『文藝』(2025・春号)に、町屋良平・滝口悠生・倉本さおり(司会:水上文)による「文芸批評は断絶したか——小説の死後の未来」という座談会が掲載されています。これは町屋さんによる批評のプロジェクトを受けてのものです。 「新感覚系プロレタリア文学の現代——平成文学史序説」(『すばる』2017.2)、『今日よりもマシな明日』(講談社、2022.2)、「サブカル私小説系から当事者性へ-―現代文学の大衆性について」(『文学+04』2024)の筆者として、この座談会を読んで率直に思ったのは「自分はここにはいないんだなあ。自分も参加したかったなあ」ということでした。もちろんこれは恨み節ではまったくなくて、どちらかと言えば自分の力不足に対する情けなさと若干のくやしさを感じた、ということです。とはいえ、このような試みを実作者側である町屋さんに担わせているのは、保坂さんが小説論を展開したときと同様、これまた