル船の来航を禁止しました。これによって日本の貿易相手はオランダと中国のみに制限されました。日本人の海外渡航も禁止され、「鎖国」が始まります。 翌年、北海道の渡島半島にある駒ヶ岳(北海道駒ヶ岳)で、7月31日(寛永17年6月13日)に大規模な噴火が発生しました。北海道駒ヶ岳での大規模な噴火は、実に6000年ぶりでした。 photo by iStock 渡島半島には、日本最北の藩である松前藩(1604年に成立)がありました。松前藩の歴史書である『松前年々記』などに、当時の噴火の様子が記されています。巨大な噴火によって、正午ごろ山頂が一部崩壊し、崩壊物は山の北側にある内浦湾(噴火湾)になだれ込みました。「岩屑なだれ」です。 岩屑なだれの勢いによって巨大な津波が発生し、内浦湾沿岸を襲いました。津波の高さは、対岸で7.5メート
亡くなる前、急に長男が帰ってきた宮城県在住のIさん(83歳)は5年前、千葉県で暮す長男がひょっこり帰省した時のことが忘れられない。 長男はかつて不良少年だったため、Iさんは顔を見れば小言をいうのが癖になっていた。一方長男も、既に結婚し、いい歳であったにもかかわらず、母親であるIさんに対してだけはつい反発してしまうところがあったので、「久々の帰省」はいつも大喧嘩になり、「二度と敷居をまたがせない」「上等だ! こんな家もう絶対帰ってこないからな」となるのがオチだった。 「ちょっと時間が出来たからさ。お袋元気かなぁと思って」 照れくさそうに笑うと、出前の寿司をつまみ、母と同居している弟と酒を酌み交わし、終始ご機嫌で過ごした。翌朝は「やっぱりお袋の味噌汁は最高だよ」と、美味そうに朝食の味噌汁をおかわりし、その後は半日、愛車にIさんを乗せて紅葉ドライブを満喫。「じゃあ元気で」と笑顔で別れを告げたのだ

「理想化された自然」観クマの駆除をめぐって賛否両論が巻き起こっています。駆除する側の行政にクレームが殺到するだけではなく、クレームに対する批判も大きくなっています。 報道によれば、「殺処分するな」「武器を使うのは卑怯だ」などと感情論が多く、電話口で号泣する人もおり、行政が対応に苦慮しているといいます。クマの被害が多発する東北6県と北海道、新潟県の知事らは、11月13日に環境省を訪れ、クマを「指定管理鳥獣」に指定するよう要望。翌14日には、伊藤信太郎環境相が追加の検討を始めたことを明らかにしました。 実は、同種の騒動は、もう20年近く前の話になりますが、2005年に青森で行なわれたサルの駆除でも勃発しています。人への威嚇や人家への侵入が問題になっていたことから、脇野沢村が捕獲した6匹のサルを駆除したのです。その後、村には抗議の電話が2日間で100件以上殺到。「猿を殺すなら村人を殺す」と脅迫め

登山による遭難者が年々増加しています。〈山登りで相次ぐ遭難に「自己責任論」が相次ぐのはなぜか…人を登山に駆り立てる「刺激と満足」の正体〉では、遭難報道のたびにSNSで「自己責任論」が紛糾する理由を検討し、近代登山が「思想の実践」であることについて論じてきました。では、人々を登山に駆り立てる「エッジワーク」とはなんなのでしょうか。 登山で得られる「強い覚醒」エッジワークは、社会学者のスティーブン・リングが提唱したリスク社会学の概念です。リングは、大半の人々がリスクを最小限に抑えようと慎重に行動する一方で、スポーツなどで怪我や死のリスクを積極的に高める人がいるという逆説を解く鍵として、「経験そのものが持つ強烈な魅惑性」に着目しました(Stephen Lyng“Edgework:The Sociology of Risk-Taking”Routledge)。 これには、2つの方向性があります。1
「境界線」を身に晒す快楽登山で遭難する人々が後を絶ちません。 最近、SNS上では、「登山に行った夫と連絡が取れない」という妻の投稿が話題になりました(現在、関連投稿は削除)。その後、夫の遺体が発見されたという続報があり、お悔やみの言葉を伝えるリプライが多数寄せられた一方で、妻が妊娠中だったという状況から、ケガなどの危険がある登山に行ったこと自体を問題視する意見も少なくありませんでした。 投稿の真偽は明らかになっていませんが、登山には一定のリスクがあるのは事実ですし、遭難した当人も最悪の事態までは想定していなかったかもしれません。 警察庁の調べによると、今年7月と8月に全国の山で遭難した人は、前年比181人増の 917人になり、過去最高となりました。 917人の 遭難者のうち、60歳代が199人(21.7%)と最多で、以下、50歳代が190人(20.7%)、70歳代が166人(18.1%)な
この国の人口はどこまで減っていくのだろうか。今年1年間の出生数が70万人割れになるかもしれず、大きな話題となっている。 そんな衝撃的な現実を前にしてもなお、多くの人が「人口減少日本で何が起こるのか」を本当の意味では理解していない。 ベストセラー『未来の年表 業界大変化』は、製造・金融・自動車・物流・医療などの各業界で起きることを可視化し、人口減少を克服するための方策を明確に示した1冊だ。 ※本記事は河合雅司『未来の年表 業界大変化』から抜粋・編集したものです。 マーケット縮小の地域差という難題 一般消費者を相手として商品やサービスを対面販売する業種の場合、経営を成り立たせるためにはエリア内に一定規模の消費者(商圏人口)が必要だ。 理髪店や美容院のように保管や移動させられないサービスは、商圏人口の減少がそのままその地域での存続の可否に直結する。どれくらいの商圏人口を必要とするかは業種によって

