syu-m-5151.hatenablog.com はじめに 前回の記事では、システム思考の基本的な概念—非線形性、関係性、反直感性、氷山モデル—を見てきました。システムをプラモデルではなく生態系として理解する視点を学びました。 しかし、概念を知っているだけでは意味がありません。テニスの本を読んでもテニスができるようにならないように、システム思考も実践してこそ身につくものです。理論を学んだ今、次のステップは「どう実践するか」です。 この記事では、日々の開発の中でシステム思考をどう使うかを具体的に解説します。取り上げるのは、自己認識の深め方、建設的な対話の作り方、フィードバックループの設計、パターンの見つけ方、そしてモデリングの実践です。これらはシステム思考の実践方法のほんの一部ですが、すべて明日から使える方法ばかりです。 特別なツールや権限は必要ありません。新人エンジニアでも、今日から、今
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世間ではよく、「プロダクトにオーナーシップを持て」というようなことを言われる。かんたんにいうと「このプロダクトは自分のものだ」と思って仕事しろ、という話だ。よく言われるということは、逆にいうと「そうなっていないことが多い」ということだとも思う。つまり、「ほんとうはオーナーシップを持っていてほしいんだけど、そうじゃないから、"持て"と言われる」ということだ。あいさつがあたりまえになされている場所では「あいさつをしましょう」と言われない、というような話。 では、なぜオーナーシップを持つことが難しいのだろう? ぼくは、いままでいろんな現場を見てきて、いくつかのアンチパターンがあるな、と思っている。 アンチパターンの解説から入るまえにまず、前提の話から。そもそも、ソフトウェアエンジニア自体が「オーナーシップなんか持ちたくないよ」と思っている場合、それはどうやってもオーナーシップを持たせることは不可
――ええと、今日このDXチームで議論しているうちに、やっと自分の言いたいことがわかってきました。たしかにウチの社内の各システムの間には、インターフェイスはあります。でも、全体がつながるって、別のことだと思うんです。 ――つながるって、1方向だけじゃダメだと思うんです。両方向のループになっていないと。最近のデジタル技術、例えばロボットとか、3Dプリンタとか考えてみてください。プログラムが命令をして、ハンドやノズルを動かすんですが、でも対象物の種類や状態を見て、自分の側の動きも調整できるでしょう? ――そうですね、フィードバックです。動く主体と、働きかける対象との間がループになって、対象のデータが戻ってくる点が大切なのです。それによって、次のアクションを変化させます。そうしないと、物理世界とうまく関われないのです。現実社会は変動が大きいですから。それも、速いスピードでフィードバックが戻ってこな

(前回のあらすじ)あなたは、ある製造業の工場に勤める若手のエンジニアだ。案外パソコンに詳しい、などとおだてられて手製のツールなどを作っているうちに、いつのまにか工場長から『製造IT担当』なる係にされてしまった。なんだか技術者というよりも便利屋みたいだな、などと思いながら、それでも製造ラインのデータを取得するIoTなどの仕組みを工夫したり、生産管理システムの改修要件をとりまとめたりしてきた。 そんなある日、本社から突然、「全社DXチーム」のメンバーに任命されたから会議に来い、と命じられる。専務が委員長で、情報システム部の次長が事務局長だ。社内の主な部署から、若手中堅メンバーが集められている。だが、参加してみたものの、皆、何をすればいいのか思案顔であった。最近のデジタル技術は、従来のサーバとPCの中のITより、現実世界とインタラクションが強い、だからそれを利用すればいい、という意見もでた。だが

チームラボよ、どこへ行く?published: 2025-05-29 last modified: 2025-05-30 この文章は私のチームラボに関する回顧録と現在のチームラボに対する私の意見を綴ったものだ。 筆を取ったきっかけとなったのは、チームラボのアブダビでの大規模常設展で発表された新作のムービングライト作品がメディアアートユニットであるKimchi and Chipsの作品に似ていると言う議論をInstagramで読んだことである。 https://www.instagram.com/p/DJY9BL6qv9k/ Light Barrier(2014)。プロジェクターの光を多数の球面鏡で意図的に散乱させ、反射光のパスを制御して3Dの光の輪を空間上に作り出す。 HALO(2018)。Light Barrierをさらに発展させ、屋外で太陽光を稼働するミラーで正確に反射させ空間に光の輪

