参院選の投開票前日、参政党の街頭演説に抗議する人たち=東京都港区で2025年7月19日午後6時57分、滝川大貴撮影 日本国に侮辱を加える目的で国旗(日の丸)を損壊したり、汚したりした者に刑事罰を科す――。高市早苗政権で、日本国国章損壊罪(国旗損壊罪)を刑法に新設する法改正が現実味を帯びている。自民党と日本維新の会の連立合意書に明記された他、参政党も法案を提出した。だが、専門家は「表現の自由」の侵害につながりかねないと指摘し、自民内でも異論が出ている。この問題をどう考えればいいのか。 <関連記事> 高市首相、悲願の国旗損壊罪 「愛国心の強制」自民からも懸念の声 「日の丸」定着と反発の歴史 米国でも国旗と「表現の自由」議論 神谷氏「こんなことが許されるのか」 今年7月の参院選投開票前日。参政の神谷宗幣代表が街頭演説した東京都港区の芝公園は異様な熱気に包まれていた。 陣営によると1万人を超える

台湾有事は集団的自衛権を行使可能な「存立危機事態になり得る」とした高市早苗首相の国会答弁をきっかけに、日中関係が急速に冷え込んでいる。質疑で答弁を引き出した立憲民主党の岡田克也元幹事長が18日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、答弁を聞いた瞬間に「まずいと思った」と振り返った。【聞き手・大場弘行】 ――7日の衆院予算委員会で高市氏に「存立危機事態」について質問した理由は? ◆(自民党の)一部の有力政治家の発言を聞くと、集団的自衛権の行使に対して法律や過去の国会答弁で加えた限定をないがしろにしているのではないか、それは憲法違反にもなり得るし、日本の国益を考えてもまずい。そういう強い問題意識がありました。 高市さんは(2024年9月の)自民党総裁選挙で、中国が台湾の周りを海上封鎖するような場合には存立危機事態になり得ると言っていた。でも、例えば(日本の商船などが通る台湾とフィリピンの間の)バシ

<Susumu Shimoyama “MEDIA IN 2050”> 「『スタンフォード監獄実験』はとんでもないくわせものだったんだ。スタンフォード大学で実験の元の資料や録音が公開されていて、それをみたらば、『人間の本性は悪だ』ということを証明するかのように喧伝されてきたこの実験は、実は様々な操作がなされていたんだよ」 2017年5月16日、私がまだ文藝春秋の編集者だった時代の話。慶應の三田キャンパスへ向かうタクシーの中で、オランダの作家ルトガー・ブレグマンは言った。 その前年の秋のフランクフルトブックフェアで、『Utopia For Realists』と題された英語の自費出版本の版権を取得した私は、『隷属なき道』というタイトルで日本版を出版し、著者のブレグマンをオランダ大使館と共同で、本のPRのために日本に呼んだのだった。 タクシーの中で、「次は何を書くの?」と水をむけたらば、「人間の本

東京都武蔵野市の学校法人「武蔵野東学園」は8日、運営する学校の名称を2026年4月から「吉祥寺学園」に変更するとホームページ上で発表した。「名実ともに新しい学園に生まれ変わる」とし、新しい校章も公表した。 武蔵野東学園は幼稚園2園と小中学校、高等専修学校を運営しており、全てに「武蔵野東」が冠されている。新たな名称はいずれも「吉祥寺学園」とし、それぞれ「第一・第二幼稚部」「初等部」「中等部」「高等専修部」とする。24年6月に新名称の商標登録を出願し、25年3月に登録されていた。 武蔵野東学園を巡っては、高等専修学校の卒業生が在籍当時、理事長に反発したことなどをきっかけに学校側が退学を通告し、後に撤回するなどして注目を浴びた。 25年4月には学園内の騒動に関する報道で入学希望者が減り、逸失利益が生じたとして週刊誌記者やこの卒業生、保護者らに7億円超の損害賠償を求める訴訟を提起していた。 学園は

2024年9月、ヒグマを眺める人々によって発生した渋滞。知床財団がX(ツイッター)で注意を呼びかけた=知床財団提供 世界自然遺産登録から20年を迎えた北海道・知床が、観光地としての存続に向けて大きな課題を突きつけられている。 世界遺産登録後、初めてとなるヒグマによる死亡事故が8月14日に発生。観光に訪れる人間と豊かな自然の中で生きるヒグマの「共生神話」は崩壊した。 斜里町と羅臼町にまたがる知床半島のヒグマは世界屈指の高密度で生息している。 1982年に狩猟が制限される国の鳥獣保護区に知床が指定され、90年には冬眠明けのヒグマを狙う「春グマ駆除」が道内で廃止に。保護対象として、手つかずの自然の中で個体数が増えてきた。 90年に約280頭だった推定生息数は、約20年で400~500頭まで増加。市街地などへの出没が相次いだ2023年に両町内で約170頭が駆除されたが、現在は300~400頭に回復