かつてはダイエーと日本一を競い合った「米投資ファンドKKRが、傘下の西友の売却を検討!」というニュースが出てから、「西友ってファンドの傘下なの?」や「ウォルマートの子会社じゃなかったっけ?」といった声が聞こえてくる。 現在の西友の株主は、米国投資ファンド、コールバーグ・クラビス・ロバーツ・アンド・カンパニー(KKR)85%、世界最大のスーパー、ウォルマート15%、となっており、まさに外資系企業である。 ただ、そもそもの出自は、西武鉄道グループから分かれた大手流通グループ、セゾン・グループという企業集団があり、その中核企業の一つで、スーパーマーケット創成期にダイエーと日本一を競った大手である。 バブル崩壊後、2000年代に経営破綻、グループが解体されたことによって、傘下の企業は分け取りになった。この話だけでも本何冊にもなるドラマがあったのだが、今回は全面割愛するので、ご興味あれば別途、検索頂

女性を虜にする究極の技術「恋愛工学」をテーマにした藤沢数希氏の小説『ぼくは愛を証明しようと思う。』。昨年6月に出版されるや瞬く間にベストセラーとなり、累計5万部を超えた本作のコミック版が発売された。「恋愛工学」とはなにか。原作者の藤沢数希氏の特別寄稿――。 なぜここまで人々を熱狂させるのか恋愛工学とは、簡単にいえば、主に男性のための恋愛マニュアルである。しかし、それが単によくできた恋愛マニュアルであったならば、ここまで人々を熱狂させることはなかっただろう。恋愛工学の成功は、我々が率いる恋愛工学研究所に潤沢な研究資金をもたらし、そして、数えきれないほどの恋愛工学ユーザーの人生を大きく変えた。 正直に言って、この恋愛工学のプロジェクトを率いてきた我々自身が、ここまで恋愛工学が広まったことに、一番驚いているのかもしれない。 はじめて恋愛工学という言葉が生まれたのは、私がブログ『金融日記』を書き

