2026年1月、棋王戦挑戦者になった増田康宏八段に率直な質問をぶつけてみた。返ってきたのは、増田らしい感情を隠すことのない答えだった。 「一発かませるとは思うんですよ。僕は最大出力には自信がある。それを出せるコンディションと作戦面でしょうか。ただ、序盤の研究にはあまり時間を割いてこなかったので、その選択の幅を厚くしなければならない。昨年は事前の調整で混乱してしまったのですが、解決策はいろいろと見えてはいます」 棋界の絶対王者・藤井聡太は、好不調の波が非常に小さいとされる。中終盤の読みの深さ・正確さが高い勝率の要因と見られがちだが、序盤における知識量こそが、それを可能にすると増田は言う。 「序盤でストレスを感じないことで、中終盤に集中力を発揮することができる。あと、負けるかもというプレッシャーがないように見える。精神への不要な消耗は少ないほどいい。ただ、最近の対局には『あれっ?』と感じること