AIブームである。私のような場末のエンジニアにまで、AI案件の話が飛んでくる始末だ。AI案件とは、だいたいにおいて、「ChatGPTのようなAIに我が社の長年の課題(属人化している業務や、時間のかかる業務)を代替させ、業務効率化を図る」という趣旨になっている。 ところで、案件の決裁権を握っているおじさんたちにとって、AIとはChatGPTのことだ。つまりは日本語を理解し、なんだか賢そうな返答を返し、全てを解決してくれそうなふいんきのあるチャットボットのことである。 さて、どうやってAI(LLM)に建築物の構造計算の検証や、ブランド品の値付け査定や、Webデザインをさせたらいいだろうか? 哀れなプロンプトエンジニアたちが、あの手この手でプロンプトを調整することで、LLMはそれらしい返答を返してくれる。それらしい数字、それらしい値段、どこかで見たことのあるHTML。だが、実際それを業務に反映

一時期Ruby onRailsのERB + jQueryベースのフロントエンドをReactやVueのモダンフロントエンドにリプレイスするのが流行りました。私も現場でこういう例を複数見ています。 しかしどれも途中で止まっています。半分にも届かないぐらいのところで "ERB + jQuery"だったものが "ERB + jQuery +React +Next.js"とか"ERB + jQuery +Vue"になっています。 複雑度はむしろ明確に増しています そこで、こういう結末が一般的なのかどうか、ウェブを検索して調べてみました。 タイミー社の例Rails (多分ERB) + jQueryが出発点 30画面Next.jsのSPAに移行 3年間かかった (2年弱の時点で一回中断)クックパッド社の例 2020年にRails (多分ERB) + CoffeeScript/jQueryを

学生時代にビジネスコンテストで賞金稼ぎをしていた、ところてんです。 最近、いろいろあって、なんとなくビジネスコンテストの何がクソかが分かってきたので、ポエムを書いてみます。 最近、人事系のブログやら記事やら書籍では、Will,Can,Mustという概念がよく言及されています。私がこの概念を始めて知ったのは、サイボウズ社の社長の青野さんが書かれた「チームのことだけ、考えた」からです。せっかくなので、同書から引用しましょう。 「チームのことだけ、考えた」から引用Willは「自分がやりたいこと」で、これはそのままです。 Canも言葉通りで「自分ができること」です。 Mustだけ少し難しくて、これは「会社や社会から求められていること」というようになります。 Will,Can,Mustが組み合わさった領域というのは、自発的にも高いパフォーマンスが発揮でき、かつ社会的にも高いパフォーマンス(売上、利益

Amazon Web Services ブログ 何をどれくらいの価格で売ればいいの? ~SaaS のプライシング戦略 (考え方編) ~ 皆さんこんにちは、SaaS パートナーソリューションアーキテクトの櫻谷です。 初めて SaaS ビジネスに挑戦するお客様の中で、以下のような値付けに関するお悩みをお持ちの方は少なくありません。 「何をどれくらいの価格で売れば利益が出るのか?」 「AWSのランニングコストと帳尻を合わせるためにはどうすれば良いか?」 「サブスクリプションモデルって何?」 「価格は公開せずに顧客ごとに価格交渉したいんだけど…」 プライシングは、将来の SaaS ビジネスの成長の基盤を形作る重要な要素です。この連載記事では、SaaS ビジネスにおける一般的な売上モデルの話から、よくある提供プランのバリエーション、適切な価格設定の方法、陥りがちなアンチパターンなどをご紹介します。

当ニュースレターは2023年を「SaaSがオワコン化した年」と位置づけたが、2024年は早くもAIが終わった一年であった。少なくとも大規模言語モデル(LLM)そのものの発展を、物珍しそうに追いかける時期は過ぎた。生成AIが今後どこまで賢くなるかはもちろん未知数である。しかし、既に業務で十分に役立つレベルにある現行モデルのコストが今後も下がっていくことは確実だ。 The cost of GPT-4APIs at launch in Mar2023 was roughly ~$30 per 1m tokens. Seeing Deepseek V-3APIs at ~$1 per 1m tokens today. ForAI application companies, cost of "intelligence" is falling significantly faster tha