まったくサステナブルでない日本東京にいると、一度はこう感じたことがあるはずだ。 「東京は疲れる」「東京は暮らしづらい」――。 都道府県ごとに住民の幸福度や生活満足度、愛着度、定住意欲度などを数値化する「第6回幸福度調査2024」(出典:ブランド総合研究所)によると、東京は40位だという。2023年の調査が28位だったことを鑑みると、わずか1年で急落したことになる。東京は、“幸福になれないのに人が集まる街”になりつつある。 現在、東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県の人口は、約3600万人以上と言われる。日本全体の人口が、約1億2000万人だから、首都圏に約3割の人口が集中していることになる。東京の昼間人口は1700万人に迫るとも言われる。右も左も人だらけ。疲れないわけがないのだ。 しかも、こうした東京への人口集中は、個々人の「暮らしづらさ」や「疲れ」につながるだけではない。それは、日本という
経営者、従業員、高齢者、若者……「みんな苦しい」のは一体なぜなのか? 私たちを支配する「苦しさ」にはごくシンプルな原因があり、ちゃんと対処する方法がある。経営学の道具を使えば、人生が大きく変えられる。どういうことだろうか。 15万部ベストセラー『世界は経営でできている』で大きな話題を集めた気鋭の経営学者・経営者の岩尾俊兵氏による渾身の最新作『経営教育』(角川新書)では、「みんな苦しい」の謎をあざやかに解き明かす。 (※本記事は岩尾俊兵『経営教育』から抜粋・編集したものです) 架空の昔話をもちいて説明していきます。 まず、旧石器時代から縄文時代までは主にはイノシシやシカを狩ってドングリなどの木の実を集めて食べるという狩猟・採集生活をしていたと考えられます(縄文時代後期には稲作や漁労が始まっていた証拠も見つかっていますし、貝類は特に主要な食物でしたが、ここでは議論を単純化しています)。このとき
金属なくして、生命の誕生も進化もありえなかった!! 鉄やカルシウムが重要なのは常識ですが、私たちの体内には、他にもマグネシウムや亜鉛、銅やマンガン、モリブデンなどの金属元素が含まれています。 これらの金属は、体内にわずか1%以下しか存在しない微量元素ですが、「微量」の名前とは裏腹に、多種多様で、きわめて重要な役割を果たしています。いったいどんな役割なのでしょうか? そして、「多すぎ」ても「少なすぎ」ても、体調に異変をきたす理由とは? 生命と金属の奥深い関係を解き明かす話題の本『生命にとって金属とはなにか』から、読みどころを厳選してお送りします! 生命が選んだ金属たちカンブリア紀やそれに続く地質年代において、新しい生命が誕生し、進化していくためには、いったいどの金属元素が重要な役割を果たしたのだろうか? 現在の科学は、いまだその答えを解き明かしていないが、化学的な観点から推測することは可能だ
古代ギリシャの原子論から、コペルニクスの地動説、ガリレオの望遠鏡、ニュートン力学、ファラデーの力線、アインシュタインの相対性理論まで、この世界のしくみを解き明かす大発見はどのように生まれてきたのか? 親子の対話形式でわかりやすく科学の歴史を描き出した新刊『父が子に語る科学の話』。そのユニークな特徴や、著者ヨセフ・アガシをめぐるエピソードなどについて、訳者の立花希一さんが語った特別インタビューをお届けしよう。 「科学とはなにか?」を探求する学問 「科学哲学」という言葉にはふたつの意味があり、「科学的哲学(scientific philosophy)」と「科学の哲学(philosophy of science)」です。ここでは後者に限定して説明します。 科学哲学の歴史は浅く、有名な物理学者マッハをウィーン大学に招聘するため、1895年に新設された「帰納科学の歴史と哲学」講座から始まるといわれま

パリオリンピック開会式の「マリー・アントワネット生首演出」が議論を巻き起こしている。フランス人にとって、フランス革命とはいったいどんな位置づけなのか? じつは近年、「あの革命は行き過ぎていた」という批判がなされている。革命の評価が変化した背景を探る。 【本記事は、『物語 パリの歴史』(高遠 弘美著)より抜粋・編集したものです。】 変わる革命への評価 「詩的レアリスム」の巨匠ルネ・クレール監督が1932年に発表した映画“Quatorze juillet”(7月14日)は、革命記念日の7月14日をタイトルにした作品ですが、日本では「巴里祭(ぱりさい/ぱりまつり)」というタイトルで公開されました。パリの下町を舞台に花売り娘とタクシー運転手の恋が抒情的に描かれた名作です。 ただ、原題は「革命記念日」「国祭日」を表す日附で、革命を祝うのはパリだけではありません。この日、パリではシャンゼリゼ大通りを

20世紀の終わりごろに「電子を捨てる(=電気を作る)微生物」が存在することがわかってきました。さらに、21世紀に入ると「電子を食べる微生物」も発見されています! まだまだ未知のこの「電気微生物」について研究しているのが、JAMSTEC超先鋭研究開発部門の鹿島裕之研究員です。 この電気微生物は、これまで地球生物が生命を支える仕組みとして知られてきた「光合成」「化学合成」という生態系とは異なる、「電気合成生態系」という第3の生態系を形成しているかもしれないといいます。謎だらけのこの「電気微生物」について研究の最前線をうかがってみました。(取材・文:岡田仁志) 微生物にも、ヒトにも共通のエネルギー通貨「ATP」 ──生物が電子を食べたり・捨てたりすると聞くと、とても不思議なことのように感じます。鹿島さんが研究されている「電気微生物」は、ほかの生物とはまったく違う生き方をしているのでしょうか? も