約150年ぶりに返還された武蔵地区の灯籠=奈良県十津川村で2019年9月15日午前11時22分、萱原健一撮影 明治維新後の廃仏毀釈(きしゃく)で村内の寺がすべて失われた奈良県十津川村で、村外に流出していた寺の灯籠(とうろう)1対が浜松市の寺院で確認され、7月、約150年ぶりに返還された。地元でも忘れられていた灯籠だったが、村人は「村の心に火がともったようだ。大事にしていきたい」と話している。 灯籠は青銅製で高さ約94センチ。台座に刻まれた文字から、1845(弘化2)年に十津川村武蔵地区にあった光明寺に檀家(だんか)から寄進されたものと分かった。村などによると、寄進した3人の名前は、翌46年の旧武蔵村の「御改宗門帳」にあり、「恵殊」という名前も過去帳から寺の十四世住職と判明した。 十津川村での廃仏毀釈は、当時54あった寺すべてが壊される徹底ぶりで、今も寺は再興されず、村の墓はほぼ神式だ。村外

部員による暴力事案の影響で全国高校野球選手権大会を辞退することになった広陵(広島)。大会本部が「出場判断に変更はない」として1回戦を戦ったが、交流サイト(SNS)での中傷が収まることはなく、2回戦進出後の出場辞退という異例の事態となった。10日に兵庫県西宮市内で取材に応じた広陵の堀正和校長は「苦渋の決断だった」と険しい表情を見せた。 「本校はいかなる暴力も認めないことを掲げてきたが、今回の事態を招いたことは誠に遺憾で、じくじたる思い。今後、二度とこうした事案が起きないよう全力を注いでいきたい」。堀校長は沈痛な面持ちで語った。 堀校長によると、9日に運営する学校法人の理事会を臨時に開催し、辞退することを決定した。9日夜に決定を伝えられた選手たちは「失意のどん底」だったという。選手たちは…

新しい政党の党首たち。この人たちの共通点は……。(左上から時計回りに)日本保守党の百田尚樹代表、参政党の神谷宗幣代表、NHK党の立花孝志党首、日本維新の会の吉村洋文代表、れいわ新選組の山本太郎代表 参院選では連日、交流サイト(SNS)やテレビで、党首らの演説が流れていた。 在阪の参院選取材班が気付いた。「大阪の人ばっかりやん」 日本維新の会、れいわ新選組、参政党、日本保守党、そして政治団体のNHK党。党首たちの経歴を調べると、大阪で育ったり、学んだりしている。 何か理由があるに違いない。 「京都ぎらい」「大阪的『おもろいおばはん』は、こうしてつくられた」「関西人の正体」などの著書のある国際日本文化研究センター(日文研)の井上章一所長と探った。 まずは、大阪にゆかりがある党首の略歴の説明から。 日本維新の会の吉村洋文代表は大阪府河内長野市出身。党創設者の橋下徹氏は東京出身だが大阪育ち、2代目

第173回直木賞の選考が終わり、オンラインで報道陣の取材に応じる選考委員の京極夏彦さん=東京都内で2025年7月16日午後8時3分、渡部直樹撮影 16日午後8時前、東京都内に設けられた芥川・直木賞の選考結果の発表会場。芥川賞に続いて、直木賞も「該当作なし」の紙が張り出された瞬間、待ち構えていた100人を超える報道陣はどよめき、方々から「えー」という声とため息が漏れた。 両賞とも該当作なしは1997年下半期の第118回以来27年半ぶり。90年にわたる両賞の歴史の中でもこれまでに5回しかなく、ここ数年はどちらかの賞で2作受賞が続いていた。それだけに、選考委員による記者会見では、議論の中身に質問が集中した。 選考は両賞とも午後4時に始まった。芥川賞で該当作品がないと発表されたのは午後5時50分ごろ。例年芥川賞発表のあと、まもなく発表される直木賞はなかなか結果が出ず、終わってみれば選考開始から約4

JR北海道は4日、2024年度の線区別収支が、全20線区で11年連続の赤字だったと発表した。売上高にあたる営業収益はインバウンド(訪日客)増を受けて822億9300万円で、公表を始めた14年度以降で最大だったが、資材高騰の影響を受けた修繕費などがかさんだという。 主力の札幌圏(4線区)は、12億200…

塀に囲まれた中野サンプラザ。閉館に伴って手前の広場も閉鎖されたが、今は再び開放されている=2025年6月21日、日下部聡撮影 中野サンプラザのクロージングセレモニーで同社の金野晃会長に花束を手渡すサンプラザ中野くん(中央左)=東京都中野区で2023年7月2日、幾島健太郎撮影 解体されるはずだった中野サンプラザが今も建ったままだ。東京・中野駅前の一等地である。個性的な三角形のビルは塀で囲われ、白い壁面には汚れが目立ち始めている▲国内外の有名ミュージシャンとファンに愛されたコンサート会場は、2年前に惜しまれながら閉館した。2029年度までに最大7000人収容のホールを備えた複合施設に生まれ変わる予定だった。ブレーキをかけたのは資材や人件費の高騰である▲再開発事業者の大手デベロッパーは当初の計画を変更し、収益の見込める住宅部分を増やした「ツインタワー」案を中野区に提示した。これに区議会から「タワ