この2年間の動き2023年 3月 ビ ジ ネ ス 経 営ChatGPT リリース の衝撃か らSaaSを 作る2023年 6月 SaaSを受 託開発で 売る 法人設立2023年 9月2023年 12月 2024年 3月 2024年 6月 案件獲得が不安定だったた め副業で稼働本業会社を辞めて フルコミット 業務委託6-7名ほどで 受託開発を実施 業務委託20名ほどで 受託開発やAIコンサルを実施 公庫から 1000万円 調達 1期目 売上1200 利益700 VAL1億円 M&A提案 売上が 毎月倍々 で増加 2024年 9月 シナジーを 活かしたエ ンプラへ の営業加 速 半期 売上7300 利益5000 M&A DD VAL4億円 M&A提案 2024年 12月 M&A 成立 先に集客 & マネタイズ2023年 3月 ビ ジ ネ スChatGPT リリース の衝撃か ら

こんにちは!年末記事の第二弾、AIエージェントに関するビジネス記事になります。 現状のエージェントはどうなっているのか、今後エージェントを始める方が参考になるように説明します。 第一弾の記事は既に公開されています。 WeeklyAI Agent News!から見えたAIエージェントの現在地 - 襖からキリン 私が公開しているWeeklyAI Agent News!や論文のリポジトリはこちらです。speakerdeck.comgithub.comAIエージェントに取り組む人材とは? 企業のAIエージェントの状況 現状の主力エージェント製品を解説 エージェントビルダー リサーチ、問い合わせ対応 データに基づく意思決定支援 様々なソースから資料作成 Agentic Process Automation これからのエージェントを考える 生成AIエージェントと業務ソフトウェアの結びつきが強

私は都内のベンチャー企業でSaaSの開発をしているエンジニアです。 最近、事業を進めるなかで感じていることがあります。それは、エンジニアとしての「優秀さ」の定義が変わってきているな、ということです。 もはや技術力では勝負がつかないかつてエンジニアの優秀さの定義は「いかに高い技術力を持つか?」が大きな割合を占めていました。 しかし、いまの日本のWeb事業において、ぶっちゃけ「技術力」が事業の決定打になることはほぼありません。 たとえば「Wantedly」のような求人掲載サービスも「クックパッド」のようなレシピ共有サービスも、機能として見たときには大きな違いがないですよね。情報が登録できて、表示されて、検索できて、いいねや検索条件の保存ができて……と、基本機能はほぼ同じように見えます(あくまで外から見た限りですが)。 私たちが開発中のSaaSも、基本機能は「データ入力、保存、表示」なので、さほ

この記事は以前エンジニアと人生 というオンラインコミュニティで執筆し技術書典で頒布した本の中の、私の執筆した章をリライトしたものです。 無料公開の背景本は有料で販売していたのでこの記事も有料記事にしようかとも思っていましたが、最近個人開発をネタにした特に中身のない記事を有料で買ってしまい後悔している友人を見かけて、そういうのにうんざりしていたので無料で公開することにしました。個人開発云々いうなら中身のない情報商材じゃなくて自分のサービスで稼げよな! ということで。でも投げ銭はありがたくいただくのでいいと思ったらバッジしてください! 【追記】 上記に対して「有料記事がダメって事?」という反応を頂きました。書き方が悪く申し訳ありません。 有料でノウハウなどを販売する事は良いと思います!そしてそれでサービスの運営費を賄えるなら嬉しい事です。 なんならサービスに関する事ならこの記事の"データ

AWSが生まれたのは、Amazonが経費削減のためにSunのサーバからHP/Linuxサーバへ切り替えたことがきっかけ。当時の社員が振り返る 1990年代後半に、米Yahoo!などに代表されるインターネット系企業の株が高騰したインターネットバブルが発生しました。 そのバブルが2000年前後にはじけると、ユーザー数の拡大を背景に資金調達をしてきた企業の多くが投資家からの資金を得られなくなり、行き詰まり始めます。Amazon.comもそうした状況のなかで先行きを不安視された企業の1つでした。2001年4月の週刊東洋経済の記事には、最高値の10分の1程度にまで下がった株価のグラフとともに、「莫大な酸素(キャッシュ)を燃やし続けている」「2000年12月末時点で2000億円を超える債務超過だ」と記されています。 当時Amazon.comのデジタルメディア部門ディレクターであったDanRose氏

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