巨人がひしめくIT(情報技術)業界で、SHIFTはのし上がってきた。華やかなサービスがあったわけではない。最先端技術を抱えていたわけでもない。誰にも顧みられることのなかった、テスト業務という「下流の仕事」を磨き上げた。埋もれた人材に光を当て、力を最大限に引き出す人的資本経営で市場を切り開く。異形の組織は「下流」から「上流」へ、業界構造の変革を掲げ駆け上がっている。その様は、さながら革命運動。SHIFTの経営の核心に迫る。その第4回。※本連載を基にした書籍『SHIFT解剖 究極の人的資本経営』が2025年11月に発売。ここでその一部をお読みいただけます。 「彼の実力は高く顧客の信頼も得ている。最近の成長や成果に鑑みて年収は50万円アップが妥当だ」。事業部長のプレゼンに、丹下大社長が口を挟む。「彼は(働く上で)給与を重視しており、満足度が低いようだ。コミュニケーションはとれているのか」 3月7