質問に答える新型コロナウイルス感染症対策分科会元会長の尾身茂さん=東京都千代田区で2025年6月20日、内藤絵美撮影 政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会で会長を務め、最も頻繁にニュースに登場した新型コロナの有識者でもある尾身茂さん(76)。民放のテレビ番組に出演した際の、コロナワクチンについての発言が波紋を呼んでいる。 「感染を防ぐ効果はあまりない」「若い人は感染しても重症化しない。本人たちが(接種を)やりたいならどうぞと、我々は何度も言っている」 尾身さんが本当にこんなことを言ったのだろうか。真意が知りたいと思い、尾身さんに取材を申し込んだところ「コロナ対策に深く関わった者として、共通理解を得られるようにするのが務めだと思っている」と応じてくれた。

トランプ米大統領は9日、パレスチナ自治区ガザ地区へ支援物資を運ぶ船に乗っていた環境活動家グレタ・トゥーンベリさんについて、「彼女は変わった人物だ。若くて、怒りっぽい人物だ」と述べた。さらに「彼女は怒りを制御することを学ぶクラスに行くべきだ。それが主要なアドバイスだ」などと語った。 トゥーンベリさんらが乗った船は9日にイスラエル軍に拿捕(だほ)された。トランプ氏はホワイトハウスで記者団から、トゥーンベリさんへのメッセージがあるかと尋ねられて答えた。トランプ氏は1期目(2017~21年)も、気候変動対策を強化するよう世界の首脳に強く訴える10代として注目を浴びていたトゥーンベリさんと対立してきた。

報道陣の取材に応じる山形県の吉村美栄子知事=山形市で2025年5月30日午前10時44分、古賀三男撮影 山形県は30日、5月1日時点の県人口が99万9378人だったと発表した。記録が残る1920(大正9)年以来105年ぶりに100万人を下回った。人口が100万人を割ったのは全国で12県目、東北では2017年4月の秋田県に続いて2県目となる。 総務省の24年10月1日時点の人口推計によると、山形県は前年と比べた人口減少率が1・49%で全国で5番目に高かった。東北地方は全国的にも人口減少率が高く、秋田県の1・87%が最高で青森県、岩手県と続いた。福島県は7番目だった。宮城県は0・73%で31番目だったが、全国平均の0・44%を上回った。 山形県によると、4月1日時点の100万340人から962人減った。死亡が出生を上回る自然減が主な原因で、毎月1000人ほど減少している。

「非暴力を用いることだけが、真の民主主義にいたる道なのです」。インド独立の父、ガンジーの言葉だ。彼が「非暴力・不服従」という社会運動の手法に到達する原点は、弁護士として赴いた南アフリカでの体験にある▲1等切符で地方へ向かう道中、白人の乗客から「貨物車へ移れ」と言われ、抗議するとホームに放り出された。大英帝国の支配下、出稼ぎのインド人労働者たちが置かれた過酷な現実を、23歳の青年は身をもって知った▲1年契約の滞在は目的を変えて20年以上に及んだ。45歳でインドに戻り、祖国の独立を勝ち取る指導者となった後半生は数々の伝記に詳しいが、あれほどの偉人がノーベル平和賞を受けていないと聞けば意外に思われるだろう▲実は1937年から計5回、ノミネートされている。インド独立直後に行われた47年秋の選考では、委員5人のうち3人が反対した。当時、宗教を異にするパキスタンが分離独立したことが新たな紛争を招き、多

パレスサイドビルの立地は、東京メトロ東西線竹橋駅に直結し、皇居に面した都内屈指の一等地。1966年の竣工から60年近く経過しており、ビルの建て替えも含め、不動産業界関係者などの間で毎日新聞GHDの動向が注目されていた。 東京23区の商業地の地価は店舗やホテル、オフィスなどの堅調な需要を背景に、4年連続で上昇し、上昇率も拡大傾向にある。 同ビルは主要部に連結した白い円筒状の構造物が特徴的な昭和の名建築。戦後に建てられたオフィスビルの中で唯一、日本建築学会の「近代主義建築20選」に選ばれた。屋上には1939年に国産飛行機として初の世界一周飛行を達成した毎日新聞社の「ニッポン」号を記念した毎日神社がある。 関係者らによると、案件は初期段階で、売却・再開発ともに見送られる可能性もあるという。パレスサイドビルには、毎日新聞社東京本社などが入居している。 毎日新聞GHDは毎日新聞社やスポーツニッポン新

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