「今日の議論をどう扱うかはこちらで引き取る」――。 政府の会合としては異例の結末だった。知的財産戦略本部が2018年6月22日から10月15日まで9回にわたり開催したタスクフォース「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議」は、委員間の対立が激化した結果、予定していた中間とりまとめを断念した。冒頭のコメントは、慶応大学大学院メディアデザイン研究科教授で共同座長を務める中村伊知哉氏の言葉である。 裁判所の判断の下、悪質な海賊版サイトへのアクセスを民間ISP(インターネット接続サービス事業者)が強制遮断する「サイトブロッキング」の法制度を整備するか否かを巡り、「憲法の『通信の秘密』に抵触し、現時点で違憲の疑いがある」として法制化の棚上げを訴える9人の委員と、「推進」「棚上げ」の両論併記を認める他の委員との溝が埋まらず、「座長預かり」で散会になったのだ。 とはいえ、ブロッキング法制化の流れが

ブロッキング法制化の是非をめぐって対立が続いていた政府知財本部の「インターネット上の海賊版対策に関する検討会議(タスクフォース)」。今年6月22日に第1回会合が開かれ、駆け足で議論が進められてきたが、ブロッキング推進派・反対派の溝が埋まることはなく、とりまとめどころか報告書すら出せないまま、会議は無期限延期となった。 今年に入ってから続いていたブロッキングを巡る議論は、まさにカオスと言えるほどに混迷を極めた。いったいどこで道を違えてしまったのだろうか。 政府への不信感と知財本部の忖度 10月15日に開催された第9回会合では、なんとか賛成意見・反対意見の両論併記でまとめたい事務局に対し、森亮二弁護士ら9人の委員が連名で中間とりまとめ案の修正案を提出。両論併記を破棄し、ブロッキングの法制化を見送るべきとの文言を盛り込むことを求めた。3時間半にも渡る丁々発止の末、議論は平行線のまま落とし所を見つ
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