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が「10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。 ※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。 地方出身者は関西圏へ目を向けなくなってきた。転職や結婚などを機会に、東京圏へ移動してゆくのが実情なのだ。 下落傾向に歯止めがかからない 東京一極集中と裏表の関係にあるのが地方の人口減少だが、東京圏以外の大都市圏はどうなっているのだろうか? 日本は久しく、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)、関西圏(大阪、京都、兵庫、奈良)、名古屋圏(愛知、岐阜、三重)という三

秋田の山中に出没した「人喰いグマ」の「ヤバすぎる正体」…!報じられない地元の証言「どう見てもツキノワグマじゃねえ」「デカすぎる」 赤毛で大型の個体の目撃例が増えてきた 秋田県鹿角市大湯の山中でこの5月、クマに襲われた警察官2名を含む計3人の男性が死傷した。そのうちの一人、命を落とした佐藤宏さん(64歳)の遺体は損傷が激しく、妻も見ることができなかったという。 このクマは今に至るも駆除されていないが、年間を通じて山菜を採りに山に入るというある男性は、首を傾げながらこう語る。 「ここ5年ほどだと思うのですが、秋田側の熊取平や田代平、岩手側の四角岳、青森側の迷ケ平など、三県の境界周辺で、大型の個体の目撃例が増えてきたのです。 しかも、そのほとんどが赤毛の個体でした。 ツキノワグマは高齢になると稀に褐色の毛色になる個体もありますが、偶然にそのような個体が増えているのか、別の理由があるのかは定かでは

「人類学」という言葉を聞いて、どんなイメージを思い浮かべるだろう。聞いたことはあるけれど何をやっているのかわからない、という人も多いのではないだろうか。『はじめての人類学』では、この学問が生まれて100年の歴史を一掴みにできる「人類学のツボ」を紹介している。 ※本記事は奥野克巳『はじめての人類学』から抜粋・編集したものです。 サファリルックで「未開の地」へ? そもそも、人類学とは何でしょうか。みなさんは人類学という言葉を聞いたとき、どのようなイメージを思い浮かべるでしょう。サファリルックのような服装で「未開」の部族に入り込み、フィールドワークをつうじてその人たちの文化を明らかにする学問? たしかにそれもひとつの見方です。ただ、それはある意味で固定化されたイメージにすぎません。 たとえば最近では、デヴィッド・グレーバーによる『ブルシット・ジョブ――クソどうでもいい仕事の理論』(2018年)が

20世紀初頭の著名な天文学者エディントンは、相対性理論による光の屈折を観測するため、1919年5月29日の日食をわざわざアフリカのプリンシペ島に遠征して観測した。 そのとき撮影した太陽の近くに見えるヒアデス星団中の恒星の写真を太陽がそばにいないとき(つまり夜間)の位置と比べることで、太陽のそばを通過した光が何度くらい曲がったのか計算したのだ。 計算結果はニュートン力学による予測より、一般相対論の予測のほうが観測結果に近かった。これは一般相対論の最初の実験的な(観測的な)確認になった。 質量がない光さえ重力で曲げられてしまうのだからそもそも「等速直線運動」を考えようと思ったら空っぽな宇宙にたった1個の質点とか、たった一筋の光しかない(つまり、質点や光が通過するべき空間を歪めるものが存在しない)という状況以外ありえない。 そういう意味では「等速直線運動」は現実にはありえないほど理想化された状況

人口減少日本で何が起こるのか――。意外なことに、多くの人がこの問題について、本当の意味で理解していない。そして、どう変わればいいのか、明確な答えを持っていない。 100万部突破の『未来の年表』シリーズの『未来の地図帳』は、20年後の日本人はどこに暮らしているのか?人口減少が「10年後、20年後の日本のどの地域を、いつごろ、どのような形で襲っていくのか?についての明らかにした書だ。 ※本記事は『未来の地図帳』から抜粋・編集したものです。また、本書は2019年に上梓された本であり、示されているデータは当時のものです。 地域差が際立ってくる 人口減少が2段階で進むこと以上に踏まえておかなければならないのが、人口減少も少子高齢化も全国一律に進むわけではないという点だ。 日本の総人口が増えていた時代でも過疎地は存在したし、人口が減り始めた現在でも人口が増えている自治体がある。これからいよいよ、地域差

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